こんなハーレムラブコメ絶対オレは認めない!

OctoBer1993

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第2章

第15話

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オレと、後輩ヒロインの日南茜ひなみあかねはタイヨウたちの飲み物を買って、さらにお出かけ作戦をひっさげて教室に戻ってきた。



教室の中を確認する。
相変わらずタイヨウは主人公らしくヒロイン達と、やいのやいのやっているようだ。


「はーい!おまたせしました~」


教室に入るやいなや、日南はオレを置き去りにし、明るく小走りでタイヨウ達のところへ向かっていった。

「おーサンキュー!」

「ありがとうね、茜ちゃん」

タイヨウと野々村がジュースパシりという一仕事終えてきた日南のろうねぎらう。


……なんかろうねぎらう、って同じ漢字なんすよね。
同じことを2度言っているようで重複感がハンパない。頭痛が痛いみたいだな。
オレのことを、脇役のサブキャラと言うようなもんだ。


って、だれが脇役のサブキャラじゃい…!!!


………違うもん…。

と、日南のあざとさにあてられたのか、かわいこぶってしまうオレ、マジかわいい。

いやいや、マジで日南とキャラかぶりはマジでまずい。
マジは使い勝手がいいので重複しようがマジで何度も使ってしまうマジで。


気を取り直して、日南に遅れてオレもタイヨウたちのもとへ戻る。


ワイワイやってる日南とタイヨウと野々村。
そのワイワイに入らず、自分の席に座ったままで、ただただ3人を眺めているのがクール系ヒロイン雨宮鈴花あめみやすずかだ。


これはチャンスとばかりにオレは、そんな雨宮の横に立つ。雨宮の目の前に、さっき雨宮の分として買っておいたミルクティーのペットボトルをスッと出した。

「ほい、これ雨宮のぶん」

…決まった。
さりげなく。かつ、おしつけがましくない。
さりげなさとおしつけがましさが反比例するような完璧な言い回しだ。
オレってばやっぱりやればできる、いやむしろ、できすぎちゃう子。
マジすごい子。
ポテンシャルたけぇ~。


だがしかし、絶賛ぜっさん自画自賛じがじさん中のオレに反して、反応が薄いのが雨宮だ。
いや薄いというより無いと言ったほうがより正確だ。

雨宮は、自分の目の前にあるミルクティーの意味がわからないのか。
それとも声すらも聞き取ってもらえないぐらいオレの影が薄いのか…。
はたまた、オレとしては無難なチョイスをしたつもりだったが、ミルクティーが嫌いなのか。
微動だにせず、しばし目の前のミルクティーを見つめたままでいる。


二つ目のオレの影が薄いという可能性を否定したいオレは、これまたあざとく『オレは影薄くないもん!』とふくれっ面で意地をはり、自分の影が薄くないことを証明するために、雨宮が何か反応するまでひたすら待ってみることにした。

自分の中で謎にあざとさブームが来てしまったようだ。
この前の不良の口ぐせと言い、どうもオレは人に影響受けやすいのかもしれない…。


すると数秒の沈黙の後、雨宮がやっとこちらに顔を向けた。

「私は飲み物は頼んでないけど」

正論である。
雨宮は喜ぶわけでもなく怒るわけでもなく、喜怒哀楽を全く感じさせない、本当に素朴な疑問の表情で冷静に問おてきた。

簡単に言うと『え、普通にどゆこと?』という感じである。

その雨宮の感情の無いような表情には、元来雨宮のもつキリッとした綺麗系美少女の顔面のきつさもあいまって、無機質な機械のような冷たさを人によっては感じかねない。
ちょっとナンパな浮わついた男子高校生程度ならば、すぐにその鼻柱は折られ、メンタルはクラッシュしてしまうだろう。

しかし、悪気も邪気も無く、雨宮鈴花は自然にしていて、こういうヤツなのだとオレは知っている。


「いやー、まあなんかアレだ。ついでってやつ?」

「……高額で売りつけるつもりね?」


「なんでやねん。いいよタダで」

「…タダより高いものはないわ。後々『あの時飲み物あげたよな?』とか言って何かを請求されても困るんだけど」


ひねくれてるなぁ…。

まあ、でも絶世の美少女の雨宮のことだ。
そんな風な、お返しを期待しまくりなゲスい下心のあるプレゼントを渡されるようなこともよくあるのかもしれないな。
だとしたら、飲み物ひとつでも何か裏があるのではと疑ってかかるのも仕方ないことなのかもしれない。

だが、御生憎様こちとら主人公になる男。
ミルクティーでそんなやらしい要求とかでもしてくると思われてるなら心外だ。

オレの求めるモノはただひとつ主人公だ!!
主人公が助けた者達に見返りを要求するか?
答えはノーである。



「しないっての。そんなに気になるなら無理に受けとらないくてもいいけ…」


そう言いながら雨宮の目の前からペットボトルを引き上げようとしたその刹那。

パシッ!!

