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本編(最後の封印編)
第四十二話 狂いきった空間
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「うっわー・・・こりゃひでぇなあ!」
思わず焼刃が口に出す。
時の神殿に近づいてきたら、時限と次元が狂い、道は迷宮と化していたのだ。
「俺が下見に来たときもこんな感じだったんで、入るのはやめたんですけど。」
覇累が言う。
「うん、入らんで正解やろ、これは。」
波人は口をぽかーんと開けたまま言った。
「各自結界で自分の身を護りながら進まないと、身体が保たないだろうな。」
風真は言いながら、ひとりひとりに“護”と書いた札を渡して回る。
「これは?」
「・・・・・護符だ。その札の霊力が保つ限りは、自分で結界を張らなくてもいい。
こんな時に神力を無駄にはできんからな。」
「ありがたい。」
羅唯はそう言って護符をポケットに突っ込む。
他の者もそれぞれ思うところに護符を持った。
「バラバラになるのは避けたいが・・・・もしバラバラになったら、
仲間じゃなくて“中州”か最奥の時雨を目指せ。
仲間の気配をたどって延々抜けられなくなったら厄介だ。」
中州とは空間の歪みの少ない比較的安全な場所である。
シヴァの台詞に全員が頷く。
そして歩き出した。
今回は時雨以外の七大神に加えすばる、羅唯姉弟と人数が多い。
全員強者ではあるが、はぐれる可能性が高いのも否めない。
「うわっ!」
空間の歪みに一歩足を踏み入れると、
身体がその歪みに引きずり込まれ上も下もわからなくなる。
聖も引きずり込まれたひとりだったが、
何人が引きずり込まれて何人が残ったかなど、見ることもできなかった。
遠くでシヴァや波人の声がする気がする。しかしその声も聞こえなくなって・・・。
聖はある空間に放り出された。
「・・・・・・・・ここは・・・・・?」
何もない。真っ白い空間が、ただ延々と続くのみである。
「まさか、俺だけ中州までショートカットしちゃったとか、
そう言う訳じゃねぇよなぁ・・・?」
聖はとりあえず、自分の感覚に任せてこっちだと思う方向に歩き出した。
覇累は聖達が引きずり込まれたと思われる歪みの前で、
今残っている者の確認をした。
「とりあえず、兄貴、姉貴に風真と神無夫妻は残ったか・・・・。」
「飛ばされたくない子ばかり引きずり込まれちゃったわね。」
すばるが深刻な顔をする。
「聖に、楓か・・・・。シヴァも波人も“ハンデ付き”だしな。」
風真が言う。
「出来れば・・・・みんな同じ所に飛んでて欲しいけど。」
「そんな都合がいいわけないだろう。」
焼刃の台詞を風真はトゲのある言い方で否定した。
「ここでじっとしていてもしょうがないわ。・・・・・中州を目指しましょう。」
韻唄はそう言って、ハープを鳴らす。焼刃は不思議そうに彼女を見つめた。
「何を・・・・?」
「静かに!姉貴は音を使って空間のゆがみ方とまっすぐな道を探してるんだよ。」
覇累は口の前に人差し指を立てる。
「相変わらず使える女だな・・・・。」
風真は呟いた。
波人は空間の歪みから抜け出せないでいた。
「まー、当然やわな。結界だの空間だののたぐいは、
中途半端な神力の持ち主が一番損するもんや。」
神力が強ければ、空間の歪みがどれだけゆがんでいても
わりと簡単に目的地に着ける。
弱ければ足を踏み入れた瞬間即死だろうが、波人は強くも弱くもない。
そんなとき、波人は頭上にふたりの魔族を見つける。
「あらま・・・こんなトコで戦闘でっか?」
見覚えのある黒髪の女と、見覚えのない緑髪の女がひとりずつ立っていた。
「あんたは確か・・・・“ディアン”・・・。あれ?聖に封印されたんやなかったかなぁ?」
波人はとぼけた口調で女達に言う。
