棋士に恋愛は似合わない?

Ryo

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1章 人生逆転の一手

第3局 棋士にライバルは似合わない?

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今日は学校ではない。今は東京の将棋会館に居る。奨励会で対局だ。対局とは2人で将棋盤に向かい合って将棋をすること。簡潔にまとめると将棋をするだけだ。
しかし、奨励会といって舐めることはできない。それに僕は奨励会三段。プロ棋士への道はもうすぐそこにある。でも、だからこそ遠い。近くて遠い存在それがプロ棋士だ。
でも僕はそのプロ棋士になりたい。そのために今まで頑張ってきた。そしてこれからも。

「おはようございます」

来たか。今日は僕のライバル「後藤 春樹」との対局だ。春樹とは同い年で研修会でも奨励会に入会した時もずっと一緒だった。だから僕たちはお互いをライバルと思っている。しかし、そんな僕たちだからこそお互いの弱点や次どう指すかがある程度把握できている。だからよく2人で集まって研究をすることもある。

「じゃあ始めようか春樹」

「お手柔らかに」

「「よろしくお願いします」」

▲(先手)天野 翔太    △(後手)後藤 春樹

将棋には将棋にはまとめてしまうと2つの戦法に分かれる。

1つ目は「飛車」を定位置から動かしカウンターを狙う「振り飛車」

2つ目は「飛車」を定位置に置いたまま戦う攻撃力の高い「居飛車」

ちなみに僕は居飛車を主に使う「居飛車党」だ。対して春樹は振り飛車を主に使う「振り飛車党」だ。

そして居飛車には居飛車の振り飛車には振り飛車の戦法がある。まぁ深く考えない方がいい。

そして春樹は「四間飛車」を僕は「居飛車穴熊」を採用した。お互い接戦だった。どちらが勝ってもおかしくない盤面だった。お互い悪手を指さずに慎重に‥‥


「負けました‥‥」

「ありがとうございました」

投了したのは春樹。夕方まで掛かった対局は僕の勝利で幕を閉じた。

帰り道はいつも通り公園のブランコに腰をかけに行く。僕の特等席のブランコには女の人が先に乗っていた。
仕方なくいつもとは違う場所に腰掛け頭の中で今日の感想戦をしていた。

「ねぇ、少しいいですか?」

相手から話しかけてきた。僕は衝撃的すぎて盤面がぐちゃぐちゃにこんがらがってしまった。
少しイライラしながら答える。

「何ですか?」

「貴方いつもここに居ますよね?すみません特等席とってしまいましたね。」

「いえ、ですが貴方はいつもここには居ないはずですが何故分かったんですか?」

彼女は公園から少し離れたところを指さして

「あそこからいつも見ていました。貴方日向高校の人ですよね?私もそこに入学しています。」

彼女は一人で次々と話を進めて行く。僕に発言権はないのだろうか。

「それで私はね」

「すみません」

彼女の言葉に僕は言葉を重ねる。

「僕、対局で疲れているのでそろそろ失礼します。」

彼女は少しの間目をそらし、そしてまたこちらに視線を送る。

「そうですか。お忙しい中すみませんでした。」

そう言って彼女は足早に去っていった。



(注意)
・ここからは本編とは関係ありません

詰将棋です。これも一手詰めとなっていますので是非皆さんお試しください。



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