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第4章 青い竜の村
91話 会いにいくんだ
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ユリウスとやりあってから三日たった。
今のところはまた襲われたとか、そういうことはねえ。
「なあ、カルロ」
「どうしたのさ」
「外行ってもいいか?」
「ダメ」
ヒマだ、どうしようもないくらいヒマだ。
キズがひどいだの、縫ったからだのと言われてあちこち布を巻かれて、ヒマだから剣でも振るおうかと思ったら止められて……今はカルロがオレのことを見張りながら、ルクレツィアからの仕事をやっている。
こんなキズ、血が止まってりゃそれでいいだろ。
「小さい子供じゃないんだから、ワガママ言わずに治るまで大人しくしてろよ」
「でもな、飯食う以外にやることないっての、本当にヒマなんだぞ」
「じゃあ、おれの仕事でも手伝う?」
カルロの仕事って、何か文字呼んで文字書いたりするやつだよな。
ルクレツィアに来た手紙とかいう文字がたくさん書かれた紙を見て、別の紙に何か文字を書くを繰り返してる。
「無理だな。オレ、字読めねえ」
「じゃあ、大人しく寝てなよ。
飯が来たら起こすからさ」
「そう言うんじゃなくて動いてないとなんつうか、体がなまるっつうか」
剣も振れない、魔砲も撃てないじゃ、戦い方を忘れちまいそうだ。
「ゴーヴァン、ニイちゃんが大人しくしてるんなら散歩くらい許してもらえるんだろうけど、ガーウェイ、ニイちゃんと剣の稽古しようとしたりするからな。
ケガしてるんだし、次にアイツが来た時のためって思って、今は休んどけばいいじゃん」
カルロの言うことは正しいんだろうけど、ヒマなものはヒマだ。
あ、そうだ。
「カルロ、散歩になら行っていいんだよな?」
「ただ歩くだけなら……て、どこ行く気だよ」
「レーテに会いにいくんだ」
「オイ、レーテ。いるか?」
扉を押し開け、部屋の中を見渡す。
ベッドの上で丸くなって、じっとしているのが見えた。
オレのことを呆然と見てるヤツらを無視して、動かないレーテを抱きかかえる。
ただでさえ白い顔の眉間にシワを浮かべて、オレの方へ顔を動かす。
何したら、そんな顔になるんだ。
「待て、それをどこへ連れて行く気だ!」
それ、だ?
何かを言い返す気も、次の言葉を聞くきもなかった。
無言でいま喋ったヤツの鼻っ面を殴ってた。
「人のこと、物扱いしてんじゃねえぞ」
他のヤツらを軽く睨みつける。
何人かは手にワンド持って、オレに向けて構えていた。
「やるってんならやってやらぁ。その代わり、骨の二、三本で済むと思ってんじゃねえぞ」
「やれやれ、随分と乱暴なものだね」
お、喋れるくらいにはなったか。
「どうしてここに居るのだね」
「オメェを連れに来たからに決まってんだろ」
他に理由があるってのか?
