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冒険者編
第44話 弁明
しおりを挟むちょうどいい。ここで、一つ弁明しとくか。
「いえ、騒いでしまって大変申し訳ございません。実は、相方と今後について話していると、この自称C級冒険者のディックさんが話に割って入って来まして。人の話を遮ったことを咎めたら今度は"力の差が理解できてない"だの"舐めた態度を取ってる"だのと罵ってきて、誠に未熟ながら自分もその売り言葉に買い言葉で返してしまい、最初は言葉で済むと思っていたところに今度は彼が手を出してきて今に至ります」
「つまり、この荒れようは一部自分の責任でもあると、自ら言うのか?」
おお、うまくいった。
人間、何かやらかしたらまず謝る。そこから他人に責任を押し付ける。押し付けた後に、やっぱり自分にも非があったと認める。これが一番怒られずに済む方法だ。どの世界にいようとも人間であれば通用する最強の謝り方だ。
それだけでも十分。でも今回は最後まで怒られずに済むだけの状況が揃っている。なら、わざわざギルマスと関係を悪くする必要はいな。
「いえ、それは少し違います」
「ほう?ではどう言うことだ?」
「自分は、話し合いで済むと思ってこの喧嘩を買いました。暴力を使うつもりは一切なかったです。しかし、どうにもディックさんは思った以上に短気だったようでして、言葉に詰まるとすぐに暴力を振るって来ました」
「その結果がこれだと。……それでも暴れたのなら責任を取ってもらわなければならない」
ギルマスの話し方からわかる。あと一歩で無実判定が出る。最後に一回話を訂正してから証拠をぶつける。
「何度もお話を訂正するようで申し訳ありませんが、それも少し違います」
「まだ何かあるのか?言ってみろ」
「はい。自分も最後の最後にディックさんの腕を折ることになってしまいましたが、それまでは手を出していません。壁に叩きつけられた時も、テーブルに投げつけられた時も反撃しませんでした。自分が手を出したのは彼が剣を抜いたから。身の危険を感じたからです。なので自分は壁の凹みも、破壊されたテーブルも責任を持ちません。その上、彼の腕は正当防衛で折ったものです」
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