愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました

ノワールの秘密その3

　「それは......」
　「グギガアアアア‼︎」
　「邪魔」
　「グエアアア！？」
　一瞬で吹き飛ばした?あんなに圧倒させていたのに......ラティスの魔法は前よりもずっと強くなっている。
　「話を続けて」
　「俺、千人の命を奪ったんだ。大魔法使いになるのには人の命を代償する代わりに強大な力を得るんだ」
　「......」
　なんて言えばいいの?言葉が出てこない。
　「それだけじゃない。セリファを壊した。そして、クリフを友達を殺した」
　セリファを壊すという事は、その人の魂を壊すとほぼ同じ事だ。ノワールにそんな過去があったなんて知らなかった。ずっと苦しいんでいたの?
　「幻滅したよなぁ?」
　「......しない」
　「えっ⁇今なんて?」
　「私は絶対に幻滅なんてしない‼︎ノワールはノワールだもん‼︎」
　そうだよ。どんな過去があってもノワールを幻滅なんてしない。今まで、私を守ってくれたノワールを信じる。
　「お、俺は人殺しなんだぞ！そんな奴と仲良く出来るのかよ?」
　「逆に聞くけど......なんで、私が、ノワールを見捨てる前提で話をしているの?幻滅⁇そんなのするわけないでしょ⁇」
　「な、なんで?」
　「いつも私を守ってくれた。どんな時でもどんな所でも必ず助けてくれるノワールは、私の光。だから今度は私が、ノワールの光になるよ」
　「何言っているんだ?」
　「ノワールが闇に堕ちても私が引っ張り上げるから‼︎光が無いなら私が光になるから‼︎」
　「俺なんかの為にそこまでする必要はねぇよ」
　「......ノワール。今私のことどう見える?」
　「え?」
　「ノワールの目で見て、私はどう映っているの?」
　「痛々しい姿......」
　「他には?」
　「怒っているようにも見える」
　「私、怒っているよ」
　「だよなぁ。お前を騙していたと同じ......」
　「私が怒っているのは‼︎目の前の敵じゃ無い。ノワール自身にも怒ってない。ただ、ノワールが自分を信じられなくなっている事に怒っているのよ‼︎」
　「......え?」　　
　「ノワールは前に言ったよね?自分を信じられないならノワールを信じろって......だったら私を信じて‼︎ノワールが自分を信じられないなら私を信じてよ！」
　「グギイイイイイ」
　「だから邪魔だってば‼︎」
　「キイイイイイイイイ‼︎」
　「なっ！？」
　「あいつも耐性付いてきたな」
　「ノワールにどんな過去があっても私は見捨てない。私は変わらない‼︎」
　シュルルル
　「おい！ラティス！？危ねぇぞ‼︎」　　
　レイセリファが無くなれば、あいつは動かなくなる。だから勝って証明したい‼︎私だって、ノワールの役に立てるって証明したい。
　「......幻滅なんてしないか......ラティスらしいな」
　「グエアアア‼︎」
　「強い‼︎」
　「ラティス‼︎地面にどでかい穴を作れ！」
　「わかった」
　ドーン
　「グナアザアアアア！？」
　「ごめんな?クリフ」
　「の、ノワール......」
　バーン
　「レイセリファは?」
　上を見ると紫に輝くレイセリファがこっちに飛んで来た。
　「......あ」
　さ、触っちゃった！？ど、どうしよう。
　「ラティス‼︎今すぐに何処かに放り投げろ！」
　「......あれ?なんともない」
　「......ラティスその目どうした?」
　「え?」
　「目の色が変わっているぞ」
　「嘘?」
　「ほら！」
　「ノワールの魔法ってなんでもありだね」
　自分の目をまじまじと見た。瞳が紫色になっている。ノワールと同じ色の瞳だ。
　「花はどうした?」
　「は?」
　「目の花はどうした?」
　「何言っているの?あるじゃん」
　「魔法陣になってるぞ⁇」
　「魔法陣⁇」
　改めて見たけど、やっぱり、目の色が変わった以外何もない。
　「ノワール、特に変化はないけど⁇」
　「どうなっているんだ⁇」
　あれ?眠い。ものすごく眠い。なんで?
　「おい。ラティス⁇」
　「すぅーすぅー」
　「ね、寝てる」
　その後何故か寝てしまい。私を追いかけたお父様達と合流したノワール達は一時的にモールド家の別荘に滞在する事になった。ノワールの秘密を知っても私は変わらない。だって、私の知っているノワールは優しくて、勇敢で、強い人。だから私は変わらない。ずっと、ノワールを信じる。そう決めた。だから余計にあんな事が起きるなんて、今の私達には想像すらなかった。