7 / 30
第7話 赤ペンの丸と話す順番カード
しおりを挟む
五月の上旬。朝の共同キッチンは、窓ガラスに細かな雨粒が貼りつき、潮の匂いより先に、濡れた木の匂いが立っていた。シンクに置かれた湯のみの底が、誰かの手でそろえ直されている。心咲はその整列を見て、無意識に背筋が伸びた。
テーブルの上には、メモ帳と赤ペンとスマホ。心咲は、電話をかける前に一行だけ書いた。『今の気持ち:怖い。けれど確かめたい』。書いた瞬間、胸の内側に名前がつき、息が少しだけ通る。
時計の針が九時二十分を指したとき、廊下から一定の足音が来た。十秒きっかりでキッチンの入口に現れた翔琉は、濡れていないタオルを肩にかけていた。外に出ていないのに、準備の匂いがする。
「電話、いまから?」
「はい。聞く順番、これでいいですか」
心咲がメモ帳を差し出すと、翔琉は指で項目をなぞり、頷いた。先に相手へ渡す癖が、ここでも出る。自分の言いたいことを押し込む前に、相手が困らない形を作る。
その横から、姫蘭が湯気の立つマグカップを二つ置いた。音を立てない置き方だったのに、香りだけがふわりと広がる。
「電話、緊張するでしょ。口が乾く前に」
心咲が礼を言うより先に、姫蘭は引き出しから小さな紙片を出し、テーブルへ並べ始めた。段ボールの切れ端に、太いペンで数字が書かれている。
「なに、それ」
朋行が眠そうに目をこすりながら入ってきて、紙片を覗き込んだ。
「話す順番カード。かぶると、声が大きい人だけ勝つから」
「勝ち負けじゃないだろ」
梨加子がドライヤーの熱をまだ髪に残したまま、椅子へ腰を落とした。言い方は鋭いのに、姫蘭が配ったカードを受け取る手は素直だ。
心咲が管理会社の番号を押すと、呼び出し音が二回で繋がった。担当者の声は、朝の事務所らしい乾いた響きだった。
「風見荘の入居者です。最近、共用部で置き手紙が見つかっていて……以前の入居者で、同じようなことはありましたか」
翔琉が隣で、指を一本立てた。次は鍵の話、という合図だ。心咲は頷き、相手の返答を待った。
担当者は記録を確認しながら、「そのような報告は受けていません」と言った。続けて、「ただ、前の入居者が退去のときに『冷蔵庫の下に落とし物があるかも』と口にしていて」と付け足した。
朋行が小声で「予言者か」と呟き、陽向太がスマホのタイマーを止めて「その情報、重要」と真面目に言う。心咲は笑いそうになるのをこらえ、赤ペンでメモ帳の端に小さく丸をつけた。
「合鍵の管理はどうなっていますか。スペアキーが外に出ている可能性は」
心咲が言い終える前に、翔琉は机の上の鍵束を出し、数を数えた。指先が迷わない。
担当者は「退去のたびにシリンダー交換はしていませんが、鍵の本数は管理表どおりです」と答えたあと、「念のため、玄関の鍵を新しくするなら、見積もりを出します」と言った。
電話を切ったあと、心咲は赤ペンのふたを閉めた。音が小さいのに、決断みたいに聞こえた。
姫蘭が順番カードを叩いた。
「じゃあ、今から十分だけ。話す人はカードの数字順。『こうしたい』を一つだけ言う。批判は後で、修正案として」
梨加子が「面倒」と言いながらも、カードの数字を見て口をつぐむ。朋行は自分のカードが五番だと知ると、急に背筋を伸ばした。陽向太は一番で、椅子の脚をきっちり揃えた。
「玄関の鍵、今日中に補助錠を付けたい」
陽向太が言った。言い切って、もうそれ以上足さない。姫蘭が二番で「置き手紙の置き場所を一つ決める。冷蔵庫の下は禁止」と言い、心咲は三番で「手紙の文章、私が写して記録しておく」と言った。赤ペンの丸が、疑いを膨らませないための丸になる気がした。
翔琉は四番で、少しだけ視線を落としてから口を開いた。
「怖いって言っていい空気にしたい。……夜中に音がしたら、一人で抱えないで、ノックして」
言い終わってから、翔琉は自分のカードの角を指で押さえた。爪の先が白くなるほど力は入れていないのに、伝え方だけが真面目だった。
心咲は胸の奥が熱くなり、メモ帳へ一行書き足した。『今の気持ち:頼っていい』。
朋行の番になると、彼は冷蔵庫からジャムの瓶を取り出し、堂々と机へ置いた。
「置き手紙用の箱、作ろう。ここに入れる。間違えても、俺のジャムは入れない。入れたら、犯人は甘党」
「犯人って言い方やめて」
梨加子が最後に言った。「補助錠、私が買いに行く。近くの金物屋、ポイントが貯まるから」。言い方は容赦ないのに、行動が早い。姫蘭が笑って「じゃあ、領収書は私がまとめる」と言い、全員の肩が少し下がった。
夕方、翔琉は仕事のあと、練習帰りのスポーツバッグを肩に風見荘へ戻ってきた。靴下の先に砂がついている。玄関で靴をそろえ直し、誰かのスニーカーの紐がほどけているのを見つけると、黙って結び直した。冷蔵庫にスポーツドリンクを一本だけ入れ、ラベルに小さく『自由』と書いた。
心咲はその文字を見て、声にならない笑いが喉の奥で弾けた。自由、と書かれた一本があるだけで、ここは少しだけ安心できる。
「翔琉さん、さっきの……『ノックして』、ありがとうございました」
心咲が言うと、翔琉は頷き、ついでみたいに言った。
「補助錠、取り付けるとき手伝う。説明書、読むの得意そうだし」
心咲は赤ペンを握ったまま、首を傾げた。
「得意そう、って」
「読むとき、眉が動かない。行を飛ばさない」
思いがけない観察に、心咲の耳が熱くなった。自分では気づかない癖を、誰かが見ている。その事実が怖くなくて、むしろ、少し嬉しい。
十九時。雨は弱まり、港の街灯が濡れた路面に細長く伸びていた。梨加子が先頭を歩き、金物屋の看板を見つけると迷いなく引き戸を開けた。店内は金属の匂いがして、棚に並ぶネジが小さな星みたいに光っている。
「補助錠はこれ。安いし、取り付けも簡単」
梨加子が即決し、翔琉が説明書を受け取って目を走らせた。心咲は横から覗き込み、図の矢印の向きを指でなぞる。矢印が途中で太くなっているのを見つけ、赤ペンで丸をつけた。
「ここ、ねじの種類が途中で変わります。長いほうを先に入れると、扉の板が割れるかも」
梨加子が一瞬だけ眉を上げ、「そういうの書いといてよ」と棚の上の店員へ言い、店員が「書いてあるんですけどね」と笑った。心咲は思わず口を押さえた。書いてあるのに気づかれない。校正で何度も味わうやつだ。
帰り道、翔琉が傘を心咲のほうへ少し傾けた。肩が濡れない角度を探すみたいに、何度か微調整する。
「サッカーでも、こういう微調整するんですか」
「する。パスの角度、二度違うだけで、受け取る人の足が止まる」
翔琉はそう言って、濡れた歩道の白線を指した。
「先に渡すときは、相手が走りやすいところへ。……心咲さんが赤ペンで丸をつけるのも、たぶん同じ」
心咲は胸ポケットの赤い石を指で押さえた。誰かの“先に渡す”が、こうして言葉にもなるのが不思議だった。
風見荘に戻ると、姫蘭がドライバーを差し出した。「順番どおり、まずは説明書を読む人」。朋行が「俺は応援担当」と言ってチョコを配り、陽向太が「作業時間、測ります」とタイマーを押した。心咲が説明書を読み上げ、翔琉がネジを並べ、梨加子が壁に当てて角度を決める。誰も大声を出さないのに、手元だけが忙しい。
最後のネジを締めた瞬間、玄関の扉が静かに噛み合った。海風で少し歪んでいた板が、そこへ落ち着いたみたいに。
「音が違う」
翔琉がドアを一度だけ閉めて確かめた。ガチャ、ではなく、コトン。心咲はその音に、肩の力が抜けるのを感じた。
その夜、姫蘭が用意した小さな箱が共同キッチンの棚に置かれた。『伝言箱』と書かれた紙が貼られ、その横に、赤い花の形のマグネットが揺れている。心咲は屋上で預かった赤い石を胸ポケットで確かめ、箱の前に立った。
箱の中に、白い紙が一枚だけ入っていた。文字は短い。
『順番どおりに、怖いって言えた?』
心咲は息を止めかけて、止めなかった。赤ペンで丸をつける前に、メモ帳へ一行書く。『今の気持ち:逃げないで話す』。
振り返ると、廊下の奥で風鈴が小さく鳴った。誰かがいるのか、風だけなのかは分からない。けれど、今夜の心咲は一人で確かめるつもりがなかった。
心咲は箱のふたを閉め、共同キッチンの灯りへ向かってノックの音を二回、指で空へ叩いた。
テーブルの上には、メモ帳と赤ペンとスマホ。心咲は、電話をかける前に一行だけ書いた。『今の気持ち:怖い。けれど確かめたい』。書いた瞬間、胸の内側に名前がつき、息が少しだけ通る。
時計の針が九時二十分を指したとき、廊下から一定の足音が来た。十秒きっかりでキッチンの入口に現れた翔琉は、濡れていないタオルを肩にかけていた。外に出ていないのに、準備の匂いがする。
「電話、いまから?」
「はい。聞く順番、これでいいですか」
心咲がメモ帳を差し出すと、翔琉は指で項目をなぞり、頷いた。先に相手へ渡す癖が、ここでも出る。自分の言いたいことを押し込む前に、相手が困らない形を作る。
その横から、姫蘭が湯気の立つマグカップを二つ置いた。音を立てない置き方だったのに、香りだけがふわりと広がる。
「電話、緊張するでしょ。口が乾く前に」
心咲が礼を言うより先に、姫蘭は引き出しから小さな紙片を出し、テーブルへ並べ始めた。段ボールの切れ端に、太いペンで数字が書かれている。
「なに、それ」
朋行が眠そうに目をこすりながら入ってきて、紙片を覗き込んだ。
