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最終決戦その1

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 「はぁはぁ!」
 あの子は言った。
 「「人を殺す前にこの村から出なさい」」
 たしかにそう言った。
 きっと自分を犠牲してでも自分を守ってくれると思う。
 「会ったことないのにそんな気がする」
 「「あの小娘はもう使え物にならん。ラティス.ハンル.モールド!よくも俺だけの奴隷を消してくれたなぁ」」
 本物の神の力など使ったこともない小娘どもが調子になれると思うなよ。
 黒のモヤは少しづつ実体化していた。
 その頃ラティスは
 「ゲホゲ!」
 息が出来ない。苦しい。意識が遠のく。
 「おい!しっかりしろ」
 初代当主は必死に呼びかけてくれる。だけど、セリファをどうにかしないと駄目なのだ。
 「ぐっ!」
 本当は私とひとりで行きたくなかった。ノワールや皆んなと一緒に行きなかった。だけど、代償が、重ければ重いほど死が早まるだけ。わかっていたからこそ私ひとりで行った。
 ごめんなさい。約束を守れなくてごめんなさい。
 そっと目を閉じもう死を待つしか出来ない私は少しづつ息が弱くなる。
 「しっかりするんだ。ルーク様を助けたいんだろ?」
 初代当主の声が遠いのいてもうほとんど聞こえない。
 「モールド当主!そこを退け!」
 ついに知っている懐かしい声だけが耳に聞こえてくる。
 ああ。とうとう幻聴まで聞こえてきたんだ。本格的にやばいな。
 「私の回復魔法である程度魔は治せるといいけど......」
 温かい。何かに触れているようなとても優しい光が見える。ここは天国なの?
 「君しっかりして」
 その声はルーク⁇私は死んだの?
 「まだ君は死なない。君も生きるんだ」
 ルークが必死に励ましてくれている。
 「「このガキに構っても意味ないぜ?」」
 黒のもやがゆらゆらと現れ村全体を飲み込む。
 「「人の不幸や後悔の念があれば俺は強くなる。俺の名前はデイモンだ。覚えておけよ」」
 黒のモヤの名前がデイモン⁇
 聞いたことがある。昔、お父様から聞いた。デイモンは遥か昔に髪に封じられた準神だと言うことや多くの人の命を奪い後悔や嫌な記憶を引き出してその力をエネルギーにしていることも聞いた。
 「まずい。今この状態で私たち三人だけじゃ勝ち目がない」
 ルークがそう言った。
 私は必死な思いで体を起こし自分も戦う意志を見せる。
 「ゲホゲホ!わ、私も戦う」
 私が戦う意志を見せたらルークもノルも初代当主も反対した。
 たしかに今の私は今にもセリファが壊れそうで立っているのがやっとかもしれない。でもデイモンの倒し方は私だけが知っている。
 デイモンは闇。だったらその何倍もの光をぶつけるだけ。
 今の私達に出来るのはそれだけだと私は思ったからである。
 私はデイモンと戦うために魔法を使うのであった。
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