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第1話 靴の向きがそろう夕方
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四月の上旬。風見市の港から吹く潮の匂いが、段ボールの紙の匂いに混じって、鼻の奥に残った。駅前の大通りを一本外れると、車の音が少し遠のき、代わりに洗濯物が風にあおられる布の音が聞こえる。
心咲はキャリーケースの取っ手を握り直し、地図アプリの青い点と、目の前の古い二階建てを見比べた。駅から歩いて十二分。長い木の廊下があると聞いていた通り、玄関の庇の下には、木が雨に濡れたまま乾いたような匂いが染みついている。かすれた表札は「風見荘」。引き戸は押すより引くほうが軽かった。
戸を引くと、最初に目に飛び込んだのは靴だった。つま先の向きが、一直線にそろっている。まるで校正紙の行頭が乱れないように、誰かが定規で整えたみたいに。
その定規みたいな手の持ち主が、玄関のたたきにしゃがんでいた。胸に整骨院の名札をつけた男が、小さなブラシで砂を掃いている。風見市の砂は粒が細かいのか、ブラシの先でこすれるたび、さらさらと音がした。
心咲が「こんにちは」と言い終わるより先に、男は靴を一足だけ指二本でつまみ、ほんの数センチ、向きを直した。
「すみません。靴、同じ向きのほうが落ち着くんです」
命令でも、取り繕いでもない。朝に牛乳を買う、みたいな調子で言う。
心咲は反射で「気にしないでください」と返しかけ、口の中で止めた。初対面で靴の向き。自分の胸の中の針が、ちく、と立つのが分かる。
けれど心咲は、針のまま言葉にしない。鞄から小さなメモ帳を取り出し、鉛筆で一行だけ書いた。
――今の気持ち:びっくり。ちょっとムッ。
書いてから、胸の針が少しだけ丸くなる。自分がどう感じたかを、自分が把握する。そこから順番が始まる。
「心咲さん、ですよね。名札、用意してます」
男は立ち上がり、玄関脇の木箱から白い名札を一枚取り出した。手書きの字で「心咲」。インクが少し滲んでいる。丁寧に書こうとして筆圧を上げた滲み方だ。
「俺は翔琉。翔琉って書いて、かける、です。ここ、風が強いから、初日は迷うかもしれないけど」
「迷う前に着きました」
心咲が言うと、翔琉は軽く目を丸くした。
「……すごいですね。俺、約束の十分前に着く癖があるんで。負けた」
「負けた、って」
「勝ち負けじゃないんですけど、つい」
負けた、と言いながら、悔しそうでもない。むしろ面白がっている。その顔に、心咲の胸の針がもう一段、丸くなる。
廊下は噂通り長かった。板がきしむ場所が、一定の間隔である。そこだけ踏み外さないように歩くと、自然に歩幅がそろった。壁には当番表が貼ってあり、名前が並んでいる。筆跡が三種類ある。几帳面な細字、勢いのある太字、丸っこい字。右端に小さく「冷蔵庫の貼り紙は勝手に剥がさない」と追記があり、心咲は思わずそこを二度読んだ。剥がす人がいたのだろう。
心咲の部屋は二階の角だった。窓を開けると、潮の匂いが強くなる。屋上の手すりが見え、その先に、海の白い反射がちらりと光った。壁は新しく塗り直されているのに、床板だけが年季を隠さない。スーツケースを置いた瞬間、底のキャスターが板に当たって、軽い音を立てた。
その音が、出版社の校正部で鳴っていたコピー機の音を、なぜか思い出させる。紙の束、赤字、締め切り。誰かのため息。心咲はそれをメモにせず、窓を閉めた。
共同キッチンに近づくほど、甘い匂いが濃くなる。オーブンの余熱と、砂糖が焦げる寸前の香り。そこに潮の匂いが混ざって、妙にお腹が鳴りそうになった。
「お、新顔! おかえりって言っていい?」
エプロン姿の男が、ボウルを抱えたまま振り向いた。髪に粉が少しついているのに、本人は気づいていない。机の上には切った苺と、余りそうな果物が並んでいる。
「朋行。洋菓子屋の厨房。今日、いちごが余ったんだ。味見会、する?」
「味見会、って何ですか」
「余り物を、ちゃんと幸せにする会」
朋行が真面目な顔で言った直後、にやっと笑って、スプーンを差し出した。
心咲は一瞬だけ迷い、受け取って苺のソースをひと舐めした。甘い。酸っぱさが後から追いかけてくる。舌の上の緊張がほどけ、思わず目が細くなる。
