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第2章 日常讃歌・相思憎愛
第15話 作戦
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「耶蘇先生よぉ、俺は高校入った時からあんたの事が気に喰わなかったんだ。これでも我慢したんだぜぇ?だがなぁ、今の言葉、大分きたね!俺を止める?俺は俺のやりたいようにやる!俺がこの世界の主役なんだよ!お前が俺の邪魔をするな!何時も何時も俺の邪魔ばっかりしやがって!俺が正しい!俺が神なんだよ!!」
耶蘇光を見た途端に吠える工藤。
勿論、光が工藤に何かしたわけではない、大凡ただの逆恨みや嫉妬の類だ。
「……」
光も分かって入るが、時間稼ぎと敵意を自分に向けさせるため、黙って工藤の話を聞く。
だが、工藤にとってはその態度が余計に神経を逆撫でしたのだろう、更に激昂し吠える。
「何黙ってすかしてんだよ!そう言うところがムカつくんだよ!あ゛あ゛っ!!全部ムカつくぜ!全部だ!俺の思い通りにならない世界全部ムカつく!!」
己の不名も、上手くいかない日常も、自身の意思に関係なく進む世界も、全てが光のせいだと言わんばかりの叫び。
或いは、世界そのものを呪う言葉。
抑圧された心は、理性の檻の中に在った欲情は、己の世界でのみ漏らしていた本音は。今、何物にも縛られることなく解き放たれたと叫ぶ。
「やっと現れたんだ!俺の世界がっ!俺の理想の日常がっ!だからよぉ……」
呪った世界の果てに零れ落ちてきた理想郷。
待ち焦がれた日常。
この世界を侵すものは何人も許さないと心から願う。
欲望と言う名の願いを正面から受け入れた少年は、侵略者を打倒さんと駆け出す。
「俺の邪魔をするなぁぁ!!」
右手にナイフを振りかざし、激昂した工藤が光を掛けて詰め寄る。
「ふぅ……」
光は軽く息を吹き、刺股の中程からややその後方を右手で握り、更に前を左手で握る。
力は入れ過ぎず、軽く握るだけだ。
本来の刺股の使用方法とは違い、槍の操法である。
止めて、捕縛するための刺股と、突いて殺すための槍。同じような長さの得物でも、そもそもの目的が異なる。
光は工藤を殺そうとしている訳ではない。しかし、広い校庭という空間において、長重な刺股は工藤の動きに付いていけない。
そこで光は一旦捕縛を諦め、時間を稼ぐことに切り替えたのだ。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
「ふっ!」
吐く息と共に一閃。
襲い掛かる工藤の顔面目掛けて、最短で最速の突きを放つ。
槍の操法ではあれば、的の小さな顔面よりも胴を狙った方が致命傷を与える可能性が高いのだが、光は敢えて顔面目掛けて刺股を繰り出す。
(止まれ!)
顔面に向けて突きを放つのは刺股の使い方としては常套手段。特に襲い掛かってくる相手に対して顔面に牽制を込めた突きを放つことは、当たるにしろ当たらないにしろ相手の勢いを殺し、その場に止める効果がある。
激昂して、ただ突っ込んでくる相手に対しては有効な一撃である。但し、それが通常の人間であればの話である。
(しまった、思い切り当ててしまった……)
刺股の鍬形部分が工藤の顔面を捉える。
顔面に思いっきり当ててしまったことをピクリとだけ反応し、すぐに刺股を引き戻す光。
(手で払うこともしない……やり過ぎたか……!?)
