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本編(神域編)
第八十三話 回想
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「在人っ!貴方は自分が何をしているか・・・!」
闘いが終わったところで、神琉はまた在人に怒鳴った。
「わかってるよ。だがもうそういうレベルの話じゃねぇんだ。」
聖は、在人の腕の中で寝息を立てている。
「こいつらは・・・俺達を選んでくれたんだぜ?
そりゃ、俺達の“世界”の決まりから言えば創造者が
自分の創造したもんに稽古つけるのはヤバい話だ。
弟子は大抵、師匠の思想なんかを引き継ぐもんだからな。
でもこいつらは違う。俺なんかに稽古つけられたくらいで・・・
そのせいで何かを見誤るほど馬鹿じゃあない。」
「・・・・・貴方がそうしたせいでもし・・・
彼らが“選ぶべき選択”の選択肢が見えなくなったら・・・貴方はどうするのです!?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
在人は、黙る。
「・・・貴方のやっていることは・・・!」
「馬鹿言え。・・・・・さっきも言ったが、こいつそのまんま神界に放り出したらどうなる?
俺達こそ、怖がってる場合じゃねぇんだよ。
俺達は“管理”を放棄したんだ。創造者なんかただの肩書きさ。
俺は俺が正しいと思うことをするだけだ。」
在人は、聖を担ぎあげる。
「おい、お前ら!いい機会だ。
お前らも稽古つけて欲しかったらいくらでも相手になってやるから・・・来い。
こいつだけは強制だけどな。他の奴にも伝えとけ。」
「は・・・・・はい!」
言われて、風真は慌てて返事をした。
「ちょっと在人!」
「館行くんだよ館。魂が確実に定着するには、
運動以外に・・・しっかり休ませとかねぇとダメだ。
こいつの身体に半分も定着してない魂で・・・
あの“闘いもどき”をするのががどれだけ危険かがわかってたから、
大声出して止めようとしたんだろ、お前は。」
「・・・・・・・・在人・・・。」
霧の・・・深い神域。
「俺は・・・いつか俺達が創った“世界”に降りて奴らと対等に暮らしたいなぁ・・・。」
「何言ってるの在人!」
桜が呆れると、在人はにやっと笑う。
「だって、こんな高い所から見てるだけなんてつまらんだろ。
奴ら、あんな一生懸命生きてるっつうのに・・・
俺達はこんな安全なところで見てるだけ、なんてよ。」
「それが私たちの仕事であり、義務ではないですか。」
神琉はすました顔で言った。
「・・・そうだなぁ・・・ボロい家の長男に生まれて、妹と弟がひとりずつ。
俺は毎日悪戯ばっかりして“おふくろさん”は結構困らされる。
けどそんなダメな俺もやるべきことはちゃんとやるんだ・・・・とかな。」
「在人っ!!」
神琉は彼の冗談についていけない。
「ジョーダンだよ。全く神琉はまじめだなぁ。」
「貴方が言うと冗談だと思えません。」
神琉はため息をつく。
「じゃーこんな性格に創らなきゃよかっただろーに。」
「・・・・意味があるのです。」
彼女のため息は深くなる。
「んなら俺は好き勝手させてもらうかな。」
「在人!」
「・・・・・様?・・・神琉様?」
「?」
神琉は、振り向いた。そこにいたのは焼刃だ。
「ここで何があったのです?なんか綺麗な石の床はボロボロだし・・・。
その前は、霧の結界に阻まれてここすら来れなかったし・・・・。」
「結界に?」
「ええ、結界です。霧が深くて深くて。」
・・・・・・在人の仕業ですか・・・・・。
考えなくてもわかる。
「それより、どうしたんです?神琉様がぼーっとされているところなんて、
僕はじめて見たんですけど。」
「ああ、昔のことを思い出していたのですよ。」
“昔”と聞いて焼刃は首を傾げた。
「昔も、今回のようなことが?」
「・・・・いえ・・・。それとは違う、“昔”ですね・・・。」
「?」
神琉が思いだしていたのは、三大神同士の会話。
「そういえば、聖の気配がしたんですが。」
「・・・・・在人が連れて帰ってしまいました。館に。」
「ギャース!!」
それを聞いて、焼刃は叫ぶ。
「どうしました?」
「い、いえ・・・すみません。なにしろ僕、館からここまでまっすぐ来れないので・・・。」
神力の関係だ。
こういう“空間”では、神力の強い者ほどはやく目的地につける。
逆に神力が弱ければその空間を永遠に彷徨い続ける。
「・・・頑張ってください。」
「・・・・う・・・・はい。」
焼刃は頭を掻いた。
焼刃の姿が見えなくなると、神琉は目を閉じる。
鏡のように磨かれた床。
「行かせろ神琉!」
在人は、神琉の胸ぐらを掴んでいた。
「いけません。シャレアの使い、フィアルもまだあそこにいるではありませんか。」
「そういう問題じゃねぇ!!」
「そういう問題です。」
神琉は冷たく返す。
「今貴方がフィアルと接触すれば、
その情報がシャレアに伝わり・・・こちらは不利になります。」
「もう充分不利じゃねえか!!」
「ええ、そうですよ。貴方もそろそろ“覚悟”したらどうです?」
神琉の笑いは、冷たい。表情も言葉も、全てが。
「“覚悟”!?んなもんできてるさ、とうの昔に!
