【完結済】高校時代に書いたファンタジー小説を原文ママで投稿してみる

蒼(あお)

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本編(最終章『神界防衛』前編・三班編)

第百十一話 頼れる人

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ポーリアの宮殿、その地下牢。そこで会話するのは七大神たち。

「覇累と焼刃は?」

羅唯が訊く。

「覇累は疲労が並じゃないだろう。シルヴァーとやりあってたからな。

焼刃は肩の怪我が少し気になる。だが、ふたりとも命に別状はなさそうだ。」

シヴァは倒れているふたりの方に目をやった。

「お前は?」

羅唯はまた訊く。

「俺?」

「聖の傷の深さは見りゃわかる、お前はどうなんだと訊いてるんだ。」

シヴァは頭を掻いた。

「呪詛に邪魔されて・・・そうは長く闘えんかったな。今は問題ない。」

「肩で息をしながらそんなこと言われても信用できないが。」

「・・・・・・・。」

心なしか、最近呪詛をネタにからかわれている気がする。

「でもビックリしたわ、だって・・・。」

焼刃に寄り添うすばるが言いかける。

「ここか!?」

その言葉を遮るように、風真の声が響いた。

「やっと来た。どこまで捜しに行ってたんだ。」

羅唯が言う。

「ローザがもっと遠くかも知れんと言ったから・・・。」

「え?私言ったっけ?」

言われると、ローザは涼しい顔で笑っていた。

「・・・・・・・。」

風真は、少しだけ怒った顔をした。

「・・・だが・・・ポーリアの上空から探し回ってるときに、

聖の神力が下から突き上げるような勢いで吹き出してくる気がしたからな。

それで、地下だとわかった。」

「悪いな、気配を隠すつもりはなかったんだ。」

シヴァは、開いている牢の扉を見ながら言った。

「いいさ、全員生きてるなら・・・。」

風真は答える。よほど必死に探し回ってくれたらしい。

「・・・・・・・・・。」

「風真?」

歩きながら話していた彼は、突然止まった。

「おい・・・。」

その場で、バッタリ倒れる。

「うわ!」

それが何故か丁度座っているシヴァの近くだったので、シヴァは慌てて受け止めた。

「・・・・・こいつ、昔からいきなり倒れるからな・・・。」

シヴァはため息をつく。一番最近では、神の書の祭壇の時だ。

「無理してついてきてたしね。なんかすごい頑張ったらしいよ。」

時雨が言った。

「こいつ、熱あんぞ?」

「あー、それは多分傷が熱持ってるんやろ。

そら、勿論傷は塞いだけどそいつなんも休んでないからなぁ。」

シヴァはもう一度、深々とため息をついた。

 

どいつもこいつも・・・、バカばっかりだな。

 

「ポーリアの中には生きてる人誰もいなかったけど・・・避難させたの?」

ローザが訊く。

「いや、それはリーン達がやってくれてた。・・・お前ら、会わなかったのか?」

「私たち時雨の転移でここ来たから・・・。」

いきなり、街の中だったわけだ。

「レタリアは・・・どうだった?まだ行ってないか?」

シヴァが聞き返す。

「行ってきたよ。時雨大活躍。

ポーリアの人達や・・・他の神界の人々にもはやく避難してもらわなくちゃ。」

「・・・・避難?」

この神界に、避難場所などあるというのか。

「僕の空間。ここだけは、誰も干渉できない異空間だよ。

闘いが終わるまで・・・逃げたい人はここに逃げて貰う。

神と魔族、両方が同じ空間を共有するから嫌って人には強制できないけどね。」

時雨は、杖を出して言った。

「・・・・大丈夫なのか?」

「うん、意外に仲良くやってくれてそう。詳しい話は、後でね。

僕は今から、神界の人々の避難に専念しなくちゃ。・・・・神域行く?」

時雨は用件だけを手短に言う。

「・・・そういう事なら、班分けを変えよう。神域に身を隠してる場合じゃ無くなった。」

シヴァはいつもよりさらに真面目な声で言った。

「どうしたの?」

シヴァは、壊れた牢の錠と、開いている牢の扉を指さす。

「イーヴルの説得に失敗した上に、奴を黄泉に逝かせちまった。

シャレアの説得の最中にカーティスとちょっとやりあって、

その時はシャレアを渡さなかったんだが・・・。

その後、シャレアがシルヴァーと入れ替わってな。

それを止めて、ここに来て牢に入れたんだが、

今度はシャレアを拉致するために来たとかいうカーティスの部下と

やりあうことになって、 結局連れて行かれちまったんだ。

だから奴を追ってシャレアを取り返さなきゃならん。」

「・・・・・・・・・・・!!!」

その場にいた者の表情は凍り付いた。

「済まんな。謝っても・・・取り返しがつかんが。」

「・・・・・・・・・・・・。」

全員黙っている。

「・・・・・悪い・・・・。」

シヴァは頭を抱えた。

「・・・違うわよ、それでよくあんたたち全員生きてたわねって驚いてんのよ!」

ローザがシヴァの肩を叩く。

「・・・・・・?」

「風真は見た通り。サキくんはそれと同じ闘いでかなり疲労して

韻唄にドクターストップかけられた。

カーティスの部下ひとり退けるのに他の班はそんなに苦労してるのに・・・、

よくあのシルヴァーを相手にしたあとにカーティスを退けて

さらにその後来た体力全快の彼の部下と闘って誰も死ななかったわね。」

「・・・・・ま、まぁ・・・聖夜と聖が善戦したからな・・・。

それに、最後のひとりは最初からシャレアを拉致するのだけが目的だったから、

牢が開いた途端逃げられたし・・・。」

「さすが聖夜の分けた班ねぇ。実力差はかなりのものだったでしょうに、

これだけの闘いに耐えるなんて。」

すばるは感心した。

「・・・ああ、流石だ・・・。」

シヴァは額に手を当てて、笑った。

「じゃあシヴァ、悪いけど今度は君が班分けしてくれない?

聖夜は今聖の中で寝てるみたいだし。」

「・・・俺がか?」

全員、頷いた。

「聖夜と聖の次に頼れるのって言ったら、お前しかいないだろ?」

羅唯は言う。

「わかった。任せてくれ。」

そう言うとシヴァは、顎に手をやってしばらく考え込んだ。
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