工藤は仰け反るだけで倒れない。
工藤と目が合う。
目を見開いたまま、光を真っ直ぐに見据えていた。
「イヒっ!」
口元が大きく開き、ニヤリと笑い狂気の声が漏れる。
その場でヌルリと体勢を低くし、刺股の下に潜り込んで一気に間合いを詰める工藤。
刺股のような長物は自身の間合いに入り込まれると、途端に動きが制限されてしまう。
足元から這い寄る様に迫る工藤。
「速い!だが……」
光も長物の弱点はよく理解している。だから刺股としてではなく、槍として構えたのだ。
それでも生徒を殺傷するつもりは無く、制圧できればいいと考えていた。
その為の牽制だったのだが、工藤はお構いなしに突撃し潜り込まれてしまった。
だがそれで慌てる光ではない。
「甘い!」
刺股の石突きを迫る工藤に向けて左逆袈裟から掬い上げる。
工藤は身体を捻り目の前に迫った石突を紙一重で躱す。石突が工藤の髪をかすめ、空を切る。
「っ!」
当たると思った一撃が躱される。光の目が見開く。
勢いは衰えたがそのまま光へ殺到しようと、もう一歩を踏み出す工藤。
「ケヒッ!」
勝利を確信したような歓喜の声が漏れ、ナイフを持った右手を振り上げる。
「はっ!」
だがそんな単純な動きを光は逃さない。
カチ上げられた刺股の石突を再度ナイフを持った右手目掛けて振り下ろす。
生身の腕と金属の刺股がぶつかり合って、発する音とは思えない硬質な音が響く。
(く、硬いな……それに力も……)
ナイフを落とすために強く打ち付けたつもりだった。しかし、振り下ろしの一撃は受け止められてしまった。
ギリギリと鍔迫り合いのように刺股と右腕が拮抗する。刺股伝いとは言え、光は全く押し込めない工藤の力に驚嘆する。
「やるねぇ先生ぇ、でもそんなじゃあ無駄だぜぇ?フヒッ!」
工藤らそう言いながら右手をずらし、刺股を滑り落とす。
石突が校庭にぶつかる瞬間には工藤は飛び上がっていた。
「おらぁ!」
空中で体勢を変え、蹴りが光の頭部を襲う。
刺股を両手に持ち、防御が間に合わない。一瞬の判断で両脚を開いてその場に身体を落とし込む。
今度は工藤の蹴りが空を切り、光の頭をかすめる。
「はっ!」
光は宙に浮いている工藤を逃さない。
飛び上がることは基本的に動けない体勢だ。その隙を突かない訳にはいかない。
刺股の鍬形部分を上段から振り下ろす。
工藤が右手で受け止めるも、光が力一杯に刺股を振り抜く。
「ぐっはっ!」
校庭に叩きつけられる工藤。
普通であれば決まる一撃だが、光は油断なく工藤を目で追う。
(この程度では止められない……)
光はそう考えていた。
それでも僅かな隙は作れる。
「西風舘くん、玲ちゃん!2人を!!」
「はっ、はい!」
光は倒れている真理と伊緒を見て2人に目配せする。
突如始まった光と工藤の攻防に昇降口から呆気に取られて見ていた玲が我に返って返事をする。
西風舘は無言のまま駆け出し、倒れた真理と、漸く立っている伊緒の下に走る。
「イヒヒヒ。あぁ……ダメだこんな……すぐに殺そうと思ってたんだけどよぉ……こりゃあ無理だよな……楽しすぎるぜぇ、先生?」
何事も無かったかのように、制服に付いた土埃を払いながら立ち上がる工藤。
「そうか、僕としては大人しくナイフを捨てて、投降してくれた方が嬉しいんだけどね」
「つまんねぇこと言うなよ先生!もっとヤロウぜ?そんでもって、俺に殺されてくれよ、なぁ?」
「それは遠慮しておくよ、僕も痛いのは嫌んでね」
「フヒッ!大丈夫だって先生ぇ、気持ちいいかもしれねぇだろ?試してみようぜっ!」
工藤の標的は光に移ったのか、西風舘と玲が伊緒と真理の下に向かって走ることには興味を示さない。
光は背後を2人が駆け抜けてのを横目で確認しながら、今後の展開を組み立てる。
(まずは伊緒くんと真理ちゃんの避難が先決、そのための時間を稼ぐ。そこから校舎内に入って工藤くんの動きを制限する。あとはどうやって制圧するかだが……こいつじゃは有効打にならないなぁ……)
