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ノルの約束

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 「記憶を取り戻したのはいいけど......」
 どうやって此処から出よう。
 ズキッ
 「いっ!?」
 忘れてた。今私大怪我してたんだ。
 「ルークめ。思いっきり殴るなんて酷いじゃない」
 この怪我はあまり動かない方がいい。今無理に動けば死ぬ。自分で回復出来るけどそれには今持っている魔力を全部使う必要がある。
 「この後何が起こるかわからない。体力も魔力も温存しないと駄目だな」
 ズキズキ
 「片腕が折れて肩も折れたっていうよりも外れたのかなぁ?肋を数本折れているし足も折れかけている」
 まずいな。こんなボロボロなのに神殺しの滝の小さな小屋に飛ばされるなんて......。
 「......ルーク.ハート」
 貴方は何がしたいの?アリアスを傷付けて陛下を殺し自分自身を殺し続けているルークを見ていると胸が痛い。
 その頃アリアスはというと
 「全方位でラティス.ハンル.モールド公爵令嬢を見つけなさい‼︎彼女は今、大怪我をしているわ。見つけ次第直ちに手当てをするように」
 「はっ!」
 「俺は神の間に行ってくる」
 「わかった。私はとりあえず公爵様に伝えてくる」
 「おう。頼んだぜ」
 「ラティスにもしものことがあったら私......」
 「アリアス⁇」
 「なんでもない」
 ラティスが目の前から居なくなっただけでこんなにも動揺するなんて。お父様が亡くなった時、ラティスは優しく慰めてくれた。
 本当はねぇ。わかっていたんだよ?誰かを憎んで復讐心のままで皇帝の座をつくことは駄目だってわかってたんだよ。それでも諦めきれなかった。ルークに問いたい。どうしてお父様を殺したのか?どうしてラティスを傷付けてるのか知りたい。
 「私はラティスが居ないと駄目なんだよ。居なくなるなんて許さないから」
 どんな手を使っても探し出してみせる。
 神の間
 「ノワール⁇」
 「お前!今まで何処に居たんだよ!」
 「え?僕は仕事してたけど?」
 「ラティスが大変なんだよ!」
 「ラティスが!?」
 「そうだよ!テメェが居ない間にな!ルークに襲われてラティスが大怪我を負ったんだ」
 「ラティスは無事なのか?」
 「わからない」
 「え......わからないって......」
 「今行方不明なんだよ。何処に行ったかわからない。神の間に飛ばされたのかと思ったが違ったのかよ」
 「......る」
 「え?」
 「きこ......え......」
 「その声......ラティスか!?」
 「ノワール!この声聞こえているの?聞こえているならテレパシーを使って!」
 「あっそうだった」
 ノワールは少し集中した後ラティスにテレパシーを送った。
 「お前無事なのか?」
 「うん。どうしようか考えてうちにテレパシーを使うことを思いついたの」
 「流石だな」
 「ノワールは今何処⁇」
 「神の間だ」
 「だったらそのまま神殺しの滝の小さな小屋を探して!」
 「小屋?」
 「うん。外から鍵がかかってって出れないの。それにこの怪我じゃ無理だよ」
 「わかった。今行く......」
 ズキン
 「ノワール⁇」
 「......」
 「ルーク約束するよ。この先何があっても俺はお前を守ってみせる」
 「ありがとうノル」
 「ノワール‼︎」
 「......俺は」
 「ノワール返事をして!」
 「来世ではお前を捕まえる」
 「ノワール!?」
 ノワール声が途切れてしまった。一体何がどうなっているの?
 私は気付かなかった。今この瞬間にもノワールはノルとしての自分を取り戻しつつあることを私はまだ知らない。
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