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卒業式
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「いよいよ卒業式が明日か…」
「アーダン様!」
「どうしたエディン?試験は終わったぞ」
「そうですけれど、卒業式の挨拶は大丈夫でしょうか?」
「挨拶?今回は父上…陛下が来られるから俺はいらんだろう?」
「何をおっしゃってますの。陛下は簡単な挨拶だけで、メインはアーダン様ですよ」
「そう…なのか?」
「しっかりしてくださいませ。このところお変わりになられたのに」
「なあ、エディンは前の俺と今の俺。どっちが良いんだ?」
これはずっと気になっていたことだ。俺にはアーダンの記憶はあるが思考は引き継いでいないし、エディンはどう思っているのかなって気になっていた。
「今のアーダン様ですか?素晴らしいと思います。人々の声も聞き、きっと名君になられるでしょう。ですが…」
「ですが?」
「不敬を承知で申しますと、今のアーダン様より以前のアーダン様の方がもっと、国家国民を思われていたと思います。その方法は全くの見当違いですけれど」
「そうだな。エディンはどちらの俺がいい?」
「…困ります。私にとってはどちらも殿下ですし、以前までの殿下は色々言われてましたけれど、私にとっては大切な婚約者です。…会いたい」
エディンはアーダンと最も関わってきた少女だ。今のこの状況を感じ取っているのかもな…。
「~であるからして、そなたたちの活躍をわしも楽しみにしておるぞ」
陛下のあいさつも終わり、いよいよ俺の番になった。
「よしっ!」
気合を入れ直し、壇上に上がる。
「皆、よく聞いてくれ!これまで私は諸君らに迷惑をかけたとも思う。しかし、この数日の頑張りが認められ、こうしてここに立つことができた。俺はここに宣言する!決して、国を、民を忘れぬ日はないと!そのためにもここにいる者は俺に力を貸してくれ!そして、さらなる発展を遂げた街並みを子供たちに見せようではないか!」
「アーダン様…」
「エディン、ここ数日世話をかけた」
「いいえ。お帰り頂いて嬉しいです。あら、変なことを申し上げました」
「いや、流石エディンだ。俺のことをよくわかっている!」
しっかりとアーダンはエディンを抱き寄せると、再び壇上に2人で上がり人々に手を振った。
「エディン。俺は便利なだけ、恵まれているだけが幸せでないと知った。これからは自分を大きく見せることはやめる」
「殿下はいつもありのままですわ。まあ、自重して頂きたいところはありましたけど」
「そうか。これからも頼むぞ」
「はいっ!」
「おい、ぼーっとすんな。どうしたんだ最近は?態度も変にでかくなるし」
「ん?あ、どうも」
「なんだ。昨日みたいに『俺にふさわしい仕事をよこせ!』って言わないのかよ」
「なんだそれ、そんなこと言ってたか?あれ?」
周りを見渡すと、いつものバイトの現場だった。
「俺は一体…エディンは?」
「エディン?どっかの外人さんか?」
「いや、なんでもない」
「それにしても、景気のいい話はないのかね~。こう…ポンッと大金が舞い込むとかさ!」
「それはそれで大変だぞ。下からの視線もきついし」
「なんだ?お前どっかの御曹司だったのか?」
「いいや、ゲームの話だよ」
「なんだよ。はぁ~、もっと面白い話がないもんかね。昨日までのお前みたいなさ」
「あんまり言わないでくれ。…アーダン、うまくやったかな?」
どういう訳か俺は再び現世に戻ってきた。しかも、俺がアーダンだったように、アーダンは俺として生活していたようだ。
「家がどうなってるか心配だな」
そうつぶやいて、再び俺はバイトに戻った。この不思議な出来事は何だったのか。それは俺にはわからないが、貴重な体験だったとは思う。
「あ~、今日も疲れたな。あいつがこっちで何か学んでいるといいんだが…ん?」
『汚い部屋だが世話になった。下々の暮らしは便利なようで不便だな。俺も体験してわかったぞ』
