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何が驚いたって。
声にビックリして顔を横に向けた、その直ぐ側にあった顔に驚いて、反射的に仰け反った。
ちょっと、パーソナルスペースって、知ってます?!
戸惑う私に対して、明るく染めた前髪の向こうの顔がニヤリと笑うと、あっと思う間もなく手にしていた文庫本を取り上げた。
「なんだ、これ。」
そう言いながらパラパラと捲って中を確認すると、カンジ悪く口許を歪めるように笑う―――いや、嗤うというのが正解かも。
「こーんなカバー着けて何読んでんのかと思ったら…実は“フジョシ”とか?」
はぁ?―――確かに挿絵はやたらと美少年ばっかり描かれてはいるけどな?もしかして“腐女子”の意味を知らずに言ってる?それは“腐女子”の皆さんに失礼なんだけど?
て言うか、誰、アンタ?と言いたいけど、咄嗟のことに声が出ない。それをいいことに、調子に乗ったのか男が一歩こっちへ踏み出すから、反射的にこっちも後退るを得ない。
「“アイス・メイデン”とか言って男振りまくってる美少女が、実は“フジョシ”とか笑えるわ~、マジで“処女”?だよな~、“フジョシ”なら」
“せせら笑う”という言い方がぴったりくるような笑い方で、片手に持った本を揺らす。
明らかにバカにした言い方にムカっときた。
何言ってんだテメエ?
“腐女子”の彼氏持ちなんてザラにいるし、結婚しても止められない薄い本作成を旦那に手伝ってもらってる猛者だっているんだぞ!!
改めてみると、顔はまあまあ整ってるだろうか―――長めのマッシュルームカットにはパーマがかかっていて、耳朶にはピアス。シャツのボタンを鎖骨が見えるまで開けたネクタイ姿は、今時なのかもしれないけど、正直、ただ“だらしない”ようにしか見えない。
オマケに初対面なのに、なんでこんな態度を取られなきゃならないのか、サッパリわからない。
というか、ヒトの本勝手に取り上げてんじゃねぇよ!確かに“処女”だけどな!
ギロッ―――とソイツを睨み付けるが、ちっとも堪えたふうじゃないのが悔しい!
「返して下さい。」
沸々とこみ上げる怒りで怒鳴りつけたい思いを堪えながら言うと、ちょっと声が震えてしまった。
しかも、ちょうど電車が到着したものだから、聞こえなかったヤツが「あ?」と言いながら再び顔を近付けてくる。
コノヤロウ!耳元で怒鳴りつけてやる!
そう意気込んで、すぅ―――と息を吸い込んだ、その時だった。
「おい。」
低い声に顔を上げると、ヤツの後ろに更に男が立っていた。重めの前髪と眼鏡に隠れて顔立ちはわからないけれど、引き締まった顎と形の良い唇が微笑んで、手に持ったモノをかざして見せる。
「えっ、あっ―――!!!」
茶髪男が背中にまわしていたスクールバッグを前に引き寄せる。
おそらくポケットに入れてたんだろうそれが、自分のパスケースだとヤツが気が付いた瞬間、彼がそれを遠くに放り投げた。
「うぉっっ!!」
叫んで走り出すヤツの手から、彼が素早く本を取り上げる。
それを横目に睨み付けながらパスケースを拾いに行くヤツを、呆気に取られて見ていた私は、グイッと腕を取られて我に返った。
顔を上げた先で、彼に顎で促される。
ピイッ―――と、ホームに車掌さんの鳴らす笛が響いて、慌てて電車に駆け込んだ。その背中でドアが閉まる。
振り向くと、さっきの無礼男が悔しげな顔でこっちを睨んでいた。私達がギリだったんだから当然か。
ガタンッ―――と電車が動いて、踏ん張れずによろめいた体を、硬い腕に抱き止められる。
その事にビックリした。いや、ホントに。
硬い!木の棒か?
戸惑いながら顔を上げて、更に固まってしまった。
見上げた先にある、こっちを見下ろす顔―――いや、本気で見下ろされてる。何センチあんの、この人。私これでも160超えてるんですけど?!―――に。
さっきの思いっきり作った茶髪とは違う暗褐色の髪。そのサラリとかかる前髪に隠れていた、眼鏡の向こうのアーモンド型の瞳はくっきりとした二重まぶたで切れ長だ。
通った鼻筋に、形の良い口許。スッキリと引き締まった顎。
至近距離で見るとその破壊力たるや、パねぇにもほどがある。
リコさーんっっ!!
ほんまもんのイケメンがいるよー!!
しかも魅力三割増しの眼鏡付き―――!!
と心の中で叫んだ所で、何かが頭で引っ掛かった。
あれ、この顔…
思わずマジマジと見入っている私を、彼がちょっと半眼で見ながら抱き起こして、ドアの側にあるバーを持たせるように背中を押した。
「ほら。」
と、差し出されたのは“漫画家せりな”。
「あっ!!ありがとうっっ」
無事に返ってきた事が嬉しくて、思わず満面の笑みで見上げると、彼がちょっと困った様な顔をしていた。
あ、そうか。
「あ、違うんですよ、これはジュニア小説で、BLじゃないです。」
慌てて顔の前で手を振って否定する。ノンケの中には、BLを毛嫌いする人がいると聞いたことあるからなんだけど、彼はキョトンとした顔になって、気持ち首を傾げた。
「ジュニア小説…?」
あ、そっちに食い付いちゃうんだ?