「私は昼の短い時間、会って話せるだけでも十分だったのだけどね」
「オメェが物みたいに扱われてねえか、気になってただけだ。
人として扱われたんだったら飯に誘って帰るつもりだったけど、さっき殴ったヤツの言い方で決めた。連れて帰る」
部屋の中にいるヤツらを睨んでやる。
「テメェら、さっきも言ったがオレは武器構えて戦うやつに手加減はしねえ。
今ワンド構えてるヤツ、両腕へし折られる程度は覚悟があるってことだな」
レーテを一度下ろし、飛びかかれるよう低く構える。
今ワンドを持っているヤツらの位置、距離、体の大きさを頭に叩き込む。
数は六、一番近いヤツなら魔術を使うより速く掴みかかれる。どいつもオレより体は小さい。
「射抜げっ」
一番近いヤツの喉を潰すつもりで握り、ワンドを持った方の腕を脇に抱えて一気に捻じり上げ、へし折る。
耳が痛くなるような声を上げるが、腕の一本くらいでうるせえな。
だがそのおかげで、他のヤツらが怯んでくれた。
腕を折ったヤツを盾代わりにして、次に近いヤツの腹に蹴りを一撃。体を折ったところで頭を掴んで、顔面に膝を叩き込む。
あと四人。
「っだりゃああぁぁあぁああ!」
盾代わりにしてたヤツを勢いをつけて、一番離れたヤツに投げつける。
身軽になった瞬間、近いヤツの懐に飛び込んで顎に拳を叩き込む。
魔術師とやり合う場合はどうすればいいのか、ユリウスにボロボロにされてよくわかった。
魔術を使うにはワンドを振るうことと、何か言葉を言う必要があるってことだ。
ようは腕と口を潰しちまえばいい。
狙うのはワンドを持った方の腕と顔面、それと喉に胸だ。
以外に弱点多いんだな、魔術師ってのは。
「次っ!」
残ったやつで次に狙うのは、一番細いやつだ。
一気に距離を詰めて、拳を引き絞る。
「食らいつけ鉄蛇っ!」
「なっ!?」
何で鎖がいきなり巻き付いてきやがるんだ!?
「ゴーヴァン、何をやってるんだ!
お前たちもワンドを捨てろ!」
「ルクレツィア! テメェ、なに邪魔しやがる!」
「邪魔しやがる、じゃないだろう! 殺すつもりか!」
なに言ってやがるんだ、コイツ?
「自分から武器構えて戦うんだ、殺すか殺されるかなんて当たり前だろうが」
何だ? 何でルクレツィアのヤツため息なんか吐いてやがる。
「カルロに話を聞いてきてみればこんな事になってるなんて……頭が痛い」
「いいからこの鎖解け! 何にも出来ねえだろうが!」
何だよこの鎖、体に力入れても全然動かねえ。
「誰が解くか!
お前たちは倒れてる奴らを治療院に連れて行くんだ。
この暴れ竜は私が連れて行く」
だあぁ、クソっ! こんだけ力入れてんのに、この鎖全然ゆるくならねえ!
「レーテ君、君も私と一緒に来てくれ」
今のところはまた襲われたとか、そういうことはねえ。
「なあ、カルロ」
「どうしたのさ」
「外行ってもいいか?」
「ダメ」
ヒマだ、どうしようもないくらいヒマだ。
キズがひどいだの、縫ったからだのと言われてあちこち布を巻かれて、ヒマだから剣でも振るおうかと思ったら止められて……今はカルロがオレのことを見張りながら、ルクレツィアからの仕事をやっている。
こんなキズ、血が止まってりゃそれでいいだろ。
「小さい子供じゃないんだから、ワガママ言わずに治るまで大人しくしてろよ」
「でもな、飯食う以外にやることないっての、本当にヒマなんだぞ」
「じゃあ、おれの仕事でも手伝う?」
カルロの仕事って、何か文字呼んで文字書いたりするやつだよな。
ルクレツィアに来た手紙とかいう文字がたくさん書かれた紙を見て、別の紙に何か文字を書くを繰り返してる。
「無理だな。オレ、字読めねえ」
「じゃあ、大人しく寝てなよ。
飯が来たら起こすからさ」
「そう言うんじゃなくて動いてないとなんつうか、体がなまるっつうか」
剣も振れない、魔砲も撃てないじゃ、戦い方を忘れちまいそうだ。
「ゴーヴァン、ニイちゃんが大人しくしてるんなら散歩くらい許してもらえるんだろうけど、ガーウェイ、ニイちゃんと剣の稽古しようとしたりするからな。
ケガしてるんだし、次にアイツが来た時のためって思って、今は休んどけばいいじゃん」
カルロの言うことは正しいんだろうけど、ヒマなものはヒマだ。
あ、そうだ。
「カルロ、散歩になら行っていいんだよな?」
「ただ歩くだけなら……て、どこ行く気だよ」
「レーテに会いにいくんだ」
「オイ、レーテ。いるか?」
扉を押し開け、部屋の中を見渡す。
ベッドの上で丸くなって、じっとしているのが見えた。
オレのことを呆然と見てるヤツらを無視して、動かないレーテを抱きかかえる。
ただでさえ白い顔の眉間にシワを浮かべて、オレの方へ顔を動かす。
何したら、そんな顔になるんだ。
「待て、それをどこへ連れて行く気だ!」
それ、だ?