「あいつめ、でかでかと壁にマジックで書いてやがる。会うことがあったら常識を教えてやる!」
「アーダン様!」
「どうしたエディン?試験は終わったぞ」
「そうですけれど、卒業式の挨拶は大丈夫でしょうか?」
「挨拶?今回は父上…陛下が来られるから俺はいらんだろう?」
「何をおっしゃってますの。陛下は簡単な挨拶だけで、メインはアーダン様ですよ」
「そう…なのか?」
「しっかりしてくださいませ。このところお変わりになられたのに」
「なあ、エディンは前の俺と今の俺。どっちが良いんだ?」
これはずっと気になっていたことだ。俺にはアーダンの記憶はあるが思考は引き継いでいないし、エディンはどう思っているのかなって気になっていた。
「今のアーダン様ですか?素晴らしいと思います。人々の声も聞き、きっと名君になられるでしょう。ですが…」
「ですが?」
「不敬を承知で申しますと、今のアーダン様より以前のアーダン様の方がもっと、国家国民を思われていたと思います。その方法は全くの見当違いですけれど」
「そうだな。エディンはどちらの俺がいい?」
「…困ります。私にとってはどちらも殿下ですし、以前までの殿下は色々言われてましたけれど、私にとっては大切な婚約者です。…会いたい」
エディンはアーダンと最も関わってきた少女だ。今のこの状況を感じ取っているのかもな…。
「~であるからして、そなたたちの活躍をわしも楽しみにしておるぞ」
陛下のあいさつも終わり、いよいよ俺の番になった。
「よしっ!」
気合を入れ直し、壇上に上がる。
「皆、よく聞いてくれ!これまで私は諸君らに迷惑をかけたとも思う。しかし、この数日の頑張りが認められ、こうしてここに立つことができた。俺はここに宣言する!決して、国を、民を忘れぬ日はないと!そのためにもここにいる者は俺に力を貸してくれ!そして、さらなる発展を遂げた街並みを子供たちに見せようではないか!」
「アーダン様…」
「エディン、ここ数日世話をかけた」
「いいえ。お帰り頂いて嬉しいです。あら、変なことを申し上げました」
「いや、流石エディンだ。俺のことをよくわかっている!」
しっかりとアーダンはエディンを抱き寄せると、再び壇上に2人で上がり人々に手を振った。
「エディン。俺は便利なだけ、恵まれているだけが幸せでないと知った。これからは自分を大きく見せることはやめる」
「殿下はいつもありのままですわ。まあ、自重して頂きたいところはありましたけど」
「そうか。これからも頼むぞ」
「はいっ!」
「おい、ぼーっとすんな。どうしたんだ最近は?態度も変にでかくなるし」
「ん?あ、どうも」
「なんだ。昨日みたいに『俺にふさわしい仕事をよこせ!』って言わないのかよ」
「なんだそれ、そんなこと言ってたか?あれ?」
周りを見渡すと、いつものバイトの現場だった。
「俺は一体…エディンは?」
「エディン?どっかの外人さんか?」
「いや、なんでもない」
「それにしても、景気のいい話はないのかね~。こう…ポンッと大金が舞い込むとかさ!」
「それはそれで大変だぞ。下からの視線もきついし」
「なんだ?お前どっかの御曹司だったのか?」
「いいや、ゲームの話だよ」
「なんだよ。はぁ~、もっと面白い話がないもんかね。昨日までのお前みたいなさ」
「あんまり言わないでくれ。…アーダン、うまくやったかな?」
どういう訳か俺は再び現世に戻ってきた。しかも、俺がアーダンだったように、アーダンは俺として生活していたようだ。
「家がどうなってるか心配だな」
そうつぶやいて、再び俺はバイトに戻った。この不思議な出来事は何だったのか。それは俺にはわからないが、貴重な体験だったとは思う。
「あ~、今日も疲れたな。あいつがこっちで何か学んでいるといいんだが…ん?」
『汚い部屋だが世話になった。下々の暮らしは便利なようで不便だな。俺も体験してわかったぞ』
「あいつめ、でかでかと壁にマジックで書いてやがる。会うことがあったら常識を教えてやる!」
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