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番外編2 白黒少女は聞いてみたい(5話途中ライカ視点)
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「ねぇ、エイト君?」
「なんで私はイフリートに襲われたのかな」
今更ながら聞いてみた。
中央区のど真ん中、大きな噴水下のベンチでクーの実100%絞りを飲みながら。
「ライカの部屋を明確に狙った訳じゃないと思う。イフリートが操られてたとはいえ相当運悪かったよね……あんなに沢山部屋があるのに……」
エイトにはなにも罪はない、むしろ助けてもらって今ここにいるというのに、何故かムッとしてしまう。
「でもさっ、」
唾を飲み込み言葉を続ける
「私っ!本当に死ぬかと思ったんだよ、操られてたなんて言われても、エイト君がいなきゃ私は本当にっ!!」
とめどなくどこにも吐けなかった本音が漏れ出る。行き場の無い気持ちもエイトなら受け止めてくれるだろうという、本当に自分勝手な私のキモチ。
「怖かったんだよ……」
両手をぎゅっと握りしめ、泣きたくないのにポタポタとスカートに涙の跡が広がる。自然に涙が溢れてくる。
「ごめん……もっと早く助けに行ければ良かったんだけど」
違う。違う、謝って欲しいんじゃない。
「違うの──本当に、ありがとうって 」
私はあの時本当に伝えたかった事を伝える。
レストランで言った、上辺だけの言葉じゃない。私の、心からの感謝。
エイトは少しだけ私の近くにするりと寄る。
「俺はライカの事助けられて、本当に良かったと思ってるよ」
───うん
「私も、エイト君に助けられて、本当に良かったっ」
おなじ言葉の羅列だけど、全く意味が違う"助けられて"
私は涙でぐしゃぐしゃの顔で無理やり笑顔を作る。
「無理すんなって」
エイト君はニカッと笑顔で答えてくれる。
同じ十五年しか生きてないのに何だろうこの安心出来る気持ちは。この人になら何でも話せる、そんな気がした。
─────────────────
「クーおいしい」
泣きはらした目で間髪いれずズルズルとジュースを飲む。Lサイズは一番おっきいサイズなんだけど、もうほとんどがなくなってしまった。
突然エイトが立ち上がってこんな事を言い出す。
「なぁ、操られる感覚とかって体験してみたい?」
「どっ、どういうこと?」
「闇法にそういう魔法がある。人のマナの活動を抑制させて、自分が注入したマナで動かすんだ」
「えっ、怖いからやめとこうかなぁ」
「まぁ、腕だけだからさ」
私はしょうがなく片手を差し出す。これは、愚痴を聞いてくれたお礼みたいなものだと、誰にも聞かれることのない言い訳をこぼしながら。
「闇法 縛操」
「あわわわわっまっ、待ってエイト君っ!」
血管並の糸状のマナが腕にまとわりつき指の先、指、手、腕と動けない領域が増えていく。
「どう?」
「全く動けない……なにこれ、自分の腕なのに、自分のじゃないみたいな」
「そう、闇魔法って扱えると凄く対処がしにくいんだよ」
「どうすればいいのこれっ」
「一番簡単なのは操られる前になにかしらのマナを放出して相殺する事かな」
石のように動かなかった腕が突然息を吹き返したかのように自由に動かせるようになる
「どう?恐ろしいでしょ。相当イフリートも辛かったんだと思うよ。許してやってとは言わないけれど、その事実だけは覚えといてほしいかも……とか思ったり」
私を気遣ってか、ハッキリと言い切ることはない。これがエイトなりの優しさだろうか。
「こんなにガチガチに拘束されちゃうんだね」
「うん」
妙に重苦しい空気が流れる
なにも話すことのない空間。相手が何を考えてるのか、自分は、なんて話しかければいいのか。ひたすらに最適解を求め続ける。
そして
「エイト君」「ライカ」
全く同時のタイミングで二人は喋り出した。
「そっちからどうぞ」
「いえいえそちらから」
まさかの不毛な押しつけあいが始まる。
何度かこのやりとりを繰り返した後
「……わかったよ」
結局ライカが押し勝った。
「俺さ、一通り市場を歩きたいな~。なんて思ってたりするんですけど」
「おおっ!是非行きましょうっ!案内は任せてください」
胸にドンッと拳をのせてふんっ!と鼻をならす。
「じゃあ任せようかな」
ハハハと苦笑いしながらエイトはこちらを向く。
今に見ていろ。
苦笑いじゃなく、心の底から笑わせて見せる!
