【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(最終章『神界防衛』前編・三班編)

第百十話 未来

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 「あたし、カーティス様の最高傑作だしぃ?」

長い金糸の髪の男は、床に臥している。

「歯向かうこと自体間違ってたのよぉ。勝負になんか、なりっこないんだからぁ。」

覇累は牢の扉を背に、剣を構えている。

「やめなよぉ。無駄って、わかるでしょ?」

「・・・・・・・・!!」

闘う力など、本当は殆ど残ってはいない。

それでも、ここをタダで通すわけにはいかない。

「オイコラ。誰を無視してそっち行ってんだ?」

それは、聖夜の声でも焼刃の声でもなく。・・・シヴァでもなく。

「・・・・しょ、聖・・・!」

覇累は言う。

「・・・あんた・・・台詞はカッコいいけどもうボロボロじゃない。

強がりもほどほどがいいと思うわよぉ?」

「へっ、やってみろよ。」

レンディが言うと聖の近くの空気が少し揺らいだ。

だが、聖に変化は無し。彼は腕を組んでいた。

「!?」

聖が空気を掴むような仕草をすると、それは青白い光を発する布と化した。

「・・・・・へっへっへー。」

「・・・神絹!?」

レンディの前にシヴァが驚いた。

「聖夜が俺の代わりに色々してくれてた間、俺は何してたと思うよ?」

「・・・・・・・・・・。」

レンディは何も言わない。というか、わからないのだ。

「神力練ってた。ずーっと、ずっとな。」

「・・・・・・!?」

「神力ってのは魂の力だ。だから、別に俺が前に出てなくても良かったわけ。」

そして聖がその身体の支配権を握った途端、

練られた神力は爆発的にその場に満ちる。

「そんな・・・ことが!?」

レンディは聖に向かってくる。

「あ、その辺密度高いから刺激加えると具現化するぞ。」

聖が言った瞬間、レンディは神絹に足を取られてこけた。

「・・・・・・・!!」

覇累が背にしている、牢の錠がガチャガチャ鳴っている。

「・・・・・・あ、やば・・・・!」

覇累は錠を押さえた。

聖の神力の大きさに、この牢の拘束能力が“外側から”

壊されそうになっているらしい。

「まーさか、こんなところで神絹の作り方知るとは思わなかったけど・・・

“イメージ通り”ではあるしな。

俺達は必死なんだよ。生死がかかってるからな。」

「・・・・だから・・・・・!」

聖はレンディを睨む。

「レンディとか言ったか?俺の言ってる“生死”は近い将来の話じゃない。

今の話でもない。・・・ずっとずっと先の、未来の俺達の生死の話さ。」

「・・・・・・・!?」

折れた聖光刃を、聖は構える。

「カーティスに世界消されたら・・・俺達全員に未来は無いんだ。」

「こんな世界での未来なんて・・・!」

聖は、レンディの首に聖光刃の折れた口を当て、彼女を壁に打ち付けた。

その衝撃で、また青く光る布が生成される。

「・・・・俺とお前は住んでる“世界”が違うんだ。意見が合わなくってもいい。

解り合えなくてもいい。

でも・・・それなら、お前はお前の世界に住んでろ。お前の世界で生きろ。

他の世界に干渉するんじゃねぇ。」

「・・・・・・・・・・!!」

レンディの目が、少し変わった。

その時金属が割れるような、耳に付く高い音が響く。

「げっ!!」

覇累が言う。

「なっ、どうしたよ!?」

聖が慌てて訊いた。

「どうしたもなにも、聖の神力の密度が高すぎて・・・・。」

そこで覇累は黙る。

「へぇ?牢の錠、壊れちゃったのぉ?」

「・・・・・・・!!!」

聖はレンディを押さえつけた。

「そうはいくかよ!!」

「無理。全身傷だらけのあんたが、あたしに敵うわけないじゃなぁい?」

レンディは聖を突き飛ばし、覇累を蹴飛ばして牢に入る。

「待て・・・!」

レンディはまだシルヴァーの姿をしている身体を担ぐと、

一瞬で転移しその場を去った。

「・・・・そんな・・・!」

聖はふらふらと歩き、壁に背を付けた。

「・・・なんで・・・。」

シャレアを奪わせる最大の原因を作ったのは、聖自身だった。

脱力する。壁に、背を付けたまま座る。

「・・・・・・聖・・・。」

シヴァは、彼に寄ろうとした。

 

「おい!!ここか!?」

羅唯の声が響く。

「・・・・・・羅唯か!?」

シヴァは声のする方向を見た。

「羅唯・・・そうだ、こっちだ!」

シヴァは声を上げる。

「おい、いたぞ!」

バタバタと数人の足音が聞こえる。四人より多い。

風真の班と時雨の班は合流したか。

「大丈夫か!?」

真っ先に走ってきたのは波人だった。

「あ、波人その辺り・・・。」

シヴァが言いかけると、波人は転ぶ。聖の神力によって生成された神絹で。

「な、なんやこれ・・・?」

足にひっかかったその布を波人は手に取る。

「神絹だ。この牢が神力拘束の機能を備えた特殊空間だから・・・、

その影響は多少牢の外にもあった。

聖の神力のでかさのせいで、

この空間内の神力の密度が異常に上がってそれが生成された。」

「・・・神絹って・・・確か狭い部屋で職人が何十日もかけて・・・。」

波人は聖の神力だという神絹をまじまじと見る。

「ああ、普通はな。それより怪我人がいるんだ、さっさと治してやってくれ。」

「あ・・・。」

七大神の波人とあろう者が、それを忘れてしまうとは。

彼はすぐに聖に駆け寄って治癒をはじめた。
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