テンペスト

上野佐栁

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上級クラスのテンペストとの戦い

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 私はこんなにもドス黒感情が奥底に溜まるのを感じたことがない。夢香が来た時ですらあんまり自分の感情がわからなかった。

 なのに今ははっきりとわかる。砂蔓さんを傷つけられて私は怒りを覚えた。これがもしも砥部さんだったらと思うと、お腹の奥底から沸々と怒りが込み上げてくる。

 誰かを平気で傷つけるテンペストも人の命に疎い自分も許せない。

 だけど、今の私はテンペストだから。だから人を守るこの力を全力で使うんだ!!!!!!!

 「砂蔓さんは私が守る。死なせない。死なせたくない!」

 雹害は信じられないと言った顔でその場に固まった。

 「こ、これ、はいったい……」

 砂蔓は考えた。今この最悪な状況を脱するのはもう雨晴 風華しかいない。理由は不明だが、今の彼女は自我を保ったまま上級クラスのテンペストと戦おうとしている。もしかしたら勝てるのかもしれない。

 「お前は人の命を踏みつけにして楽しいか?」

 雹害はふと我に返り嘲笑うかのごとくこう言った。

 「はっ?人間なんて所詮俺たちの奴隷だ。負の感情を撒き散らせばいいだけの奴隷だ」

 その言葉はもう人間をやめたとわかるぐらいに私の胸に刺さる。えぐられる。

 「もういい。もういいよ。今からお前の……上級クラスのテンペスト 雹害。お前の核を壊す」

 私の言葉に雹害は鼻で笑い、手を大きく広げてこう言った。

 「やれるもんならやってみな?未熟なテンペストちゃん」

 一度はお腹に風穴を開けられたがそれはきっと何かの偶然で奇跡なんだ。だから二度目はない。

 そう雹害は思っていた。

 だが、風華のスピードは雹害の予想を遥かに超えるほどに素早く強い蹴りを繰り出された。

 「えっちょっ!速っ……」

 目で追えないほどのスピード。これは……。

 「俺よりも速いだと⁇」

 ありえない。こんなことってあるわけがない!!!!!!!

 「やあああああ!!!!!!!」

 ドコォ

 「ぐっ!こんなの効くわけが……」

 貫通した足を雹害は掴み引きちぎる。

 「……っ!!!!!!!」

 「これで片方無くしたな?これでまた回復するのに時間が……」

 ちぎったはずの足が雹害の肺を裂く。足で肺のところまで持ち上げて一気に押し込んだ?

 「ば、ばかな……!!!!!!!」

 確実に回復能力が上がっている。こんな馬鹿力どこに隠し持っていたんだ?

 「こいつ痛みを感じてないのか?」

 「……」

 この蹴りの威力。まだなんの力も使えないみたいだが、この力上級クラスに匹敵するぞ⁉︎

 「ぼ、僕も……か、せいする、んだ」

 砂蔓はもう立てる状態ではない。心臓を貫通することは免れても肺がやられもう助からない状態である。血も大体は出ていっている。だが、まだ気を失わずに戦う意志だけはある。

 「じ、じいちゃん。僕に、戦う力を!」

 「蹴りだけじゃこの俺様を倒すだなんて百年早いぜ」

 雹害は風華の両腕を持ち押さえ込んでいた。

 「ガルルル!!!!!!!」

 「これで威嚇しているつもりか?笑うしかないぜ」

 その頃、砂蔓は鎌を手に持ちもう一度踏み込み雹害をよく見た。

 「て、テンペ、ストな、ら核が、そん、ざい、するはず、だ」

 よく見ろ。よく見るんだ。雨晴が作ってくれたこの隙を無駄にするな。雨晴はきっとこっちの動きを把握して、テンペストの足止めをしている。だったら今やれることをするんだ!

 「み、みえ、た」

 左首筋のところ!勝つ。雨晴と二人で勝つんだ!!!!!!!

 「ガルルル!!!!!!!」

 「威嚇してもこの状況は変わらないぜ?」

 雹害はそう言い、両腕を引きちぎろうとした時、風華は自分の腕を回すように引きちぎった。

 「な、なっ⁉︎自ら腕を切断した?なんなんだよ⁇このテンペストは!!!!!!!」

 また腕が生えた。こいつさっきとは比べ物にならないぐらいに強くなっている。何をそこまでこいつを突き動かす。

 それは怒り。風華は自分の怒りを養分にして、目を赤くし雹害とやり合っているのだ。

 「お前はここで終わる。私と砂蔓さんと二人で勝つんだ!!!!!!!」

 風華はそう叫んだが、不意に雹害は笑いだし呆れたような顔でこう言った。

 「まだ俺は本気じゃねぇぜ?今ここに近づいてくる死に損ない諸共消し炭してやるよ」

 そう言って手を空高く上げだ。

 「秘技:氷の千本つらら落とし!!!!!!!」

 空から無数のつららが落ちてくる。

 「砂蔓さん!!!!!!!」

 ドンッ

 砂蔓さんだけでも攻撃圏外に吹き飛ばさなきゃ!!!!!!!

 つららが私の全身を突き刺す。

 「グアアアア!!!!!!!!!!!!」

 
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