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「メアリー、そろそろ出てくるよ」
「大変ですが頑張ってきてください」
「ああ、彼らが王都に入るまでは稼いでみるよ」
そう言って私は街にある聖堂へと向かう。隣町にある立派な聖堂には司祭がいる。俗世にまみれ、中央とのパイプを強くしたいという輩だ。逆にこういうものだからこそ時間が稼げるだろう。
隣町に着くと他の街の神父も続々と聖堂に集まっている。適性検査結果を聖堂単位でまとめて報告するためにこうして各町の教会の神父が集められるのだ。
「相変わらずここの聖堂は大きいですね」
隣の神父にそう話しかける。見たことのない神父だった。私はいつもそう問いかける。これだけで大体人となりは分かるものだ。
「ええ、さすがはこのあたりをまとめる聖堂ですね」
そんなに悪い方ではないようだ。当たり障りのはない話と、最近の出来事を話しながら時間を過ごす。どうやら、他の領地でも魔物の出現自体は多くなる傾向らしい。3年前の時もそうだったが、人里に現れることも多いようだ。
「飢饉といい隣国との関係といい大変ですね」
全くですと、話をするととうとう私の番となった。やや、緊張しながらも私は司祭の元へと向かう。
「おう、神父よ。報告を聞こう!」
一体、領主にでもなったつもりだろうか、聖堂を着飾り自分を着飾り何をしているのだろう。
「はい、これが今回の判定結果です」
私はわざと閉じて渡す。ここだけは中央とのつながりを保つために熱心に見る男だが、もしにかける。まあそんなことはないが。
「ふむふむ、なかなかに数は多いようだが…いつも通りか……なぬっ!!」
一か所で目が留まった。因みにスキルの方は書いていない。驚いてそれどころではなかったと言い訳するつもりだ。
「なんと!!これは聖女様ではないのか?」
あまりに大声で話すものだから、聖堂もざわめく。
「こ、この結果は本当なのか?」
「魔法玉での結果ですのでおそらくは…」
「なぜもっと早くに知らせんのだ!」
「毎年、次の日に必ず来るようにと厳命を受けておりましたので。また、彼女の来訪が遅かったのです」
何一つ嘘はついていない。ただ、遅く来るようには言っておいただけだ。
「ええい、使えんやつめ!それでこいつはどうしている?」
いきなり聖女候補をこいつ呼ばわりとは本当に領主様に預けて正解だったと思う。
「それが、今日の明け方から見かけないのです。街に買い出しにでも言っていると思うのですが…」
「なぜ、引き留めておかんのだ!!」
「いつものことでしたので」
「もういい、すぐに探してつれてこい」
「はっ!」
「そうだ、馬車を貸してやろう。ありがたく思え!」
いらない気づかいを。遅くしようとしているところに。そういいつつもありがとうございますと馬車に乗り込む。
それから、3時間ほど探すふりをして街をうろつき、たまたま出会った領主様の護衛に引き取られたという事を聞く。何もおかしいところはないこちらにとっては。
「それで娘はどうした?」
「それが…今日朝早くに領主様が引き取りに来られたそうで。私も今日の報告資料をまとめており、今日の昼過ぎにでも伝える気だったとのことでした」
「なんだと!それで今どこにいる?」
「そこまでは私からは…」
「ええい、お前ではらちが明かんすぐに領主の邸へ向かう。誰か!用意を!!」
周りに怒鳴り散らしながらでかい図体を動かす。摂生に努める神職が何をしたらこんな姿になれるのか…。
そう言って、ひとまず報告は終わり他の神父たちと解散する。
「今日は災難でしたね」
「いえいえ、いつものことですよ」
「しかし司祭殿も、聖女に対してだけでなく領主様にもぶしつけな態度でしたな。何かカン違いされているのではないでしょうか」
「しょうがありますまい。前教皇猊下の親族ですからな。甘えが取れないんですよ」
「それにしてもひどい建物になったものです。貴族か商家のたたずまいですな」
「全く」
そういいながら他の神父と別れる。あれでは領主様も苦労されることだろう。私はそう思いながら帰路に就いた。帰りの馬車はあるわけないか…。
