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第16話 初めての摂食 1
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「まあ、最初からいかがわしい行為をするのは抵抗があるだろう。とりあえず、口付けからしてみないか」
「くち……」
「それで結果が出なければ、私の提案は却下すれば良い」
俺はちらりとロワを見る。
確かに。それくらいなら彼の仮説が間違いでも、すぐに引き返せる。
「分かった。やってみよう」
「じゃあ、目を閉じろ」
言われるがままに目を閉じると、ロワが動く気配がして躊躇いもなく唇が重ねられた。
異性との接触を極力避けていた俺にとって、これが人生初の接吻だ。
「んっ……」
彼の薄い唇が啄ばむように、俺の唇を食んだ。
今のところ不快………では無い。
ただ不思議な感情だった。ごく一部とは言え、他人に身体の接触を許している。
ふわふわとして、思考がおぼつかなくなってくる。
「っ!?」
まさにそんな無防備な状態を狙って、ロワの舌が唇を割り、ぬるりと口内に入り込んで来た。
「ちょ、うっ! んっ——!!」
抗議しようとすれば、さらに口を開ける形になって、侵入を許してしまった。
「ンッッ、ふっ、んぅ………っ」
口内を蹂躙され、息苦しさにフガフガと鼻で息をする。
抵抗しようとロワの腕を掴めば抱き寄せられ、却って互いの裸の胸が密着してしまう。
ドキドキと踊る鼓動はどちらのものか。
息苦しさのせいか、頭に血が上ってぼうっとする。
鈍くなった思考の隙を突き口付けは深くなり、口の端からだらしなく、どちらの物か分からない飲み込めなかった唾液が垂れる。
「はっ! はぁ、はぁ、ハッ……………ふぅ……」
永遠に続くかと思われた接吻から解放された時、俺はもう息も絶え絶えとなっていた。
「く、口付けがこんな苦行だとは聞いてない!!」
「お前がちゃんと息をしないからだろう。冒険者カードを見せてみろ」
俺の抗議にもヤツはどこ吹く風で、了承も得ずに俺のカードに手を伸ばした。
「———やっぱりだ」
そして悪巧みが成功したような顔でニンマリ笑う。
え? まさか、本当に?
ロワに返してもらった冒険者カードに、恐る恐る視線を落とす。
今まで『レベル10』からピクリとも動かなかった数字が、接吻ごときで上がるはずが———
「……………………………上がってる、しかも2つも!!??」
目の前の現実が信じられない。
俺のレベルを示す数字は『12』になっていた。
あれほど何をしたって動かなかった数字が、こんな事で!?
「私の言ったとおりだな。口付けだけでこれだけ上がったんだ。もっと先の行為をすれば、どうなるか……………ここで止めるか?」
意地悪くロワが俺に訊ねた。
答えなんて決まっている。
目の前に積み上げられた数字に比べれば、俺の貞操なんて安いものだ。
唾を飲み込み、覚悟を決めた。
「…………………………………やる」
俺の答えに返ってきたのは、美し過ぎていっそ禍々しい程の、ロワの満面の笑みだった。
「くち……」
「それで結果が出なければ、私の提案は却下すれば良い」
俺はちらりとロワを見る。
確かに。それくらいなら彼の仮説が間違いでも、すぐに引き返せる。
「分かった。やってみよう」
「じゃあ、目を閉じろ」
言われるがままに目を閉じると、ロワが動く気配がして躊躇いもなく唇が重ねられた。
異性との接触を極力避けていた俺にとって、これが人生初の接吻だ。
「んっ……」
彼の薄い唇が啄ばむように、俺の唇を食んだ。
今のところ不快………では無い。
ただ不思議な感情だった。ごく一部とは言え、他人に身体の接触を許している。
ふわふわとして、思考がおぼつかなくなってくる。
「っ!?」
まさにそんな無防備な状態を狙って、ロワの舌が唇を割り、ぬるりと口内に入り込んで来た。
「ちょ、うっ! んっ——!!」
抗議しようとすれば、さらに口を開ける形になって、侵入を許してしまった。
「ンッッ、ふっ、んぅ………っ」
口内を蹂躙され、息苦しさにフガフガと鼻で息をする。
抵抗しようとロワの腕を掴めば抱き寄せられ、却って互いの裸の胸が密着してしまう。
ドキドキと踊る鼓動はどちらのものか。
息苦しさのせいか、頭に血が上ってぼうっとする。
鈍くなった思考の隙を突き口付けは深くなり、口の端からだらしなく、どちらの物か分からない飲み込めなかった唾液が垂れる。
「はっ! はぁ、はぁ、ハッ……………ふぅ……」
永遠に続くかと思われた接吻から解放された時、俺はもう息も絶え絶えとなっていた。
「く、口付けがこんな苦行だとは聞いてない!!」
「お前がちゃんと息をしないからだろう。冒険者カードを見せてみろ」
俺の抗議にもヤツはどこ吹く風で、了承も得ずに俺のカードに手を伸ばした。
「———やっぱりだ」
そして悪巧みが成功したような顔でニンマリ笑う。
え? まさか、本当に?
ロワに返してもらった冒険者カードに、恐る恐る視線を落とす。
今まで『レベル10』からピクリとも動かなかった数字が、接吻ごときで上がるはずが———
「……………………………上がってる、しかも2つも!!??」
目の前の現実が信じられない。
俺のレベルを示す数字は『12』になっていた。
あれほど何をしたって動かなかった数字が、こんな事で!?
「私の言ったとおりだな。口付けだけでこれだけ上がったんだ。もっと先の行為をすれば、どうなるか……………ここで止めるか?」
意地悪くロワが俺に訊ねた。
答えなんて決まっている。
目の前に積み上げられた数字に比べれば、俺の貞操なんて安いものだ。
唾を飲み込み、覚悟を決めた。
「…………………………………やる」
俺の答えに返ってきたのは、美し過ぎていっそ禍々しい程の、ロワの満面の笑みだった。
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