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第3章雑談:千春
偶然ではない?
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「私たちが出会ったのは偶然じゃないって、
それはどういう意味ですか?」
「言ったままの意味。
私たちは会おうとして出会った。
ばったり出会った訳じゃない」
……確かに。
確かに、初めて出会ったときの千春さんは
全てを知っているかのような口調だった。
「柊とアンタは、偶然だけどね」
「……穴にはね、種類があるんだ。
沢山の人を飲み込む
時空の歪み、“白い穴”と……
狙った人間をさらう、“黒い穴”」
「私は黒い穴を通ってあの世界に行き、
黒い穴を使って華菜ちゃんを
ここに連れてきて、
やっぱり黒い穴を使って
柊とほぼ一緒に、ここに帰ってきた」
「あれ? でも柊さんって
後から帰ってきましたよね?」
「ああ。あれは、時の中でやる作業だから。
私は柊と一緒に穴に入って、
ある程度、方向を教えて貰って……
先に帰ってきた。
時の中は疲れるからね」
「千秋は、ただ見守ってるだけでいい……
何か起こったら、
その時に対処すべきだと
言っていたけどね。私はそうは思わない。
事が起こってからでは遅い。
先手を打つくらいの気持ちじゃないと
綾ちゃんも、華菜ちゃんも……柊も、
誰も救えないと思った」
「そんな中途半端なことをするために
私たちはここに残ったんじゃない」
「じゃあ、綾がさらわれたから、
私を迎えに来たんですか?」
「そんな呑気じゃないよ、私は。
綾ちゃんも、さらった。
知ってるかもしれないけど、
集団失踪に巻き込まれると
特定の人物を捜し当てるのは
不可能に近いんだ」
「だから、そうなる前に……
自分たちの手の届く範囲に連れてきた」
「そんな……」
「勝手だと、思うだろうね。
私もそう思う。
でも、自分の望む未来を手に入れたいなら。
悲劇が起こるのを、黙って待つくらいなら。
私は自分で、
事を動かそうと……そう、考えるよ」
「じゃあ、このことは
柊さん以外のみんなで決めて……?」
「いや、私と空山だけ。
千秋は関係ない。
関係ないだけで、
もう気づかれてる可能性はあるけど」
「どうして?」
「時間がなかったから。
綾ちゃんのいる辺りが、
白い穴に飲まれる兆しに気づいた。
その時、残された時間は半日だった。
実は、私には変な勘があってさ。
レーダーに反応する前に、
兆しに気づくことがあるの。第六感ってやつ?
もちろん、外れることもあるよ。
この勘が働くのは、
私が機械が苦手なお陰かな、
千秋にはそういうのは無いらしいんだけど。
とにかく、
白い穴に気づいた私は、空山と相談して……
考えていたことを実行に移すと決めた」
「千秋は、白い穴の中から
なんとかして綾ちゃんを見つけて
欲しいって、空山に言ってた。
でも、実際は……
白い穴が開く前に、
綾ちゃんを私がさらった。
黒い穴を、開けてね。
それを空山が受け止めたんだよ」
「それで、続いて私も……?
私が、綾を捜し始めないように?」
「綾ちゃんを失った後の華菜ちゃんは
必死に綾ちゃんを捜しているようには
見えなかった。
だから、見守ろうかと……思ってた。
でも、華菜ちゃんが
事件に巻き込まれそうになったとき
柊がそれを食い止めた」
「柊が、全てのことを
ただ見守るつもりなら、
私は、華菜ちゃんまでさらってくる
つもりはなかった。
綾ちゃんをしばらく……
そう、1年くらい匿って
時間をずらすだけでも
その後の未来は随分違うだろうから」
「だけど、柊が出てきたのなら話は違う。
私が綾ちゃんにやったのは
限りなく自然現象に近づけたけど
柊は……その時代に干渉して、
事象を変えた。
強引な方法で、華菜ちゃんを守った」
「そこまでして、守りたいのなら。
一生、姿を現さないで
見守り続けるなんて、
ただのストーカーじゃん?
どちらにとっても、害しかないと思わない?」
「だから、私は空山に
黒い穴の開け方を全部教えて、
自分を飛ばしてもらった。
空山がここを離れるわけにはいかないからね。
柊も、私が姿を現せば
気が変わるんじゃないか、と思った。
自分から動き出す決心が、
付くんじゃないかなって」
「で・も!!
空山のド下手が!!
変なタイミングで黒い穴を
開けたせいで!