「……おいしい」
「はい、今『おいしい』いただきました。ここ、記録係は?」
「記録係って、何の」
「『おいしい』を貯金すると、落ち込んだ日に引き出せるんだよ。利子つく」
利子、という言葉がなぜか出版社っぽくて、心咲は口元を押さえた。笑い声が漏れるのは、久しぶりだった。
奥から女性が水の入ったグラスを二つ持って現れた。薄いブルーのシャツの袖をきっちりまくり、歩く速度が早いのに、揺れない。
「初日は水分。あと、話す順番、決めたほうがいい」
女性はグラスを置き、机の上に小さなカードを並べた。「自己紹介」「住み方」「困りごと」「今日の夕飯」。文字が読みやすいよう、太さがそろっている。
「姫蘭。設計。口論になりそうなときは、水を配って、席を替える。今日、まだ口論は起きてないけどね」
心咲はカードの端を指で押さえた。順番があると、安心する。原稿を読むときも、行を追う順番があるから、迷子にならない。
「……助かります」
思わず出た言葉に、自分で少し驚く。ここに来て、まだ一時間も経っていないのに。
そこへ、玄関ががらりと開く音がした。勢いよく入ってきた青年が、靴を脱ぎかけた足で一瞬止まり、つま先をそろえ直してから顔を上げた。
「新しい人? 陽向太。よろしく」
背中に小さなリュック。手には、コンビニ袋がぶら下がっている。袋の中で氷がころころ鳴った。
「練習の氷、余ったから。誰か、捻挫したとき用」
翔琉が流しの前で、陽向太の水筒を洗っていた。泡が細かい。力を入れすぎない手つきで、底の角までスポンジを滑らせる。
「水筒、忘れたら困ると思って」
「ありがとう。忘れた俺が言うのも変だけど、助かる」
さらに、階段から小さく舌打ちのような音がした。女性が一人、キッチンに顔を出し、冷蔵庫の貼り紙をちらりと見てから言った。
「苺、ここに直置きしないで。汁、残るから」
言い切ると、棚からトレイを取り出して苺を移し替え、布巾で机を拭く。動きが速い。布巾を洗い、きっちり絞ってから元の場所へ戻す。
「梨加子。……はい、新しい名札」
梨加子は心咲の名札の角を指で整え、胸元に留め直してくれた。言葉は短いのに、手だけが丁寧だった。
夕方のキッチンは音が多い。包丁がまな板を叩く音。皿が水切りかごに当たる音。窓の外で風鈴がちりん、と鳴る音。そこへ朋行の「味見会ー!」という掛け声が重なり、心咲はまた笑ってしまった。
朋行が余り物を並べ、姫蘭が「皿は五枚。スプーンは人数分」と数え、陽向太が氷を冷凍庫へ押し込み、梨加子が貼り紙を一枚追加した。「苺はトレイ」。貼り紙の字は、細くてまっすぐで、読みやすい。
心咲はその様子を見ながら、メモ帳を開いた。
――今の気持ち:まだ怖い。でも、笑ってしまった。
怖いのは、知らない家だからだけじゃない。けれど今は、それを説明しなくていい。順番がある。
夕飯は、残り物の暴走だった。朋行が果物を刻んでサラダにし、梨加子が「塩は先」と言って塩を一つまみ、翔琉が黙って皿を温め、姫蘭が席の配置を変えて「会話が偏らない」と笑う。陽向太はスプーンを落として「すみません」と言い、すぐに自分で拾って洗った。誰も大げさに責めない。
食後、翔琉が心咲にだけ小さく言った。
「屋上、案内します。風、強いけど……ここ、風の音が分かりやすいです」
分かりやすい、という言葉が、妙に胸にまっすぐ届く。心咲はうなずき、階段を上がった。
屋上の手すりは冷たかった。夜の海風が指先を撫で、髪を乱す。遠くで波が砕ける白い音がする。風鈴がちりん、と鳴るたび、胸の中のざわめきが少し整列するみたいだった。
「ここ、慣れると、音で天気が分かります」
翔琉は手すりを握りしめず、指を軽く乗せるだけで立っていた。風に逆らわない立ち方だ。
足元に、小さな赤い石が落ちているのに心咲が気づいた。夜の灯りを受けると、赤い花びらみたいな模様が内部に浮かぶ。
「それ、前からあるんです。誰かが拾って、戻して……またここに落ちてる」
翔琉はそう言って、石を心咲に差し出した。渡し方が、押しつけではなく、先に手を開いて待つ感じだった。
心咲は石を受け取り、掌で温めた。冷たいはずなのに、握ると不思議と落ち着く。
「とりあえず、預かります」
