18 / 30
第18話 補助錠のネジと交番の扇風機
六月下旬の午前九時。風見市の駅前は、潮の匂いに加えて、焼き立ての食パンの匂いが混ざっていた。風見荘の玄関を出た心咲は、引き戸を閉める音がいつもより大きく感じて、指先の力を抜いた。
翔琉は約束の十分前に来ていて、歩道の端で日陰を選んで立っていた。整骨院の制服ではなく、紺のTシャツに短パン。足首にはテーピングが巻かれている。彼は心咲を見ると、手に持っていた小さなメモ用紙を畳み、ポケットへしまった。
「きょう、順番どおりに行こう。交番、ホームセンター、帰って取り付け」
言いながら、歩幅を心咲の半歩後ろに合わせる。追い越さないところが、妙に落ち着いた。
心咲は歩きながら、バッグの中の封筒を指で確かめた。『次は君だ』と書かれた紙片と、箱の鍵穴の写真、窓の鍵の擦り傷。昨夜、姫蘭がまとめて入れてくれた。封筒の表には、黒いペンで「聞き取り用」とだけ書いてある。文字の角がまっすぐで、気持ちがぶれない書き方だった。
交番の前には、自転車が二台、きれいに揃えて置かれていた。翔琉が反射で自分の靴のつま先を揃え、心咲はそれを見て、肩の力が少し抜けた。
中へ入ると、扇風機が首を振るたびに、きゅ、きゅ、と小さく鳴った。制服の警察官が顔を上げ、まず二人の手元を見てから、穏やかに頷いた。
「どうしました」
心咲は反射で早口になりそうになり、唇を閉じた。膝の上のメモ帳を思い出す。今日は机がない。代わりに、封筒を胸に当て、息を吸ってから言う。
「シェアハウスの部屋に、鍵付きの箱があります。今朝、蓋が少し浮いていて、鍵穴の向きが変わっていました。窓の鍵にも擦り傷があって……置き手紙で『次は君だ』と」
いつ、どこで、何が、を順番通りに言えたのが自分でも意外で、心咲は目を一度だけ伏せた。
翔琉がすかさず、封筒の中の写真を一枚ずつ取り出して並べた。机の上で、行儀よく角が揃う。警察官の目が、その揃い方に少しだけ柔らかくなる。
「なるほど。怪我はないですか」
「いまのところは」翔琉が答える。嘘をつかない声だった。
警察官はメモを取り、夜間は戸締まりを二重にすること、窓の補助錠と人感センサーライトが有効なこと、見回りの時間帯を少しずらすことを淡々と説明した。扇風機のきゅ、きゅ、が間に挟まって、妙に現実味が増す。
背後で「へえ」と短く言う声がした。振り向くと、陽向太が缶コーヒーを手に立っていた。風見ウィンドの練習帰りらしく、髪が濡れている。
「翔琉、ここで会うとは」
「俺も驚いた」翔琉は驚いていない顔で言い、陽向太は笑った。
「窓の擦り傷? うちのチームにも、鍵を閉めたか不安で三回戻るやつがいるけど、それとは違うやつ?」
言い方が軽いのに、目は真面目だった。心咲が封筒を抱え直すと、陽向太は視線を逸らさずに頷く。
「見回り、俺も手伝う。夜、外で変なの見たらすぐ言う。怖いって言っていいやつだよ」
心咲の喉の奥が熱くなった。礼を言いかけ、言葉がうまく出ない。翔琉が小さく咳払いをして、代わりに言う。
「助かる。無理はしないで」
「それ、俺の台詞」陽向太が笑い、扇風機がきゅ、と返事をした。
交番を出ると、海風が頬を撫でた。怖さが消えたわけではない。ただ、怖さを持ったまま歩ける気がした。心咲は歩道の白線を見ながら、翔琉に言う。
「さっき、順番通りに話せた」
「うん。通ってた。……俺、パスも同じだ」
彼は言って、照れたのか耳を指で掻いた。心咲はその仕草を見て、胸の中の硬い塊が少しだけ崩れるのを感じた。
ホームセンターの自動ドアが開くと、木材と洗剤の匂いが一気に押し寄せた。姫蘭が先に来ていて、カートを押しながら棚を見ている。片手には話す順番カード。片手には、なぜかスポンジ。
「補助錠、種類多すぎ。まず、窓の形を確認。次に、鍵の種類。最後に、買う」
姫蘭はカードを一枚立てる。「心咲→翔琉→店員さん」。それだけで、心咲の肩がまた少し下がった。
梨加子は棚の前で腕を組み、値札を睨んでいた。睨みながら、指で計算しているように見える。
「これ、安いけどネジが短い。外から引っ張ったら終わりじゃない?」
