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ライザが出て行ってから、数時間が過ぎた。教会の中は何だが隙間風が吹いたようだ。それぐらい彼女は教会になじんでいたし、みんなに思われていただろう。いまだにぐずる子たちはメアリーがあやしてくれている。
「神父様、ケイトさんはどこに?」
「彼女ならルークとロイドのところだよ」
「…大丈夫なんですか?あんまり言いたくないですけど、2人は過保護でしたし…」
「ロイドはともかくルークはどうだろうね…」
エリーはそういう神父様を見ながら心の中では逆だよと思っていた。
(どっちかというとロイドの方が厄介なのよね。教会への働き掛けも、私たちのこともずっと気にかけてたし、さらわれたとか言い出さないわよね。ルークは単純だから今は冒険者になるかどうか自分のことで手一杯だろうし)
「なんだって!ライザが?」
「ちょっと、ルーク声が大きいよ」
「済まない。それで、今どこにいるんだ?」
「ちょっと面倒なことになるからって何か話していたみたいだけど、今日出てったみたいでさ。分かったらまた言うよ」
相変わらず面倒だなあと思いながらケイトはルークに説明する。あんまり本当のことを言うと神父様の立場もあるし、今日は怒鳴り込んでこないようにだけの説明だ。それにしてもしばらく見ないうちに酒場に溶け込んでるな。この調子だとこのままだろうか。そんなことを考えながらもう少しだけ説明して、ロイドにも言わないといけないからと話を切った。こういう時に次の予定があるというのは助かるわ。
「次はロイドのところか、今日は店には顔を出してるのかね」
ロイドは商家で働いている。仕入れや帳簿つけもやっているようで、店にいるとは限らない。特に今回は私用なので、ちょっと聞きずらい。
「おや、ケイトちゃん。冒険者用の道具の見学かい?」
以前からここの商会の人には冒険者になることは言っているのでその用事だと思われたらしい。私は申し訳ないけれどロイドがいないか伝える。
「ロイドね。ちょっとまってな」
よかった、とりあえず今日はいるらしい。
「ケイト、珍しいね。今日は何の用?」
ロイドとは孤児院をでてからも連絡を取っていたが、私から来ることはほとんどなかったので、意外そうな顔をしている。
「いや、昨日はライザの判定日だっただろ、その報告にな。奥借りれる?」
「ああ、聞いてみる」
そう言って一旦ロイドは奥に入った後、すぐに出てきてOKと合図する。私もそのまま店に入って商談用の部屋?に入る。
「ここは防音も完璧だから気にしないでくれ」
「とはいってもあんまり話せないんだけどな……」
私はルーク同様にライザの判定結果を簡単に伝えた。その結果、伯爵様に引き取られるようだとも。
「えらく静かに聞いてるね」
てっきりルークみたいに突っかかってくると思ったのに。2人ともライザには甘かったからなぁ。
「いや、ケイトが昨日の今日で落ち着いて話をするんだから、安心していい話なんだろう?」
こういうところは物分かりがいいから楽だけど、何聞かれるのかと大変なところだ。だから商家でもやっていけているんだろうけど。
「そうだけどさ。あんまり今言えない」
「だろうね。普通は孤児院出身者なんだから教会案件だからね」
「立場があるからね。私もあんまりいうことはできない。だけど、ちびどものことを気にかけてくれると嬉しい。正直、半分逃げてきてるんだ」
あの後ライザがいなくなった後は、すぐに窓を閉めて音が漏れないようにみんな大泣きしていた。あの場でいるよりはとこっちに来たんだ。
「君は湿っぽいのは苦手だからね。でも、心配だな。教会だって優秀な魔法使いは欲しいだろう?」
「領主様にも考えがあるみたいだ。詳しいことは私も知らないけどね」
「その方がいいだろうね。みんなにも話さないようにした方がいいよ」
「そのつもり。じゃあ、頼んだよ」
私は店を出て再び、わが家へと足を向けた。
「神父様、ケイトさんはどこに?」
「彼女ならルークとロイドのところだよ」
「…大丈夫なんですか?あんまり言いたくないですけど、2人は過保護でしたし…」
「ロイドはともかくルークはどうだろうね…」
エリーはそういう神父様を見ながら心の中では逆だよと思っていた。
(どっちかというとロイドの方が厄介なのよね。教会への働き掛けも、私たちのこともずっと気にかけてたし、さらわれたとか言い出さないわよね。ルークは単純だから今は冒険者になるかどうか自分のことで手一杯だろうし)
「なんだって!ライザが?」
「ちょっと、ルーク声が大きいよ」
「済まない。それで、今どこにいるんだ?」
「ちょっと面倒なことになるからって何か話していたみたいだけど、今日出てったみたいでさ。分かったらまた言うよ」
相変わらず面倒だなあと思いながらケイトはルークに説明する。あんまり本当のことを言うと神父様の立場もあるし、今日は怒鳴り込んでこないようにだけの説明だ。それにしてもしばらく見ないうちに酒場に溶け込んでるな。この調子だとこのままだろうか。そんなことを考えながらもう少しだけ説明して、ロイドにも言わないといけないからと話を切った。こういう時に次の予定があるというのは助かるわ。
「次はロイドのところか、今日は店には顔を出してるのかね」
ロイドは商家で働いている。仕入れや帳簿つけもやっているようで、店にいるとは限らない。特に今回は私用なので、ちょっと聞きずらい。
「おや、ケイトちゃん。冒険者用の道具の見学かい?」
以前からここの商会の人には冒険者になることは言っているのでその用事だと思われたらしい。私は申し訳ないけれどロイドがいないか伝える。
「ロイドね。ちょっとまってな」
よかった、とりあえず今日はいるらしい。
「ケイト、珍しいね。今日は何の用?」
ロイドとは孤児院をでてからも連絡を取っていたが、私から来ることはほとんどなかったので、意外そうな顔をしている。
「いや、昨日はライザの判定日だっただろ、その報告にな。奥借りれる?」
「ああ、聞いてみる」
そう言って一旦ロイドは奥に入った後、すぐに出てきてOKと合図する。私もそのまま店に入って商談用の部屋?に入る。
「ここは防音も完璧だから気にしないでくれ」
「とはいってもあんまり話せないんだけどな……」
私はルーク同様にライザの判定結果を簡単に伝えた。その結果、伯爵様に引き取られるようだとも。
「えらく静かに聞いてるね」
てっきりルークみたいに突っかかってくると思ったのに。2人ともライザには甘かったからなぁ。
「いや、ケイトが昨日の今日で落ち着いて話をするんだから、安心していい話なんだろう?」
こういうところは物分かりがいいから楽だけど、何聞かれるのかと大変なところだ。だから商家でもやっていけているんだろうけど。
「そうだけどさ。あんまり今言えない」
「だろうね。普通は孤児院出身者なんだから教会案件だからね」
「立場があるからね。私もあんまりいうことはできない。だけど、ちびどものことを気にかけてくれると嬉しい。正直、半分逃げてきてるんだ」
あの後ライザがいなくなった後は、すぐに窓を閉めて音が漏れないようにみんな大泣きしていた。あの場でいるよりはとこっちに来たんだ。
「君は湿っぽいのは苦手だからね。でも、心配だな。教会だって優秀な魔法使いは欲しいだろう?」
「領主様にも考えがあるみたいだ。詳しいことは私も知らないけどね」
「その方がいいだろうね。みんなにも話さないようにした方がいいよ」
「そのつもり。じゃあ、頼んだよ」
私は店を出て再び、わが家へと足を向けた。
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