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終章:終わりの前の静寂
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「ねぇ華菜、お別れ会……やろうと思うんだけど」
「お別れ会?」
「そう。華菜のお別れ会。
私たちみんな、いなくなっちゃうでしょ。
だから最後の思い出に」
「それを、私に相談するんだ?」
「いや……だって。
嬉しい別れでもないし。
はしゃぎ過ぎも良くないかなぁと思って
本人に相談しようかと」
「あ、なるほど……」
パーティの主旨が“お別れ”だから
一応気を遣ってくれてたのか。
「どうする? やっとく?
やるなら、実はもう準備はある程度
進めてあったりするけど」
「……うーん」
「せっかくだし、良い思い出が欲しいな」
「そーこなくちゃ!!」
「パーティのこと知ってるのって、誰?」
「私と千春さんだけ。
今、華菜が加わったとこ」
「じゃあさ、他の3人には内緒で、
更に千春さんにも内緒にしない?」
「……は?」
「普通にお別れ会をやると見せかけて
千春さんの誕生日会をプラスする。
もうすぐらしいんだよね」
「おぉ~、それいいね!! 賛成!」
私たちは、密かに
“私のお別れ会”と“千春さんの誕生日会”の
準備を進めていった……。
私が、実は別れる気が無いのに
誰も気づいてないなんて……ちょっと意外。
疑ってる人はいるみたいだけど、
それでも、やっぱり帰るって思われてるみたいなんだよね。
そして、パーティ当日。
「皆さーん、交代の時間であります!」
私は勢いよく、部屋に入った。
「…………」
「…………」
「か、華菜……ちゃん?」
あれ? 反応悪いなぁ。
「皆さんと1年近く共に過ごしたのに、
“すっごく”楽しい思い出もないまま
別れるなんて寂しすぎます。
私のために、どうか10分だけ
みんなでここに集まっていて欲しいです」
「……はは。
なるほど。まさか華菜ちゃんが
そういうノリも受け入れられる子だとは
思ってなかったよ」
空山さんが、真っ先に気づいてくれた。
「私は雰囲気だけを頂きますね~。
残念だけど、さすがに
本当にここを離れるわけにはいかないし~」
「そんなこと言わずに、さぁさぁ」
綾は席を立とうとしない千秋さんを
無理矢理、奥に連れて行く。
「ちょっとぉ!?」
「大丈夫ですよ、反応する日の方が
少ないじゃないですか」
千秋さんが席を空けた隙に、
私はメインコンピュータに
“ある物”を密かに仕込んだ。
このことは、綾も千春さんも知らない。
だって、私が勝手にやっていることだから。
メインコンピュータは普段は
千秋さんか、千春さんか……柊さんが
使っているから、こういう不意を突かない限り
私が何かを仕込むことは出来ないだろう。
それでも、3人が素人の企みに
気づく可能性は高かったけど
何もしないよりは……
挑戦だけでもしたいと、私は考えている。
綾がパーティを提案してくれて……
本当に、助かった。
「1年間、お世話になりましたぁ!」
私の明るい声と共に始まった
短いお別れパーティ。
……そして。
「千春さん、
お誕生日おめでとうございまーす!!」
「……えええ!?」
「企画主にサプライズするのは
基本中の基本ですよ!」
「でも……祝われて、嬉しい年齢じゃ……」
「歳のことなんか気にせずに!
生まれた日のことを祝いましょうよ!」
「そ……そか。ありがと」
「……気の利く人達だな」
柊さんが呟いた。
「まぁ、今更……俺らがやっても
いまいち盛り上がらないのも事実だし。
最後にこういうこと出来て、良かったよな」
空山さんも嬉しそうだ。
「私たちにとっては、
このパーティが永遠の思い出に
なるのかもしれないね」
「……千秋?」
「時の中で行方不明になって
すぐに死ぬとは限らない。
付近の崩壊の危険度の高さから
私たちの救出は
考えられていない……らしいけど、
本当に誰も考えていないとも限らない。
もしかしたら、
誰か来てくれるかもしれないし、
別の世界の人が助けてくれるかも知れない」
「…………」
「そしたら、私たちは生きられるけど……
その代わり、離ればなれになる。
そういう人生を歩むことになった時……
きっと、この会のことを思い出して
懐かしむんだろうなって」
「……そう、だな」
「そうかもな。……言えてる」
「華菜ちゃん達は……
本当に素敵なものをくれたね」
「感謝しないとな」
「お別れ会?」
「そう。華菜のお別れ会。
私たちみんな、いなくなっちゃうでしょ。
だから最後の思い出に」
「それを、私に相談するんだ?」
「いや……だって。
嬉しい別れでもないし。
はしゃぎ過ぎも良くないかなぁと思って
本人に相談しようかと」
「あ、なるほど……」
パーティの主旨が“お別れ”だから
一応気を遣ってくれてたのか。
「どうする? やっとく?
