24 / 26
第24話「炎上する森」
しおりを挟む
8月4日 午後10時45分。
朽網島・北端の密林地帯。島の最奥、地下深くで――轟音が響いた。
――ドンンッッッ!
地響きとともに、空が閃光に染まった。
直後、地下研究炉の位置を中心に、地表が赤黒く膨れ上がり、噴き出すように炎が吹き上がった。
〈キメラ藤〉の本巣ごと、核融合炉の内部が爆裂し、圧縮されていた蔓、胞子、燃料残渣が一斉に噴出したのだ。
「うわああああああっ!!」
森を走る一平が、焼けた風圧で転倒する。
「こっちだ!急げ!」
駈が叫び、倒れた一平を引き起こす。
背後のジャングルでは、寄生植物たちが断末魔のように蠢きながら燃えていた。
「道が、燃えてる!春花のルートマークが……!」
「覚えてる!こっちを信じて!」
乙葉が先頭を走り、迷いなくルートを選んでいく。
空には、火の粉が雪のように降っていた。
森全体が紅蓮の絨毯のように変貌し、立ち枯れた木々が爆ぜ、虫の巣穴が炎に焼かれ、地面ごと崩れ落ちていく。
「誠人……本当に、やったんだな」
駈の声が、震えていた。
「だからこそ、俺たちも――生きて帰らなきゃならない」
――カウントゼロは過ぎた。もう、後戻りはできない。
数百メートル先、海岸に係留されていた脱出用フェリーが見えてきた。
白い船体の一部は煤に染まり、側面にからみついていた蔓も、焼かれて崩れ落ちている。
「エンジン、動くか……」
駈は船倉に飛び込む。
すでに修理済みのスターターがうなり、重低音が海面を揺らした。
「動いた!!」
岸壁には、乙葉・悠・瑛美・春花・一平が次々と飛び乗ってくる。
「全員乗ったか!?」
「……ああ!」
「出すぞ!」
駈がクラッチを踏み込み、フェリーのプロペラが波を掻いた。
――その瞬間、背後で島の一角が陥没した。
ゴゴゴゴゴッ……
島中央の大地が、大鍋のように凹み、そのまま地下からの火柱が噴き上がる。
赤黒い光が夜空を裂き、光学迷彩のように地表を波打たせる。
〈キメラ藤〉のネットワークは、根ごと焼き切られていた。
「……終わった、のか?」
一平が呆然と呟く。
「いや」
悠が小さく首を振る。
「まだ、“生き残る”っていう最後の戦いが残ってる」
フェリーはゆっくりと、朽網島の岸から離れていった。
海面の上に広がる炎の反射が、沈黙する生存者たちの頬を照らしていた。
朽網島・北端の密林地帯。島の最奥、地下深くで――轟音が響いた。
――ドンンッッッ!
地響きとともに、空が閃光に染まった。
直後、地下研究炉の位置を中心に、地表が赤黒く膨れ上がり、噴き出すように炎が吹き上がった。
〈キメラ藤〉の本巣ごと、核融合炉の内部が爆裂し、圧縮されていた蔓、胞子、燃料残渣が一斉に噴出したのだ。
「うわああああああっ!!」
森を走る一平が、焼けた風圧で転倒する。
「こっちだ!急げ!」
駈が叫び、倒れた一平を引き起こす。
背後のジャングルでは、寄生植物たちが断末魔のように蠢きながら燃えていた。
「道が、燃えてる!春花のルートマークが……!」
「覚えてる!こっちを信じて!」
乙葉が先頭を走り、迷いなくルートを選んでいく。
空には、火の粉が雪のように降っていた。
森全体が紅蓮の絨毯のように変貌し、立ち枯れた木々が爆ぜ、虫の巣穴が炎に焼かれ、地面ごと崩れ落ちていく。
「誠人……本当に、やったんだな」
駈の声が、震えていた。
「だからこそ、俺たちも――生きて帰らなきゃならない」
――カウントゼロは過ぎた。もう、後戻りはできない。
数百メートル先、海岸に係留されていた脱出用フェリーが見えてきた。
白い船体の一部は煤に染まり、側面にからみついていた蔓も、焼かれて崩れ落ちている。
「エンジン、動くか……」
駈は船倉に飛び込む。
すでに修理済みのスターターがうなり、重低音が海面を揺らした。
「動いた!!」
岸壁には、乙葉・悠・瑛美・春花・一平が次々と飛び乗ってくる。
「全員乗ったか!?」
「……ああ!」
「出すぞ!」
駈がクラッチを踏み込み、フェリーのプロペラが波を掻いた。
――その瞬間、背後で島の一角が陥没した。
ゴゴゴゴゴッ……
島中央の大地が、大鍋のように凹み、そのまま地下からの火柱が噴き上がる。
赤黒い光が夜空を裂き、光学迷彩のように地表を波打たせる。
〈キメラ藤〉のネットワークは、根ごと焼き切られていた。
「……終わった、のか?」
一平が呆然と呟く。
「いや」
悠が小さく首を振る。
「まだ、“生き残る”っていう最後の戦いが残ってる」
フェリーはゆっくりと、朽網島の岸から離れていった。
海面の上に広がる炎の反射が、沈黙する生存者たちの頬を照らしていた。
0
あなたにおすすめの小説
まぼろしのミッドナイトスクール
木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
パンティージャムジャムおじさん
KOU/Vami
児童書・童話
夜の街に、歌いながら歩く奇妙なおじさんが現れる。
口癖は「パラダイス~☆♪♡」――名乗る名は「パンティージャムジャムおじさん」。
子供たちは笑いながら彼の後についていき、歌を真似し、踊り、列は少しずつ長くなる。
そして翌朝、街は初めて気づく。昨夜の歌が、ただの遊びではなかったことに。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる