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第23話 残り物パフェと石の温度
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八月上旬の夜二十時四十五分。風見市の商店街は店じまいのシャッター音がぽつぽつ重なり、路地の奥からパンを焼いた甘い匂いが最後まで残っていた。朋行の勤める洋菓子店「ル・カゼミ」は、表の看板灯だけが点いていて、ガラス越しにショーケースの冷気が白く見える気がする。
朋行が裏口の鍵を開け、風見荘の面々を手招きした。
「入って、入って。町内会の紙は胃に重い。きょうは口のほうを軽くする」
言いながら、彼は靴を脱ぐ前に、玄関マットの端を指で押さえて真っすぐに直した。床に落ちた砂糖の粒まで見逃さない手つきだった。
姫蘭がいちばんに入って、すぐに壁際へ寄る。通路の幅を目で測り、鞄がぶつからない位置に全員を誘導する。
「ここは厨房の動線が命。立つ場所、決めよう」
姫蘭は紙コップを六つ並べ、短く切ったメモ紙を置いた。『フルーツ』『クリーム』『ソース』『トッピング』。文字は角が立っていて、読むだけで背筋が伸びる。
陽向太が「順番カード、店でも出るんだ」と笑い、姫蘭が片眉だけ上げる。
「出る。包丁が飛ぶよりまし」
朋行が「うちは包丁が飛ぶ前に俺が飛ぶ」と胸を張り、翔琉が真面目に頷いた。
「安全第一」
翔琉は入口の段差で、全員の靴のつま先が通路に出ないように揃えてから、奥へ進んだ。整骨院の帰りらしく、肩に掛けた小さな保冷バッグから氷の匂いがした。彼は自分の水筒を取り出し、黙ってテーブルの端へ置く。誰かが喉を鳴らす前に、先に渡す。
梨加子は最後に入ってきた。ショーケースの前で一度足を止め、空になったトレーを見て、口を尖らせる。
「売れ残り、ないんだ。……じゃ、残り物って、どこから出るの」
朋行が冷蔵庫の扉を開け、色とりどりの箱を見せた。苺の端、キウイの切れ端、黄桃の角、バナナの半端。丸くなれなかった果物が、透明容器にきちんと収まっている。
「見た目が揃わなかっただけ。味は逃げない。つまり、救済」
「言い方が大げさ」梨加子が言いながら、手袋をはめて手を洗い始めた。水の音が、さっきの回覧板の金具のきしみとは違う明るさで耳に入る。
心咲は店の奥の小さなテーブルに座り、メモ帳を膝に乗せた。店の蛍光灯は白く、紙の罫線がいつもよりくっきり見える。だから余計に、昨夜の文字が脳裏に浮かぶ。『不審者の噂を広げず』。噂という二文字の後ろに、まだ湿った恐怖がくっついている。
朋行がグラスを六つ並べた。透明なグラスの底が、机の木目を丸く切り取る。
「はい、ベースはコーンフレーク。ここにヨーグルト。ここに、果物。失敗しようがない」
陽向太が「世の中、失敗しようがないと言われたところが一番危ない」と言いかけ、姫蘭が指で『ソース』の札を叩いた。
「その話は、あと。順番、守る」
陽向太は両手を上げて降参の形を作り、朋行が「順番カードに勝てるのは、焼き立てだけ」と笑う。
笑いが起き、空気が軽くなる。朋行は苺の端を山にし、キウイの半月を扇みたいに並べた。梨加子が「その並べ方、見た目だけは勝ってる」と言い、朋行が「見た目だけじゃ勝てないのが人生」と返す。姫蘭が「人生って言うと急に重い」と突っ込み、翔琉が「重いなら、氷を足す」と真顔で保冷バッグを開けた。