やるなら、実はもう準備はある程度
進めてあったりするけど」
「……うーん」
「せっかくだし、良い思い出が欲しいな」
「そーこなくちゃ!!」
「パーティのこと知ってるのって、誰?」
「私と千春さんだけ。
今、華菜が加わったとこ」
「じゃあさ、他の3人には内緒で、
更に千春さんにも内緒にしない?」
「……は?」
「普通にお別れ会をやると見せかけて
千春さんの誕生日会をプラスする。
もうすぐらしいんだよね」
「おぉ~、それいいね!! 賛成!」
私たちは、密かに
“私のお別れ会”と“千春さんの誕生日会”の
準備を進めていった……。
私が、実は別れる気が無いのに
誰も気づいてないなんて……ちょっと意外。
疑ってる人はいるみたいだけど、
それでも、やっぱり帰るって思われてるみたいなんだよね。
そして、パーティ当日。
「皆さーん、交代の時間であります!」
私は勢いよく、部屋に入った。
「…………」
「…………」
「か、華菜……ちゃん?」
あれ? 反応悪いなぁ。
「皆さんと1年近く共に過ごしたのに、
“すっごく”楽しい思い出もないまま
別れるなんて寂しすぎます。
私のために、どうか10分だけ
みんなでここに集まっていて欲しいです」
「……はは。
なるほど。まさか華菜ちゃんが
そういうノリも受け入れられる子だとは
思ってなかったよ」
空山さんが、真っ先に気づいてくれた。
「私は雰囲気だけを頂きますね~。
残念だけど、さすがに
本当にここを離れるわけにはいかないし~」
「そんなこと言わずに、さぁさぁ」
綾は席を立とうとしない千秋さんを
無理矢理、奥に連れて行く。
「ちょっとぉ!?」
「大丈夫ですよ、反応する日の方が
少ないじゃないですか」
千秋さんが席を空けた隙に、
私はメインコンピュータに
“ある物”を密かに仕込んだ。
このことは、綾も千春さんも知らない。
だって、私が勝手にやっていることだから。
メインコンピュータは普段は
千秋さんか、千春さんか……柊さんが
使っているから、こういう不意を突かない限り
私が何かを仕込むことは出来ないだろう。
それでも、3人が素人の企みに
気づく可能性は高かったけど
何もしないよりは……
挑戦だけでもしたいと、私は考えている。
綾がパーティを提案してくれて……
本当に、助かった。
「1年間、お世話になりましたぁ!」
私の明るい声と共に始まった
短いお別れパーティ。
……そして。
「千春さん、
お誕生日おめでとうございまーす!!」
「……えええ!?」
「企画主にサプライズするのは
基本中の基本ですよ!」
「でも……祝われて、嬉しい年齢じゃ……」
「歳のことなんか気にせずに!
生まれた日のことを祝いましょうよ!」
「そ……そか。ありがと」
「……気の利く人達だな」
柊さんが呟いた。
「まぁ、今更……俺らがやっても
いまいち盛り上がらないのも事実だし。
最後にこういうこと出来て、良かったよな」
空山さんも嬉しそうだ。
「私たちにとっては、
このパーティが永遠の思い出に
なるのかもしれないね」
「……千秋?」
「時の中で行方不明になって
すぐに死ぬとは限らない。
付近の崩壊の危険度の高さから
私たちの救出は
考えられていない……らしいけど、
本当に誰も考えていないとも限らない。
もしかしたら、
誰か来てくれるかもしれないし、
別の世界の人が助けてくれるかも知れない」
「…………」
「そしたら、私たちは生きられるけど……
その代わり、離ればなれになる。
そういう人生を歩むことになった時……
きっと、この会のことを思い出して
懐かしむんだろうなって」
「……そう、だな」
「そうかもな。……言えてる」
「華菜ちゃん達は……
本当に素敵なものをくれたね」
「感謝しないとな」
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