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マリーの進化 3
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やけくそのマリーは、ビッグリザード達の方へ振り向いて魔法を発動した。
「『火球』『火球』『火球』!!」
火球を放ち一瞬動きを止めたが、まともなダメージになっていない。
ビッグリザード達は、脅威が無いと分かると、ジリジリとマリーに近寄っていく。
何なのもう、気持ち悪い!
「こっちに来ないで!『風刀』『氷槍』『雷撃』!!」
マリーは、思い付く限りの属性の魔法を使った。各々別の個体に直撃したものの、やはり高ランクだからか、ダメージが全然通らない。
ビッグリザード達は、マリーを嘲笑うかの様に長い舌をペロペロとしながら、更に近づいて来る。
1頭がマリーに飛びかかり、右腕に噛みついた。ギリギリと歯が食い込み、血が滴り落ちていく。
「痛い!放してー!」
噛みついたビッグリザードの鼻先を、ボコボコと杖で何度も叩き、怯んだ隙に何とか振り払った。
ズキズキする痛みと恐怖で涙が滲んできた。
異世界に来て、肉体的な痛みを感じるのはこれが初めてだった。これが私の今の現実なんだ。
だからって1人でこんなに強い魔物を倒すなんて無理に決まってるじゃん!!
「もうもうもう!もー知らない!『大爆発』!!」
頭の中にパッと浮かび上がったものを唱えた。ドッカーン!!と、採掘場全体を炎と爆風が包む、大きな爆発が起こった。
その威力は強く、ルークが採掘場に張った結界が無ければ、付近の街を破壊してしまうほどだった。
辺りには焦げ臭い匂いがたちこめている。煙が薄くなり視界が開けると、プスプスと音を立てる黒い物体が約30転がっていた。
「わ、私やったの……?」
もう動かないビッグリザードを見て、ガクッと腰が抜け、ヘタリと座り込んでしまった。
杖を持つ手はプルプルと震え、もう立てそうにない。
動けないし、これからどうやって帰れば良いの……?
帰りの事を悲観していると、マリーの頭上に2つの影がかかった。
「やれば出来るじゃ~ん。」
「お疲れさん。」
バッと顔を上げると、助けに来てくれなかった人達が立っていた。
マリーは安心して泣きそうになったのをグッと堪え、キッと睨み付けた。
「ルーク君!カイト!怖かったんだからね!私、本当にっ、死ぬかと思ったんだから……。だから!絶対、絶対何か奢ってよね!」
「はいはい。必死に頑張ったみたいだから、たまにはご褒美をあげるよ。」
泣きそうなマリーに、ルークが回復をかけてやる。
黒焦げのビッグリザードを全て、ルークが回収すると街へと戻った。
マリーが早く奢れと騒いだ為、ギルドへの達成報告は後にして、商店が建ち並ぶ通りを歩いていた。
フンフ~ン。今日はすっごく酷い目に合ったから、何を奢ってもらおうかな~。
マリーはご機嫌で、さっきまで腰が抜けてたとは思えない程足取りが軽かった。
「わぁー、これ可愛い!」
露店で目についたものを手に取った。ガラスビーズで作られた綺麗なブレスレットだ。
色がしっかりついてるのも良いけど、透け感があるのも良いなぁ。チャームはお花とか可愛いかも。あぁ、迷っちゃうなぁ。
その様子をカイトとルークは、5メートル程離れた所から眺めていた。
近くに居ない事に気づいたマリーが、ジトーッとした目で2人を見る。
「ちょっと2人とも!何でそんなに離れてるのよ!」
文句を言うと、2人は微笑んだ。
「何か犬みたいだぞ、お前。な、ルーク。」
「うん。恥ずかしいから仲間だと思われたくないよ、ね~?」
ルークとカイトは首を傾げ合った。
もうそうやってふざけて!それなら私だって考えがあるんだからね!