そんなんじゃねぇ・・・“あいつら”はどうなんだよ!?
奴ら・・・何も知らないまま選ぶ選択肢も見えないままやられちまうぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
神琉は、在人を睨む。
「在人、もうやめなよ。神琉だって何も思ってない訳じゃ・・・。」
「黙れよ!思ってても“動か”なきゃどうにもならねぇだろうが!
そういう世界を創ったのは、他でもない俺達だろうが!!」
桜が止めに入ろうにも、どうにもならない。
彼の怒りはおさまらない。
「確かに・・・彼らは“選ぶ”べきですね・・・。」
「・・・・・・・そうだ。奴らは何も知らないまま、今闘ってる。」
在人は神琉を放す。
「いいでしょう、行きなさい。ただし・・・彼らが、“侵入者”を退けた後に。」
「なんっ・・・!」
「何もわからない今、“侵入者”と闘ってどう“退ける”のか。
これは重要ではありませんか。
貴方が助けに入って“侵入者”を退けたところで、
彼らが自分でそれができなければ“選ぶ”意味さえない。」
神琉は腕を組んだ。
「・・・・・・・くそっ!」
「在人!」
桜は在人に近づく。
「なんでお前はいっつもそうなんだよ!
一番“覚悟”できてないのはお前じゃないのか!?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
神琉は、答えない。
在人が怒りながら歩いていく。
「・・・・・在人・・・。」
神琉は在人にも桜にも悟られぬよう、寂しそうな顔をした。
「・・・・・・これは、神琉の覚悟なんだ。」
あの時彼は、どうしてあんな言い方をしたのだろう。
そのひとことが、七大神の心を大きく動かしたかも知れないのに。
「お久しぶりです、神琉様。」
聞き覚えのある声が、神琉の耳に入る。
「あなたは・・・。」
「神界七大神ローザ=シャイン。ここに復活いたしました。
・・・・服が可愛くなくてちょっとショックだけど・・・・。」
「ちょっ・・・どうして!?」
神琉はあからさまに驚いた。
闘いが終わったところで、神琉はまた在人に怒鳴った。
「わかってるよ。だがもうそういうレベルの話じゃねぇんだ。」
聖は、在人の腕の中で寝息を立てている。
「こいつらは・・・俺達を選んでくれたんだぜ?
そりゃ、俺達の“世界”の決まりから言えば創造者が
自分の創造したもんに稽古つけるのはヤバい話だ。
弟子は大抵、師匠の思想なんかを引き継ぐもんだからな。
でもこいつらは違う。俺なんかに稽古つけられたくらいで・・・
そのせいで何かを見誤るほど馬鹿じゃあない。」
「・・・・・貴方がそうしたせいでもし・・・
彼らが“選ぶべき選択”の選択肢が見えなくなったら・・・貴方はどうするのです!?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
在人は、黙る。
「・・・貴方のやっていることは・・・!」
「馬鹿言え。・・・・・さっきも言ったが、こいつそのまんま神界に放り出したらどうなる?