声にビックリして顔を横に向けた、その直ぐ側にあった顔に驚いて、反射的に仰け反った。
ちょっと、パーソナルスペースって、知ってます?!
戸惑う私に対して、明るく染めた前髪の向こうの顔がニヤリと笑うと、あっと思う間もなく手にしていた文庫本を取り上げた。
「なんだ、これ。」
そう言いながらパラパラと捲って中を確認すると、カンジ悪く口許を歪めるように笑う―――いや、嗤うというのが正解かも。
「こーんなカバー着けて何読んでんのかと思ったら…実は“フジョシ”とか?」
はぁ?―――確かに挿絵はやたらと美少年ばっかり描かれてはいるけどな?もしかして“腐女子”の意味を知らずに言ってる?それは“腐女子”の皆さんに失礼なんだけど?
て言うか、誰、アンタ?と言いたいけど、咄嗟のことに声が出ない。それをいいことに、調子に乗ったのか男が一歩こっちへ踏み出すから、反射的にこっちも後退るを得ない。
「“アイス・メイデン”とか言って男振りまくってる美少女が、実は“フジョシ”とか笑えるわ~、マジで“処女”?だよな~、“フジョシ”なら」
“せせら笑う”という言い方がぴったりくるような笑い方で、片手に持った本を揺らす。
明らかにバカにした言い方にムカっときた。
何言ってんだテメエ?
“腐女子”の彼氏持ちなんてザラにいるし、結婚しても止められない薄い本作成を旦那に手伝ってもらってる猛者だっているんだぞ!!
改めてみると、顔はまあまあ整ってるだろうか―――長めのマッシュルームカットにはパーマがかかっていて、耳朶にはピアス。シャツのボタンを鎖骨が見えるまで開けたネクタイ姿は、今時なのかもしれないけど、正直、ただ“だらしない”ようにしか見えない。
オマケに初対面なのに、なんでこんな態度を取られなきゃならないのか、サッパリわからない。
というか、ヒトの本勝手に取り上げてんじゃねぇよ!確かに“処女”だけどな!
ギロッ―――とソイツを睨み付けるが、ちっとも堪えたふうじゃないのが悔しい!
「返して下さい。」
沸々とこみ上げる怒りで怒鳴りつけたい思いを堪えながら言うと、ちょっと声が震えてしまった。
しかも、ちょうど電車が到着したものだから、聞こえなかったヤツが「あ?」と言いながら再び顔を近付けてくる。
コノヤロウ!耳元で怒鳴りつけてやる!
そう意気込んで、すぅ―――と息を吸い込んだ、その時だった。
「おい。」
低い声に顔を上げると、ヤツの後ろに更に男が立っていた。重めの前髪と眼鏡に隠れて顔立ちはわからないけれど、引き締まった顎と形の良い唇が微笑んで、手に持ったモノをかざして見せる。
「えっ、あっ―――!!!」
茶髪男が背中にまわしていたスクールバッグを前に引き寄せる。
おそらくポケットに入れてたんだろうそれが、自分のパスケースだとヤツが気が付いた瞬間、彼がそれを遠くに放り投げた。
「うぉっっ!!」
叫んで走り出すヤツの手から、彼が素早く本を取り上げる。
それを横目に睨み付けながらパスケースを拾いに行くヤツを、呆気に取られて見ていた私は、グイッと腕を取られて我に返った。
顔を上げた先で、彼に顎で促される。
ピイッ―――と、ホームに車掌さんの鳴らす笛が響いて、慌てて電車に駆け込んだ。その背中でドアが閉まる。
振り向くと、さっきの無礼男が悔しげな顔でこっちを睨んでいた。私達がギリだったんだから当然か。
ガタンッ―――と電車が動いて、踏ん張れずによろめいた体を、硬い腕に抱き止められる。
その事にビックリした。いや、ホントに。
硬い!木の棒か?
戸惑いながら顔を上げて、更に固まってしまった。
見上げた先にある、こっちを見下ろす顔―――いや、本気で見下ろされてる。何センチあんの、この人。私これでも160超えてるんですけど?!―――に。
さっきの思いっきり作った茶髪とは違う暗褐色の髪。そのサラリとかかる前髪に隠れていた、眼鏡の向こうのアーモンド型の瞳はくっきりとした二重まぶたで切れ長だ。
通った鼻筋に、形の良い口許。スッキリと引き締まった顎。
至近距離で見るとその破壊力たるや、パねぇにもほどがある。
リコさーんっっ!!
ほんまもんのイケメンがいるよー!!
しかも魅力三割増しの眼鏡付き―――!!
と心の中で叫んだ所で、何かが頭で引っ掛かった。
あれ、この顔…
思わずマジマジと見入っている私を、彼がちょっと半眼で見ながら抱き起こして、ドアの側にあるバーを持たせるように背中を押した。
「ほら。」
と、差し出されたのは“漫画家せりな”。
「あっ!!ありがとうっっ」
無事に返ってきた事が嬉しくて、思わず満面の笑みで見上げると、彼がちょっと困った様な顔をしていた。
あ、そうか。
「あ、違うんですよ、これはジュニア小説で、BLじゃないです。」
慌てて顔の前で手を振って否定する。ノンケの中には、BLを毛嫌いする人がいると聞いたことあるからなんだけど、彼はキョトンとした顔になって、気持ち首を傾げた。
「ジュニア小説…?」
あ、そっちに食い付いちゃうんだ?
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