手に把持した刺股をチラリと見ながらどうしたもんかと思案する。
「もういいかよ先生ぇ?続きやろうぜ!」
◇◇◇
「光さん!伊緒くんが!!」
「不味い!」
走り出す光の背中を見送る玲。
倒れた真理とその前で守ように立ちはだかる伊緒。
「!!」
玲は改めて幼馴染2人の状況を認識して声にならない悲鳴をあげる。
「躬羽さん、隙を突いて2人の所に行こう。多分、耶蘇先生がそう立ち回ると思うから」
「は、はい」
飛び出した光に向かっていく工藤、それを迎え撃つ光。
2人の攻防が目の前で繰り広げられる。
人間離れした速度と反応を見せる光と工藤。
「何、あれ……」
「早すぎる……耶蘇先生も何で反応できるんだ……」
高速で展開する攻防から目を離すことができない。
光が宙に浮いた工藤を刺股で叩き落とす。
校庭に打ち付けられ転がる工藤。
「西風舘くん、玲ちゃん!2人を!!」
光の呼びかけにハッとなる玲と西風舘。
「はっ、はい!」
玲が慌てて返事をして目的を思い出す。
西風舘も無言のまま伊緒と真理の下へ走り出していた。
立ち上がった工藤が何か光と話しているが、こちらに向かってくる様子は無い。
「工藤は大丈夫そうだな……躬羽さん今のうちにだ」
「はい!」
先を走る西風舘も光と工藤のことを気にしながら駆け抜けていく。
「先輩……」
「よくやった!大丈夫か!?傷は!?後ろの仁代さんは無事か!?」
構えたまま立ちすくんでいる伊緒に矢継ぎ早に確認を取る西風舘。
「はい、脇腹に思い切り蹴りを食らったのが響いてますけど、骨は大丈夫そうです……真理は脳震盪だと思います」
西風舘の質問に簡潔に答える伊緒。意識ははっきりしており、目立った外傷もなさそうであった。
問題は未だ倒れ込んでいる真理だろうと目をやると追い付いた玲が側に座り込んでいた。
「真理ちゃん!大丈夫!?」
「玲……大丈夫……怪我は、無いけど……顎にあいつの蹴りが入っちゃって……まだ、上手く……動けない……」
まだ身体をやっと起こせるぐらいにしか回復しておらず、辛そうにしている真理を玲が身体を支えて寄り添う。
「本当は安静にしていた方がいいんだけど……ここにいたら耶蘇先生も危ない、校舎の中まで何とか避難しよう」
「はい、でも、真理ちゃんは……」
「俺が運ぶ」
伊緒が振り返り、真理の所まで歩み寄る。
「まだ、足が震えてるじゃん。大丈夫、自分で立つから……」
無理矢理に立ちあがろうとする真理。だが未だに身体が上手く動かないのか、膝立ちになるのがやっとである。
「真理ちゃん!無理しないで!」
「このままじゃ、光さんの、邪魔になっちゃうから……」
工藤と攻防を繰り広げ、注意を惹きつけてくれている光にとって、真理は自身が一番の障害になっていることを理解していた。
「俺が運ぼう。躬羽さん手伝って貰えるかな」
「いや、先輩。俺がやりますよ」
「大丈夫だ、それよりも自分の身体を回復させることに集中した方がいい。そのままじゃまともに動けないだろ」
「ぐっ……確かに……」
「そうよ、伊緒は大人しくしてなさい。西風舘先輩、申し訳ないですけど、お願いできますか?」
真理は玲に肩を貸りてどうにか立ち上がり、そのまま屈んだ西風舘の背中におぶさる。
「すみません……」
「気にしなくていいよ。それより耶蘇先生じゃなくてすまないね」
「それは後で光さんに“ヒカルニウム”を補充させてもらうので大丈夫です」
「はは、そうしてくれ。よし、行こう」
真理を担いだ西風舘が動き出し、それに続いて伊緒と玲も動き出す。
「伊緒くん大丈夫?」
「ああ、動けない訳じゃないから大丈夫。ただ、足にきてる」
伊緒は脇腹をさすりながら、一歩一歩踏みしめるように歩き出す。
「無理しないでね?ダメなら私がおんぶするからね?」
「それは恥ずかしいから勘弁してほしいかな……あ……でも肩は貸して欲しいかも……力抜けそう……」
「えっ、ちょっと本当に大丈夫!?」
カクンと足の力が抜け、玲にもたれ掛かる様に傾く伊緒の身体。玲の肩に手を回し、何とか倒れずに支えてもらう。