「そんな事言うなら、高い物にするからね!豪邸とかにしちゃうよ!ルーク君もカイトもお金持ちなんだし。」
「え~家は嫌だよ。ギルに買ってあげるんだから。」
「金持ちかは分からないが、並みの家を買えるくらいならあるかな。前職で稼いでそんなに使ってないから。」
冗談で言ったのに、本当に家買えるくらいあるなんて。羨まし過ぎるんだけど。
気を取り直して、今度は花屋の色とりどりの花に目を奪われた。中でも、ピンク色の花が気になる。顔を近づけると、ほのかに甘い香りがした。
花だったらそんなに高くないし、自分で買うより買ってもらった方が嬉しいから。
「ねぇルーク君、この花ーー」
「え?マリ?」
「あ、本当だ。何でここに居んの?」
同じ召喚者であるコウキ、トウマ、アリサが立っていた。
それはこっちのセリフなんだけど。もう会いたくなかったのに……。
魔法が使えない時の私に酷いことを言ったり、私だけ待遇が悪くなるように仕向けた人達だ。
面倒だから少し話して、さっさと帰ってもらおう。
「私は依頼が終わったから、買い物してたの。」
いつもしていた愛想笑いを作って話した。
「へえ、冒険者出来てんの?弱っちいから心配してたんだよ?良ければ俺が飼ってやろうか?」
「それいいね。俺もやらせてもらおうかな。」
コウキ、トウマの下品な笑いに、王宮に居た時を思い出して、左腕を右手でギュッと掴んだ。
「あんた達はもうっ。で、あんたは1人でやってんの?」
「仲間が3人居るよ。」
「ふ~ん。ま、どうせ仲間も弱いんでしょ?あんたを仲間にするぐらいなんだから。あ、体使って置いてもらってる?」
そうだった、こうやってフォローに見せかけて、いつもアリサが一番酷い事を私に言ってた。この人達は全然変わらないな……。
「私はそんなことしてないし、仲間は強い人達だよ。魔法も教えてもらって使えるようになったし。私だって強くなったんだから。」
「全然見えねえ!仲間が居るなら今呼んでみろよ。ちゃんと存在するか見てやるからさ。」
「ひでぇな!妄想だって言いたいのか?」
ゲラゲラと下品で大きな笑い声。頭にガンガン響いて、何も考えられなくなってくる。
本当なのに。ちゃんと仲間が居て、魔法だって使えるのに……。
「『火球』『火球』『火球』!!」
火球を放ち一瞬動きを止めたが、まともなダメージになっていない。
ビッグリザード達は、脅威が無いと分かると、ジリジリとマリーに近寄っていく。
何なのもう、気持ち悪い!
「こっちに来ないで!『風刀』『氷槍』『雷撃』!!」
マリーは、思い付く限りの属性の魔法を使った。各々別の個体に直撃したものの、やはり高ランクだからか、ダメージが全然通らない。
ビッグリザード達は、マリーを嘲笑うかの様に長い舌をペロペロとしながら、更に近づいて来る。
1頭がマリーに飛びかかり、右腕に噛みついた。ギリギリと歯が食い込み、血が滴り落ちていく。
「痛い!放してー!」
噛みついたビッグリザードの鼻先を、ボコボコと杖で何度も叩き、怯んだ隙に何とか振り払った。
ズキズキする痛みと恐怖で涙が滲んできた。
異世界に来て、肉体的な痛みを感じるのはこれが初めてだった。これが私の今の現実なんだ。
だからって1人でこんなに強い魔物を倒すなんて無理に決まってるじゃん!!
「もうもうもう!もー知らない!『大爆発』!!」
頭の中にパッと浮かび上がったものを唱えた。ドッカーン!!と、採掘場全体を炎と爆風が包む、大きな爆発が起こった。
その威力は強く、ルークが採掘場に張った結界が無ければ、付近の街を破壊してしまうほどだった。
辺りには焦げ臭い匂いがたちこめている。煙が薄くなり視界が開けると、プスプスと音を立てる黒い物体が約30転がっていた。
「わ、私やったの……?」
もう動かないビッグリザードを見て、ガクッと腰が抜け、ヘタリと座り込んでしまった。
杖を持つ手はプルプルと震え、もう立てそうにない。
動けないし、これからどうやって帰れば良いの……?
