こんなハーレムラブコメ絶対オレは認めない!

OctoBer1993

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第3章

第26話

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先輩ヒロイン西園寺彩夏さいおんじさいかは、剣道部の部長であり主将である人で、その実力は県内でも屈指の実力だ。

なんでもセンパイの家は代々受け継がれてきた剣道で有名なお家らしく、この学校からも遠く無いところに剣道道場を持っている。

そんな家の娘ということで、西園寺センパイは幼少の頃から剣道に明け暮れたらしい。
その隙の無い立ち振舞いに綺麗な所作、少し仰々しい武士のような言葉づかいも剣道とお家柄の影響なのだろう。

西園寺センパイは全国でも屈指のレベルの選手だそうで、我が校の女子剣道部を名実ともにひっぱる存在の、文武両道の極みのような人だ。



そんな先輩が雨宮を剣道部へ勧誘するために来たらしい。

てことは、雨宮って剣道経験者なのか…?

「お断りします」

剣道の実力はいざ知らずも、会話をぶったぎる能力においては全国でも屈指のレベルである剣豪雨宮は、西園寺センパイの提案を速攻で一刀両断した。

「即答だなっ!」

なぜか西園寺センパイは、雨宮にすっぱり即答で断られたのにも関わらず、まったくダメージを感じていないようで。
それどころか爽やかさすら感じられる、気持ちの良い反応。

「しかし雨宮。キミほどの実力を持ってして剣を振るわないというのは、宝の持ち腐れじゃあ無いのかい?」

「やりたくないことに時間を割くことこそ、時間という宝の持ち腐れだと思いますが」


さすが雨宮鈴花。

西園寺センパイ相手でも物怖じせず、いつものごとく凛として、自分の意見を譲る気など無い、全く人に合わせるということを知らぬような物言いだ。

しかし西園寺センパイもこの程度のことで屈するような人じゃあない。
アゴに手を当て満足げにニヤリと口角を上げる。

「フム…。なるほど中々にキミも気が強そうだな。自分で言うのもどうかと思うが、私が人に相談をここまであっさりと断れたのも久しぶりだよ。…しかしだからこそ、そんな人材が剣道部にますます欲しい」

西園寺センパイはフフフと、素敵な笑顔で不適に笑って楽しそうだ。

きっとこの人はどんな挑戦も、笑って受け止めて、『面白い、さあ来い』と挑んでいくような芯の強さを持っているのだろう。

その気持ちの良い心意気。どこまでもポジティブな姿勢には、どことなく主人公の風格もただよっていて、ちょっぴり羨ましい…。

まあ、つまりのところ全くもって雨宮を剣道部へ入れることを諦めていない様子だ。

なにせ、人心掌握は彼女の得意分野のひとつだ。
お嬢様で部長で生徒会長とくれば、それらをそつなくこなすためには、そんな能力も必要になるのだろう。

とはいえ西園寺センパイが計算高く腹黒い人間かと問われれば、答えはNOである。

たしかに西園寺センパイは生徒会長という役職に意地の悪い考え方をすれば『親のコネでついた』という見方もできるのだが、実際には西園寺センパイが生徒会長の職につくことに他の生徒から異論など全く出ないどころか、むしろ後押しされるほどの人格者だ。

先ほどの雨宮との会話からもわかるように、その武士のような言葉使いや立ち居振舞いや厳しさをまとったオーラに相反し、ものの考え方は柔和で生徒たちからは『優しい』と評判で、自分の立場を鼻にかけたり、決して人を見下したりするようなことも無い。

よく他の生徒たちの相談にものってあげているらしい。
それどころか生徒ばかりでは無く教師たちも何か学校内での困り事があれば真っ先に頼る生徒は彼女のようで。

先生、生徒のどちらからも信頼されている。
いわゆる憧れの的だ。

それで言えば雨宮も校内の憧れの的と言えるのだが、雨宮が皆のヒロインと言うのならば、西園寺センパイは女子ながら皆のヒーロー的な憧れかたをされている。

それでいながら、その端正な顔立ちに剣道で鍛えられた美しいプロポーションで、雨宮に勝るとも劣らないような美少女でもある西園寺センパイは文武両道で男女両方に憧れられる、いわば完璧超人のような人だ。
(文武両道で男女両方…なんとなく韻ふめてるような気がする…)


まあ、実際の性格は雨宮も女子女子しているわけでも無いし、西園寺センパイよりもよっぽど人をスパッと切るところがあるのだが…。

そんなクール系ドSヒロインの雨宮鈴花にとっては西園寺センパイがどんなにいい人だろうが人格者だろうが、そんなことは関係ないようで表情こそいつもどおりの無表情フェイスながら、それでも心底迷惑そうな雰囲気が体からダダ漏れしている。


そんな中、空気を読めないのか読まないのか会話に入っていく男あり。

「なに?雨宮って剣道やってたの?」

このハーレムラブコメの主人公である夏目太陽殿だ。

いや、空気を読む読まないよりも、このハーレムラブコメの世界においては主人公である彼のする発言こそが空気そのものなのかもしれない。
彼の発言、考え、こそが空気を作りだし、世界を動かすのかもしれない。

「やってたどころの話では無いよ。雨宮ほどの実力を持っている人間は中々いないよ」

全国でも屈指のレベルの西園寺センパイがそう評するということは、雨宮もかなりのレベルなのだろうか。

「え、そうなん…!すげーな雨宮」

感心したのか、タイヨウが素直に雨宮を褒める。

しかし雨宮はそんな賛辞の言葉も別に嬉しくないようで、タイヨウの言葉に特に反応せずに、軽くうつむきながら視線を自分の机に落とし、おそらくメインは西園寺センパイに宛ててだろうが皆に、そして自分に聞かせるように言った。

「…昔のことですし。はっきり言って情熱があってやっていたという訳ではないので」


ふむ。
雨宮、いつになく徐々にしおらしくなっていっているような気がする。

本人が情熱があってやっていた訳ではないのでと言うように、あまり剣道をやっていた時のことは楽しい記憶では無いのだろうか。

オレも中学生時代に格闘技やら武術には色々なジャンルにとりあえず手を出したが、日々の練習がキツいはキツかった記憶がある。

もう一度アレを、と言われたらかなりの覚悟を必要とするとこは間違いないだろう。

ちなみに剣道は防具をして戦う競技なので『主人公は防具などしないのだ』という中二病的なものが爆発してしまい、手を出していないので具体的な剣道のキツさや、楽しさが具体的にはイメージできないが…。


今度は机から視線を上げて、西園寺センパイに顔を向けて、また雨宮が口を開く。

「やはり剣道部の件はお断りします。私は放課後は喫茶店とかにプリンとか食べに行かないといけないから忙しいので」

なにやら雨宮が、らしいのからしくないのか、とっても反応に困る、マジなのかギャグなのかも良くわからない、むしろアホの子大食いヒロインの野々村が言いそうな、すっとんきょうな事を言い出した。


反応に困ったのは西園寺センパイも同様のようで一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くしたが、すぐに冷静を取り戻し、スッと腕を組んで考え出した。

「うーむ、そうか。放課後にプリンを食べに行くのも1つの青春には違い無いのだろうね」

雨宮のマジかギャグか真偽不明の言葉にも、真面目に受け止める西園寺センパイ。

いい人やな…この人。
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