宛名のない手紙

泉谷なぎ

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No.2

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あなたから見える俺はどんな人でしたか。

俺はあなたのことをからかってばかりいた生意気な後輩でしたが、本当はあなたのことが気になって気になって仕方が無かったのです。そうすることでしか俺はあなたと関わることができませんでした。不器用すぎてそんな自分に嫌気が差します。

ただ一言、想いを伝えれば何か変えられたかもしれないのに、でも、今の関係を壊してしまうことが怖くて。結局最後の最後まで一歩を踏み出せませんでした。


でも、今考えるとそんな自分の選択も正しかったのかなと思います。


デスクに向かって真剣に企画を考えるあなた。俺みたいな何もできない新人に丁寧にわかりやすく説明してくれるあなた。どんなときも心惹かれないときはありませんでした。

恋は盲目、そのときの俺はまさにその言葉の通りでした。


「美味しそうなお弁当ですね、自分で作ったんですか?」

俺はそのとき、そう聞いたような気がします。お弁当には定番のおかずから少し変わった創作のおかずまで色とりどりの様々な食材が丁寧に詰め込まれていました。

「これは私の彼氏が作ってくれたの、彼、料理上手なんだよね」

頬を少しだけ赤らめて幸せそうに微笑むあなたを前に俺はどんな言葉を返したのでしょうか ─── よく覚えていません。

あなたにそんな幸せそうな顔をさせる彼氏さんを大層うらやましく思いました。それと同時に、これほどまでに幸せそうに微笑むあなたを壊したくないとも強く思いました。


結婚、おめでとうございます。
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