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第5章雑談:空山
柊さんの休ませ方
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「……ない」
「断言するんですか」
「断言する。そんな方法は存在しない」
「色々試したんですね?」
「……ああ。
あいつ……
せめて親の期待に応えたいとか
そういう風に考えてるみたいだ」
「……親の期待?」
「普通、そういうのには反発するだろ。
でも柊は逆なんだ。
“自分は良くしてもらったのに、
何も返せていない……”
……そういう風に考えている」
「でも、身体を壊したら
柊さんのご両親は喜ばないですよね?」
「俺も、そうだと思っていた」
「……え?」
「あいつが初めて倒れたとき、
見舞いに来た、あいつの両親は……
“よくやった”とあいつを褒めた。
柊はそれを聞いて、
“治ったらまた一生懸命に働く”と答えた」
「そんな……」
「あいつの家は、そういう家系だからな。
それを否定するのは、
柊の生まれを否定することになるから
悪いとは言わないが……
奴の親に期待するのは無理だ」
「どうすればいいんでしょう」
「さて……な。
実は案外、もう成功してるかもしれないが」
「……え?」
「君だよ。ここにいる、“君”の存在。
柊は素直に、装置を綾ちゃんに預けてくれたろ。
昔のあいつだったら、
考えられないことだぜ」
「違う君がいなくなって、
あいつの悪い癖は再発した。
だが、“君”が現れて……治まった。
これは決して、違う君の影響じゃない」
「そうなんですか?
私には、そうだとは思えませんけど」
「いいや。あいつは君にベタ惚れだ。
……最初からな。
きっかけは酷いもんだが……」
「だって、あれは違う私の代わりを
捜しているだけでしょう?」
「最初はそうだったかもしれない。
だが今は……違うんじゃないかと、
俺は思うな」
「参考にはします」
「お、認めたくないってことか。
へぇ~」
「そういうところで面白がるの、
やめてください!」
「いやいや、面白いものは面白いからさぁ!」
「断言するんですか」
「断言する。そんな方法は存在しない」
「色々試したんですね?」
「……ああ。
あいつ……
せめて親の期待に応えたいとか
そういう風に考えてるみたいだ」
「……親の期待?」
「普通、そういうのには反発するだろ。
でも柊は逆なんだ。
“自分は良くしてもらったのに、
何も返せていない……”
……そういう風に考えている」
「でも、身体を壊したら
柊さんのご両親は喜ばないですよね?」
「俺も、そうだと思っていた」
「……え?」
「あいつが初めて倒れたとき、
見舞いに来た、あいつの両親は……
“よくやった”とあいつを褒めた。
柊はそれを聞いて、
“治ったらまた一生懸命に働く”と答えた」
「そんな……」
「あいつの家は、そういう家系だからな。
それを否定するのは、
柊の生まれを否定することになるから
悪いとは言わないが……
奴の親に期待するのは無理だ」
「どうすればいいんでしょう」
「さて……な。
実は案外、もう成功してるかもしれないが」
「……え?」
「君だよ。ここにいる、“君”の存在。
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昔のあいつだったら、
考えられないことだぜ」
「違う君がいなくなって、
あいつの悪い癖は再発した。
だが、“君”が現れて……治まった。
これは決して、違う君の影響じゃない」
「そうなんですか?
私には、そうだとは思えませんけど」
「いいや。あいつは君にベタ惚れだ。
……最初からな。
きっかけは酷いもんだが……」
「だって、あれは違う私の代わりを
捜しているだけでしょう?」
「最初はそうだったかもしれない。
だが今は……違うんじゃないかと、
俺は思うな」
「参考にはします」
「お、認めたくないってことか。
へぇ~」
「そういうところで面白がるの、
やめてください!」
「いやいや、面白いものは面白いからさぁ!」
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