言い方は刺さるのに、言っている内容は正しい。翔琉が頷き、長いネジの袋を手に取る。
「強度、こっちのほうがいいな」
梨加子は「でしょ」と言い、なぜか少しだけ口元が緩んだ。
店員が来て、窓枠の材質と取り付け位置を説明した。心咲は説明を聞きながら、胸の奥に一つずつ杭を打つみたいに安心を積み上げる。人感センサーライトの箱を手に取ると、透明な窓から電池の形が見えた。形が見えるものは、怖さを減らす。
会計の列で、朋行が突然現れた。カゴの中は、補助錠とライトと、なぜかプリンのカップが六個。
「はい、胃袋を温める用。玉ねぎじゃなくて、今日は卵の力」
「いまここで食べるの?」姫蘭がカードを揺らす。
「帰ってから。順番大事」朋行は真面目に言って、レシートの裏に「取り付け担当:翔琉 脚立担当:陽向太 ネジ管理:梨加子 応援:心咲 水:姫蘭 プリン:朋行」と書いた。
梨加子がレシートを奪い取るように受け取り、すぐにペンで「ネジ管理→ネジ係」と直した。直したあと、照れ隠しに「係って何よ」と呟く。
風見荘へ戻ると、共同キッチンの窓から、風鈴の音が短く鳴った。屋上の手すりが陽に温まっていて、触れた指が少し熱い。怖さの中にも、いつもの家の匂いがある。
翔琉がドライバーを握り、窓の補助錠を取り付け始めた。ネジが木に食い込む音が、一定のリズムで続く。心咲はその音を聞きながら、自分の箱を思い出した。鍵付き箱の蓋は、まだ少し浮いている気がして、胸がまた冷える。
姫蘭が水のコップを差し出す。
「いま、飲む。手が冷えてる」
心咲は受け取り、喉を潤した。水の冷たさが、思考を整える。
梨加子がレシートの裏を見ながら、ふと眉をひそめた。
「……この紙、インクが滲んでる。さっき朋行が書いたところじゃなくて、ここ」
彼女が指で示したのは、レシートの端に残った薄い赤い跡だった。まるで、小さな花びらの形。
心咲は息を止め、指先でその跡をなぞった。紙の上に、ほんのわずかな凹みがある。押し付けた跡。赤い花の付箋を剥がしたときの、あの感触に似ていた。
翔琉がネジを締め終え、こちらを見た。
「心咲、どうした」
心咲は凹みの上に指を置いたまま、言った。
「……誰か、私たちの順番を、見てる」
姫蘭がカードを一枚、卓上に置いた。「今夜の確認、順番」。
心咲は頷き、レシートの赤い跡の写真を撮った。翔琉は窓の補助錠を一つずつ、指で押して確かめる。カチ、と乾いた音がするたび、胸の冷たさが少しだけ薄くなる。
日が傾くころ、朋行が人感センサーライトの箱を振り、電池を見せた。
「点灯確認、やろう。怖さは、目で見える回数が増えると薄くなる」
「それ、玉ねぎ理論の親戚?」姫蘭が聞く。
「遠い親戚。今日は乾電池家」朋行は胸を張った。
廊下の電気を消す。窓の外はまだ明るいのに、木の廊下はすぐに影を溜めた。陽向太が玄関側へ走っていき、わざと大げさに忍び足をする。
「うわ、暗いと、俺の足音だけで不審者っぽい」
「自覚あるなら静かに歩いて」梨加子が即座に言い、陽向太が「はい」と素直に返す。そのやり取りが可笑しくて、心咲の口元がほどけた。
人感センサーライトが、ぱっと白く光った。影が一斉に短くなる。朋行が「出た、光のスルーパス!」と叫び、翔琉が真面目に頷く。
「通った。いい位置」
「そこ、真面目に言うのやめて」姫蘭が笑い、梨加子まで小さく鼻で笑った。
心咲は胸元のポーチに指を入れた。赤い石の滑らかさが、指先に返ってくる。祖母の指輪から外したレッドフラワークォーツ。誰にも見せずに箱に入れていたのに、今日は持ち歩いている。
翔琉が気づいたのか、視線だけで尋ねる。
「……それ、赤い花みたいだ」
心咲は石を掌に乗せ、海風に当ててから、そっと戻した。
「怖いとき、冷たいものを触ると落ち着くから。……祖母が、よくやってた」
翔琉は「覚えておく」とだけ言い、心咲の歩幅に合わせて、また半歩後ろへ戻った。
夜の当番表を姫蘭が手早く書き直した。二十二時に玄関の補助錠確認、二十三時に窓の鍵確認、零時にライトの電池残量チェック。梨加子が筆圧を変えずに「電池係:朋行」と書き足し、朋行が「え、俺? 甘いもの係じゃなく?」と抗議して笑いが起きる。
