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希良梨の家族
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希良梨は家でも関西弁ではなく標準語で話している。
希良梨って名前もキラキラネームぽくて初めて会う人には苗字が後藤なのでいつも苗字で呼んでほしいと頼んでいた。
希良梨の両親は2人とも関西生まれ関西育ちで父、輝明は昔はドヤンキーだった。関西の中では相当喧嘩が強く有名だった。仲間思いの友情大事にするタイプで上からも下からも慕われていた。そんな輝明が一目惚れをした綺羅も男顔負けの根性の強い女だった。一度、街で男達に声をかけられ、絡まれた時、綺羅のパンチで相手は脳震盪を起こしたくらいだった。綺羅はそんな強い女なのに綺麗な顔立ちで地元では評判の美人だった。
そんな2人が出会って結婚し、希良梨が産まれたが、輝明も綺羅もこのままじゃいけないと思い、輝明は関西だと元ヤンキーがバレるのを恐れて綺羅と産まれてすぐの希良梨を連れて東京に引っ越しした。奇跡的も会社員になれた輝明は関西弁も使わず、会社の同僚達には出身は名古屋と嘘をついていた。何としてでも元ヤンキーだとはバレてはいけない。
綺羅は家のすぐ近所のスーパーでパートで働いていた。あまり仲良くなると元ヤンキーというのがバレてしまいそうだったので働いている主婦達とも適度な距離をとっていた。綺羅も輝明同様、出身は名古屋だったといっていた。
希良梨はというと、元ヤンキーの両親の事は大好きだが、時代的にも今の世の中には元ヤンキーだったのがダサいと思っていた。普通の女の子で生きたいと切実に願っていた。希良梨は着ている格好もシンプルなシャツや無地のパンツなど、どこにでもいそうで、皆んなの中に紛れて目立たぬようにしていた。高校生活も髪の毛を一つに束ね、校則通りの制服の着方を守り、真面目で頭も良かった。友達も多くはないが数人はいてる。ただなかなか心の底から何でも話す友達はいてなかった。
3人家族の後藤家では家の中では希良梨以外の輝明と綺羅は関西弁だった。
父、輝明はコッテコテの関西弁で母、綺羅は口の悪い関西弁だった。希良梨はというと家中でも関西弁は使わず、標準語で話をしていた。
「希良梨も家でくらいは関西弁つこたらええねんでー!誰にも聞かれてへんねんから。パパはもう職場で標準語は慣れたけどやっぱりでんがなまんがなで話す方がしっくりくるんやけどなぁ。あ、でんがなまんがなって何かわからんやろ?教えたろか?」
そういって父が希良梨に缶ビールを飲みながら話しかけてきた。今日は金曜日の夜と言うこともあり、明日は休みなので上機嫌だ。
「でんがなまんがなって説明なくても何となくわかるけどねー。ってか関西弁ってそりゃあ嫌いじゃないんだけど、どうしても学校とか友達の前じゃ浮いちゃいそうでさー。ま、産まれてすぐに東京だったし標準語の方が慣れてるっちゃ慣れてるんだけどさ。」
希良梨は輝明が缶ビールを飲みながらつまみで食べてたスルメをひとつ摘んで食べた。とっても塩味が効いていて美味しい。すると綺羅も洗い物をしてる手を止めて輝明の飲みかけのビールを奪い一口飲んだ。
「希良梨はほんまようこんだけ家で関西弁で会話してんのに家でも標準語て、しんどないん?私やったら無理やわぁ。普段パートでは標準語やん?もう舌おかしなりそうで全然他のオバハンらとは絡む気せーへんわぁ。いや、でもみんなええ人らやねんで。オバハンやけどな。ほんでそう言うてる私ももうオバハンやけどな!アハハハハハ!」
綺羅は豪快に笑っていた。普段は寡黙な大人しい綺羅を演じてる反動なのか家ではよく爆笑している。
「来週から夏休みだしとりあえずまた3人でどっかいこうよ!パパもママも普段気を使って生きてるって感じなんでしょ?ま、私もそうだけど生まれてから東京育ちで2人よりこっちには慣れてるしね!息抜きに温泉でもいっちゃおうよ!」
希良梨が食べてたスルメを口に入れてもうひとつ手にスルメを持ってソファに座った。綺羅も洗い物の続きをしながら
「いいやーん!温泉!輝明!いこや!」
「そやな!ええやん!ほなまたええとこ探して予約しよ!希良梨の夏休みやもんな!楽しまなあかんがな!」
そういうと輝明は本日4本目の缶ビールを冷蔵庫から取り出した。
「それがでんがなまんがなのやつでしょ?ちょー関西弁‼︎って感じだよね」
3人は笑った。
希良梨は来週から夏休みで週明けに終業式があった。その終業式が終わると夏休みになり、希良梨は家族で旅行したり、まだ読めてなかった本を時間も気にせず読んだり、映画に一人でも行きたいとウキウキしていた。友達とは誘われたら断ることもできないし適当に時間を区切って数時間遊ぶ程度で付き合いすればいいかと思っていた。