玲も伊緒の腰に手を回して伊緒の支えになる。
「ごめん……助かる……」
「どういたしまして。これは高いよ?」
「ははっ……こわ……後でちゃんとお礼するよ」
昇降口に向かって歩いていく4人、真横では光と工藤の一進一退の攻防が続いている。
西風舘は漸く昇降口まで辿り着き、大きく息を吐く。
「ふぅ、無事にここまで来れた……」
「すみません……私のせいで……」
「それは問題ないよ、それよりも何時あいつがこちらに向かってくるか分からないから、そっちの方が緊張したよ」
「あ、降ろしてもらって大丈夫です。大分調子が戻ってきました」
西風舘は真理を降ろしながら額の汗を拭う。
涼しい顔で話をしていたが、かなり緊張をしていたようだ。
真理は地面に足をつけ、下駄箱に手を当て身体を支えながら何とか立っている状態だ。
「大丈夫?まだ背負うよ?」
「ありがとうございます、でも早く身体を動かせるようにならないと……伊緒、あんたもだよ」
「分かってるって。玲、ありがとう。とりあえず動けるようになったから」
「ホントに大丈夫?伊緒くん直ぐ無理するから……玲ちゃんもだよ!」
無理をして大丈夫だと言い張る伊緒と真理、だがそんな虚勢はすぐに玲に一喝されてしまう。
「私は、大丈夫。伊緒が、ガクガク」
「何で片言なんだよ、どう見ても真理の方がまだ動けないだろ。玲もっと言ってやって」
「真理ちゃん、私に掴まって」
「ありがとう、玲」
「めっちゃ素直だな……」
いつもの双子のやりとりができるまでには回復したのだろう。
4人は校庭で未だ続く光と工藤との攻防を見ながらその動きに圧倒される。
「工藤も……それに着いていけてる耶蘇先生も動きが人間離れしてる……」
「光さん……凄い……」
「光さんでも、あんな動きできるか?」
「流石、光さんって言いたいけど……流石に動きと反応が良すぎる……」
各々が工藤と光の動きを見て驚きの声を上げる。
それ程までに速く、鋭い動き。
「でも、光さんは完全に防御に徹してるな」
「一応反撃入れてるけど……殆ど効いてないようね……」
先程から光は防御に徹しており、隙を見て反撃を試みているが有効打にはなっていないようである。
もともと時間稼ぎのために工藤を惹きつけているのだから、その目的は達せられたと言えるだろう。
「よし、このまま校舎内に撤退しよう。仁代さん、躬羽さん先に職員室へ向かって。仁代くん、動けるかい?」
「紛らわしから伊緒で構いません。全快とはいかないですけど、大丈夫です」
「西風舘先輩、私も真理でいいですから」
「真理ちゃん、今のうちに急ごう」
玲は真理を促し、一足先に職員室を目指して動き出す。
伊緒と西風舘は掃除用に置かれていたデッキブラシと自在ホウキをそれぞれ手に取り、昇降口の入り口に立って攻防を続ける2人を見据える。
「耶蘇先生!避難完了です!」
西風舘が光に対して大声で呼びかける。
「!――はっ!」
横目でチラリと生徒たちを確認し、光は飛びかかってきた工藤に向かって渾身の一撃を放つ。
今までは工藤の攻撃を捌き、受け、その反撃程度しか打ち込んでいなかった。だがこの一撃は違った。
上半身を捻り、片手で刺股を持って一気に弾き出す。
弓に番えた矢の如く、刺股は工藤への最短航路を突き進む。
光の全身のバネで撃ちます出された巨大な矢は工藤の胸にぶち当たり、工藤の勢いを殺す。
「うぉらぁ!」
一瞬の拮抗の後、鍛えられた下半身から捻り出された力で刺股を撃ち抜く。
校庭を転がる工藤、その行方を確認する間も惜しんで光が昇降口を目指して走り出す。
肩に担がれた刺股がガシャガシャと音立てて揺れる。
「廊下まで下がって!あの程度じゃ殆ど意味がない!」
昇降口まで辿り着いた光は残っていた伊緒と西風舘に向かって指示を飛ばす。
「先生!後ろ!」
「!!」
西風舘が叫ぶ。
「先生よぉ!今のは痛かったぜぇ!体罰かなこりゃぁ!ケヒッ!」
もう立ち上がって走り出している工藤。振り返った光は刺股を構えて迎撃体勢をとる。