心咲はその笑いを聞きながら、メモ帳を開いた。
『いまの気持ち:怖い。でも、ひとりじゃない』。
書き終えた瞬間、胸の奥の冷たさが、少しだけ温度を取り戻した。
海風が廊下を抜け、風鈴がもう一度鳴った。怖さはまだある。でも、今度は、ひとりの怖さではない。
翔琉は約束の十分前に来ていて、歩道の端で日陰を選んで立っていた。整骨院の制服ではなく、紺のTシャツに短パン。足首にはテーピングが巻かれている。彼は心咲を見ると、手に持っていた小さなメモ用紙を畳み、ポケットへしまった。
「きょう、順番どおりに行こう。交番、ホームセンター、帰って取り付け」
言いながら、歩幅を心咲の半歩後ろに合わせる。追い越さないところが、妙に落ち着いた。
心咲は歩きながら、バッグの中の封筒を指で確かめた。『次は君だ』と書かれた紙片と、箱の鍵穴の写真、窓の鍵の擦り傷。昨夜、姫蘭がまとめて入れてくれた。封筒の表には、黒いペンで「聞き取り用」とだけ書いてある。文字の角がまっすぐで、気持ちがぶれない書き方だった。
交番の前には、自転車が二台、きれいに揃えて置かれていた。翔琉が反射で自分の靴のつま先を揃え、心咲はそれを見て、肩の力が少し抜けた。
中へ入ると、扇風機が首を振るたびに、きゅ、きゅ、と小さく鳴った。制服の警察官が顔を上げ、まず二人の手元を見てから、穏やかに頷いた。
「どうしました」
心咲は反射で早口になりそうになり、唇を閉じた。膝の上のメモ帳を思い出す。今日は机がない。代わりに、封筒を胸に当て、息を吸ってから言う。
「シェアハウスの部屋に、鍵付きの箱があります。今朝、蓋が少し浮いていて、鍵穴の向きが変わっていました。窓の鍵にも擦り傷があって……置き手紙で『次は君だ』と」
いつ、どこで、何が、を順番通りに言えたのが自分でも意外で、心咲は目を一度だけ伏せた。
翔琉がすかさず、封筒の中の写真を一枚ずつ取り出して並べた。机の上で、行儀よく角が揃う。警察官の目が、その揃い方に少しだけ柔らかくなる。
「なるほど。怪我はないですか」
「いまのところは」翔琉が答える。嘘をつかない声だった。
警察官はメモを取り、夜間は戸締まりを二重にすること、窓の補助錠と人感センサーライトが有効なこと、見回りの時間帯を少しずらすことを淡々と説明した。扇風機のきゅ、きゅ、が間に挟まって、妙に現実味が増す。
背後で「へえ」と短く言う声がした。振り向くと、陽向太が缶コーヒーを手に立っていた。風見ウィンドの練習帰りらしく、髪が濡れている。
「翔琉、ここで会うとは」
「俺も驚いた」翔琉は驚いていない顔で言い、陽向太は笑った。
「窓の擦り傷? うちのチームにも、鍵を閉めたか不安で三回戻るやつがいるけど、それとは違うやつ?」
言い方が軽いのに、目は真面目だった。心咲が封筒を抱え直すと、陽向太は視線を逸らさずに頷く。
「見回り、俺も手伝う。夜、外で変なの見たらすぐ言う。怖いって言っていいやつだよ」
心咲の喉の奥が熱くなった。礼を言いかけ、言葉がうまく出ない。翔琉が小さく咳払いをして、代わりに言う。
「助かる。無理はしないで」
「それ、俺の台詞」陽向太が笑い、扇風機がきゅ、と返事をした。
交番を出ると、海風が頬を撫でた。怖さが消えたわけではない。ただ、怖さを持ったまま歩ける気がした。心咲は歩道の白線を見ながら、翔琉に言う。
「さっき、順番通りに話せた」
「うん。通ってた。……俺、パスも同じだ」
彼は言って、照れたのか耳を指で掻いた。心咲はその仕草を見て、胸の中の硬い塊が少しだけ崩れるのを感じた。
ホームセンターの自動ドアが開くと、木材と洗剤の匂いが一気に押し寄せた。姫蘭が先に来ていて、カートを押しながら棚を見ている。片手には話す順番カード。片手には、なぜかスポンジ。
「補助錠、種類多すぎ。まず、窓の形を確認。次に、鍵の種類。最後に、買う」
姫蘭はカードを一枚立てる。「心咲→翔琉→店員さん」。それだけで、心咲の肩がまた少し下がった。
梨加子は棚の前で腕を組み、値札を睨んでいた。睨みながら、指で計算しているように見える。
「これ、安いけどネジが短い。外から引っ張ったら終わりじゃない?」