「話す順番カード。かぶると、声が大きい人だけ勝つから」
「勝ち負けじゃないだろ」
梨加子がドライヤーの熱をまだ髪に残したまま、椅子へ腰を落とした。言い方は鋭いのに、姫蘭が配ったカードを受け取る手は素直だ。
心咲が管理会社の番号を押すと、呼び出し音が二回で繋がった。担当者の声は、朝の事務所らしい乾いた響きだった。
「風見荘の入居者です。最近、共用部で置き手紙が見つかっていて……以前の入居者で、同じようなことはありましたか」
翔琉が隣で、指を一本立てた。次は鍵の話、という合図だ。心咲は頷き、相手の返答を待った。
担当者は記録を確認しながら、「そのような報告は受けていません」と言った。続けて、「ただ、前の入居者が退去のときに『冷蔵庫の下に落とし物があるかも』と口にしていて」と付け足した。
朋行が小声で「予言者か」と呟き、陽向太がスマホのタイマーを止めて「その情報、重要」と真面目に言う。心咲は笑いそうになるのをこらえ、赤ペンでメモ帳の端に小さく丸をつけた。
「合鍵の管理はどうなっていますか。スペアキーが外に出ている可能性は」
心咲が言い終える前に、翔琉は机の上の鍵束を出し、数を数えた。指先が迷わない。
担当者は「退去のたびにシリンダー交換はしていませんが、鍵の本数は管理表どおりです」と答えたあと、「念のため、玄関の鍵を新しくするなら、見積もりを出します」と言った。
電話を切ったあと、心咲は赤ペンのふたを閉めた。音が小さいのに、決断みたいに聞こえた。
姫蘭が順番カードを叩いた。
「じゃあ、今から十分だけ。話す人はカードの数字順。『こうしたい』を一つだけ言う。批判は後で、修正案として」
梨加子が「面倒」と言いながらも、カードの数字を見て口をつぐむ。朋行は自分のカードが五番だと知ると、急に背筋を伸ばした。陽向太は一番で、椅子の脚をきっちり揃えた。
「玄関の鍵、今日中に補助錠を付けたい」
陽向太が言った。言い切って、もうそれ以上足さない。姫蘭が二番で「置き手紙の置き場所を一つ決める。冷蔵庫の下は禁止」と言い、心咲は三番で「手紙の文章、私が写して記録しておく」と言った。赤ペンの丸が、疑いを膨らませないための丸になる気がした。
翔琉は四番で、少しだけ視線を落としてから口を開いた。
「怖いって言っていい空気にしたい。……夜中に音がしたら、一人で抱えないで、ノックして」
言い終わってから、翔琉は自分のカードの角を指で押さえた。爪の先が白くなるほど力は入れていないのに、伝え方だけが真面目だった。
心咲は胸の奥が熱くなり、メモ帳へ一行書き足した。『今の気持ち:頼っていい』。
朋行の番になると、彼は冷蔵庫からジャムの瓶を取り出し、堂々と机へ置いた。
「置き手紙用の箱、作ろう。ここに入れる。間違えても、俺のジャムは入れない。入れたら、犯人は甘党」
「犯人って言い方やめて」
梨加子が最後に言った。「補助錠、私が買いに行く。近くの金物屋、ポイントが貯まるから」。言い方は容赦ないのに、行動が早い。姫蘭が笑って「じゃあ、領収書は私がまとめる」と言い、全員の肩が少し下がった。
夕方、翔琉は仕事のあと、練習帰りのスポーツバッグを肩に風見荘へ戻ってきた。靴下の先に砂がついている。玄関で靴をそろえ直し、誰かのスニーカーの紐がほどけているのを見つけると、黙って結び直した。冷蔵庫にスポーツドリンクを一本だけ入れ、ラベルに小さく『自由』と書いた。
心咲はその文字を見て、声にならない笑いが喉の奥で弾けた。自由、と書かれた一本があるだけで、ここは少しだけ安心できる。
「翔琉さん、さっきの……『ノックして』、ありがとうございました」
心咲が言うと、翔琉は頷き、ついでみたいに言った。
「補助錠、取り付けるとき手伝う。説明書、読むの得意そうだし」
心咲は赤ペンを握ったまま、首を傾げた。
「得意そう、って」
「読むとき、眉が動かない。行を飛ばさない」
思いがけない観察に、心咲の耳が熱くなった。自分では気づかない癖を、誰かが見ている。その事実が怖くなくて、むしろ、少し嬉しい。
十九時。雨は弱まり、港の街灯が濡れた路面に細長く伸びていた。梨加子が先頭を歩き、金物屋の看板を見つけると迷いなく引き戸を開けた。店内は金属の匂いがして、棚に並ぶネジが小さな星みたいに光っている。
「補助錠はこれ。安いし、取り付けも簡単」
梨加子が即決し、翔琉が説明書を受け取って目を走らせた。心咲は横から覗き込み、図の矢印の向きを指でなぞる。矢印が途中で太くなっているのを見つけ、赤ペンで丸をつけた。
「ここ、ねじの種類が途中で変わります。長いほうを先に入れると、扉の板が割れるかも」
