雨に薫る

はなの*ゆき

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1.Cape jasmine

青嵐②

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 そこはふにふにとして柔らかく、捉えどころの無い感触なのに、まるで意思を持った別の生き物のように蠢いて、不意にきゅっと収縮して締め付けてくるから、高まる期待にゴクリと息を呑んだ。

 ぬらぬらと滑るその中を、指でぐるりとかき混ぜるように動かし、出口付近に引っかかるように抜き差しすると、それに合わせて声が上がる。
 ふっくらとした合わせ目をかき分けて、自分とは構造のまるで違う排泄器官を、指紋の襞を利用するように弄ってやると、そこも滑ってきた。
 前にここを舌で弄った事があるけど、その後キスをしようとしたら嫌がられたので、もうしないことに決めている。

 外の親指と、中の中指と薬指で挟み込むようにしながら揉み込んでやると、中から溢れてきたものが卑猥な音を立て始めた。
 円を描くように親指を動かすと、背中を仰け反らせて腰を動かし、下半身を捩る。もう、いいよな。

「入れていい?」

 と耳元で聞いたら、「聞かないでっっ」と怒られた。
 前に聞かずに入れた時に怒られたけどなぁ…と思いつつ、指を抜いて、ベッドサイドに置いておいた避妊具をつける。中出しじゃ無ければいいよ?と言われた事があるけど、そーいうリスクは冒したくない。
 開いた足を抱え込むようにしながら引き寄せて入れ、くっと抉るように腰を動かすと、条件反射のように締め付けられ、気持ちよさに短く息を吐いた。

 まずは慣らすようにゆっくりとグラインドさせ、それから細かく動いて小さく突いてゆく。喉奥から漏れる声を聞きながら、徐々に動きを加速させると、そこから沸き起こって拡がっていく歓びに、腰が抜けそうな感覚を覚える。
 はぁ…と大きく息ついてから、抜ける直前まで引き抜いて、思いっきり強く叩き付けた。
「あっ!!」と彼女が大きな声を上げるのも構わず、ガンガンと激しく打ち付ける。
 待って、優しくして、と言う懇願をとりあえず無視スルー

 別にいいだろ?ご褒美・・・なんだから。

 心の中で嘯いた。



 クリスマスプレゼントに強請られたのはネックレスだった。
 え、マジで?買いに行けってか?!と聞いたら、女子に人気だという店のサイトを教えられた。

「可愛くって、プチプラなんだよ~」

 と言っていたが、プチなプライスの解釈がおかしい。
 1番安くて6000円て、ちっとも可愛く無いだろ?
 それでも代替え品を思いつかなかったから、仕方なくコンビニ受け取りにして――親にバレるのは嫌だった――、時期が時期なだけに指定しなくてもクリスマス仕様にラッピングされていたそれを渡した。

「うわ~っ、可愛い~っっ、ありがとう~っっ」

 デザインには納得してもらえたようで、箱を開けてひとしきり喜んだ後、彼女がおずおずといったカンジに、上目遣いで言った。

「…えっと、…する…?」

 微かに鼻白んだ。
 もちろん、するけど。

 でも、そういうつもりで買ったわけじゃ無いのに、何だかご褒美のビーフジャーキーをホラホラと掲げられた、犬になったような気分を覚えた。

 あれ以来、―――成陵の件があって以来だ。
 どことなく、しっくりしない気分で、説明の出来ない齟齬が生じていると気付いてはいたけど、どうしようもないままに日が過ぎていた。

 そう言えば…と無意識に腰を動かしながら、遠くで思う。


 アイツ・・・はアレ、どうしたんだろう?