「私は“闇”だ・・・・。闇そのものだ。封印したところで幽霊のように脱出できる。
それにお前達はツメが甘かった。私を封印したと思って、
亜空間を創るときに使った闇が退いていくのに気付かないでいてくれた。
そのおかげで随分はやくこちらに戻れたぞ。」
ディアンは冷たく笑った。波人は舌打ちしながら鎖鎌を出して回しだす。
「そのとなりのかわいこちゃんは?お友達か。」
「・・・・・ヴィルスか?こいつは死の踊り子。」
ヴィルスと呼ばれた女が手を動かすと、何か嫌な気がして波人は飛び退いた。
「!」
「避けて正解。」
波人の避けたところには、骨・・・おそらく人骨と思われる骨がいた。
「なっ・・・・!?」
“死の踊り子”・・・・。その言葉のさす意味とは。
「ネクロマンサー・・・。」
波人は呟くように言った。“ネクロマンサー”・・・・つまり死体を操る術を扱える者。
「ご名答。」
ヴィルスは手を優雅に振り、舞う。
不気味だがその姿は美しい。
「この時の神殿には迷い込んだ者の死体がいくらでもある。
私にとって最高の場所だよ、津 波人。
あなたも数分後には私の人形のひとつに加わるわ。」
波人は唇を噛んだ。
「そういう訳だ、津 波人。今回は人手不足でな、
私はこれから他の連中を消しに行く。
せいぜい遊ばれてこいつの悪趣味なコレクションのひとつにでもなるんだな。」
「なにを!」
波人は怒りそうになるが抑える。
だがヴィルスはディアンを攻撃した。
「口が悪いぞディアン。私に文句付ける者は例え味方でも消す。」
「悪かったな。趣味が合わないんだ。まぁ話の続きは後ですればよかろう。」
ディアンはそう言って、空間に歪みに自分から飛び込んでいった。
彼女も亜空間が作り出せる空間使い、
ある程度は行きたいところにまっすぐ行けるのだろう。
「ち・・・・腹の立つ女だ・・・・。」
ヴィルスは毒づいた。
「ま、そう気ィ立てんなや。わしを殺すんやろ?」
「ああ、殺してやるよ。恐怖のどん底に落としてからな。」
美しい女の顔は、凶悪な笑みを浮かべた。
思わず焼刃が口に出す。
時の神殿に近づいてきたら、時限と次元が狂い、道は迷宮と化していたのだ。
「俺が下見に来たときもこんな感じだったんで、入るのはやめたんですけど。」
覇累が言う。
「うん、入らんで正解やろ、これは。」
波人は口をぽかーんと開けたまま言った。
「各自結界で自分の身を護りながら進まないと、身体が保たないだろうな。」
風真は言いながら、ひとりひとりに“護”と書いた札を渡して回る。
「これは?」
「・・・・・護符だ。その札の霊力が保つ限りは、自分で結界を張らなくてもいい。
こんな時に神力を無駄にはできんからな。」
「ありがたい。」
羅唯はそう言って護符をポケットに突っ込む。
他の者もそれぞれ思うところに護符を持った。
「バラバラになるのは避けたいが・・・・もしバラバラになったら、
仲間じゃなくて“中州”か最奥の時雨を目指せ。
仲間の気配をたどって延々抜けられなくなったら厄介だ。」
中州とは空間の歪みの少ない比較的安全な場所である。
シヴァの台詞に全員が頷く。
そして歩き出した。
今回は時雨以外の七大神に加えすばる、羅唯姉弟と人数が多い。
全員強者ではあるが、はぐれる可能性が高いのも否めない。
「うわっ!」
空間の歪みに一歩足を踏み入れると、
身体がその歪みに引きずり込まれ上も下もわからなくなる。
聖も引きずり込まれたひとりだったが、
何人が引きずり込まれて何人が残ったかなど、見ることもできなかった。
遠くでシヴァや波人の声がする気がする。しかしその声も聞こえなくなって・・・。
聖はある空間に放り出された。
「・・・・・・・・ここは・・・・・?」
何もない。真っ白い空間が、ただ延々と続くのみである。
「まさか、俺だけ中州までショートカットしちゃったとか、
そう言う訳じゃねぇよなぁ・・・?」
