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父親なんて認めない!1
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「母さん、おはよう。」
「おはよう、アル。丁度ご飯出来たわよ。」
美味しそうな匂いに、お腹がグゥーッと鳴った。
「早く食べないと。今日も学校あるんだからね。」
「うん、あいつら待たせるとうるさいしね。」
母さんに、今日の予定を話しながら食べた。ココアを一気に飲むと、リュックを背負い飛び出した。
「いってきま~す!」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
ここは王都の隣にある街、ラビト。物価が安く、利便性も良い。住む人も、旅人や商人も多く、常に賑わいがある。
僕は10歳になった。母さんと2人で暮らしていて、父さんは居ない。僕が産まれる前に事故で亡くなったらしい。
母さんは、この街のパン屋で、朝から夕方まで働いて、僕を育ててくれている。
今の住んでる家は、パン屋の夫婦から借りている。奥さんの親が住んでた家を、古くても良ければと、家賃無しで貸してくれた。パン屋の夫婦は優しくて、いつも食材や日用品を分けてくれる。
学校を卒業した後、仕事が見つからなければ、うちに来いとも言ってくれた。
今は母さんの為に、しっかり勉強を頑張ろう。
「お~いアル!」
「皆おはよう~!」
友達の3人とは、いつも一緒だ。背が高いカート、小柄なヨッシ、頭が良いメガネのマルク。
学校は家から歩いて10分と近く、この街の子どもがほとんど通う。貴族や商人、お金持ちの子どもは、王都の学校へ馬車で通っているらしい。僕は平民で、身近に貴族なんて居ないから、良く分からないけど。
今日も仲良く話ながら、学校に登校した。
学校では、たくさんの事を学んでいる。身近な事から、一生使わないような事まで。色々な事を学べるのは、すごく楽しい。特に好きなのは、剣術の時間だ。友達と戦って、勝ったり負けたりしながら、少しずつ強くなってるのが分かるから。
お昼は、友達と中庭に出て、母さんが作ってくれたサンドイッチを食べる。時間がくるまで話したり、ふざけて遊んだり。
午後はいつも眠気に耐えながら、夕方まで授業を受ける。
帰りはまた友達と、話しながら帰る。朝と違い、僕は途中で別れて、母さんの働くパン屋へ。パン屋の夫婦に元気な顔を見せて、仕事が終わるのを待つ。そして、母さんと一緒に家に帰るのが日課だ。
その後は、夜ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、宿題をしたりして、早めに寝る。
僕は、割りと恵まれていると思う。神様に感謝だ。
今日も学校で授業を受けていた。3時限目の歴史の授業中、お腹も空いてきた頃だった。
バン!と、教室の扉が大きな音を立てて開けられた。
「アルフォンスという生徒は居るか!」
「あ、はい、僕です!」
「君か、お母さんが倒れたと連絡があった。すぐ病院へ行きなさい。」
「え…?」
あまり理解出来ないまま、先生が手配してくれた馬車で病院へ向かった。
入口で場所を確認して、少し躊躇ってノックをして、病室に入った。
「母さん?」
「ああ、アル!ごめんね、ビックリさせちゃって。」
ベッドに横になってるけど、元気そうに見える。倒れたって、どこが悪いんだろう?
母さんは、僕の手を握り、話し始めた。
「アル、良く聞いて。私は病気なの。手術には大金が必要で、とてもじゃないけど出来ないの。だから、長くは生きられないの…。」
「え?な、何言ってるの…?」
戸惑う僕の目を見て、話を続けた。
「今後の事は、アルの父親に頼んだから、頑張るのよ。」
「は?父さんは病気でーー」
「失礼する。」
扉が開き、長身の男が入って来た。僕と同じ、黒髪に青色の目をしている。男は僕を見下ろし、母さんを睨み付けた。
「マリア。今更どういうつもりだ。」
男は、冷たく低い声で、母さんに詰め寄った。
「ウォード、私はもう長くないの。だからあなたに、この子の生活を保証して欲しいの。」
「ふざけるな!こんな所に呼び出して、俺には何の義理もない!」
怒鳴り声が怖くて、身体が震えた。母さんは、何とも思っていないようで、静かに男を睨んだ。
「勘違いしないで。手紙にも書いたでしょ?私は貴方を脅迫してるの。あなたの酷い行いが広められたくなければ、私の要求を聞く事よ。要求を聞かなければ、複数の人間から出版社に情報が行く手筈になってるから。」
「…くそ!」
男は、拳を壁にガンッと叩きつけた。
「母さん、どういう事?この人誰なの?」
「アル、一応あなたの父親よ。でも、この人は子どもが出来たのを認めなくて、私は捨てられたの。だから、アルは私だけの子よ。」
母さんは、優しい笑顔で僕の頭を撫でた。
「しばらくは、ウォードに保証してもらうから。成人したら、アルの好きなように生きなさいね。」
母さんは、目に涙を溜め、泣きそうな声で言った。
「母さん…。」
そんな、もう会えないみたいに言わないで欲しい。僕も泣きそうになった。
母さんは、また男を睨むと、
「ウォード、頼んだわよ。」
「…行くぞ。」
