男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組

葉鳥(はとごろTIMES)

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早乙女静香ルート

残酷な奇跡3

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※この作品は同人ゲーム「男子校でハーレムが作れる俺マジ勝ち組」からテキストを抜き出したノベル版です。
 ゲームテキスト形式なので背景やキャラ名の指定が残っています。
 原作ゲームは18禁ですが、今作は18禁シーンを削除し全年齢版として公開します。
 PCを持っていない方のために、同じく全年齢版の体験版プレイ動画もございます。
 詳しくは「はとごろTIMES」のホームページをご覧下さい。
 また、漫画も投稿しています。そちらも是非ご覧下さい。



《教室》

「最近しずかちゃん先輩元気ないですねぇ」
羅斗
「そだね……見てて怖いくらいだよ。何かあったの?」
零時
「ええ……かなり色々あって」
母親の話をされてからの静香は目に見えて調子が悪くなった。
表情は暗く、細かいことで失敗をする。今日も授業中教科書すら出さずにぼーっとしていた。
やはりどうしても母親のことを気にせずにはいられないんだろう。
静香の人生のほとんどは早乙女心に奪われてしまっている。まるで呪われているかのようだ。
こんな風に苦しめることが親のすることなのだろうか。
あの人は一体いつまで静香を苦しめ続けるのだろうか。

「あたしたち、そろそろこの教室に顔出すのやめたほうがいいかもです」

「あたしはしずかちゃん先輩に優しくしてあげられないし……ビッチはビッチだし」
羅斗
「その言い方はアレだけど、まー何かに悩んでる時に私みたいなの見てると苛々するかもね」
零時
「そ、そんなことないですよ。騒も、そんな気にすんなって」
こんなことは言えないが、どうせ今の静香にとってこの二人の存在に意味はない。
他人を気にしている余裕すらないんだ。最近は伏嶋ですら会話が続かないと言っていた。
俺も……ここ数日は静香とまともに会話をしてない気がする。
でも、今は仕方ない。時間が解決することだってある。
静香
「零時、僕は帰るが……」
零時
「あ、俺も行く。じゃあ騒、先輩、また明日」

「はい、明日です……」
羅斗
「ばいばい」



《住宅街》
静香
「………………」
二人での帰り道。やはり会話はない。
こんなに近くにいるのに、どうしてだか距離は開いていく一方だ。
いつの間にか季節は冬に移り変わろうとしていた。外の寒さと、俺達の関係が比例しているようで嫌だった。
零時
「最近母さん家にいないといけないみたいでさ、後で晩飯の材料買いに行こうと思ってるんだけど」
静香
「そうか……」
零時
「ああ……静香は……なにか食べたいものとかあるか?」
静香
「…………食べられればなんでもいい」
零時
「そっか……じゃ、俺の好きに買ってくるよ」
静香
「…………」
聞いている余裕もないのか、静香の反応は薄い。
こんな状態じゃ、約束のデートすら行けそうにない。

静香
「…………あ」
突然、静香が足を止めた。
目が見開かれ、口が開いたまま動かなくなる。
俺は静香の見ている先に視線を移し……そこで思考が止まった。
時間が解決してくれるなんて甘えだった。
後悔や怒りがごちゃ混ぜになった感情が一気に頭まで上り、何も考えられなくなる。

静香の目の前に、一人の女性が立っていた。

やせ細った白い肌。手入れのされていない髪。味気のない黒の服。

静香
「…………母、さん……?」

静香が一番会いたくなかった……静香に一番合わせたくなかった人物。

早乙女、心。

しかし、どうしてだかその人物が頭の中の早乙女心と一致しなかった。
すごく優しそうな顔をしていたから。
静香のことを、まるで娘でも見るかのように見つめていたから。

「よかった……やっと会えた……」
静香
「え……」

「あなたが寮を出たって聞いて、ずっと探してたのよ……」
心さんは長く会っていなかった子供と再会し感涙する。
その様子がこんなにもおぞましく、気持ちが悪いなんて思わなかった。
静香
「なんで……僕を、探して……?」

「だって、退寮してるのに家に戻ってこないから……心配したわ」
静香
「しん、ぱい…………?」
どの口がそういうのか。そんな悪態をついてやりたかったが、目の前の異様さに推し負け出てこない。

「そうよ。寮を出るならうちに戻っておいで。また一緒に暮らしましょうよ」
静香
「な、にを……言ってるんですか……一緒に、なんて……」
確かに小さい頃は同じ屋根の下で生活していたかもしれないが、それは一緒に住んでいたのとは違う。
静香は母親と一緒に暮らした覚えなんかない。
それなのに、早乙女心はさも当然のように言う。

「あなたは私の娘なんだから、一緒に住んでて当然じゃない」

「そうでしょう……しずか」
静香
「――――――ッ!?」
もう、何も言葉がでなかった。
意味が分からないとか、理解ができないとか、そんな生易しいものじゃない。
なんだこれは。
目の前の女性の笑顔。一緒に住んでいたという過去。そして「しずか」という言葉。
なにもかもがおかしい。ありえない。狂ってる。
……まさか、これも魔法のせいなのか。
俺が、ここまで世界を狂わせてしまったとでもいうのか。
零時
「ま、待って……待ってくださいっ!」
咄嗟に静香と心さんの間に割り込み、静香をかばうように立つ。
心さんは俺を見るなり、さっきまでの笑顔が嘘のように睨みつけてきた。
そうだ、これが俺の知っている早乙女心だ。いつも敵意むき出しで、決して優しい顔なんてしない。
後ろで静香がびくついたのが伝わってくる。静香にとっても、やはりこの姿が見慣れた母のものだった。
視線だけで人が殺せるなら、きっと俺はすでに死んでいただろう。
でも、例えそうでも、ここで死んでいるわけにはいかない。
零時
「静香はいまうちで生活してるんです。そんなすぐ戻れるわけないじゃないですか!」