聖はとりあえず、自分の感覚に任せてこっちだと思う方向に歩き出した。
覇累は聖達が引きずり込まれたと思われる歪みの前で、
今残っている者の確認をした。
「とりあえず、兄貴、姉貴に風真と神無夫妻は残ったか・・・・。」
「飛ばされたくない子ばかり引きずり込まれちゃったわね。」
すばるが深刻な顔をする。
「聖に、楓か・・・・。シヴァも波人も“ハンデ付き”だしな。」
風真が言う。
「出来れば・・・・みんな同じ所に飛んでて欲しいけど。」
「そんな都合がいいわけないだろう。」
焼刃の台詞を風真はトゲのある言い方で否定した。
「ここでじっとしていてもしょうがないわ。・・・・・中州を目指しましょう。」
韻唄はそう言って、ハープを鳴らす。焼刃は不思議そうに彼女を見つめた。
「何を・・・・?」
「静かに!姉貴は音を使って空間のゆがみ方とまっすぐな道を探してるんだよ。」
覇累は口の前に人差し指を立てる。
「相変わらず使える女だな・・・・。」
風真は呟いた。
波人は空間の歪みから抜け出せないでいた。
「まー、当然やわな。結界だの空間だののたぐいは、
中途半端な神力の持ち主が一番損するもんや。」
神力が強ければ、空間の歪みがどれだけゆがんでいても
わりと簡単に目的地に着ける。
弱ければ足を踏み入れた瞬間即死だろうが、波人は強くも弱くもない。
そんなとき、波人は頭上にふたりの魔族を見つける。
「あらま・・・こんなトコで戦闘でっか?」
見覚えのある黒髪の女と、見覚えのない緑髪の女がひとりずつ立っていた。
「あんたは確か・・・・“ディアン”・・・。あれ?聖に封印されたんやなかったかなぁ?」
波人はとぼけた口調で女達に言う。
「私は“闇”だ・・・・。闇そのものだ。封印したところで幽霊のように脱出できる。
それにお前達はツメが甘かった。私を封印したと思って、
亜空間を創るときに使った闇が退いていくのに気付かないでいてくれた。
そのおかげで随分はやくこちらに戻れたぞ。」
ディアンは冷たく笑った。波人は舌打ちしながら鎖鎌を出して回しだす。
「そのとなりのかわいこちゃんは?お友達か。」
「・・・・・ヴィルスか?こいつは死の踊り子。」
ヴィルスと呼ばれた女が手を動かすと、何か嫌な気がして波人は飛び退いた。
「!」
「避けて正解。」
波人の避けたところには、骨・・・おそらく人骨と思われる骨がいた。
「なっ・・・・!?」
“死の踊り子”・・・・。その言葉のさす意味とは。
「ネクロマンサー・・・。」
波人は呟くように言った。“ネクロマンサー”・・・・つまり死体を操る術を扱える者。
「ご名答。」
ヴィルスは手を優雅に振り、舞う。
不気味だがその姿は美しい。
「この時の神殿には迷い込んだ者の死体がいくらでもある。
私にとって最高の場所だよ、津 波人。
あなたも数分後には私の人形のひとつに加わるわ。」
波人は唇を噛んだ。
「そういう訳だ、津 波人。今回は人手不足でな、
私はこれから他の連中を消しに行く。
せいぜい遊ばれてこいつの悪趣味なコレクションのひとつにでもなるんだな。」
「なにを!」
波人は怒りそうになるが抑える。
だがヴィルスはディアンを攻撃した。
「口が悪いぞディアン。私に文句付ける者は例え味方でも消す。」
「悪かったな。趣味が合わないんだ。まぁ話の続きは後ですればよかろう。」
ディアンはそう言って、空間に歪みに自分から飛び込んでいった。
彼女も亜空間が作り出せる空間使い、
ある程度は行きたいところにまっすぐ行けるのだろう。
「ち・・・・腹の立つ女だ・・・・。」
ヴィルスは毒づいた。
「ま、そう気ィ立てんなや。わしを殺すんやろ?」
「ああ、殺してやるよ。恐怖のどん底に落としてからな。」
美しい女の顔は、凶悪な笑みを浮かべた。
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