「ちょっと待って、それは違う」心咲が思わず笑い、腹の底のこわばりがほどけるのを感じた。
順番が心咲に回った。『ソース』の札の前で、朋行が小瓶を二本差し出す。赤いベリーソースと、琥珀色のカラメル。
「好きなほう。迷ったら、半分ずつ。迷いは悪じゃない」
心咲は小瓶を手に取り、赤のほうを傾けた。とろりと落ちた赤が、グラスの側面に花びらのような筋を作る。その瞬間、胸のポーチの中の冷たさを思い出した。祖母の指輪から外したレッドフラワークォーツ。滑らかな赤の中に、白い花の影が閉じ込められている。
――あの箱は、ちゃんと閉まっているだろうか。
――鍵穴の向きは、変わっていないだろうか。
笑い声が遠のく。心咲の指先だけが冷える。赤いソースの筋が、あのレシートの赤い跡と重なって見えた。花びらの形。押し付けたような凹み。誰かの指。
「心咲?」
朋行の声がして、心咲は我に返った。ソースがグラスの外へ少し垂れている。慌てて拭こうとしたが、ティッシュが見つからない。
梨加子が黙って、作業台の端のペーパーを一枚ちぎり、心咲の手元へ滑らせた。言葉はない。でも、紙は先に届く。
心咲がペーパーで拭き、息を整えたところで、翔琉の視線が一瞬だけ胸元へ落ちた。気づかれた、と心咲は思った。けれど翔琉は何も言わない。目をそらし、代わりに自分のグラスの苺を一つ、心咲の皿へそっと移した。言葉の代わりの小さなパスだった。
味見は続く。朋行が「はい、最後はトッピング。店の規則、粉糖は雪、ミントは芝生」と言い、陽向太が「芝生は走れる」と応える。姫蘭が「走るのは屋上じゃなくて河川敷」と切り返し、翔琉が「河川敷なら、俺が案内する」と真面目に言うので、また笑いが起きた。
笑っているのに、心咲の胸の奥はまだ少しだけ重い。赤いソースの筋が、消えない。心咲はメモ帳を開き、膝の上で一行だけ書いた。
――いまの気持ち:甘いのに、喉が乾く。
閉店後の店の外へ出ると、潮の匂いが一気に戻ってきた。商店街の灯りが途切れるところから海沿いの道に出ると、風が髪を持ち上げ、耳の後ろに冷たい空気が入り込む。みんなは姫蘭の段取りで二列になって歩き、交差点では自然に止まって左右を確認した。紙の不安を読んだ夜でも、足はちゃんと地面を選べる。
分かれ道で、姫蘭が「私は明日、商店街の防犯カメラの位置、もう少し確かめる」と言い、陽向太が「一緒に行く。昼なら怖くない」と返した。朋行が「帰ったら洗い物、当番表どおりな」と言い、梨加子が「わかってる」と短く返す。全員の背中が、風見荘の方向へ散っていく。
心咲が歩き出そうとしたとき、翔琉が横へ並んだ。追い越さない。肩が触れない距離で、同じ速さ。
「……海、寄っていい?」
心咲は頷いた。声にすると喉が詰まりそうで、頷きだけで返した。
堤防の手前の小さなベンチに座る。背もたれは塩でざらつき、掌に小さな白い粉が残る。波の音が一定で、遠くの漁船の灯りが揺れていた。翔琉は座ってから、足首のテーピングを指で一度だけ押さえ直した。痛みを隠すためじゃない。確認のため。呼吸の順番を整えるみたいに。
心咲はポーチに指を入れ、石の表面を確かめた。冷たい。冷たさが、いまの自分の中の硬さと同じ温度で、笑っていたはずの口角が下がりそうになる。
翔琉は隣で、黙って海を見ていた。言葉を探しているのか、言葉を先に置かないでいるのか、心咲にはわからない。ただ、彼の膝の向きが、逃げる方向ではなく自分のほうへ少しだけ寄っているのが見えた。
「さっき、ソース……こぼした」心咲がようやく言った。