こっちはもう大あわてだよ。
どうなることかと思った」
「ま、空間内での立ち回りに関しては
プロだから、
柊の通報が間に合ったこともあって
ちゃんと華菜ちゃんを
ここに連れてくることが出来たけどね」
それはどういう意味ですか?」
「言ったままの意味。
私たちは会おうとして出会った。
ばったり出会った訳じゃない」
……確かに。
確かに、初めて出会ったときの千春さんは
全てを知っているかのような口調だった。
「柊とアンタは、偶然だけどね」
「……穴にはね、種類があるんだ。
沢山の人を飲み込む
時空の歪み、“白い穴”と……
狙った人間をさらう、“黒い穴”」
「私は黒い穴を通ってあの世界に行き、
黒い穴を使って華菜ちゃんを
ここに連れてきて、
やっぱり黒い穴を使って
柊とほぼ一緒に、ここに帰ってきた」
「あれ? でも柊さんって
後から帰ってきましたよね?」
「ああ。あれは、時の中でやる作業だから。
私は柊と一緒に穴に入って、
ある程度、方向を教えて貰って……
先に帰ってきた。
時の中は疲れるからね」
「千秋は、ただ見守ってるだけでいい……
何か起こったら、
その時に対処すべきだと
言っていたけどね。私はそうは思わない。
事が起こってからでは遅い。
先手を打つくらいの気持ちじゃないと
綾ちゃんも、華菜ちゃんも……柊も、
誰も救えないと思った」
「そんな中途半端なことをするために
私たちはここに残ったんじゃない」
「じゃあ、綾がさらわれたから、
私を迎えに来たんですか?」
「そんな呑気じゃないよ、私は。
綾ちゃんも、さらった。
知ってるかもしれないけど、
集団失踪に巻き込まれると
特定の人物を捜し当てるのは
不可能に近いんだ」
「だから、そうなる前に……
自分たちの手の届く範囲に連れてきた」
「そんな……」
「勝手だと、思うだろうね。
私もそう思う。
でも、自分の望む未来を手に入れたいなら。
悲劇が起こるのを、黙って待つくらいなら。
私は自分で、
事を動かそうと……そう、考えるよ」
「じゃあ、このことは
柊さん以外のみんなで決めて……?」
「いや、私と空山だけ。
千秋は関係ない。
関係ないだけで、
もう気づかれてる可能性はあるけど」
「どうして?」
「時間がなかったから。
綾ちゃんのいる辺りが、
白い穴に飲まれる兆しに気づいた。
その時、残された時間は半日だった。
実は、私には変な勘があってさ。
レーダーに反応する前に、
兆しに気づくことがあるの。第六感ってやつ?
もちろん、外れることもあるよ。
この勘が働くのは、
私が機械が苦手なお陰かな、
千秋にはそういうのは無いらしいんだけど。
とにかく、
白い穴に気づいた私は、空山と相談して……
考えていたことを実行に移すと決めた」
「千秋は、白い穴の中から
なんとかして綾ちゃんを見つけて
欲しいって、空山に言ってた。
でも、実際は……
白い穴が開く前に、
綾ちゃんを私がさらった。
黒い穴を、開けてね。
それを空山が受け止めたんだよ」
「それで、続いて私も……?
私が、綾を捜し始めないように?」
「綾ちゃんを失った後の華菜ちゃんは
必死に綾ちゃんを捜しているようには
見えなかった。
だから、見守ろうかと……思ってた。
でも、華菜ちゃんが
事件に巻き込まれそうになったとき
柊がそれを食い止めた」
「柊が、全てのことを
ただ見守るつもりなら、
私は、華菜ちゃんまでさらってくる
つもりはなかった。
綾ちゃんをしばらく……
そう、1年くらい匿って
時間をずらすだけでも
その後の未来は随分違うだろうから」
「だけど、柊が出てきたのなら話は違う。
私が綾ちゃんにやったのは
限りなく自然現象に近づけたけど
柊は……その時代に干渉して、
事象を変えた。
強引な方法で、華菜ちゃんを守った」
「そこまでして、守りたいのなら。
一生、姿を現さないで
見守り続けるなんて、
ただのストーカーじゃん?
どちらにとっても、害しかないと思わない?」
「だから、私は空山に
黒い穴の開け方を全部教えて、
自分を飛ばしてもらった。
空山がここを離れるわけにはいかないからね。
柊も、私が姿を現せば
気が変わるんじゃないか、と思った。
自分から動き出す決心が、
付くんじゃないかなって」
「で・も!!
空山のド下手が!!
変なタイミングで黒い穴を
開けたせいで!
こっちはもう大あわてだよ。
どうなることかと思った」
「ま、空間内での立ち回りに関しては
プロだから、
柊の通報が間に合ったこともあって
ちゃんと華菜ちゃんを
ここに連れてくることが出来たけどね」
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