何かを言い返す気も、次の言葉を聞くきもなかった。
無言でいま喋ったヤツの鼻っ面を殴ってた。
「人のこと、物扱いしてんじゃねえぞ」
他のヤツらを軽く睨みつける。
何人かは手にワンド持って、オレに向けて構えていた。
「やるってんならやってやらぁ。その代わり、骨の二、三本で済むと思ってんじゃねえぞ」
「やれやれ、随分と乱暴なものだね」
お、喋れるくらいにはなったか。
「どうしてここに居るのだね」
「オメェを連れに来たからに決まってんだろ」
他に理由があるってのか?
「私は昼の短い時間、会って話せるだけでも十分だったのだけどね」
「オメェが物みたいに扱われてねえか、気になってただけだ。
人として扱われたんだったら飯に誘って帰るつもりだったけど、さっき殴ったヤツの言い方で決めた。連れて帰る」
部屋の中にいるヤツらを睨んでやる。
「テメェら、さっきも言ったがオレは武器構えて戦うやつに手加減はしねえ。
今ワンド構えてるヤツ、両腕へし折られる程度は覚悟があるってことだな」
レーテを一度下ろし、飛びかかれるよう低く構える。
今ワンドを持っているヤツらの位置、距離、体の大きさを頭に叩き込む。
数は六、一番近いヤツなら魔術を使うより速く掴みかかれる。どいつもオレより体は小さい。
「射抜げっ」
一番近いヤツの喉を潰すつもりで握り、ワンドを持った方の腕を脇に抱えて一気に捻じり上げ、へし折る。
耳が痛くなるような声を上げるが、腕の一本くらいでうるせえな。
だがそのおかげで、他のヤツらが怯んでくれた。
腕を折ったヤツを盾代わりにして、次に近いヤツの腹に蹴りを一撃。体を折ったところで頭を掴んで、顔面に膝を叩き込む。
あと四人。
「っだりゃああぁぁあぁああ!」
盾代わりにしてたヤツを勢いをつけて、一番離れたヤツに投げつける。
身軽になった瞬間、近いヤツの懐に飛び込んで顎に拳を叩き込む。
魔術師とやり合う場合はどうすればいいのか、ユリウスにボロボロにされてよくわかった。
魔術を使うにはワンドを振るうことと、何か言葉を言う必要があるってことだ。
ようは腕と口を潰しちまえばいい。
狙うのはワンドを持った方の腕と顔面、それと喉に胸だ。
以外に弱点多いんだな、魔術師ってのは。
「次っ!」
残ったやつで次に狙うのは、一番細いやつだ。
一気に距離を詰めて、拳を引き絞る。
「食らいつけ鉄蛇っ!」
「なっ!?」
何で鎖がいきなり巻き付いてきやがるんだ!?
「ゴーヴァン、何をやってるんだ!
お前たちもワンドを捨てろ!」
「ルクレツィア! テメェ、なに邪魔しやがる!」
「邪魔しやがる、じゃないだろう! 殺すつもりか!」
なに言ってやがるんだ、コイツ?
「自分から武器構えて戦うんだ、殺すか殺されるかなんて当たり前だろうが」
何だ? 何でルクレツィアのヤツため息なんか吐いてやがる。
「カルロに話を聞いてきてみればこんな事になってるなんて……頭が痛い」
「いいからこの鎖解け! 何にも出来ねえだろうが!」
何だよこの鎖、体に力入れても全然動かねえ。
「誰が解くか!
お前たちは倒れてる奴らを治療院に連れて行くんだ。
この暴れ竜は私が連れて行く」
だあぁ、クソっ! こんだけ力入れてんのに、この鎖全然ゆるくならねえ!
「レーテ君、君も私と一緒に来てくれ」
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