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第1話_石畳を叩く夜明けの靴音
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夜明け前の王都カタリナ北区。濃い霧が石畳を覆い、吐く息は白く細い。
誠人は薄手の上着を胸元でかき合わせながら、両腕に抱えた木箱の重みで肩を震わせた。木箱の中身は、下町の薬師から南門の宿まで届ける薬草の束と乾燥肉。報酬は銀貨一枚にも満たないが、それでも彼にとっては貴重な稼ぎだった。
彼の靴音だけが霧の中に響く。――その瞬間、背後で空気が裂ける気配がした。
誠人は反射的に振り返る。視界の奥で影が動いた。足音も息遣いも消し、ただ濁った気配だけが迫ってくる。
「……誰だ」
返事はなかった。次の瞬間、腕の中の木箱が乱暴に引きはがされた。
「待てっ!」
声を上げるより先に、影は路地裏を駆け抜ける。痩せこけた少年の体は、追おうとしても重く鈍かった。
石畳の角で転倒した拍子に、手のひらに鋭い痛みが走る。血が滲むのを見て、誠人は歯を食いしばった。ここで諦めれば、今日の食事さえ失う。
だが影は速い。路地を三つ抜けた先で、誠人の足は止まった。息が上がり、胸が焼けるように痛む。
「こんな時に……」
自嘲混じりの声を吐いた瞬間、背後から鈴のような声が響いた。
「誠人! どうしたの?」
振り返ると、美心が駆けてきていた。薄桃色のマントを翻し、肩まで伸びた髪が霧の中で揺れる。
彼女は誠人の血の滲んだ手を見て、眉をひそめた。
「また無茶して……盗られたの?」
「……ああ、配送の荷だ」
悔しさを押し殺して言うと、美心は周囲を見渡し、目を細めた。
「追うのは無理。まず傷を見せて」
誠人は言葉を失った。美心は昔からこうだ。人より先に結果を求めるくせに、目の前の痛みは見逃さない。
木箱を失ったことは痛い。だがそれ以上に、彼は“このままでは何も変わらない”という現実を痛感していた。
――ギルド試験、また落ちたらどうする?
その思いが胸を締めつけた。
美心は小さな布巾で誠人の手を押さえながら、ぽつりとつぶやいた。
「誠人……次の試験、本気で挑むんでしょ?」
「ああ……今度こそ、合格する」
霧の向こうで、朝の鐘が鳴った。夜が終わり、また底辺の一日が始まる。
誠人は拳を握りしめ、足元の石畳を踏みしめた。
午前の日差しが差し込み始めるころ、二人は北区外れの古びた食堂へと足を向けた。
木製の扉を押すと、かすかに油の匂いと硬いパンの香りが混ざった空気が広がる。長椅子に腰を下ろすと、主人の老人が目だけで会釈を返してきた。
「……結局、朝飯代で銀貨が飛んでいくな」
誠人はため息をつき、懐の軽さを確認する。盗られた荷物の代金を考えれば、しばらく働いても赤字になるだろう。
美心はそんな彼の隣で小さくパンをかじり、わずかに笑った。
「今日の誠人、顔が怖い。そんな目で睨んでも、パンは増えないよ」
「笑い事じゃない。俺は……もう負けたくないんだ」
その言葉に、美心はパンを置き、真剣な目を向けた。
「じゃあ次は勝とう。――誠人が前に進むって言うなら、私だって手を貸す」
彼女の瞳には迷いがなかった。その真っすぐさに誠人は小さくうなずき、硬いパンを噛み締めた。
昼近く、ギルド広場には次期試験の掲示板が立ち、人だかりができていた。
「受験者多いな……」
樹が人混みをかき分けて現れ、気の抜けた笑みを見せた。
「誠人、また挑戦か?」
「ああ」
樹は誠人の手に巻かれた布を見て顔をしかめた。
「やられたのか? ……ったく、気をつけろよ」
そのやり取りに、近くで腕を組んでいた睦が口をはさんだ。
「また無駄な努力? 毎回落ちてるのに、いい加減諦めれば?」
冷たい声に誠人の肩がわずかに震えた。だが彼は視線をそらさなかった。
「諦めない。次は必ず受かる」
「……ふん、勝手にすれば」
周囲のざわめきが広がり、昼下がりの空に鐘の音が鳴り響いた。
誠人はその音を聞きながら、自分の中で何かが変わり始めていることを感じていた。
夕刻、誠人は小さな部屋に戻った。粗末な木の机と、片隅に積まれた魔法書の山。その上に一冊だけ、ほとんど使われていない杖の手引き書が置かれていた。
彼はその杖を取り上げ、ひび割れた持ち手をじっと見つめた。
「俺は……何が足りないんだ」