「大変ですが頑張ってきてください」
「ああ、彼らが王都に入るまでは稼いでみるよ」
そう言って私は街にある聖堂へと向かう。隣町にある立派な聖堂には司祭がいる。俗世にまみれ、中央とのパイプを強くしたいという輩だ。逆にこういうものだからこそ時間が稼げるだろう。
隣町に着くと他の街の神父も続々と聖堂に集まっている。適性検査結果を聖堂単位でまとめて報告するためにこうして各町の教会の神父が集められるのだ。
「相変わらずここの聖堂は大きいですね」
隣の神父にそう話しかける。見たことのない神父だった。私はいつもそう問いかける。これだけで大体人となりは分かるものだ。
「ええ、さすがはこのあたりをまとめる聖堂ですね」
そんなに悪い方ではないようだ。当たり障りのはない話と、最近の出来事を話しながら時間を過ごす。どうやら、他の領地でも魔物の出現自体は多くなる傾向らしい。3年前の時もそうだったが、人里に現れることも多いようだ。
「飢饉といい隣国との関係といい大変ですね」
全くですと、話をするととうとう私の番となった。やや、緊張しながらも私は司祭の元へと向かう。
「おう、神父よ。報告を聞こう!」
一体、領主にでもなったつもりだろうか、聖堂を着飾り自分を着飾り何をしているのだろう。
「はい、これが今回の判定結果です」
私はわざと閉じて渡す。ここだけは中央とのつながりを保つために熱心に見る男だが、もしにかける。まあそんなことはないが。
「ふむふむ、なかなかに数は多いようだが…いつも通りか……なぬっ!!」
一か所で目が留まった。因みにスキルの方は書いていない。驚いてそれどころではなかったと言い訳するつもりだ。
「なんと!!これは聖女様ではないのか?」
あまりに大声で話すものだから、聖堂もざわめく。
「こ、この結果は本当なのか?」
「魔法玉での結果ですのでおそらくは…」
「なぜもっと早くに知らせんのだ!」
「毎年、次の日に必ず来るようにと厳命を受けておりましたので。また、彼女の来訪が遅かったのです」
何一つ嘘はついていない。ただ、遅く来るようには言っておいただけだ。
「ええい、使えんやつめ!それでこいつはどうしている?」
いきなり聖女候補をこいつ呼ばわりとは本当に領主様に預けて正解だったと思う。
「それが、今日の明け方から見かけないのです。街に買い出しにでも言っていると思うのですが…」
「なぜ、引き留めておかんのだ!!」
「いつものことでしたので」
「もういい、すぐに探してつれてこい」
「はっ!」
「そうだ、馬車を貸してやろう。ありがたく思え!」
いらない気づかいを。遅くしようとしているところに。そういいつつもありがとうございますと馬車に乗り込む。
それから、3時間ほど探すふりをして街をうろつき、たまたま出会った領主様の護衛に引き取られたという事を聞く。何もおかしいところはないこちらにとっては。
「それで娘はどうした?」
「それが…今日朝早くに領主様が引き取りに来られたそうで。私も今日の報告資料をまとめており、今日の昼過ぎにでも伝える気だったとのことでした」
「なんだと!それで今どこにいる?」
「そこまでは私からは…」
「ええい、お前ではらちが明かんすぐに領主の邸へ向かう。誰か!用意を!!」
周りに怒鳴り散らしながらでかい図体を動かす。摂生に努める神職が何をしたらこんな姿になれるのか…。
そう言って、ひとまず報告は終わり他の神父たちと解散する。
「今日は災難でしたね」
「いえいえ、いつものことですよ」
「しかし司祭殿も、聖女に対してだけでなく領主様にもぶしつけな態度でしたな。何かカン違いされているのではないでしょうか」
「しょうがありますまい。前教皇猊下の親族ですからな。甘えが取れないんですよ」
「それにしてもひどい建物になったものです。貴族か商家のたたずまいですな」
「全く」
そういいながら他の神父と別れる。あれでは領主様も苦労されることだろう。私はそう思いながら帰路に就いた。帰りの馬車はあるわけないか…。
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