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王都へと向かう途中、私は伯爵夫人様やヴェイン様から王都での暮らしぶりを聞く。しばらくは、伯爵家で暮らせるように手配くださるそうだが、一人で出かけるようになるとどのように暮らしていくかを考えなければいけない。
「お前なあ、家をでたら絶対迷子になるぞ?」
「もう7歳です。迷子になんてなりませんよ」
「王都は領都と違って広いのよ?それに領都自体は他領と接する地域があまりないせいで、そこまでにぎわってはいないの」
そうだったんだ。結構、教会も整備されているって聞いたからてっきり一番大きいんだと思っていた。そういえば魔法はあるのに魔法使いの人はほとんど見かけないなあとは思っていたけど。
「王都では魔法使いの人は結構いるんですか?」
「そうねぇ。魔法学院があるのも王都だし、結構いるけれどあなた達ほど使いこなせる人はあまりいないわね。歳のわりにというか中々力をコントロールできないみたいね」
「でもお母様の元で俺なんかはすぐに使えるようになりましたけど…」
「私も王都の魔法学院で学んだものの端くれですもの。つきっきりなら何とかなるけれど、授業で何人も教えるとなると要領がある程度よくないとね…」
私はそこで気になることがあった。王都なら魔法使いの人もある程度集まっているのに教師役の人は少ないのだろうか?
「教師の方は少ないんですか?」
「そうね。学問と違ってできることも知識もてんでばらばらだし、研究資金に困って一時的にという方も多いからね。それに希少属性の方やスキル持ちの方は雇用費用もかさんで結構つらいって話よ。あなた達に言っても難しいかしら?」
「お母様、俺ももう11です。それくらいは分かりますよ」
「わ、私も大体…」
「そう?まあ、そういう訳だから今いる方がどれぐらいの方なのかは私にもわからないの。学園長とは知り合いだから悪いことにはならないとは思うけど」
「でも、学園に入るとなると飛び級でしょう?俺はともかくライザは大丈夫なんですか?」
「ついてそうそう入れるわけではないでしょうから、その間に詰め込むしかないかしら。大丈夫よ。今までに教えたことが頭に入っていれば、そうそう遅れることはないわ。ただあまりこんなことは言いたくないのだけれど…」
そういったん言葉を区切って伯爵夫人様は真剣な顔つきになる。
「あなた達は伯爵家が絶対の自信をもって、対象の年齢になる前に学園に送り込む形になるわ。我が家の名を落とさないように頑張りなさい、特にヴェインは」
「お、俺ですか、どっちかというとライザの方が心配なんですが…」
「確かにライザのことは私も心配ですが、魔法の才からいえばあなたの編入はぎりぎりのラインです。常に優秀な成績・発想が求められることでしょう。私としてはそちらの方が心配です」
「伯爵夫人様、ヴェイン様は座学も魔力コントロールもご立派です。大丈夫ですよ」
「そうなんだけれどね…あなたたちを見ていると基準が狂ってしまうわね。私が7歳の時はまだ、右へ左へ火の玉を動かすのにやっと。11歳のころは低級魔法で満足していたというのに…」
そういいながら夫人は私とヴェイン様を交互に見比べる。
「そうそうライザ。私のことはこれからはニケと呼びなさい。伯爵家にいる理由については魔法の才がある遠縁の子だと紹介するから違和感のないようにね」
「そんな…恐れ多いです」
「ライザ、お母様がいいといっているんだから呼んであげてくれ」
「…ニケ様」
「そうそう!様付きなのは仕方ないけれど、娘ができたみたいでうれしいわ。私は領地にいることもあると思うけれど、あなたの立場が安定するまではできるだけ王都に居るようにするわね」
「大丈夫なのですか領地を空けたりして?」
「全く問題ないという訳ではないけれど、執事たちもいることだし伯爵家としては問題ないわ。そっちより陛下もライザのことを気にかけられるわよ。何せ我が国久しぶりの聖女かもしれませんからね。私にとっては娘と思っている子の将来に関係しますし」
そう言ってニケ様は私の頭を撫でてくれる。はわ~、こんな美女に撫でられる機会なんてないと思ってた。メアリーさんはおっとり可愛い系だから系統が違うしね。そんなことを思いながら馬車はゆらゆら王都へと向かう。