「成陵、行くわ。寮入るから」

 進藤はそれだけ言って背中を向けた。
 一瞬、ぽかんとなった自覚はある。

「っ、え? ちょっ、進藤?」

 

 進路指導の翌週だった。

 突然の進路変更宣言に戸惑ったけど、まあ、文句を言える筋合いでも無い。行こうぜとか強引に誘われた訳じゃ無いし、ただああ言った手前、事前に報告してくれたってとこだと思う。…そりゃ、ちょっと裏切られた感はあったけど。

 でも、それより、進藤の様子が気になった。

 元々黙っていると怖いというか、背の高さも相まって、人を圧倒するようなオーラ(?)があったけど、今は完全な無表情で、人を寄せ付けない氷点下な雰囲気を纏わせている。いつもバカを言って笑っている瀬戸とすら、殆ど話をしないとなれば、後は誰も話しかけられない。昼休憩も直ぐに教室から居なくなっていた。

 何があったんだろう?親に何か言われたとか?…いや、ないな。
 進藤の親は試合なんかで見かけたカンジ、うちと違って子供のやる事にいちいち口を出す風には見えなかった。
 じゃあ、あと考えられるのは―――ミヤマ、とか?
 そんな風にとりとめもなく思いを巡らせながら、野球部仲間の間で回しているスポーツ雑誌をぼんやりと捲っていた時だった。

「あの…」

 顔を上げると、入り口から深山が顔を覗かせている。まともに目が合ってしまい、その事にぎょっとした。思わず視線を走らせる。いや、大丈夫、今ケルベロスはここにいない…。

「ナオ…進藤君、どこに行ったか知らない?」
 「いや…、瀬戸もいないからアイツと一緒じゃないか?」
 「そう、ありがと」

 それだけ言って踵を返した背中を見送り、はぁ…と机に突っ伏した。流石にあれだけで睨まれるとか無いとは思うけど…。そのくせ、初めてまともに見た“深山”を、無意識に反芻していた。
 遠目に見てわかるのは背が高くて華奢な体型ぐらいだった。けど、初めて聞いた声は落ち着いたトーンで、微かに浮かべた笑みが、正直同じ中3とは思えないほど大人びて見えて、それがなんとなく寂しげなカンジを醸し出しているのかもしれない。なるほど、こりゃほっとけねーわ…なんて思った時だった。


 バンッ―――と。

 勢いよく開けられたドアから進藤が入ってきた。
 再び勢いよく、ドア外れんじゃね?というぐらい強く叩き付けるように閉める。

 進藤は怒っていた。明らかに。
 何があったのかは、分からないけど、これ程までの怒りを見た事がなかった。
 理由はわからない、けれど。
 原因は間違いなく、“深山”だろうと、その場にいたほぼ全員が気づいていたに違いない。

 
 そしてその日、二人は別れた―――というのが、3年生の共通認識になったのだった。





「…お前、そういう趣味?」

 背後から言われてギョッとして振り向く。
 可愛くない値段プライスのアクセサリーを睨み付けながら、それでも彼女に似合いそうなのは7000円のヤツだし…と思って、悩んでいた所だった。

「俺のじゃねぇし」

 言うまでも無いだろ?!と言外に抗議した自分の手の平から、スマートフォンを奪われる。
 画面をスクロールしながら見ている進藤に、「お前こそ、そーゆう趣味かよ」と言ってやっても良かったのに、それまで見たことも無い顔をしていたから、やめた。
 微かに上がった口角に、微笑む、というのはこういう顔のことを言うんだな…と、驚くほどに柔らかで優しい表情だった。

 進藤から付き合っているとは聞いていなかったし、彼女が言うには、深山の方はただの幼なじみだと言い張ってるらしいし、そのせいか、学校ではあまり二人でいる所を見かける事が無かったけれど。

 二人でいる時は、こんな顔をするんだな…と思った。
 彼氏でも彼女でもないけど、そんな枠は必要ないのだと。

 進藤が選んだ、小さなプラチナの花を思い出す。
 受領確認のメールが来たから、受け取りはしたようだったけど、どうしたんだろう?


 ちゃんと、深山に届いていればいい…と、そう思った。







※※※※※※注意書き

 途中、「どうよ?」とか「行くわ」と言ってますが、オネエ言葉ではなく方言的な言い回しになります。関西圏だと違和感無いと思うんですけど。あえて使わせて頂いてますので、あしからず。
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