「急いで下がって!」
「はい!下がったらすぐに職員室側に!俺たちは予定通りに!」
西風舘が叫び、伊緒が手にしたデッキブラシを持って校舎内へと走り出す。
続いて光が昇降口に飛び込む。
「オラァァぁぁぁぁ!!」
校庭を猛然と駆け抜け、光に向かって跳びかかる工藤。
光は振り返りながら刺股で工藤を薙ぎ払う。だが工藤の勢いを完全にいなすことはできず、工藤の軌道ををズラす。
工藤はスチール製の下駄箱に激突。
金属が拉げる音と下駄箱同士が激突する音で甲高い悲鳴が木霊する。
工藤を撃墜した光は再度向き直り、校舎内へと急ぐ。
「イヒヒヒヒヒヒ!!待てよ先生!!もっと楽しもうぜ!!!」
ガラガラと下駄箱を持ち上げて吹き飛ばし、工藤が光を追う。
工藤の目は、最早光だけを捉えていた。
「フヒッ!!この世界は面白れぇなぁ!知らなかったぜ!今までの世界は糞だったなぁ、糞見てぇな日常だったなぁ……これからは毎日楽しめそうだ!!フヒヒヒヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
未だ工藤の勢いは衰えず、光達に迫る。
耶蘇光を見た途端に吠える工藤。
勿論、光が工藤に何かしたわけではない、大凡ただの逆恨みや嫉妬の類だ。
「……」
光も分かって入るが、時間稼ぎと敵意を自分に向けさせるため、黙って工藤の話を聞く。
だが、工藤にとってはその態度が余計に神経を逆撫でしたのだろう、更に激昂し吠える。
「何黙ってすかしてんだよ!そう言うところがムカつくんだよ!あ゛あ゛っ!!全部ムカつくぜ!全部だ!俺の思い通りにならない世界全部ムカつく!!」
己の不名も、上手くいかない日常も、自身の意思に関係なく進む世界も、全てが光のせいだと言わんばかりの叫び。
或いは、世界そのものを呪う言葉。
抑圧された心は、理性の檻の中に在った欲情は、己の世界でのみ漏らしていた本音は。今、何物にも縛られることなく解き放たれたと叫ぶ。
「やっと現れたんだ!俺の世界がっ!俺の理想の日常がっ!だからよぉ……」
呪った世界の果てに零れ落ちてきた理想郷。
待ち焦がれた日常。
この世界を侵すものは何人も許さないと心から願う。
欲望と言う名の願いを正面から受け入れた少年は、侵略者を打倒さんと駆け出す。
「俺の邪魔をするなぁぁ!!」
右手にナイフを振りかざし、激昂した工藤が光を掛けて詰め寄る。
「ふぅ……」
光は軽く息を吹き、刺股の中程からややその後方を右手で握り、更に前を左手で握る。
力は入れ過ぎず、軽く握るだけだ。
本来の刺股の使用方法とは違い、槍の操法である。
止めて、捕縛するための刺股と、突いて殺すための槍。同じような長さの得物でも、そもそもの目的が異なる。
光は工藤を殺そうとしている訳ではない。しかし、広い校庭という空間において、長重な刺股は工藤の動きに付いていけない。
そこで光は一旦捕縛を諦め、時間を稼ぐことに切り替えたのだ。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
「ふっ!」
吐く息と共に一閃。
襲い掛かる工藤の顔面目掛けて、最短で最速の突きを放つ。
槍の操法ではあれば、的の小さな顔面よりも胴を狙った方が致命傷を与える可能性が高いのだが、光は敢えて顔面目掛けて刺股を繰り出す。
(止まれ!)
顔面に向けて突きを放つのは刺股の使い方としては常套手段。特に襲い掛かってくる相手に対して顔面に牽制を込めた突きを放つことは、当たるにしろ当たらないにしろ相手の勢いを殺し、その場に止める効果がある。
激昂して、ただ突っ込んでくる相手に対しては有効な一撃である。但し、それが通常の人間であればの話である。
(しまった、思い切り当ててしまった……)
刺股の鍬形部分が工藤の顔面を捉える。
顔面に思いっきり当ててしまったことをピクリとだけ反応し、すぐに刺股を引き戻す光。
(手で払うこともしない……やり過ぎたか……!?)