途中、貴族用の宿に初めて泊まったりして私は年甲斐もなくはしゃいでしまった。や、一応は7歳だけどね。するとヴェイン様からこれが聖女ねぇとあきれられてしまった。だってだってふかふかのベッドだよ。これはもうダイブするしかないよ。そしたらニケ様にも無言で見つめられてしまった。やだなぁ、伯爵家ではしませんよ多分…。
「お前なあ、家をでたら絶対迷子になるぞ?」
「もう7歳です。迷子になんてなりませんよ」
「王都は領都と違って広いのよ?それに領都自体は他領と接する地域があまりないせいで、そこまでにぎわってはいないの」
そうだったんだ。結構、教会も整備されているって聞いたからてっきり一番大きいんだと思っていた。そういえば魔法はあるのに魔法使いの人はほとんど見かけないなあとは思っていたけど。
「王都では魔法使いの人は結構いるんですか?」
「そうねぇ。魔法学院があるのも王都だし、結構いるけれどあなた達ほど使いこなせる人はあまりいないわね。歳のわりにというか中々力をコントロールできないみたいね」
「でもお母様の元で俺なんかはすぐに使えるようになりましたけど…」
「私も王都の魔法学院で学んだものの端くれですもの。つきっきりなら何とかなるけれど、授業で何人も教えるとなると要領がある程度よくないとね…」
私はそこで気になることがあった。王都なら魔法使いの人もある程度集まっているのに教師役の人は少ないのだろうか?
「教師の方は少ないんですか?」
「そうね。学問と違ってできることも知識もてんでばらばらだし、研究資金に困って一時的にという方も多いからね。それに希少属性の方やスキル持ちの方は雇用費用もかさんで結構つらいって話よ。あなた達に言っても難しいかしら?」
「お母様、俺ももう11です。それくらいは分かりますよ」
「わ、私も大体…」
「そう?まあ、そういう訳だから今いる方がどれぐらいの方なのかは私にもわからないの。学園長とは知り合いだから悪いことにはならないとは思うけど」
「でも、学園に入るとなると飛び級でしょう?俺はともかくライザは大丈夫なんですか?」
「ついてそうそう入れるわけではないでしょうから、その間に詰め込むしかないかしら。大丈夫よ。今までに教えたことが頭に入っていれば、そうそう遅れることはないわ。ただあまりこんなことは言いたくないのだけれど…」
そういったん言葉を区切って伯爵夫人様は真剣な顔つきになる。
「あなた達は伯爵家が絶対の自信をもって、対象の年齢になる前に学園に送り込む形になるわ。我が家の名を落とさないように頑張りなさい、特にヴェインは」
「お、俺ですか、どっちかというとライザの方が心配なんですが…」
「確かにライザのことは私も心配ですが、魔法の才からいえばあなたの編入はぎりぎりのラインです。常に優秀な成績・発想が求められることでしょう。私としてはそちらの方が心配です」
「伯爵夫人様、ヴェイン様は座学も魔力コントロールもご立派です。大丈夫ですよ」
「そうなんだけれどね…あなたたちを見ていると基準が狂ってしまうわね。私が7歳の時はまだ、右へ左へ火の玉を動かすのにやっと。11歳のころは低級魔法で満足していたというのに…」
そういいながら夫人は私とヴェイン様を交互に見比べる。
「そうそうライザ。私のことはこれからはニケと呼びなさい。伯爵家にいる理由については魔法の才がある遠縁の子だと紹介するから違和感のないようにね」
「そんな…恐れ多いです」
「ライザ、お母様がいいといっているんだから呼んであげてくれ」
「…ニケ様」
「そうそう!様付きなのは仕方ないけれど、娘ができたみたいでうれしいわ。私は領地にいることもあると思うけれど、あなたの立場が安定するまではできるだけ王都に居るようにするわね」
「大丈夫なのですか領地を空けたりして?」
「全く問題ないという訳ではないけれど、執事たちもいることだし伯爵家としては問題ないわ。そっちより陛下もライザのことを気にかけられるわよ。何せ我が国久しぶりの聖女かもしれませんからね。私にとっては娘と思っている子の将来に関係しますし」
そう言ってニケ様は私の頭を撫でてくれる。はわ~、こんな美女に撫でられる機会なんてないと思ってた。メアリーさんはおっとり可愛い系だから系統が違うしね。そんなことを思いながら馬車はゆらゆら王都へと向かう。
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