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プロローグ
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入学式前日
我が家の荷物を載せたトラックを追うように、5人家族には少々狭い車は長い長い高速道路を北へ走っていた。
東京から出発して4時間が過ぎようとしていた。
日が傾きはじめ、県内に入りかけた頃、雪の降りそうな寒々しい景色に一変した。
この県の気候は、降雪量が多くないけれど、春がくるのは遅く、4月に雪が降るのは珍しいことではないそうで、5月にも降った記録があるという。
高速を降りてしばらくは山に挟まれた信号も何も無い退屈な風景が続き、雪がちらちら降りてきた時、狭かった風景はパッと広がった。
舗装したての道路の両脇に、コピペしたようなな家が建ち並ぶ真新しい街、あちこちに引っ越し業者のトラックが見える。
作並家も
この街の、この家で
新たな人生をスタートするわけだ。
まぁ、新たな人生だと意気込んでいるのは、末っ子で三女のわたしだけのようで、すでに社会人だったり、エスカレーターで大学に進学したお姉ちゃんズは高校デビューというイベントのような特典は無かったのだ。
お姉ちゃんズにしてみれば、これまでに比べて定期代は1.5倍で通勤通学時間は半分になるというミステリーに納得いかないらしい。
新居を前にしてパパの第一声はこうだった。
「これで5人でもゆったり乗れる車が買えるぞ」
都内の分譲住宅は無人タクシーの影響でガレージの無い家が増え、あっても狭かったし、なんだかんだで小さい車の方が便利だった。
でも、地方では事情が違う。
車好きのパパとしては、これで思い描いている車をゲットする準備が整ったわけだ。
よかったね、パパ。
この家に引っ越すことを決めるときも、パパはしきりに
「うちは5人家族だから」
と繰り返し言っていた。
都内に限ったことなのかな・・・車も家も、スーパーのお総菜も、大体3人向けサイズが多い。
これまで住んでいた家に比べて4倍の広さの敷地に建つこの新居は、いったい何人家族向けなのだろう?
そんな事を考えながら広い新居の中に入り、たぶん口をあんぐりと開けていたかもしれない……広さに驚きながら、あらかじめ決めていた自分の部屋へ、廊下で迷いながらたどり着いた。
家の南側に大きなリビング。
吹き抜けの天井で、2階の部屋からリビングに面した出窓が2つあるという独特のデザインで、その出窓の1つがわたしの部屋。
わたしの部屋の出窓は、リビングに面したと言うよりも階段の壁に面しているんだけど。
外はもう真っ暗で、粉雪が窓明かりに照らされながらキラキラと降っていた。
バルコニーに出てみると、入居者のいない真っ暗な家がまだ多いことがわかった。
バルコニーに出て気がついた。
大きなトラックで道路の向こうが見えなかったから気づかなかったんだけど、お隣の家も今日お引っ越しだったんだ。
お隣もほとんど同じ間取り。どんな人がわたしと同じ部屋を使うのかな……
ん?
お隣のバルコニーに誰かいる。
と、次の瞬間
クシュン!
お隣の誰かと同時にくしゃみをしてしまった。
粉雪はいつしか淡雪へと変わっていた。
我が家の荷物を載せたトラックを追うように、5人家族には少々狭い車は長い長い高速道路を北へ走っていた。
東京から出発して4時間が過ぎようとしていた。
日が傾きはじめ、県内に入りかけた頃、雪の降りそうな寒々しい景色に一変した。
この県の気候は、降雪量が多くないけれど、春がくるのは遅く、4月に雪が降るのは珍しいことではないそうで、5月にも降った記録があるという。
高速を降りてしばらくは山に挟まれた信号も何も無い退屈な風景が続き、雪がちらちら降りてきた時、狭かった風景はパッと広がった。
舗装したての道路の両脇に、コピペしたようなな家が建ち並ぶ真新しい街、あちこちに引っ越し業者のトラックが見える。
作並家も
この街の、この家で
新たな人生をスタートするわけだ。
まぁ、新たな人生だと意気込んでいるのは、末っ子で三女のわたしだけのようで、すでに社会人だったり、エスカレーターで大学に進学したお姉ちゃんズは高校デビューというイベントのような特典は無かったのだ。
お姉ちゃんズにしてみれば、これまでに比べて定期代は1.5倍で通勤通学時間は半分になるというミステリーに納得いかないらしい。
新居を前にしてパパの第一声はこうだった。
「これで5人でもゆったり乗れる車が買えるぞ」
都内の分譲住宅は無人タクシーの影響でガレージの無い家が増え、あっても狭かったし、なんだかんだで小さい車の方が便利だった。
でも、地方では事情が違う。
車好きのパパとしては、これで思い描いている車をゲットする準備が整ったわけだ。
よかったね、パパ。
この家に引っ越すことを決めるときも、パパはしきりに
「うちは5人家族だから」
と繰り返し言っていた。
都内に限ったことなのかな・・・車も家も、スーパーのお総菜も、大体3人向けサイズが多い。
これまで住んでいた家に比べて4倍の広さの敷地に建つこの新居は、いったい何人家族向けなのだろう?
そんな事を考えながら広い新居の中に入り、たぶん口をあんぐりと開けていたかもしれない……広さに驚きながら、あらかじめ決めていた自分の部屋へ、廊下で迷いながらたどり着いた。
家の南側に大きなリビング。
吹き抜けの天井で、2階の部屋からリビングに面した出窓が2つあるという独特のデザインで、その出窓の1つがわたしの部屋。
わたしの部屋の出窓は、リビングに面したと言うよりも階段の壁に面しているんだけど。
外はもう真っ暗で、粉雪が窓明かりに照らされながらキラキラと降っていた。
バルコニーに出てみると、入居者のいない真っ暗な家がまだ多いことがわかった。
バルコニーに出て気がついた。
大きなトラックで道路の向こうが見えなかったから気づかなかったんだけど、お隣の家も今日お引っ越しだったんだ。
お隣もほとんど同じ間取り。どんな人がわたしと同じ部屋を使うのかな……
ん?
お隣のバルコニーに誰かいる。
と、次の瞬間
クシュン!
お隣の誰かと同時にくしゃみをしてしまった。
粉雪はいつしか淡雪へと変わっていた。
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