「拭けた」
「……そうじゃなくて」
心咲は息を吸い、吐いた。波の音に混ぜると、言い出しやすい。
「赤いものを見ると、思い出す。箱のこと。石のこと。……誰かが、見てる気がする」
言ってしまった瞬間、胸の奥が少し軽くなった。怖いと言えたから。
翔琉はすぐに「大丈夫」とは言わなかった。代わりに、ベンチの木の節を指でなぞり、そこから視線を上げた。
「見てる気がするなら、見えるようにしよう」
短い言葉。けれど、焦っていない。
「俺、ボランチだからさ。先に渡して、走る人が選べるようにする。……心咲が走る方向、決められるように」
言い終わってから、彼は少しだけ耳の後ろを掻いた。照れたときの癖。逃げない癖。
心咲は石を握った。冷たさが掌に広がる。その冷たさの上に、風の匂いと、さっきの果物の甘さが重なる。
「走る方向……まだ、決められない」
「いい」
翔琉は頷いた。
「決める前に、座っていい。……ここ、風が通るから」
彼はそれだけ言って、また海を見た。言葉の余白を、潮の音が埋める。
心咲はメモ帳を開き、膝の上で一行を書いた。
――いまの気持ち:怖い。でも、隣が空いていない。
風が強くなり、髪が頬に貼り付いた。心咲が手で払おうとしたとき、翔琉が自分のタオルを差し出した。白いタオルには整骨院の香りが薄く残っている。心咲は受け取り、髪を押さえた。
「……ありがとう」
「うん」
返事は短いのに、胸の中に長く残った。
ベンチを立つとき、翔琉は先に立たなかった。心咲が立ち上がるのを待ち、歩幅を合わせて風見荘へ向かう。海沿いの道の街灯が一つずつ背中へ遠ざかるたび、心咲の中の赤い筋が、少しずつ薄くなる気がした。薄くなっても、消えないなら、消えないまま抱えて歩けばいい。隣の靴音が、一定で続く限り。
遠くで風鈴の音がした気がした。屋上の音か、海の音か、区別はつかない。けれど心咲は、胸の石を握り直し、鍵のある家へ帰る道を、前だけ見て歩いた。
朋行が裏口の鍵を開け、風見荘の面々を手招きした。
「入って、入って。町内会の紙は胃に重い。きょうは口のほうを軽くする」
言いながら、彼は靴を脱ぐ前に、玄関マットの端を指で押さえて真っすぐに直した。床に落ちた砂糖の粒まで見逃さない手つきだった。
姫蘭がいちばんに入って、すぐに壁際へ寄る。通路の幅を目で測り、鞄がぶつからない位置に全員を誘導する。
「ここは厨房の動線が命。立つ場所、決めよう」
姫蘭は紙コップを六つ並べ、短く切ったメモ紙を置いた。『フルーツ』『クリーム』『ソース』『トッピング』。文字は角が立っていて、読むだけで背筋が伸びる。
陽向太が「順番カード、店でも出るんだ」と笑い、姫蘭が片眉だけ上げる。
「出る。包丁が飛ぶよりまし」
朋行が「うちは包丁が飛ぶ前に俺が飛ぶ」と胸を張り、翔琉が真面目に頷いた。
「安全第一」
翔琉は入口の段差で、全員の靴のつま先が通路に出ないように揃えてから、奥へ進んだ。整骨院の帰りらしく、肩に掛けた小さな保冷バッグから氷の匂いがした。彼は自分の水筒を取り出し、黙ってテーブルの端へ置く。誰かが喉を鳴らす前に、先に渡す。
梨加子は最後に入ってきた。ショーケースの前で一度足を止め、空になったトレーを見て、口を尖らせる。
「売れ残り、ないんだ。……じゃ、残り物って、どこから出るの」
朋行が冷蔵庫の扉を開け、色とりどりの箱を見せた。苺の端、キウイの切れ端、黄桃の角、バナナの半端。丸くなれなかった果物が、透明容器にきちんと収まっている。