私は今さっき作った目標を胸に、歩き出す
「行きましょう!市場へぇっ!!!」
「なんで私はイフリートに襲われたのかな」
今更ながら聞いてみた。
中央区のど真ん中、大きな噴水下のベンチでクーの実100%絞りを飲みながら。
「ライカの部屋を明確に狙った訳じゃないと思う。イフリートが操られてたとはいえ相当運悪かったよね……あんなに沢山部屋があるのに……」
エイトにはなにも罪はない、むしろ助けてもらって今ここにいるというのに、何故かムッとしてしまう。
「でもさっ、」
唾を飲み込み言葉を続ける
「私っ!本当に死ぬかと思ったんだよ、操られてたなんて言われても、エイト君がいなきゃ私は本当にっ!!」
とめどなくどこにも吐けなかった本音が漏れ出る。行き場の無い気持ちもエイトなら受け止めてくれるだろうという、本当に自分勝手な私のキモチ。
「怖かったんだよ……」
両手をぎゅっと握りしめ、泣きたくないのにポタポタとスカートに涙の跡が広がる。自然に涙が溢れてくる。
「ごめん……もっと早く助けに行ければ良かったんだけど」
違う。違う、謝って欲しいんじゃない。
「違うの──本当に、ありがとうって 」
私はあの時本当に伝えたかった事を伝える。
レストランで言った、上辺だけの言葉じゃない。私の、心からの感謝。
エイトは少しだけ私の近くにするりと寄る。
「俺はライカの事助けられて、本当に良かったと思ってるよ」
───うん
「私も、エイト君に助けられて、本当に良かったっ」
おなじ言葉の羅列だけど、全く意味が違う"助けられて"
私は涙でぐしゃぐしゃの顔で無理やり笑顔を作る。
「無理すんなって」
エイト君はニカッと笑顔で答えてくれる。
同じ十五年しか生きてないのに何だろうこの安心出来る気持ちは。この人になら何でも話せる、そんな気がした。
─────────────────
「クーおいしい」
泣きはらした目で間髪いれずズルズルとジュースを飲む。Lサイズは一番おっきいサイズなんだけど、もうほとんどがなくなってしまった。
突然エイトが立ち上がってこんな事を言い出す。
「なぁ、操られる感覚とかって体験してみたい?」
「どっ、どういうこと?」
「闇法にそういう魔法がある。人のマナの活動を抑制させて、自分が注入したマナで動かすんだ」
「えっ、怖いからやめとこうかなぁ」
「まぁ、腕だけだからさ」
私はしょうがなく片手を差し出す。これは、愚痴を聞いてくれたお礼みたいなものだと、誰にも聞かれることのない言い訳をこぼしながら。
「闇法 縛操」
「あわわわわっまっ、待ってエイト君っ!」
血管並の糸状のマナが腕にまとわりつき指の先、指、手、腕と動けない領域が増えていく。
「どう?」
「全く動けない……なにこれ、自分の腕なのに、自分のじゃないみたいな」
「そう、闇魔法って扱えると凄く対処がしにくいんだよ」
「どうすればいいのこれっ」
「一番簡単なのは操られる前になにかしらのマナを放出して相殺する事かな」
石のように動かなかった腕が突然息を吹き返したかのように自由に動かせるようになる
「どう?恐ろしいでしょ。相当イフリートも辛かったんだと思うよ。許してやってとは言わないけれど、その事実だけは覚えといてほしいかも……とか思ったり」
私を気遣ってか、ハッキリと言い切ることはない。これがエイトなりの優しさだろうか。
「こんなにガチガチに拘束されちゃうんだね」
「うん」
妙に重苦しい空気が流れる
なにも話すことのない空間。相手が何を考えてるのか、自分は、なんて話しかければいいのか。ひたすらに最適解を求め続ける。
そして
「エイト君」「ライカ」
全く同時のタイミングで二人は喋り出した。
「そっちからどうぞ」
「いえいえそちらから」
まさかの不毛な押しつけあいが始まる。
何度かこのやりとりを繰り返した後
「……わかったよ」
結局ライカが押し勝った。
「俺さ、一通り市場を歩きたいな~。なんて思ってたりするんですけど」
「おおっ!是非行きましょうっ!案内は任せてください」
胸にドンッと拳をのせてふんっ!と鼻をならす。
「じゃあ任せようかな」
ハハハと苦笑いしながらエイトはこちらを向く。
今に見ていろ。
苦笑いじゃなく、心の底から笑わせて見せる!
私は今さっき作った目標を胸に、歩き出す
「行きましょう!市場へぇっ!!!」
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