工藤は仰け反るだけで倒れない。
工藤と目が合う。
目を見開いたまま、光を真っ直ぐに見据えていた。
「イヒっ!」
口元が大きく開き、ニヤリと笑い狂気の声が漏れる。
その場でヌルリと体勢を低くし、刺股の下に潜り込んで一気に間合いを詰める工藤。
刺股のような長物は自身の間合いに入り込まれると、途端に動きが制限されてしまう。
足元から這い寄る様に迫る工藤。
「速い!だが……」
光も長物の弱点はよく理解している。だから刺股としてではなく、槍として構えたのだ。
それでも生徒を殺傷するつもりは無く、制圧できればいいと考えていた。
その為の牽制だったのだが、工藤はお構いなしに突撃し潜り込まれてしまった。
だがそれで慌てる光ではない。
「甘い!」
刺股の石突きを迫る工藤に向けて左逆袈裟から掬い上げる。
工藤は身体を捻り目の前に迫った石突を紙一重で躱す。石突が工藤の髪をかすめ、空を切る。
「っ!」
当たると思った一撃が躱される。光の目が見開く。
勢いは衰えたがそのまま光へ殺到しようと、もう一歩を踏み出す工藤。
「ケヒッ!」
勝利を確信したような歓喜の声が漏れ、ナイフを持った右手を振り上げる。
「はっ!」
だがそんな単純な動きを光は逃さない。
カチ上げられた刺股の石突を再度ナイフを持った右手目掛けて振り下ろす。
生身の腕と金属の刺股がぶつかり合って、発する音とは思えない硬質な音が響く。
(く、硬いな……それに力も……)
ナイフを落とすために強く打ち付けたつもりだった。しかし、振り下ろしの一撃は受け止められてしまった。
ギリギリと鍔迫り合いのように刺股と右腕が拮抗する。刺股伝いとは言え、光は全く押し込めない工藤の力に驚嘆する。
「やるねぇ先生ぇ、でもそんなじゃあ無駄だぜぇ?フヒッ!」
工藤らそう言いながら右手をずらし、刺股を滑り落とす。
石突が校庭にぶつかる瞬間には工藤は飛び上がっていた。
「おらぁ!」
空中で体勢を変え、蹴りが光の頭部を襲う。
刺股を両手に持ち、防御が間に合わない。一瞬の判断で両脚を開いてその場に身体を落とし込む。
今度は工藤の蹴りが空を切り、光の頭をかすめる。
「はっ!」
光は宙に浮いている工藤を逃さない。
飛び上がることは基本的に動けない体勢だ。その隙を突かない訳にはいかない。
刺股の鍬形部分を上段から振り下ろす。
工藤が右手で受け止めるも、光が力一杯に刺股を振り抜く。
「ぐっはっ!」
校庭に叩きつけられる工藤。
普通であれば決まる一撃だが、光は油断なく工藤を目で追う。
(この程度では止められない……)
光はそう考えていた。
それでも僅かな隙は作れる。
「西風舘くん、玲ちゃん!2人を!!」
「はっ、はい!」
光は倒れている真理と伊緒を見て2人に目配せする。
突如始まった光と工藤の攻防に昇降口から呆気に取られて見ていた玲が我に返って返事をする。
西風舘は無言のまま駆け出し、倒れた真理と、漸く立っている伊緒の下に走る。
「イヒヒヒ。あぁ……ダメだこんな……すぐに殺そうと思ってたんだけどよぉ……こりゃあ無理だよな……楽しすぎるぜぇ、先生?」
何事も無かったかのように、制服に付いた土埃を払いながら立ち上がる工藤。
「そうか、僕としては大人しくナイフを捨てて、投降してくれた方が嬉しいんだけどね」
「つまんねぇこと言うなよ先生!もっとヤロウぜ?そんでもって、俺に殺されてくれよ、なぁ?」
「それは遠慮しておくよ、僕も痛いのは嫌んでね」
「フヒッ!大丈夫だって先生ぇ、気持ちいいかもしれねぇだろ?試してみようぜっ!」
工藤の標的は光に移ったのか、西風舘と玲が伊緒と真理の下に向かって走ることには興味を示さない。
光は背後を2人が駆け抜けてのを横目で確認しながら、今後の展開を組み立てる。
(まずは伊緒くんと真理ちゃんの避難が先決、そのための時間を稼ぐ。そこから校舎内に入って工藤くんの動きを制限する。あとはどうやって制圧するかだが……こいつじゃは有効打にならないなぁ……)
手に把持した刺股をチラリと見ながらどうしたもんかと思案する。
「もういいかよ先生ぇ?続きやろうぜ!」
◇◇◇
「光さん!伊緒くんが!!」
「不味い!」
走り出す光の背中を見送る玲。
倒れた真理とその前で守ように立ちはだかる伊緒。
「!!」
玲は改めて幼馴染2人の状況を認識して声にならない悲鳴をあげる。
「躬羽さん、隙を突いて2人の所に行こう。多分、耶蘇先生がそう立ち回ると思うから」
