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レイナ洞窟編
第17話 師匠
しおりを挟む「ウリャァア!」
「ガギッ」
「オラッ!」
「グギ」
「セイッ!」
「ガググ」
斜め上から斬り込んだ刀が防ぎきれず侍オーガが鎧で受けた。
だが今の俺では鎧ぐらい簡単に斬れてしまう。
俺の刀は侍オーガを貫通し、長い、長い、戦いがそこで幕を閉じた。
「ガグギギガガグ」
「師匠、三ヶ月間ありがとうございました」
俺は刀を手放し、片膝をついた侍オーガに頭を下げた。三ヶ月ほど前、師匠と初めて対峙した時、俺は違和感を覚えた。
師匠は俺を簡単に殺れるのに殺さず、手加減をしてくれていたいたのだ。
当時の俺がようやく辿り着いた答えは「彼が俺に剣を教えてくれている」というものだった。普通だったらこうは考えない。でも異世界物では「魔物が剣の師匠」みたいな展開もよくある。
偏見とファンタジー世界の暫定知識に基づいた危険な賭けだったが、幸運は勇者に味方するといったところか。
ともかく、これに気づいてから師匠と俺は三ヶ月間戦い続けた。食べることも、寝ることも、トイレに行くこともなく、三ヶ月間戦い続けた。
これを可能にしたのが狂人ツリーのレベル5で手に入ったスキル『マリオネット』。
マリオネットはその名の通り、体の限界を無視して戦い続けるという効果がある。だが体が大丈夫でも精神はもたない。
なので、出来るだけ脳内のアクションを分けて行うようにして動いていたら、『並行思考』と言う通常スキルの取得にも成功した。これで俺は片方の人格を休めながらもう片方が戦う状況を作り出すことになんとか成功できた。
師匠と俺の間には『技』と言うステータスでは埋まらない大きな溝があった。実際、戦い初めてから二週間ぐらいでステータスでは師匠に勝っていたはずだ。
でも俺が斬り込みに入っても簡単に弾かれてしまう。俺が師匠の斬り込みを刀で受け流そうとしても、手がしびれるばかり。
俺は師匠と戦闘を続け、技を鍛えた。剣術スキルも我流剣術もレベルMAXにした。そして今師匠を倒したのである。
「ガガギグ」
最後の力を振り絞るようにして師匠は自分の漆黒の刀を差し出した。俺にくれるということだろう。この刀は闇属性のミスリルより黒かった。
アダマンタイト製なのだろう。アダマンタイトはミスリルと対になる金属で魔力を全く通さない。その代わりミスリルの何倍も硬かった。師匠は俺にその刀をくれたのだ。
「ありがとうございます。この刀、大切に使わせてもらいます」
それを聞いた師匠は安堵したようであった。その後すぐに師匠の仮面の奥の目の光が消えた。
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