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第1部 2章 辺境の町メルキス
異世界の町
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「ううっ…」
「だ、大丈夫、ミツキちゃん。やっぱりペースが速かったみたいね。次からは気を付けるわ」
「ふぁい」
ううっ、デュラハン状態と人間状態で真逆になる特性を忘れていた。最初に大丈夫だったのはテンションが高くてごまかせていただけみたいだ。きっと、この私が騎乗するのは無理だな。
「町に着いたが流石にこのまま入る訳にはいかんな」
「すみません」
「いや、こちらこそあんなにリリーが走り出すとは思わなかった。済まない」
「そうよね。いつもはもっとおとなしい子なんだけど…」
「あ、相性がちょっと悪かったんですかね?うぷっ」
「本当に大丈夫か?」
「らいりょうぶれす」
その先も続けたかったけど、これ以上は無理だ。
「横になって休んでいなさい」
私はアルテラさんの言葉に甘えて、門近くで馬を止めてもらい横になる。
「さ、こっちにいらっしゃい」
そして、どういう訳かアルテラさんの膝枕に頭を預けることになった。門の入り口にいる人にちらちら見られているけれど、本当に体調が悪いのでありがたく行為を受け取った。
「はぁ~、気持ちいい…」
「これぐらいならいつでも言ってね。休みの日ならいつでも行くから」
「本当ですか?」
今は恥ずかしいけど、家の中なら大歓迎だ。
「ええ。でも、その時はどこに行けばいいのかしら?」
「あ~、まあ、それは後で俺の方から言うよ」
「そう?じゃあ、決まったら教えてよ」
それから一時間ほど休んで、なんとか持ち直したのでようやく町に入る時が来た。
「ん?身分証を…クウィード様!お疲れ様です」
「ああ、ご苦労だな。こちらの少女だが、あいにく身分証を持ち合わせていない。町に入れば冒険者登録をさせるが、これで鑑定をしてくれ」
そう言うと、クウィードさんがお金を取り出して門番に渡す。
「クウィード様の連れてくる方ですが…」
「規則だろう?町のものもいるのだ。きちんとしておかないとな」
「はっ!ありがとうございます。では、こちらに」
「あっ、はい」
門番の人から謎の石板みたいなものに手を置くように言われる。そのまま指示通り手を置くと…。
ブゥン
「うわっ!?」
「はははっ、確認は初めてか?冒険者ギルドでも同じようなものに触れるから慣れておくことだな。なにもなし、通っていいぞ!」
「はい。ありがとうございます」
こうして、無事に町への入場許可が出たのでいよいよ私は生まれて初めて、異世界の町へと足を踏み入れたのだった。
「お、おおお、おお~~~!!」
「お、しか言っていないぞ」
「だって、町ですよ。町!」
私は異世界の町に初めて入る感動で打ち震えていた。きっとこの瞬間の光景と感動は生涯忘れないだろう。
「そうだな。だが、メルキスの町はそこまで大きい町でもないぞ?辺境の町だしな」
「ええっ!?こんなに立派な城壁に囲まれているのに?」
いやいや、立派な城壁といい、こんな規模で大きくないなんて信じられない!
「村にも木壁で作った外壁があったでしょ?こっちは城壁だけど、人口も多いから一部の作物は中で作っているの。だから、ミツキちゃんが思っているより居住区は広くないのよ」
「魔物も作物を食べるからその対策だな。安全に育てるにはああやって必要最低限は城壁の中で育てる他ないのだ」
「入ってすぐは野菜畑とかも多かったのって、そういうことだったんですね!でも、最低限って外でも育てているんですか?」
「ああ。特に薬草は外に取りに行くことも多い。そういう野生のものは外で育てるし、作物だって魔物も頻繁に人が行き来するところには手を出さない」
「まあ、長年の経験で棲み分けもできているのよ」
「私も薬草採取とか行くようになったら魔物にも出遭うんですかね~」
これまでの話から外でも作物は作っているようだ。でも、魔物が近寄ることは少ないとのこと。まあ、出ないわけじゃないだろうけど。
「外に出れば魔物に遭うと思うけど、冒険者に成って本当に外に出るつもりなの?」
「でも、そうしないと食べていけませんし」
アルテラさんが心配そうに言ってくれるけど、持ってる金貨もガンドール金貨だけだしお金になる種は必要なのだ。
「一応、町の中だけの仕事とかもあるわよ。賃金は安いけど」
「それはちょっと困ります」
私はデュラハンで歳を取らないから、ひとところに長くいると絶対バレる。う~~~~んと、田舎の誰も来ないような場所で過ごせるのが理想なのだ。
「まあ、最初は町の近くか町の中で働けばいいさ。それより、先に冒険者登録へ行くぞ」
「冒険者ギルドですね!」
「なんで町に来たことと言い、そんなにうれしそうなの?」
「あるのは知ってたんですけど、実際に来るのは初めてですから!ずっと楽しみにしてたんです」
それこそ転生初日から楽しみにしてたまである。
「まあ、村の出身で憧れて町に来る人はいるけど、ミツキほど楽しみにしている子は珍しいわね」
「え~っ!きっと、みんな顔に出さないだけですよ」
「そうかしら?」
「ほら、話もいいがギルドに向かうぞ」
「あっ、は~い!」