「は、はい」
飛び出した光に向かっていく工藤、それを迎え撃つ光。
2人の攻防が目の前で繰り広げられる。
人間離れした速度と反応を見せる光と工藤。
「何、あれ……」
「早すぎる……耶蘇先生も何で反応できるんだ……」
高速で展開する攻防から目を離すことができない。
光が宙に浮いた工藤を刺股で叩き落とす。
校庭に打ち付けられ転がる工藤。
「西風舘くん、玲ちゃん!2人を!!」
光の呼びかけにハッとなる玲と西風舘。
「はっ、はい!」
玲が慌てて返事をして目的を思い出す。
西風舘も無言のまま伊緒と真理の下へ走り出していた。
立ち上がった工藤が何か光と話しているが、こちらに向かってくる様子は無い。
「工藤は大丈夫そうだな……躬羽さん今のうちにだ」
「はい!」
先を走る西風舘も光と工藤のことを気にしながら駆け抜けていく。
「先輩……」
「よくやった!大丈夫か!?傷は!?後ろの仁代さんは無事か!?」
構えたまま立ちすくんでいる伊緒に矢継ぎ早に確認を取る西風舘。
「はい、脇腹に思い切り蹴りを食らったのが響いてますけど、骨は大丈夫そうです……真理は脳震盪だと思います」
西風舘の質問に簡潔に答える伊緒。意識ははっきりしており、目立った外傷もなさそうであった。
問題は未だ倒れ込んでいる真理だろうと目をやると追い付いた玲が側に座り込んでいた。
「真理ちゃん!大丈夫!?」
「玲……大丈夫……怪我は、無いけど……顎にあいつの蹴りが入っちゃって……まだ、上手く……動けない……」
まだ身体をやっと起こせるぐらいにしか回復しておらず、辛そうにしている真理を玲が身体を支えて寄り添う。
「本当は安静にしていた方がいいんだけど……ここにいたら耶蘇先生も危ない、校舎の中まで何とか避難しよう」
「はい、でも、真理ちゃんは……」
「俺が運ぶ」
伊緒が振り返り、真理の所まで歩み寄る。
「まだ、足が震えてるじゃん。大丈夫、自分で立つから……」
無理矢理に立ちあがろうとする真理。だが未だに身体が上手く動かないのか、膝立ちになるのがやっとである。
「真理ちゃん!無理しないで!」
「このままじゃ、光さんの、邪魔になっちゃうから……」
工藤と攻防を繰り広げ、注意を惹きつけてくれている光にとって、真理は自身が一番の障害になっていることを理解していた。
「俺が運ぼう。躬羽さん手伝って貰えるかな」
「いや、先輩。俺がやりますよ」
「大丈夫だ、それよりも自分の身体を回復させることに集中した方がいい。そのままじゃまともに動けないだろ」
「ぐっ……確かに……」
「そうよ、伊緒は大人しくしてなさい。西風舘先輩、申し訳ないですけど、お願いできますか?」
真理は玲に肩を貸りてどうにか立ち上がり、そのまま屈んだ西風舘の背中におぶさる。
「すみません……」
「気にしなくていいよ。それより耶蘇先生じゃなくてすまないね」
「それは後で光さんに“ヒカルニウム”を補充させてもらうので大丈夫です」
「はは、そうしてくれ。よし、行こう」
真理を担いだ西風舘が動き出し、それに続いて伊緒と玲も動き出す。
「伊緒くん大丈夫?」
「ああ、動けない訳じゃないから大丈夫。ただ、足にきてる」
伊緒は脇腹をさすりながら、一歩一歩踏みしめるように歩き出す。
「無理しないでね?ダメなら私がおんぶするからね?」
「それは恥ずかしいから勘弁してほしいかな……あ……でも肩は貸して欲しいかも……力抜けそう……」
「えっ、ちょっと本当に大丈夫!?」
カクンと足の力が抜け、玲にもたれ掛かる様に傾く伊緒の身体。玲の肩に手を回し、何とか倒れずに支えてもらう。
玲も伊緒の腰に手を回して伊緒の支えになる。
「ごめん……助かる……」
「どういたしまして。これは高いよ?」
「ははっ……こわ……後でちゃんとお礼するよ」
昇降口に向かって歩いていく4人、真横では光と工藤の一進一退の攻防が続いている。
西風舘は漸く昇降口まで辿り着き、大きく息を吐く。
「ふぅ、無事にここまで来れた……」
「すみません……私のせいで……」
「それは問題ないよ、それよりも何時あいつがこちらに向かってくるか分からないから、そっちの方が緊張したよ」
「あ、降ろしてもらって大丈夫です。大分調子が戻ってきました」
西風舘は真理を降ろしながら額の汗を拭う。
涼しい顔で話をしていたが、かなり緊張をしていたようだ。
真理は地面に足をつけ、下駄箱に手を当て身体を支えながら何とか立っている状態だ。