と雨宮が居合の達人のごときスピードでペットボトルを掴んでいた。


「いいえ、その確認がとれたのなら、ありがたくもらっておくわ」

「…お、おお。そうか」

この子すごくのどがかわいてたのかしら…?


まあ、とにかくオレの影が薄くないことを証明できたのと、雨宮がミルクティー嫌いじゃなくてよかった。


そんなこんな雨宮とやりとりしていると、こちらを見ている日南の視線に気づく。


そんな日南の方に目を向けると、日南は目を細めて苦々しい顔をしてこちらを見ている。
『アンタのそんなくだりはどうでもいいから、はよ出かけること提案せぇーや』
とでもいいたげな顔つきである。
やはりこの女、苦手だ…。


しかし、日南茜。すごいガンのくれかたである…。
コイツ、もしかするとこの前の不良達よりガンつけが様になっているかもしれない。


そこまでされるとオレも日南の重圧をスルーしつづけるわけにもいかない。


オレはわざとらしく、「オホン」と咳払いを1度して皆の注目を集める。
そのわざとらしい咳払いに思惑どおり、皆が反応してオレに注目をむける。

オレが思惑どおりいくのは悲しいかな、めずらしいことである。
自分でちょっとビックリした。

もしかして、雨宮に飲み物を渡すことにも成功したし、流れがキテるのかもしれない。

ならばこの流れに乗りきる!!
見とけ日南よ。オレの鶴の一声であっというまにお出かけ作戦も成立させてやらぁ!!


「えぇー、というわけで、土曜日映画を観に行きます」


シーーーン……。


満を持して、この乗りに乗ってる絶好調のオレが口を開いたというのに、皆はポカーンとし、あたりは静寂につつまれている。



さすがの発言力の無さ。
ボクって言葉に軽みがあるもんね。


まるで時が止まったようだ。


え?オレってキミらと初対面だっけ…?

キミたちの知り合いだよね?
違わないよね?
いきなり知らないヤツに話しかけられて、驚いてる人みたいなリアクションしないでもらっていいですか?

ねぇぇぇえ~~!?
やだやだ!!!


そんなあざといリアクションを心の中でとってみたものの、オレにはなぜ時が止まっているのかわかっていた。

…ひしひしと感じるのだ。

言葉にせずとも全員から醸し出されている『はあ?どうぞ、ご勝手に…』感。


どうやら自分達も参加者であるということを理解していないらしい。

「ここにいる皆でいきます」


さらにシーーン…。

なんでまたシーンなの??
もう、これ以上オレにあざとい反応のレパートリー無いよ??


「え、そうなの?」

やはり最初に口を開いたのはまたも、良い人、野々村だった。

野々村が反応したことに、これチャンスとばかりにキラーンと目を光るかのごとく、日南が追従してくる。

「あ、それなら~。私映画みにいきたいです。あの最近CMやってる、怖いって有名なホラーのやつ!」

なるほど日南の今回のお出かけ作戦のメインイベントは映画らしい。
しかもホラー映画。

『きゃー。こわ~い』などと言って主人公タイヨウに抱きつくあざとい姿まで見えた。
ベタなやつである。


「そういやそんなCMやってるな」

タイヨウがホラー映画に反応する。

「あー、わたしもそれ知ってる。見に行った子たちもみんな怖いって言ってるー」

タイヨウに続くように、野々村もそのホラー映画についての情報を出してくる。

「えー、じゃあ皆で見に行きましょうよ。私怖いのとか1人で見れないし~。皆で行きたいです」

日南は『ホラー映画とか1人で見れなーい』というかわいい女の子アピールを忘れずにあざとく入れながら、皆で映画に行く方向へ話をもっていく。

「たしかに、ちょっと見たいかもー」

「まぁ、オレも別に用事もないし行ってもいいかな」


どうやら、ここまでは日南のお出かけ作戦は順調に成立に向かっている感じだ。

しかしそこに急ストップをかけるのがクール系ヒロイン雨宮鈴花だ。


「私は行かないわ」


シーーーン…。


あまりにもはっきりと雨宮が言い切ったので、皆あっけにとられて一瞬、時が止まる。

お前も時を止めれるのか…。
どうやら同じタイプのスタ○ド使いのようだな…。


完全に推測だが、雨宮は『別にその映画見たくないし行かないわ』的なスタンスなんだと思う。
空気読んで行くとか雨宮はしなそうだし…。



雨宮は怒っているわけでも悲しんでいるわけでもない喜怒哀楽を全く感じさせない、本当に無の表情で冷静に言いはなった。

悪気も邪気も無く、雨宮鈴花は自然にしていて、こういうヤツなのだとオレは知っている。



………。


……知っている。


知ってるけどさぁ…。


………。

ねぇぇぇえ~~!?
やだやだ!!
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