言い方は刺さるのに、言っている内容は正しい。翔琉が頷き、長いネジの袋を手に取る。
「強度、こっちのほうがいいな」
梨加子は「でしょ」と言い、なぜか少しだけ口元が緩んだ。
店員が来て、窓枠の材質と取り付け位置を説明した。心咲は説明を聞きながら、胸の奥に一つずつ杭を打つみたいに安心を積み上げる。人感センサーライトの箱を手に取ると、透明な窓から電池の形が見えた。形が見えるものは、怖さを減らす。
会計の列で、朋行が突然現れた。カゴの中は、補助錠とライトと、なぜかプリンのカップが六個。
「はい、胃袋を温める用。玉ねぎじゃなくて、今日は卵の力」
「いまここで食べるの?」姫蘭がカードを揺らす。
「帰ってから。順番大事」朋行は真面目に言って、レシートの裏に「取り付け担当:翔琉 脚立担当:陽向太 ネジ管理:梨加子 応援:心咲 水:姫蘭 プリン:朋行」と書いた。
梨加子がレシートを奪い取るように受け取り、すぐにペンで「ネジ管理→ネジ係」と直した。直したあと、照れ隠しに「係って何よ」と呟く。
風見荘へ戻ると、共同キッチンの窓から、風鈴の音が短く鳴った。屋上の手すりが陽に温まっていて、触れた指が少し熱い。怖さの中にも、いつもの家の匂いがある。
翔琉がドライバーを握り、窓の補助錠を取り付け始めた。ネジが木に食い込む音が、一定のリズムで続く。心咲はその音を聞きながら、自分の箱を思い出した。鍵付き箱の蓋は、まだ少し浮いている気がして、胸がまた冷える。
姫蘭が水のコップを差し出す。
「いま、飲む。手が冷えてる」
心咲は受け取り、喉を潤した。水の冷たさが、思考を整える。
梨加子がレシートの裏を見ながら、ふと眉をひそめた。
「……この紙、インクが滲んでる。さっき朋行が書いたところじゃなくて、ここ」
彼女が指で示したのは、レシートの端に残った薄い赤い跡だった。まるで、小さな花びらの形。
心咲は息を止め、指先でその跡をなぞった。紙の上に、ほんのわずかな凹みがある。押し付けた跡。赤い花の付箋を剥がしたときの、あの感触に似ていた。
翔琉がネジを締め終え、こちらを見た。
「心咲、どうした」
心咲は凹みの上に指を置いたまま、言った。
「……誰か、私たちの順番を、見てる」
姫蘭がカードを一枚、卓上に置いた。「今夜の確認、順番」。
心咲は頷き、レシートの赤い跡の写真を撮った。翔琉は窓の補助錠を一つずつ、指で押して確かめる。カチ、と乾いた音がするたび、胸の冷たさが少しだけ薄くなる。
日が傾くころ、朋行が人感センサーライトの箱を振り、電池を見せた。
「点灯確認、やろう。怖さは、目で見える回数が増えると薄くなる」
「それ、玉ねぎ理論の親戚?」姫蘭が聞く。
「遠い親戚。今日は乾電池家」朋行は胸を張った。
廊下の電気を消す。窓の外はまだ明るいのに、木の廊下はすぐに影を溜めた。陽向太が玄関側へ走っていき、わざと大げさに忍び足をする。
「うわ、暗いと、俺の足音だけで不審者っぽい」
「自覚あるなら静かに歩いて」梨加子が即座に言い、陽向太が「はい」と素直に返す。そのやり取りが可笑しくて、心咲の口元がほどけた。
人感センサーライトが、ぱっと白く光った。影が一斉に短くなる。朋行が「出た、光のスルーパス!」と叫び、翔琉が真面目に頷く。
「通った。いい位置」
「そこ、真面目に言うのやめて」姫蘭が笑い、梨加子まで小さく鼻で笑った。
心咲は胸元のポーチに指を入れた。赤い石の滑らかさが、指先に返ってくる。祖母の指輪から外したレッドフラワークォーツ。誰にも見せずに箱に入れていたのに、今日は持ち歩いている。
翔琉が気づいたのか、視線だけで尋ねる。
「……それ、赤い花みたいだ」
心咲は石を掌に乗せ、海風に当ててから、そっと戻した。
「怖いとき、冷たいものを触ると落ち着くから。……祖母が、よくやってた」
翔琉は「覚えておく」とだけ言い、心咲の歩幅に合わせて、また半歩後ろへ戻った。
夜の当番表を姫蘭が手早く書き直した。二十二時に玄関の補助錠確認、二十三時に窓の鍵確認、零時にライトの電池残量チェック。梨加子が筆圧を変えずに「電池係:朋行」と書き足し、朋行が「え、俺? 甘いもの係じゃなく?」と抗議して笑いが起きる。
