【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(最後の封印編)

第四十一話 出発前

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 聖は風真を捜していた。

“例のこと”を聞きたかったのだが、どうやらこの近くにはいないらしい。

ふと、後ろから肩に手を置かれる。

「聖。聞きたいことがある。」

「シヴァ?」

そんなことより身体はもういいのかと聞きたいが、聞いても無駄なので聞かない。

「時が来た。」

「?」

聖は首をかしげる。

「前言ったろう。“聖光刃の剣そのものの力を最大限まで引き出す呪文”を

時が来たら教えると。」

「そんな事もあったかなぁ?」

シヴァは聖の肩に手を乗せた。

「“聖光”だ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?まんまじゃん。」

聖はきょとんとした。

「危険な呪文でもある。立て続けに何度も使えば

お前の神力まで空っぽになってぶっ倒れるぞ。」

「そりゃ危ない。」

シヴァは横を向く。

「とんでもなく強い攻撃を受けるときか・・・・・、

相手に最大の打撃を与えられる瞬間にだけ使え。

お前ならできるはずだ。」

「わかった。気を付けるよ。」

シヴァと聖は右手と右手をたたき合った。

パンと気持ちのいい音がして、ふたりはにやりと笑った。

「おやすみ。」

 

誰も入っていないベッドに照る朝の光。

聖は神絹を被って支度していた。

「やっと仕事だ。」

時の神殿で時雨を解放したら決戦だ。

・・・・・どこまで一緒に行けるのかわからないけれど・・・・行けるところまで行きたい。

聖が建物から出ると七大神の仲間も羅唯の姉弟たちも、

もう準備は完了していて待っていた。

「あれ、寝坊?」

聖がお茶目に聞くと、全員首を横に振る。

「みんな起きるのが早かったんだ。」

焼刃が頬を掻きながら言った。

「だよなぁ?日の出直後だし。」

聖の後ろにはフレアとリーダもいた。最後の見送りらしい。

「みんなやる気になってるところを悪いが・・・・最後に確認したい。」

シヴァが言い出した。

「・・・・命を落とす覚悟の無い奴は残れ。」

全員が呆れたような顔で笑う。

「今更そんなこと聞く必要無いやん。なぁ?」

波人が付け足す。そこに聖が割って入った。

「待った。俺はそんなの認めねぇぞ。」

「何か言いたげだな?」

風真が薄く笑いながら聞く。

「・・・・残るのは死ぬ覚悟が無い奴じゃねぇ。“無事に帰ってこれる自信の無い奴”だ。

もしあの神殿の中で自分が死ぬかもと思うんなら、残れ。死者無しで行きたい。」

真剣な顔の彼を誰もがみつめた。

「・・・・・・・いつからそんな大将らしくなったんだ?」

風真は袖をなおしながら言う。

「あ、ごめん偉そうだった?」

聖は頭を掻いた。

いつの間にか波人が聖の背後に来ていて、思い切り背中を叩く。

「おっしゃ!かっこいいで、聖!」

「な、なんだよ急に・・・。」

波人は異様に晴れ晴れした顔をしている。それはシヴァも一緒だった。

「さ、行こうか!」

焼刃が先頭を切って歩き出した。

「フレア、元気でな。」

聖はこっそり彼女にそう言うと、遅れぬようついていった。

「聖様・・・・。」

明るい事を言って去る聖の背中が、言いようもなく寂しく見えた。
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