呟きながら、試験で失敗した場面を何度も思い返す。力を出し切れない。魔力の流れを制御できない。それがいつも落ちる理由だった。
窓の外では、美心が木箱を抱えて歩いているのが見えた。昼に失った荷物を彼女が取り戻したのだろう。誠人は胸の奥に熱いものが込み上げ、無言で杖を握りしめた。
そのとき――視界の端に奇妙なものが映った。杖の先端から淡い光の線がのび、部屋の壁をなぞるように震えている。
「……何だ、これ?」
誠人は目を凝らす。すると、壁と壁の間に微かな“裂け目”があることに気づいた。
光の線はその裂け目を縫うように揺らぎ、まるで道筋を示しているかのようだった。
その光景を見た瞬間、脳裏に何かが走った。幼い頃から時折感じていた違和感――目に見えない境界を読み取れる感覚。
「これが……俺の力?」
驚きと興奮で息が荒くなる。指先が震え、杖を持つ手に汗が滲む。
これは偶然ではない。目の前にある裂け目は、時間か空間のどちらかに存在する“縫い目”のように思えた。
誠人は深呼吸し、ゆっくりと裂け目に杖を向ける。
その瞬間、室内の空気がわずかに歪み、時間が一拍遅れたように感じた。
「これが……俺の起源結晶の力?」
心臓が跳ね上がった。自分には何もないと思っていた。それが今、ここに眠っていたのだ。
誠人は窓の外を見やり、心の中で誓った。
――次の試験、必ず受かる。この力で、俺は底辺から抜け出す。
夜が更けても、誠人は眠れなかった。裂け目を見たときの感覚が頭から離れず、心臓の鼓動が速いままだった。
机に座り、再び杖を手に取る。今度は意識して魔力を通そうとする。
すると、視界の端に淡い糸のような線が浮かび上がり、部屋の中を縫うように走っていくのが見えた。
「間違いない……これは俺だけに見えている」
その糸の行き着く先は、窓辺の古びた木箱だった。何気なく触れると、箱の隙間が勝手に開き、中から古い冒険者証が転がり落ちる。
父のものだ。
幼い頃に亡くなった父が、駆け出し冒険者として使っていた証。誠人はしばらく無言でそれを握りしめた。
「……父さん。俺、やっと一歩踏み出せるかもしれない」
朝日が差し込み始めた頃、誠人は立ち上がった。眠気よりも決意の方が強かった。
外に出ると、朝の市場に人々が集まり始めている。そこに、美心の姿があった。
「誠人、徹夜?」
「……まあな。でも、分かったんだ。俺にはまだやれることがある」
誠人の言葉に、美心は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。
「じゃあ、見せてよ。誠人が変わるところ」
誠人は大きく頷き、歩き出す。
これまでの自分は、ただ落ちこぼれと呼ばれるだけの存在だった。だが今は違う。
――この力で必ず勝ち取る。底辺のままで終わるものか。
誠人は薄手の上着を胸元でかき合わせながら、両腕に抱えた木箱の重みで肩を震わせた。木箱の中身は、下町の薬師から南門の宿まで届ける薬草の束と乾燥肉。報酬は銀貨一枚にも満たないが、それでも彼にとっては貴重な稼ぎだった。
彼の靴音だけが霧の中に響く。――その瞬間、背後で空気が裂ける気配がした。
誠人は反射的に振り返る。視界の奥で影が動いた。足音も息遣いも消し、ただ濁った気配だけが迫ってくる。
「……誰だ」
返事はなかった。次の瞬間、腕の中の木箱が乱暴に引きはがされた。
「待てっ!」
声を上げるより先に、影は路地裏を駆け抜ける。痩せこけた少年の体は、追おうとしても重く鈍かった。
石畳の角で転倒した拍子に、手のひらに鋭い痛みが走る。血が滲むのを見て、誠人は歯を食いしばった。ここで諦めれば、今日の食事さえ失う。
だが影は速い。路地を三つ抜けた先で、誠人の足は止まった。息が上がり、胸が焼けるように痛む。
「こんな時に……」
自嘲混じりの声を吐いた瞬間、背後から鈴のような声が響いた。
「誠人! どうしたの?」
振り返ると、美心が駆けてきていた。薄桃色のマントを翻し、肩まで伸びた髪が霧の中で揺れる。
彼女は誠人の血の滲んだ手を見て、眉をひそめた。
「また無茶して……盗られたの?」
「……ああ、配送の荷だ」
悔しさを押し殺して言うと、美心は周囲を見渡し、目を細めた。
「追うのは無理。まず傷を見せて」
誠人は言葉を失った。美心は昔からこうだ。人より先に結果を求めるくせに、目の前の痛みは見逃さない。
木箱を失ったことは痛い。だがそれ以上に、彼は“このままでは何も変わらない”という現実を痛感していた。
――ギルド試験、また落ちたらどうする?