帰りの事を悲観していると、マリーの頭上に2つの影がかかった。
「やれば出来るじゃ~ん。」
「お疲れさん。」
バッと顔を上げると、助けに来てくれなかった人達が立っていた。
マリーは安心して泣きそうになったのをグッと堪え、キッと睨み付けた。
「ルーク君!カイト!怖かったんだからね!私、本当にっ、死ぬかと思ったんだから……。だから!絶対、絶対何か奢ってよね!」
「はいはい。必死に頑張ったみたいだから、たまにはご褒美をあげるよ。」
泣きそうなマリーに、ルークが回復をかけてやる。
黒焦げのビッグリザードを全て、ルークが回収すると街へと戻った。
マリーが早く奢れと騒いだ為、ギルドへの達成報告は後にして、商店が建ち並ぶ通りを歩いていた。
フンフ~ン。今日はすっごく酷い目に合ったから、何を奢ってもらおうかな~。
マリーはご機嫌で、さっきまで腰が抜けてたとは思えない程足取りが軽かった。
「わぁー、これ可愛い!」
露店で目についたものを手に取った。ガラスビーズで作られた綺麗なブレスレットだ。
色がしっかりついてるのも良いけど、透け感があるのも良いなぁ。チャームはお花とか可愛いかも。あぁ、迷っちゃうなぁ。
その様子をカイトとルークは、5メートル程離れた所から眺めていた。
近くに居ない事に気づいたマリーが、ジトーッとした目で2人を見る。
「ちょっと2人とも!何でそんなに離れてるのよ!」
文句を言うと、2人は微笑んだ。
「何か犬みたいだぞ、お前。な、ルーク。」
「うん。恥ずかしいから仲間だと思われたくないよ、ね~?」
ルークとカイトは首を傾げ合った。
もうそうやってふざけて!それなら私だって考えがあるんだからね!
「そんな事言うなら、高い物にするからね!豪邸とかにしちゃうよ!ルーク君もカイトもお金持ちなんだし。」
「え~家は嫌だよ。ギルに買ってあげるんだから。」
「金持ちかは分からないが、並みの家を買えるくらいならあるかな。前職で稼いでそんなに使ってないから。」
冗談で言ったのに、本当に家買えるくらいあるなんて。羨まし過ぎるんだけど。
気を取り直して、今度は花屋の色とりどりの花に目を奪われた。中でも、ピンク色の花が気になる。顔を近づけると、ほのかに甘い香りがした。
花だったらそんなに高くないし、自分で買うより買ってもらった方が嬉しいから。
「ねぇルーク君、この花ーー」
「え?マリ?」
「あ、本当だ。何でここに居んの?」
同じ召喚者であるコウキ、トウマ、アリサが立っていた。
それはこっちのセリフなんだけど。もう会いたくなかったのに……。
魔法が使えない時の私に酷いことを言ったり、私だけ待遇が悪くなるように仕向けた人達だ。
面倒だから少し話して、さっさと帰ってもらおう。
「私は依頼が終わったから、買い物してたの。」
いつもしていた愛想笑いを作って話した。
「へえ、冒険者出来てんの?弱っちいから心配してたんだよ?良ければ俺が飼ってやろうか?」
「それいいね。俺もやらせてもらおうかな。」
コウキ、トウマの下品な笑いに、王宮に居た時を思い出して、左腕を右手でギュッと掴んだ。
「あんた達はもうっ。で、あんたは1人でやってんの?」
「仲間が3人居るよ。」
「ふ~ん。ま、どうせ仲間も弱いんでしょ?あんたを仲間にするぐらいなんだから。あ、体使って置いてもらってる?」
そうだった、こうやってフォローに見せかけて、いつもアリサが一番酷い事を私に言ってた。この人達は全然変わらないな……。
「私はそんなことしてないし、仲間は強い人達だよ。魔法も教えてもらって使えるようになったし。私だって強くなったんだから。」
「全然見えねえ!仲間が居るなら今呼んでみろよ。ちゃんと存在するか見てやるからさ。」
「ひでぇな!妄想だって言いたいのか?」
ゲラゲラと下品で大きな笑い声。頭にガンガン響いて、何も考えられなくなってくる。
本当なのに。ちゃんと仲間が居て、魔法だって使えるのに……。
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