そんな希良梨に終業式にある出来事がこの高校生活を激変させることになろうとは…。
希良梨って名前もキラキラネームぽくて初めて会う人には苗字が後藤なのでいつも苗字で呼んでほしいと頼んでいた。
希良梨の両親は2人とも関西生まれ関西育ちで父、輝明は昔はドヤンキーだった。関西の中では相当喧嘩が強く有名だった。仲間思いの友情大事にするタイプで上からも下からも慕われていた。そんな輝明が一目惚れをした綺羅も男顔負けの根性の強い女だった。一度、街で男達に声をかけられ、絡まれた時、綺羅のパンチで相手は脳震盪を起こしたくらいだった。綺羅はそんな強い女なのに綺麗な顔立ちで地元では評判の美人だった。
そんな2人が出会って結婚し、希良梨が産まれたが、輝明も綺羅もこのままじゃいけないと思い、輝明は関西だと元ヤンキーがバレるのを恐れて綺羅と産まれてすぐの希良梨を連れて東京に引っ越しした。奇跡的も会社員になれた輝明は関西弁も使わず、会社の同僚達には出身は名古屋と嘘をついていた。何としてでも元ヤンキーだとはバレてはいけない。
綺羅は家のすぐ近所のスーパーでパートで働いていた。あまり仲良くなると元ヤンキーというのがバレてしまいそうだったので働いている主婦達とも適度な距離をとっていた。綺羅も輝明同様、出身は名古屋だったといっていた。
希良梨はというと、元ヤンキーの両親の事は大好きだが、時代的にも今の世の中には元ヤンキーだったのがダサいと思っていた。普通の女の子で生きたいと切実に願っていた。希良梨は着ている格好もシンプルなシャツや無地のパンツなど、どこにでもいそうで、皆んなの中に紛れて目立たぬようにしていた。高校生活も髪の毛を一つに束ね、校則通りの制服の着方を守り、真面目で頭も良かった。友達も多くはないが数人はいてる。ただなかなか心の底から何でも話す友達はいてなかった。
3人家族の後藤家では家の中では希良梨以外の輝明と綺羅は関西弁だった。
父、輝明はコッテコテの関西弁で母、綺羅は口の悪い関西弁だった。希良梨はというと家中でも関西弁は使わず、標準語で話をしていた。
「希良梨も家でくらいは関西弁つこたらええねんでー!誰にも聞かれてへんねんから。パパはもう職場で標準語は慣れたけどやっぱりでんがなまんがなで話す方がしっくりくるんやけどなぁ。あ、でんがなまんがなって何かわからんやろ?教えたろか?」
そういって父が希良梨に缶ビールを飲みながら話しかけてきた。今日は金曜日の夜と言うこともあり、明日は休みなので上機嫌だ。
「でんがなまんがなって説明なくても何となくわかるけどねー。ってか関西弁ってそりゃあ嫌いじゃないんだけど、どうしても学校とか友達の前じゃ浮いちゃいそうでさー。ま、産まれてすぐに東京だったし標準語の方が慣れてるっちゃ慣れてるんだけどさ。」
希良梨は輝明が缶ビールを飲みながらつまみで食べてたスルメをひとつ摘んで食べた。とっても塩味が効いていて美味しい。すると綺羅も洗い物をしてる手を止めて輝明の飲みかけのビールを奪い一口飲んだ。
「希良梨はほんまようこんだけ家で関西弁で会話してんのに家でも標準語て、しんどないん?私やったら無理やわぁ。普段パートでは標準語やん?もう舌おかしなりそうで全然他のオバハンらとは絡む気せーへんわぁ。いや、でもみんなええ人らやねんで。オバハンやけどな。ほんでそう言うてる私ももうオバハンやけどな!アハハハハハ!」
綺羅は豪快に笑っていた。普段は寡黙な大人しい綺羅を演じてる反動なのか家ではよく爆笑している。
「来週から夏休みだしとりあえずまた3人でどっかいこうよ!パパもママも普段気を使って生きてるって感じなんでしょ?ま、私もそうだけど生まれてから東京育ちで2人よりこっちには慣れてるしね!息抜きに温泉でもいっちゃおうよ!」
希良梨が食べてたスルメを口に入れてもうひとつ手にスルメを持ってソファに座った。綺羅も洗い物の続きをしながら
「いいやーん!温泉!輝明!いこや!」
「そやな!ええやん!ほなまたええとこ探して予約しよ!希良梨の夏休みやもんな!楽しまなあかんがな!」
そういうと輝明は本日4本目の缶ビールを冷蔵庫から取り出した。
「それがでんがなまんがなのやつでしょ?ちょー関西弁‼︎って感じだよね」
3人は笑った。
希良梨は来週から夏休みで週明けに終業式があった。その終業式が終わると夏休みになり、希良梨は家族で旅行したり、まだ読めてなかった本を時間も気にせず読んだり、映画に一人でも行きたいとウキウキしていた。友達とは誘われたら断ることもできないし適当に時間を区切って数時間遊ぶ程度で付き合いすればいいかと思っていた。
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