「見た目が揃わなかっただけ。味は逃げない。つまり、救済」
「言い方が大げさ」梨加子が言いながら、手袋をはめて手を洗い始めた。水の音が、さっきの回覧板の金具のきしみとは違う明るさで耳に入る。
心咲は店の奥の小さなテーブルに座り、メモ帳を膝に乗せた。店の蛍光灯は白く、紙の罫線がいつもよりくっきり見える。だから余計に、昨夜の文字が脳裏に浮かぶ。『不審者の噂を広げず』。噂という二文字の後ろに、まだ湿った恐怖がくっついている。
朋行がグラスを六つ並べた。透明なグラスの底が、机の木目を丸く切り取る。
「はい、ベースはコーンフレーク。ここにヨーグルト。ここに、果物。失敗しようがない」
陽向太が「世の中、失敗しようがないと言われたところが一番危ない」と言いかけ、姫蘭が指で『ソース』の札を叩いた。
「その話は、あと。順番、守る」
陽向太は両手を上げて降参の形を作り、朋行が「順番カードに勝てるのは、焼き立てだけ」と笑う。
笑いが起き、空気が軽くなる。朋行は苺の端を山にし、キウイの半月を扇みたいに並べた。梨加子が「その並べ方、見た目だけは勝ってる」と言い、朋行が「見た目だけじゃ勝てないのが人生」と返す。姫蘭が「人生って言うと急に重い」と突っ込み、翔琉が「重いなら、氷を足す」と真顔で保冷バッグを開けた。
「ちょっと待って、それは違う」心咲が思わず笑い、腹の底のこわばりがほどけるのを感じた。
順番が心咲に回った。『ソース』の札の前で、朋行が小瓶を二本差し出す。赤いベリーソースと、琥珀色のカラメル。
「好きなほう。迷ったら、半分ずつ。迷いは悪じゃない」
心咲は小瓶を手に取り、赤のほうを傾けた。とろりと落ちた赤が、グラスの側面に花びらのような筋を作る。その瞬間、胸のポーチの中の冷たさを思い出した。祖母の指輪から外したレッドフラワークォーツ。滑らかな赤の中に、白い花の影が閉じ込められている。
――あの箱は、ちゃんと閉まっているだろうか。
――鍵穴の向きは、変わっていないだろうか。
笑い声が遠のく。心咲の指先だけが冷える。赤いソースの筋が、あのレシートの赤い跡と重なって見えた。花びらの形。押し付けたような凹み。誰かの指。
「心咲?」
朋行の声がして、心咲は我に返った。ソースがグラスの外へ少し垂れている。慌てて拭こうとしたが、ティッシュが見つからない。
梨加子が黙って、作業台の端のペーパーを一枚ちぎり、心咲の手元へ滑らせた。言葉はない。でも、紙は先に届く。
心咲がペーパーで拭き、息を整えたところで、翔琉の視線が一瞬だけ胸元へ落ちた。気づかれた、と心咲は思った。けれど翔琉は何も言わない。目をそらし、代わりに自分のグラスの苺を一つ、心咲の皿へそっと移した。言葉の代わりの小さなパスだった。
味見は続く。朋行が「はい、最後はトッピング。店の規則、粉糖は雪、ミントは芝生」と言い、陽向太が「芝生は走れる」と応える。姫蘭が「走るのは屋上じゃなくて河川敷」と切り返し、翔琉が「河川敷なら、俺が案内する」と真面目に言うので、また笑いが起きた。
笑っているのに、心咲の胸の奥はまだ少しだけ重い。赤いソースの筋が、消えない。心咲はメモ帳を開き、膝の上で一行だけ書いた。
――いまの気持ち:甘いのに、喉が乾く。
閉店後の店の外へ出ると、潮の匂いが一気に戻ってきた。商店街の灯りが途切れるところから海沿いの道に出ると、風が髪を持ち上げ、耳の後ろに冷たい空気が入り込む。みんなは姫蘭の段取りで二列になって歩き、交差点では自然に止まって左右を確認した。紙の不安を読んだ夜でも、足はちゃんと地面を選べる。
