白き時を越えて

蒼(あお)

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第2章:再会

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しばらく待っていると、ドアが開く音がした。
きっと星川さんだろう…そう思っていた。

「おまたせー!!
 感動の再会だぞーっ!!」

「……!?」



星川さんと一緒に来た女の子は、
見覚えのある薄紫の短髪。

「わ……とと」
慣れない手つきでお盆を持っている。

「…………!」

…………。
……………………。
……………………!!

ああ、ああ!
この言葉にできない感情は何だろう!?

「あー、泣いちゃった?
 でも悲しい涙じゃないよね? ねっ?」
星川さんが困った顔をしながらも、
微笑んでいる。

私……今、泣いている?
自分で自分の頬に触れてみた。
ああ、確かに。
確かに、水が私の頬を伝っている。
私は涙を流している……?

ここまで感覚があるのだから、夢ではないよね?
今ここにいるのは私で、
今ここにいるのは綾だよね?

「心配かけてごめんね。
 これ飲んで元気出して。……華菜」
消えたはずの友が、
もう会えないと思っていた親友が、
私の名を呼んだ。
マグカップを差し出しながら。

「なんで消えたのよ……!
 綾のばかぁぁ……!!」
綾のせいではないと分かっている。
分かっているのに、
『ばか、ばか』と何度も繰り返してしまった。

本当に言いたいのは、
『良かった』なのに。
『生きていて良かったね』と言いたいのに。
なんて不器用な口なのだろう。

「うん、うん」
綾は全てを分かっているような顔で
微笑みながら、私を抱きしめる。

ああ、現実だ。
これはやはり、夢ではない!

「子供扱いしないでよぅ」
「うん、うん」
綾は、いつもそうだ。
私が一人っ子で、子供っぽいのかも知れない。
綾が5人姉弟の長女だから、
こういう時の私は妹のように思えるのかも知れない。

「綾……」
「なに?」
「ごめんね」
「どうして謝るの?」

「私ね、綾がいなくなった時ね……
 何も感じなかったの……
 何も思わなかったの……ごめんね」

ずっと、申し訳ないと思っていた。
自分の人間性を疑ったりもした。

でもそれは。
でもそれはきっと私の逃げで。

私は綾を失った悲しみから、
逃れるために感情を凍り付かせたのだと……
今なら分かる。

だから、星川さんの言っていること、
やっていることを
イタズラだと割り切れなかったのだ。
そこで少し、心が揺れたのだ。

私は、“綾がいない”という
現実からずっと逃げていたんだ……。

私の心の氷を星川さんが少し溶かし
私も神隠しの被害に遭い、
凍てついていた心は……今、氷解した。


「いいんだよ、華菜」
綾は、また微笑んで。
「私のこと、気にしすぎないでくれて、ありがとうね」
どうして、お礼なんか言うの。
私は、私は……!

「華菜のお陰で、私は今、
 ここで安定していられるんだね」
「……?」
「そうですよね、星川さん?」
綾は、星川さんに話を振った。

「うぇ!? わ、私?
 感動の再会はもういいの?」
星川さんは、部屋の隅で私たちを見守っていたようで。

「ええ、私たちは友達ですから。
 今ので十分、安心しましたよ」
綾の言葉を聞いて、私は慌てて涙を拭いた。
私ってやっぱり、子供っぽいなぁ……。
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