「しずかの家は早乙女家よ……?」
零時
「自分の家だからって、そこで生きなきゃいけない理由にはならないと思います」
静香
「零時……」

「意味がわからないわ……人の話を聞かないで強引。これだから男は嫌いなのよ」

「あの人の子でも、やっぱり男は男なのね。汚らわしい」
静香
「……ッ」
息を呑む音がした。自分に向けられたわけでもないのに、静香の顔は真っ青だった。

「しずかを返して。私の大切な娘よ」
静香
「…………い……せつ……」
零時
「大切だなんてどの口で……」
静香
「し、零時! 待って!」
怒りに任せて暴言を吐きかけたのを静香が静止する。
静香はふるえながら、迷いながら、それでも母の顔と向き合う。
静香
「少し……時間を下さい……。考える時間がほしい……」
零時
「な……」

「……そうね。いきなりだったもの、その通りだわ」

「私は家にいるから、いつでも帰ってきてね。やっぱり一人は寂しいの」

「それから……そんなよそよそしい喋り方はやめてほしいわ。家族なんだから」
静香
「かぞ、く……」

「今日はあなたの顔が見れてよかった。それだけで嬉しい」

「じゃあまたね、しずか」
最後まで静香を愛しているような態度のまま、心さんは去っていった。
その姿が見えなくなって、静香は壊れたように地面にへたり込んだ。
そんな静香にむかって、俺はつい不満をぶちまけてしまう。
零時
「何で帰らないって言わなかったんだよ!」
悲しかった。静香が俺を選んでくれなかったことが。
まるで子供のような独占欲だけの発言に自分で驚く。でも、それだけこいつが好きなんだ。
静香
「…………って、いるんだ」
零時
「え……」
静香
「あの人の中では、僕とずっと仲良く暮らしていたことになっている……今までの辛かったこと全部、消えているんだ」
これが俺の魔法の影響だと、静香も気づいていたようだった。
認識妨害のせいで、周りの人間は静香のことを元々女だと思っている。
俺はそれでも昔の出来事についての記憶までは変わっていないと勝手に思い込んでいたが、そうじゃなかった。
あの人が静香を嫌う理由は、静香が男だったから。
元々女だったことになってしまえば、嫌っていたという記憶すら消えてしまう。
だから心さんの中では、虐待なんかない当たり前の家庭が広がっているんだ。
静香
「だから優しくて、笑顔までくれる……」
優しい母。笑ってくれる母。
それは静香が求め続けていた、絶対に手に入らないはずのもの。
静香
「ここで帰ったら手に入るかもしれないと思うと……嫌だって、言えなかった」
静香
「僕には、この機会を手放すことは……」
そう言われてしまえしば、もう自分の感情なんか出せなかった。
ずっと求め続けていたものがすぐそこにある。今でなければ、一生とどかない。
手を伸ばさなかったら、ずっと後悔するかもしれない。
静香
「どうすれば……僕はどうすればいい……? もう何も……分からない……」
静香
「もう、悩むのも……辛い…………」
零時
「…………っ」
零時
「帰ったほうが……いいんじゃないか?」
静香
「え……」
零時
「さっきはああ怒鳴っちまったけど……静香の言う通り、だし」
帰ってほしくないなんて、俺の我侭でしかない。
あの人はもう静香を苛めたりしないだろう。
それどころか、溢れんばかりの愛情を注いでくれるに違いない。
本当の家族がくれる幸せ。
それを与えることは、やはりあの人にしかできない。
零時
「別れるわけじゃねーし、俺とは学校でも一緒だ」
静香
「そう、だが……」
草田先輩にだけ認識妨害がきいてなかったことを思い出す。
それを考えると、心さんの記憶がいつまでもこのままとは限らない。
零時
「いつか心さんの記憶が戻るかもしれない。そしたら、もう二度と一緒になんて暮らせないもんな」
行かせたくないという気持ちをぐっと抑える。
静香のためを思うなら、ここで自分の我侭を通してはいけない。
静香
「…………そう、だな……」
静香
「帰ってみる……ことにする」
静香
「ここで帰らなかったら、きっと僕はそのことを一生引きずってしまうだろう」
静香
「今までの僕が、あの人のことをずっと引きずり続けていたように」
静香
「ごめんな、零時。あれだけ離れられないと勝手に言っておいてこの様だ」
零時
「いいよ。俺はお前が幸せになってくれるのが一番嬉しいんだからさ」
静香
「うん……ありがとう」



こうして、静香は実家へと帰ることになった。
静香の荷物なんてかなり少なかったはずなのに、それがなくなるだけでとても寂しく感じた。
伏嶋も、一人で住むのは違和感があると言っていた。
家にいるだけで、言い表せない喪失感に襲われる。
全てが手から落ちてしまったようで、ただただ悲しかった。
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