分かれ道で、姫蘭が「私は明日、商店街の防犯カメラの位置、もう少し確かめる」と言い、陽向太が「一緒に行く。昼なら怖くない」と返した。朋行が「帰ったら洗い物、当番表どおりな」と言い、梨加子が「わかってる」と短く返す。全員の背中が、風見荘の方向へ散っていく。
心咲が歩き出そうとしたとき、翔琉が横へ並んだ。追い越さない。肩が触れない距離で、同じ速さ。
「……海、寄っていい?」
心咲は頷いた。声にすると喉が詰まりそうで、頷きだけで返した。
堤防の手前の小さなベンチに座る。背もたれは塩でざらつき、掌に小さな白い粉が残る。波の音が一定で、遠くの漁船の灯りが揺れていた。翔琉は座ってから、足首のテーピングを指で一度だけ押さえ直した。痛みを隠すためじゃない。確認のため。呼吸の順番を整えるみたいに。
心咲はポーチに指を入れ、石の表面を確かめた。冷たい。冷たさが、いまの自分の中の硬さと同じ温度で、笑っていたはずの口角が下がりそうになる。
翔琉は隣で、黙って海を見ていた。言葉を探しているのか、言葉を先に置かないでいるのか、心咲にはわからない。ただ、彼の膝の向きが、逃げる方向ではなく自分のほうへ少しだけ寄っているのが見えた。
「さっき、ソース……こぼした」心咲がようやく言った。
「拭けた」
「……そうじゃなくて」
心咲は息を吸い、吐いた。波の音に混ぜると、言い出しやすい。
「赤いものを見ると、思い出す。箱のこと。石のこと。……誰かが、見てる気がする」
言ってしまった瞬間、胸の奥が少し軽くなった。怖いと言えたから。
翔琉はすぐに「大丈夫」とは言わなかった。代わりに、ベンチの木の節を指でなぞり、そこから視線を上げた。
「見てる気がするなら、見えるようにしよう」
短い言葉。けれど、焦っていない。
「俺、ボランチだからさ。先に渡して、走る人が選べるようにする。……心咲が走る方向、決められるように」
言い終わってから、彼は少しだけ耳の後ろを掻いた。照れたときの癖。逃げない癖。
心咲は石を握った。冷たさが掌に広がる。その冷たさの上に、風の匂いと、さっきの果物の甘さが重なる。
「走る方向……まだ、決められない」
「いい」
翔琉は頷いた。
「決める前に、座っていい。……ここ、風が通るから」
彼はそれだけ言って、また海を見た。言葉の余白を、潮の音が埋める。
心咲はメモ帳を開き、膝の上で一行を書いた。
――いまの気持ち:怖い。でも、隣が空いていない。
風が強くなり、髪が頬に貼り付いた。心咲が手で払おうとしたとき、翔琉が自分のタオルを差し出した。白いタオルには整骨院の香りが薄く残っている。心咲は受け取り、髪を押さえた。
「……ありがとう」
「うん」
返事は短いのに、胸の中に長く残った。
ベンチを立つとき、翔琉は先に立たなかった。心咲が立ち上がるのを待ち、歩幅を合わせて風見荘へ向かう。海沿いの道の街灯が一つずつ背中へ遠ざかるたび、心咲の中の赤い筋が、少しずつ薄くなる気がした。薄くなっても、消えないなら、消えないまま抱えて歩けばいい。隣の靴音が、一定で続く限り。
遠くで風鈴の音がした気がした。屋上の音か、海の音か、区別はつかない。けれど心咲は、胸の石を握り直し、鍵のある家へ帰る道を、前だけ見て歩いた。
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