「預かる、いいですね。……返す場所、分かるまで」
心咲はうなずき、メモ帳を開いて、もう一行だけ足した。
――今の気持ち:帰る場所の形が、少し見えた。
風見荘の夜が、静かに始まった。
心咲はキャリーケースの取っ手を握り直し、地図アプリの青い点と、目の前の古い二階建てを見比べた。駅から歩いて十二分。長い木の廊下があると聞いていた通り、玄関の庇の下には、木が雨に濡れたまま乾いたような匂いが染みついている。かすれた表札は「風見荘」。引き戸は押すより引くほうが軽かった。
戸を引くと、最初に目に飛び込んだのは靴だった。つま先の向きが、一直線にそろっている。まるで校正紙の行頭が乱れないように、誰かが定規で整えたみたいに。
その定規みたいな手の持ち主が、玄関のたたきにしゃがんでいた。胸に整骨院の名札をつけた男が、小さなブラシで砂を掃いている。風見市の砂は粒が細かいのか、ブラシの先でこすれるたび、さらさらと音がした。
心咲が「こんにちは」と言い終わるより先に、男は靴を一足だけ指二本でつまみ、ほんの数センチ、向きを直した。
「すみません。靴、同じ向きのほうが落ち着くんです」
命令でも、取り繕いでもない。朝に牛乳を買う、みたいな調子で言う。
心咲は反射で「気にしないでください」と返しかけ、口の中で止めた。初対面で靴の向き。自分の胸の中の針が、ちく、と立つのが分かる。
けれど心咲は、針のまま言葉にしない。鞄から小さなメモ帳を取り出し、鉛筆で一行だけ書いた。
――今の気持ち:びっくり。ちょっとムッ。
書いてから、胸の針が少しだけ丸くなる。自分がどう感じたかを、自分が把握する。そこから順番が始まる。
「心咲さん、ですよね。名札、用意してます」
男は立ち上がり、玄関脇の木箱から白い名札を一枚取り出した。手書きの字で「心咲」。インクが少し滲んでいる。丁寧に書こうとして筆圧を上げた滲み方だ。
「俺は翔琉。翔琉って書いて、かける、です。ここ、風が強いから、初日は迷うかもしれないけど」
「迷う前に着きました」
心咲が言うと、翔琉は軽く目を丸くした。
「……すごいですね。俺、約束の十分前に着く癖があるんで。負けた」
「負けた、って」
「勝ち負けじゃないんですけど、つい」
負けた、と言いながら、悔しそうでもない。むしろ面白がっている。その顔に、心咲の胸の針がもう一段、丸くなる。
廊下は噂通り長かった。板がきしむ場所が、一定の間隔である。そこだけ踏み外さないように歩くと、自然に歩幅がそろった。壁には当番表が貼ってあり、名前が並んでいる。筆跡が三種類ある。几帳面な細字、勢いのある太字、丸っこい字。右端に小さく「冷蔵庫の貼り紙は勝手に剥がさない」と追記があり、心咲は思わずそこを二度読んだ。剥がす人がいたのだろう。
心咲の部屋は二階の角だった。窓を開けると、潮の匂いが強くなる。屋上の手すりが見え、その先に、海の白い反射がちらりと光った。壁は新しく塗り直されているのに、床板だけが年季を隠さない。スーツケースを置いた瞬間、底のキャスターが板に当たって、軽い音を立てた。
その音が、出版社の校正部で鳴っていたコピー機の音を、なぜか思い出させる。紙の束、赤字、締め切り。誰かのため息。心咲はそれをメモにせず、窓を閉めた。
共同キッチンに近づくほど、甘い匂いが濃くなる。オーブンの余熱と、砂糖が焦げる寸前の香り。そこに潮の匂いが混ざって、妙にお腹が鳴りそうになった。
「お、新顔! おかえりって言っていい?」
エプロン姿の男が、ボウルを抱えたまま振り向いた。髪に粉が少しついているのに、本人は気づいていない。机の上には切った苺と、余りそうな果物が並んでいる。
「朋行。洋菓子屋の厨房。今日、いちごが余ったんだ。味見会、する?」
「味見会、って何ですか」
「余り物を、ちゃんと幸せにする会」
朋行が真面目な顔で言った直後、にやっと笑って、スプーンを差し出した。
心咲は一瞬だけ迷い、受け取って苺のソースをひと舐めした。甘い。酸っぱさが後から追いかけてくる。舌の上の緊張がほどけ、思わず目が細くなる。
「……おいしい」
「はい、今『おいしい』いただきました。ここ、記録係は?」
「記録係って、何の」
「『おいしい』を貯金すると、落ち込んだ日に引き出せるんだよ。利子つく」