俺達こそ、怖がってる場合じゃねぇんだよ。
俺達は“管理”を放棄したんだ。創造者なんかただの肩書きさ。
俺は俺が正しいと思うことをするだけだ。」
在人は、聖を担ぎあげる。
「おい、お前ら!いい機会だ。
お前らも稽古つけて欲しかったらいくらでも相手になってやるから・・・来い。
こいつだけは強制だけどな。他の奴にも伝えとけ。」
「は・・・・・はい!」
言われて、風真は慌てて返事をした。
「ちょっと在人!」
「館行くんだよ館。魂が確実に定着するには、
運動以外に・・・しっかり休ませとかねぇとダメだ。
こいつの身体に半分も定着してない魂で・・・
あの“闘いもどき”をするのががどれだけ危険かがわかってたから、
大声出して止めようとしたんだろ、お前は。」
「・・・・・・・・在人・・・。」
霧の・・・深い神域。
「俺は・・・いつか俺達が創った“世界”に降りて奴らと対等に暮らしたいなぁ・・・。」
「何言ってるの在人!」
桜が呆れると、在人はにやっと笑う。
「だって、こんな高い所から見てるだけなんてつまらんだろ。
奴ら、あんな一生懸命生きてるっつうのに・・・
俺達はこんな安全なところで見てるだけ、なんてよ。」
「それが私たちの仕事であり、義務ではないですか。」
神琉はすました顔で言った。
「・・・そうだなぁ・・・ボロい家の長男に生まれて、妹と弟がひとりずつ。
俺は毎日悪戯ばっかりして“おふくろさん”は結構困らされる。
けどそんなダメな俺もやるべきことはちゃんとやるんだ・・・・とかな。」
「在人っ!!」
神琉は彼の冗談についていけない。
「ジョーダンだよ。全く神琉はまじめだなぁ。」
「貴方が言うと冗談だと思えません。」
神琉はため息をつく。
「じゃーこんな性格に創らなきゃよかっただろーに。」
「・・・・意味があるのです。」
彼女のため息は深くなる。
「んなら俺は好き勝手させてもらうかな。」
「在人!」
「・・・・・様?・・・神琉様?」
「?」
神琉は、振り向いた。そこにいたのは焼刃だ。
「ここで何があったのです?なんか綺麗な石の床はボロボロだし・・・。
その前は、霧の結界に阻まれてここすら来れなかったし・・・・。」
「結界に?」
「ええ、結界です。霧が深くて深くて。」
・・・・・・在人の仕業ですか・・・・・。
考えなくてもわかる。
「それより、どうしたんです?神琉様がぼーっとされているところなんて、
僕はじめて見たんですけど。」
「ああ、昔のことを思い出していたのですよ。」
“昔”と聞いて焼刃は首を傾げた。
「昔も、今回のようなことが?」
「・・・・いえ・・・。それとは違う、“昔”ですね・・・。」
「?」
神琉が思いだしていたのは、三大神同士の会話。
「そういえば、聖の気配がしたんですが。」
「・・・・・在人が連れて帰ってしまいました。館に。」
「ギャース!!」
それを聞いて、焼刃は叫ぶ。
「どうしました?」
「い、いえ・・・すみません。なにしろ僕、館からここまでまっすぐ来れないので・・・。」
神力の関係だ。
こういう“空間”では、神力の強い者ほどはやく目的地につける。
逆に神力が弱ければその空間を永遠に彷徨い続ける。
「・・・頑張ってください。」
「・・・・う・・・・はい。」
焼刃は頭を掻いた。
焼刃の姿が見えなくなると、神琉は目を閉じる。
鏡のように磨かれた床。
「行かせろ神琉!」
在人は、神琉の胸ぐらを掴んでいた。
「いけません。シャレアの使い、フィアルもまだあそこにいるではありませんか。」
「そういう問題じゃねぇ!!」
「そういう問題です。」
神琉は冷たく返す。
「今貴方がフィアルと接触すれば、
その情報がシャレアに伝わり・・・こちらは不利になります。」
「もう充分不利じゃねえか!!」
「ええ、そうですよ。貴方もそろそろ“覚悟”したらどうです?」
神琉の笑いは、冷たい。表情も言葉も、全てが。
「“覚悟”!?んなもんできてるさ、とうの昔に!
そんなんじゃねぇ・・・“あいつら”はどうなんだよ!?
奴ら・・・何も知らないまま選ぶ選択肢も見えないままやられちまうぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
神琉は、在人を睨む。
「在人、もうやめなよ。神琉だって何も思ってない訳じゃ・・・。」
「黙れよ!思ってても“動か”なきゃどうにもならねぇだろうが!
そういう世界を創ったのは、他でもない俺達だろうが!!」
桜が止めに入ろうにも、どうにもならない。
彼の怒りはおさまらない。
「確かに・・・彼らは“選ぶ”べきですね・・・。」
「・・・・・・・そうだ。奴らは何も知らないまま、今闘ってる。」
在人は神琉を放す。
「いいでしょう、行きなさい。ただし・・・彼らが、“侵入者”を退けた後に。」
「なんっ・・・!」
「何もわからない今、“侵入者”と闘ってどう“退ける”のか。
これは重要ではありませんか。
貴方が助けに入って“侵入者”を退けたところで、
彼らが自分でそれができなければ“選ぶ”意味さえない。」
神琉は腕を組んだ。
「・・・・・・・くそっ!」
「在人!」
桜は在人に近づく。
「なんでお前はいっつもそうなんだよ!
一番“覚悟”できてないのはお前じゃないのか!?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
神琉は、答えない。
在人が怒りながら歩いていく。
「・・・・・在人・・・。」
神琉は在人にも桜にも悟られぬよう、寂しそうな顔をした。
「・・・・・・これは、神琉の覚悟なんだ。」
あの時彼は、どうしてあんな言い方をしたのだろう。
そのひとことが、七大神の心を大きく動かしたかも知れないのに。
「お久しぶりです、神琉様。」
聞き覚えのある声が、神琉の耳に入る。
「あなたは・・・。」
「神界七大神ローザ=シャイン。ここに復活いたしました。
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「ちょっ・・・どうして!?」
神琉はあからさまに驚いた。
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