そのままクウィードさんの後について行き、ギルドの前まで来る。目の前の看板を見上げると、そこには交差する剣と杖、その後ろには盾をあしらった紋章が描かれていた。
「だ、大丈夫、ミツキちゃん。やっぱりペースが速かったみたいね。次からは気を付けるわ」
「ふぁい」
ううっ、デュラハン状態と人間状態で真逆になる特性を忘れていた。最初に大丈夫だったのはテンションが高くてごまかせていただけみたいだ。きっと、この私が騎乗するのは無理だな。
「町に着いたが流石にこのまま入る訳にはいかんな」
「すみません」
「いや、こちらこそあんなにリリーが走り出すとは思わなかった。済まない」
「そうよね。いつもはもっとおとなしい子なんだけど…」
「あ、相性がちょっと悪かったんですかね?うぷっ」
「本当に大丈夫か?」
「らいりょうぶれす」
その先も続けたかったけど、これ以上は無理だ。
「横になって休んでいなさい」
私はアルテラさんの言葉に甘えて、門近くで馬を止めてもらい横になる。
「さ、こっちにいらっしゃい」
そして、どういう訳かアルテラさんの膝枕に頭を預けることになった。門の入り口にいる人にちらちら見られているけれど、本当に体調が悪いのでありがたく行為を受け取った。
「はぁ~、気持ちいい…」
「これぐらいならいつでも言ってね。休みの日ならいつでも行くから」
「本当ですか?」
今は恥ずかしいけど、家の中なら大歓迎だ。
「ええ。でも、その時はどこに行けばいいのかしら?」
「あ~、まあ、それは後で俺の方から言うよ」
「そう?じゃあ、決まったら教えてよ」
それから一時間ほど休んで、なんとか持ち直したのでようやく町に入る時が来た。
「ん?身分証を…クウィード様!お疲れ様です」
「ああ、ご苦労だな。こちらの少女だが、あいにく身分証を持ち合わせていない。町に入れば冒険者登録をさせるが、これで鑑定をしてくれ」
そう言うと、クウィードさんがお金を取り出して門番に渡す。
「クウィード様の連れてくる方ですが…」
「規則だろう?町のものもいるのだ。きちんとしておかないとな」
「はっ!ありがとうございます。では、こちらに」
「あっ、はい」
門番の人から謎の石板みたいなものに手を置くように言われる。そのまま指示通り手を置くと…。
ブゥン
「うわっ!?」
「はははっ、確認は初めてか?冒険者ギルドでも同じようなものに触れるから慣れておくことだな。なにもなし、通っていいぞ!」
「はい。ありがとうございます」
こうして、無事に町への入場許可が出たのでいよいよ私は生まれて初めて、異世界の町へと足を踏み入れたのだった。
「お、おおお、おお~~~!!」
「お、しか言っていないぞ」
「だって、町ですよ。町!」
私は異世界の町に初めて入る感動で打ち震えていた。きっとこの瞬間の光景と感動は生涯忘れないだろう。
「そうだな。だが、メルキスの町はそこまで大きい町でもないぞ?辺境の町だしな」
「ええっ!?こんなに立派な城壁に囲まれているのに?」
いやいや、立派な城壁といい、こんな規模で大きくないなんて信じられない!
「村にも木壁で作った外壁があったでしょ?こっちは城壁だけど、人口も多いから一部の作物は中で作っているの。だから、ミツキちゃんが思っているより居住区は広くないのよ」
「魔物も作物を食べるからその対策だな。安全に育てるにはああやって必要最低限は城壁の中で育てる他ないのだ」
「入ってすぐは野菜畑とかも多かったのって、そういうことだったんですね!でも、最低限って外でも育てているんですか?」
「ああ。特に薬草は外に取りに行くことも多い。そういう野生のものは外で育てるし、作物だって魔物も頻繁に人が行き来するところには手を出さない」
「まあ、長年の経験で棲み分けもできているのよ」
「私も薬草採取とか行くようになったら魔物にも出遭うんですかね~」
これまでの話から外でも作物は作っているようだ。でも、魔物が近寄ることは少ないとのこと。まあ、出ないわけじゃないだろうけど。
「外に出れば魔物に遭うと思うけど、冒険者に成って本当に外に出るつもりなの?」
「でも、そうしないと食べていけませんし」
アルテラさんが心配そうに言ってくれるけど、持ってる金貨もガンドール金貨だけだしお金になる種は必要なのだ。
「一応、町の中だけの仕事とかもあるわよ。賃金は安いけど」
「それはちょっと困ります」
私はデュラハンで歳を取らないから、ひとところに長くいると絶対バレる。う~~~~んと、田舎の誰も来ないような場所で過ごせるのが理想なのだ。
「まあ、最初は町の近くか町の中で働けばいいさ。それより、先に冒険者登録へ行くぞ」
「冒険者ギルドですね!」
「なんで町に来たことと言い、そんなにうれしそうなの?」
「あるのは知ってたんですけど、実際に来るのは初めてですから!ずっと楽しみにしてたんです」
それこそ転生初日から楽しみにしてたまである。
「まあ、村の出身で憧れて町に来る人はいるけど、ミツキほど楽しみにしている子は珍しいわね」
「え~っ!きっと、みんな顔に出さないだけですよ」
「そうかしら?」
「ほら、話もいいがギルドに向かうぞ」
「あっ、は~い!」
そのままクウィードさんの後について行き、ギルドの前まで来る。目の前の看板を見上げると、そこには交差する剣と杖、その後ろには盾をあしらった紋章が描かれていた。
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