利子、という言葉がなぜか出版社っぽくて、心咲は口元を押さえた。笑い声が漏れるのは、久しぶりだった。
奥から女性が水の入ったグラスを二つ持って現れた。薄いブルーのシャツの袖をきっちりまくり、歩く速度が早いのに、揺れない。
「初日は水分。あと、話す順番、決めたほうがいい」
女性はグラスを置き、机の上に小さなカードを並べた。「自己紹介」「住み方」「困りごと」「今日の夕飯」。文字が読みやすいよう、太さがそろっている。
「姫蘭。設計。口論になりそうなときは、水を配って、席を替える。今日、まだ口論は起きてないけどね」
心咲はカードの端を指で押さえた。順番があると、安心する。原稿を読むときも、行を追う順番があるから、迷子にならない。
「……助かります」
思わず出た言葉に、自分で少し驚く。ここに来て、まだ一時間も経っていないのに。
そこへ、玄関ががらりと開く音がした。勢いよく入ってきた青年が、靴を脱ぎかけた足で一瞬止まり、つま先をそろえ直してから顔を上げた。
「新しい人? 陽向太。よろしく」
背中に小さなリュック。手には、コンビニ袋がぶら下がっている。袋の中で氷がころころ鳴った。
「練習の氷、余ったから。誰か、捻挫したとき用」
翔琉が流しの前で、陽向太の水筒を洗っていた。泡が細かい。力を入れすぎない手つきで、底の角までスポンジを滑らせる。
「水筒、忘れたら困ると思って」
「ありがとう。忘れた俺が言うのも変だけど、助かる」
さらに、階段から小さく舌打ちのような音がした。女性が一人、キッチンに顔を出し、冷蔵庫の貼り紙をちらりと見てから言った。
「苺、ここに直置きしないで。汁、残るから」
言い切ると、棚からトレイを取り出して苺を移し替え、布巾で机を拭く。動きが速い。布巾を洗い、きっちり絞ってから元の場所へ戻す。
「梨加子。……はい、新しい名札」
梨加子は心咲の名札の角を指で整え、胸元に留め直してくれた。言葉は短いのに、手だけが丁寧だった。
夕方のキッチンは音が多い。包丁がまな板を叩く音。皿が水切りかごに当たる音。窓の外で風鈴がちりん、と鳴る音。そこへ朋行の「味見会ー!」という掛け声が重なり、心咲はまた笑ってしまった。
朋行が余り物を並べ、姫蘭が「皿は五枚。スプーンは人数分」と数え、陽向太が氷を冷凍庫へ押し込み、梨加子が貼り紙を一枚追加した。「苺はトレイ」。貼り紙の字は、細くてまっすぐで、読みやすい。
心咲はその様子を見ながら、メモ帳を開いた。
――今の気持ち:まだ怖い。でも、笑ってしまった。
怖いのは、知らない家だからだけじゃない。けれど今は、それを説明しなくていい。順番がある。
夕飯は、残り物の暴走だった。朋行が果物を刻んでサラダにし、梨加子が「塩は先」と言って塩を一つまみ、翔琉が黙って皿を温め、姫蘭が席の配置を変えて「会話が偏らない」と笑う。陽向太はスプーンを落として「すみません」と言い、すぐに自分で拾って洗った。誰も大げさに責めない。
食後、翔琉が心咲にだけ小さく言った。
「屋上、案内します。風、強いけど……ここ、風の音が分かりやすいです」
分かりやすい、という言葉が、妙に胸にまっすぐ届く。心咲はうなずき、階段を上がった。
屋上の手すりは冷たかった。夜の海風が指先を撫で、髪を乱す。遠くで波が砕ける白い音がする。風鈴がちりん、と鳴るたび、胸の中のざわめきが少し整列するみたいだった。
「ここ、慣れると、音で天気が分かります」
翔琉は手すりを握りしめず、指を軽く乗せるだけで立っていた。風に逆らわない立ち方だ。
足元に、小さな赤い石が落ちているのに心咲が気づいた。夜の灯りを受けると、赤い花びらみたいな模様が内部に浮かぶ。
「それ、前からあるんです。誰かが拾って、戻して……またここに落ちてる」
翔琉はそう言って、石を心咲に差し出した。渡し方が、押しつけではなく、先に手を開いて待つ感じだった。
心咲は石を受け取り、掌で温めた。冷たいはずなのに、握ると不思議と落ち着く。
「とりあえず、預かります」
「預かる、いいですね。……返す場所、分かるまで」
心咲はうなずき、メモ帳を開いて、もう一行だけ足した。
――今の気持ち:帰る場所の形が、少し見えた。
風見荘の夜が、静かに始まった。
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