男に腕を引かれ、病室から連れ出された。最後に少し見えた母さんの顔は、優しい笑顔だった。
「おはよう、アル。丁度ご飯出来たわよ。」
美味しそうな匂いに、お腹がグゥーッと鳴った。
「早く食べないと。今日も学校あるんだからね。」
「うん、あいつら待たせるとうるさいしね。」
母さんに、今日の予定を話しながら食べた。ココアを一気に飲むと、リュックを背負い飛び出した。
「いってきま~す!」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
ここは王都の隣にある街、ラビト。物価が安く、利便性も良い。住む人も、旅人や商人も多く、常に賑わいがある。
僕は10歳になった。母さんと2人で暮らしていて、父さんは居ない。僕が産まれる前に事故で亡くなったらしい。
母さんは、この街のパン屋で、朝から夕方まで働いて、僕を育ててくれている。
今の住んでる家は、パン屋の夫婦から借りている。奥さんの親が住んでた家を、古くても良ければと、家賃無しで貸してくれた。パン屋の夫婦は優しくて、いつも食材や日用品を分けてくれる。
学校を卒業した後、仕事が見つからなければ、うちに来いとも言ってくれた。
今は母さんの為に、しっかり勉強を頑張ろう。
「お~いアル!」
「皆おはよう~!」
友達の3人とは、いつも一緒だ。背が高いカート、小柄なヨッシ、頭が良いメガネのマルク。
学校は家から歩いて10分と近く、この街の子どもがほとんど通う。貴族や商人、お金持ちの子どもは、王都の学校へ馬車で通っているらしい。僕は平民で、身近に貴族なんて居ないから、良く分からないけど。
今日も仲良く話ながら、学校に登校した。
学校では、たくさんの事を学んでいる。身近な事から、一生使わないような事まで。色々な事を学べるのは、すごく楽しい。特に好きなのは、剣術の時間だ。友達と戦って、勝ったり負けたりしながら、少しずつ強くなってるのが分かるから。
お昼は、友達と中庭に出て、母さんが作ってくれたサンドイッチを食べる。時間がくるまで話したり、ふざけて遊んだり。
午後はいつも眠気に耐えながら、夕方まで授業を受ける。
帰りはまた友達と、話しながら帰る。朝と違い、僕は途中で別れて、母さんの働くパン屋へ。パン屋の夫婦に元気な顔を見せて、仕事が終わるのを待つ。そして、母さんと一緒に家に帰るのが日課だ。
その後は、夜ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、宿題をしたりして、早めに寝る。
僕は、割りと恵まれていると思う。神様に感謝だ。
今日も学校で授業を受けていた。3時限目の歴史の授業中、お腹も空いてきた頃だった。
バン!と、教室の扉が大きな音を立てて開けられた。
「アルフォンスという生徒は居るか!」
「あ、はい、僕です!」
「君か、お母さんが倒れたと連絡があった。すぐ病院へ行きなさい。」
「え…?」
あまり理解出来ないまま、先生が手配してくれた馬車で病院へ向かった。
入口で場所を確認して、少し躊躇ってノックをして、病室に入った。
「母さん?」
「ああ、アル!ごめんね、ビックリさせちゃって。」
ベッドに横になってるけど、元気そうに見える。倒れたって、どこが悪いんだろう?
母さんは、僕の手を握り、話し始めた。
「アル、良く聞いて。私は病気なの。手術には大金が必要で、とてもじゃないけど出来ないの。だから、長くは生きられないの…。」
「え?な、何言ってるの…?」
戸惑う僕の目を見て、話を続けた。
「今後の事は、アルの父親に頼んだから、頑張るのよ。」
「は?父さんは病気でーー」
「失礼する。」
扉が開き、長身の男が入って来た。僕と同じ、黒髪に青色の目をしている。男は僕を見下ろし、母さんを睨み付けた。
「マリア。今更どういうつもりだ。」
男は、冷たく低い声で、母さんに詰め寄った。
「ウォード、私はもう長くないの。だからあなたに、この子の生活を保証して欲しいの。」
「ふざけるな!こんな所に呼び出して、俺には何の義理もない!」
怒鳴り声が怖くて、身体が震えた。母さんは、何とも思っていないようで、静かに男を睨んだ。
「勘違いしないで。手紙にも書いたでしょ?私は貴方を脅迫してるの。あなたの酷い行いが広められたくなければ、私の要求を聞く事よ。要求を聞かなければ、複数の人間から出版社に情報が行く手筈になってるから。」
「…くそ!」
男は、拳を壁にガンッと叩きつけた。
「母さん、どういう事?この人誰なの?」
「アル、一応あなたの父親よ。でも、この人は子どもが出来たのを認めなくて、私は捨てられたの。だから、アルは私だけの子よ。」
母さんは、優しい笑顔で僕の頭を撫でた。
「しばらくは、ウォードに保証してもらうから。成人したら、アルの好きなように生きなさいね。」
母さんは、目に涙を溜め、泣きそうな声で言った。
「母さん…。」
そんな、もう会えないみたいに言わないで欲しい。僕も泣きそうになった。
母さんは、また男を睨むと、
「ウォード、頼んだわよ。」
「…行くぞ。」
男に腕を引かれ、病室から連れ出された。最後に少し見えた母さんの顔は、優しい笑顔だった。
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