「大丈夫?まだ背負うよ?」
「ありがとうございます、でも早く身体を動かせるようにならないと……伊緒、あんたもだよ」
「分かってるって。玲、ありがとう。とりあえず動けるようになったから」
「ホントに大丈夫?伊緒くん直ぐ無理するから……玲ちゃんもだよ!」
無理をして大丈夫だと言い張る伊緒と真理、だがそんな虚勢はすぐに玲に一喝されてしまう。
「私は、大丈夫。伊緒が、ガクガク」
「何で片言なんだよ、どう見ても真理の方がまだ動けないだろ。玲もっと言ってやって」
「真理ちゃん、私に掴まって」
「ありがとう、玲」
「めっちゃ素直だな……」
いつもの双子のやりとりができるまでには回復したのだろう。
4人は校庭で未だ続く光と工藤との攻防を見ながらその動きに圧倒される。
「工藤も……それに着いていけてる耶蘇先生も動きが人間離れしてる……」
「光さん……凄い……」
「光さんでも、あんな動きできるか?」
「流石、光さんって言いたいけど……流石に動きと反応が良すぎる……」
各々が工藤と光の動きを見て驚きの声を上げる。
それ程までに速く、鋭い動き。
「でも、光さんは完全に防御に徹してるな」
「一応反撃入れてるけど……殆ど効いてないようね……」
先程から光は防御に徹しており、隙を見て反撃を試みているが有効打にはなっていないようである。
もともと時間稼ぎのために工藤を惹きつけているのだから、その目的は達せられたと言えるだろう。
「よし、このまま校舎内に撤退しよう。仁代さん、躬羽さん先に職員室へ向かって。仁代くん、動けるかい?」
「紛らわしから伊緒で構いません。全快とはいかないですけど、大丈夫です」
「西風舘先輩、私も真理でいいですから」
「真理ちゃん、今のうちに急ごう」
玲は真理を促し、一足先に職員室を目指して動き出す。
伊緒と西風舘は掃除用に置かれていたデッキブラシと自在ホウキをそれぞれ手に取り、昇降口の入り口に立って攻防を続ける2人を見据える。
「耶蘇先生!避難完了です!」
西風舘が光に対して大声で呼びかける。
「!――はっ!」
横目でチラリと生徒たちを確認し、光は飛びかかってきた工藤に向かって渾身の一撃を放つ。
今までは工藤の攻撃を捌き、受け、その反撃程度しか打ち込んでいなかった。だがこの一撃は違った。
上半身を捻り、片手で刺股を持って一気に弾き出す。
弓に番えた矢の如く、刺股は工藤への最短航路を突き進む。
光の全身のバネで撃ちます出された巨大な矢は工藤の胸にぶち当たり、工藤の勢いを殺す。
「うぉらぁ!」
一瞬の拮抗の後、鍛えられた下半身から捻り出された力で刺股を撃ち抜く。
校庭を転がる工藤、その行方を確認する間も惜しんで光が昇降口を目指して走り出す。
肩に担がれた刺股がガシャガシャと音立てて揺れる。
「廊下まで下がって!あの程度じゃ殆ど意味がない!」
昇降口まで辿り着いた光は残っていた伊緒と西風舘に向かって指示を飛ばす。
「先生!後ろ!」
「!!」
西風舘が叫ぶ。
「先生よぉ!今のは痛かったぜぇ!体罰かなこりゃぁ!ケヒッ!」
もう立ち上がって走り出している工藤。振り返った光は刺股を構えて迎撃体勢をとる。
「急いで下がって!」
「はい!下がったらすぐに職員室側に!俺たちは予定通りに!」
西風舘が叫び、伊緒が手にしたデッキブラシを持って校舎内へと走り出す。
続いて光が昇降口に飛び込む。
「オラァァぁぁぁぁ!!」
校庭を猛然と駆け抜け、光に向かって跳びかかる工藤。
光は振り返りながら刺股で工藤を薙ぎ払う。だが工藤の勢いを完全にいなすことはできず、工藤の軌道ををズラす。
工藤はスチール製の下駄箱に激突。
金属が拉げる音と下駄箱同士が激突する音で甲高い悲鳴が木霊する。
工藤を撃墜した光は再度向き直り、校舎内へと急ぐ。
「イヒヒヒヒヒヒ!!待てよ先生!!もっと楽しもうぜ!!!」
ガラガラと下駄箱を持ち上げて吹き飛ばし、工藤が光を追う。
工藤の目は、最早光だけを捉えていた。
「フヒッ!!この世界は面白れぇなぁ!知らなかったぜ!今までの世界は糞だったなぁ、糞見てぇな日常だったなぁ……これからは毎日楽しめそうだ!!フヒヒヒヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
未だ工藤の勢いは衰えず、光達に迫る。
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