その思いが胸を締めつけた。
美心は小さな布巾で誠人の手を押さえながら、ぽつりとつぶやいた。
「誠人……次の試験、本気で挑むんでしょ?」
「ああ……今度こそ、合格する」
霧の向こうで、朝の鐘が鳴った。夜が終わり、また底辺の一日が始まる。
誠人は拳を握りしめ、足元の石畳を踏みしめた。
午前の日差しが差し込み始めるころ、二人は北区外れの古びた食堂へと足を向けた。
木製の扉を押すと、かすかに油の匂いと硬いパンの香りが混ざった空気が広がる。長椅子に腰を下ろすと、主人の老人が目だけで会釈を返してきた。
「……結局、朝飯代で銀貨が飛んでいくな」
誠人はため息をつき、懐の軽さを確認する。盗られた荷物の代金を考えれば、しばらく働いても赤字になるだろう。
美心はそんな彼の隣で小さくパンをかじり、わずかに笑った。
「今日の誠人、顔が怖い。そんな目で睨んでも、パンは増えないよ」
「笑い事じゃない。俺は……もう負けたくないんだ」
その言葉に、美心はパンを置き、真剣な目を向けた。
「じゃあ次は勝とう。――誠人が前に進むって言うなら、私だって手を貸す」
彼女の瞳には迷いがなかった。その真っすぐさに誠人は小さくうなずき、硬いパンを噛み締めた。
昼近く、ギルド広場には次期試験の掲示板が立ち、人だかりができていた。
「受験者多いな……」
樹が人混みをかき分けて現れ、気の抜けた笑みを見せた。
「誠人、また挑戦か?」
「ああ」
樹は誠人の手に巻かれた布を見て顔をしかめた。
「やられたのか? ……ったく、気をつけろよ」
そのやり取りに、近くで腕を組んでいた睦が口をはさんだ。
「また無駄な努力? 毎回落ちてるのに、いい加減諦めれば?」
冷たい声に誠人の肩がわずかに震えた。だが彼は視線をそらさなかった。
「諦めない。次は必ず受かる」
「……ふん、勝手にすれば」
周囲のざわめきが広がり、昼下がりの空に鐘の音が鳴り響いた。
誠人はその音を聞きながら、自分の中で何かが変わり始めていることを感じていた。
夕刻、誠人は小さな部屋に戻った。粗末な木の机と、片隅に積まれた魔法書の山。その上に一冊だけ、ほとんど使われていない杖の手引き書が置かれていた。
彼はその杖を取り上げ、ひび割れた持ち手をじっと見つめた。
「俺は……何が足りないんだ」
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窓の外では、美心が木箱を抱えて歩いているのが見えた。昼に失った荷物を彼女が取り戻したのだろう。誠人は胸の奥に熱いものが込み上げ、無言で杖を握りしめた。
そのとき――視界の端に奇妙なものが映った。杖の先端から淡い光の線がのび、部屋の壁をなぞるように震えている。
「……何だ、これ?」
誠人は目を凝らす。すると、壁と壁の間に微かな“裂け目”があることに気づいた。
光の線はその裂け目を縫うように揺らぎ、まるで道筋を示しているかのようだった。
その光景を見た瞬間、脳裏に何かが走った。幼い頃から時折感じていた違和感――目に見えない境界を読み取れる感覚。
「これが……俺の力?」
驚きと興奮で息が荒くなる。指先が震え、杖を持つ手に汗が滲む。
これは偶然ではない。目の前にある裂け目は、時間か空間のどちらかに存在する“縫い目”のように思えた。
誠人は深呼吸し、ゆっくりと裂け目に杖を向ける。
その瞬間、室内の空気がわずかに歪み、時間が一拍遅れたように感じた。
「これが……俺の起源結晶の力?」
心臓が跳ね上がった。自分には何もないと思っていた。それが今、ここに眠っていたのだ。
誠人は窓の外を見やり、心の中で誓った。
――次の試験、必ず受かる。この力で、俺は底辺から抜け出す。
夜が更けても、誠人は眠れなかった。裂け目を見たときの感覚が頭から離れず、心臓の鼓動が速いままだった。
机に座り、再び杖を手に取る。今度は意識して魔力を通そうとする。
すると、視界の端に淡い糸のような線が浮かび上がり、部屋の中を縫うように走っていくのが見えた。
「間違いない……これは俺だけに見えている」
その糸の行き着く先は、窓辺の古びた木箱だった。何気なく触れると、箱の隙間が勝手に開き、中から古い冒険者証が転がり落ちる。
父のものだ。
幼い頃に亡くなった父が、駆け出し冒険者として使っていた証。誠人はしばらく無言でそれを握りしめた。
「……父さん。俺、やっと一歩踏み出せるかもしれない」
朝日が差し込み始めた頃、誠人は立ち上がった。眠気よりも決意の方が強かった。
外に出ると、朝の市場に人々が集まり始めている。そこに、美心の姿があった。
「誠人、徹夜?」
「……まあな。でも、分かったんだ。俺にはまだやれることがある」
誠人の言葉に、美心は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。
「じゃあ、見せてよ。誠人が変わるところ」
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