心咲はその笑いを聞きながら、メモ帳を開いた。
『いまの気持ち:怖い。でも、ひとりじゃない』。
書き終えた瞬間、胸の奥の冷たさが、少しだけ温度を取り戻した。
海風が廊下を抜け、風鈴がもう一度鳴った。怖さはまだある。でも、今度は、ひとりの怖さではない。
あなたにおすすめの小説
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
「君はいらない」と捨てられた夜、天敵の冷徹社長に「なら、俺が貰う」と拾われました。――手を出さない約束でしたが、彼の理性が限界のようです
葉山 乃愛
恋愛
【婚約破棄から始まる、不器用なライオン(冷徹社長)の猛烈な求愛!】
「俺の妻になるなら覚悟しろ。……もう、指一本逃がすつもりはない」
★あらすじ★
「美月は完璧すぎて、可愛げがないんだよ」
28歳の誕生日。
一流ホテルのウエディングプランナーである相沢美月(あいざわ みつき)は、婚約者の裏切りにより、結婚目前ですべてを失った。
雨の降る路地裏。
ヒールも折れ、心も折れてうずくまっていた美月の前に現れたのは、かつての高校時代の天敵であり、現在は勤務先の冷徹な社長 一条蓮(いちじょう れん)だった。
「捨て猫以下だな」
そう憎まれ口を叩きながらも、彼は泥だらけの美月を躊躇なく抱き上げ、最高級ペントハウスへと連れ帰る。
そして、彼が突きつけたのは、あまりにも強引な提案だった。
「住む場所がないなら、俺の家に来い。その代わり――俺の『婚約者』役を演じろ」
利害の一致した契約関係。
条件は「お互いに干渉しないこと」、そして「決して手を出さないこと」。
……のはずだったのに。
「髪、濡れたままだと風邪を引く」
「あんな男のために泣くな。顔が台無しだ」
同居生活で見えてきたのは、冷徹な仮面の下に隠された、不器用すぎるほどの優しさと独占欲。
美月が作った手料理を誰よりも美味しそうに食べ、元婚約者が復縁を迫ってくれば「俺の女に触れるな」と徹底的に排除する。
天敵だったはずの彼に守られ、凍っていた美月の心は次第に溶かされていく。
しかし、ある雷雨の夜。
美月が不用意に彼に触れた瞬間、一条の理性のタガが外れてしまい――。
「……手を出さない約束? 撤回だ」
「そんな無防備な顔で見つめて、何もしないでいられるほど、俺は聖人君子じゃない」
10年越しの片思いをこじらせたハイスペック社長 × 仕事熱心で恋愛に臆病なプランナー。
契約から始まった二人の関係が、本物の愛(溺愛)に変わるまで。
元婚約者への痛快な「ざまぁ」も収録した、極上の大人のシンデレラストーリー!
【登場人物】
◆相沢 美月(28)
ホテルの敏腕ウエディングプランナー。真面目でお人好しな性格が災いし、「つまらない女」と婚約破棄される。実は家事万能で、酔うと少しだけ甘えん坊になる(本人は無自覚)。
◆一条 蓮(28)
ホテルグループの社長。美貌と才覚を併せ持つが、他人に興味を示さないため「氷の貴公子」と呼ばれる。実は高校時代から美月を一途に想い続けており、彼女のこととなると冷静さを失う。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
愛を知った私は、もう二度と跪きません
阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。
家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。
「呪われた男にでも喰われてこい」
そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。
彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。
その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。
「エカテリーナ様、どうかお助けを!」
かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。