梨加子が一瞬だけ眉を上げ、「そういうの書いといてよ」と棚の上の店員へ言い、店員が「書いてあるんですけどね」と笑った。心咲は思わず口を押さえた。書いてあるのに気づかれない。校正で何度も味わうやつだ。
帰り道、翔琉が傘を心咲のほうへ少し傾けた。肩が濡れない角度を探すみたいに、何度か微調整する。
「サッカーでも、こういう微調整するんですか」
「する。パスの角度、二度違うだけで、受け取る人の足が止まる」
翔琉はそう言って、濡れた歩道の白線を指した。
「先に渡すときは、相手が走りやすいところへ。……心咲さんが赤ペンで丸をつけるのも、たぶん同じ」
心咲は胸ポケットの赤い石を指で押さえた。誰かの“先に渡す”が、こうして言葉にもなるのが不思議だった。
風見荘に戻ると、姫蘭がドライバーを差し出した。「順番どおり、まずは説明書を読む人」。朋行が「俺は応援担当」と言ってチョコを配り、陽向太が「作業時間、測ります」とタイマーを押した。心咲が説明書を読み上げ、翔琉がネジを並べ、梨加子が壁に当てて角度を決める。誰も大声を出さないのに、手元だけが忙しい。
最後のネジを締めた瞬間、玄関の扉が静かに噛み合った。海風で少し歪んでいた板が、そこへ落ち着いたみたいに。
「音が違う」
翔琉がドアを一度だけ閉めて確かめた。ガチャ、ではなく、コトン。心咲はその音に、肩の力が抜けるのを感じた。
その夜、姫蘭が用意した小さな箱が共同キッチンの棚に置かれた。『伝言箱』と書かれた紙が貼られ、その横に、赤い花の形のマグネットが揺れている。心咲は屋上で預かった赤い石を胸ポケットで確かめ、箱の前に立った。
箱の中に、白い紙が一枚だけ入っていた。文字は短い。
『順番どおりに、怖いって言えた?』
心咲は息を止めかけて、止めなかった。赤ペンで丸をつける前に、メモ帳へ一行書く。『今の気持ち:逃げないで話す』。
振り返ると、廊下の奥で風鈴が小さく鳴った。誰かがいるのか、風だけなのかは分からない。けれど、今夜の心咲は一人で確かめるつもりがなかった。
心咲は箱のふたを閉め、共同キッチンの灯りへ向かってノックの音を二回、指で空へ叩いた。
0
あなたにおすすめの小説
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた
今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。
レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。
不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。
レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。
それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し……
※短め
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。
有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。
選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。
涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。
彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。
やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。
6年前の私へ~その6年は無駄になる~
夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。
テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。
やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。
蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。
……けれど、蘭珠は知っていた。
夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です
※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる