新緑の候

みなも・もなみ

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1 入学式

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 昨夜の雪は積もることなく、柔らかな日差しの朝が訪れた。

 「いってきまーす!」
 
 胸いっぱいの新鮮な気持ちが、ワントーン上げたようだった。
 
 玄関の扉を開けると、隣の人も玄関を出たところだった。
 目を凝らすと、同じ学校の制服を着た男の子だった。
 前にも見たことがある顔のような気がするのは、学校案内の制服紹介ページのせいだろう。
 
 隣同士なら、仲良くしておくに越したことはない。

 「おはようございます!隣の作並さくなみ 菫花すみかです。その制服、同じ学校ですか?」

 同じ校章の付いた鞄を持っているのだから尋ねるまでもないが、他に話題もない。
 男の子は少し驚いた様子を見せながら挨拶を返してくれた。

 「おはようございます。そうですね、タイの色も同じですね。
  あ、青葉あおば椿つばきと申します。
  よろしくお願いします。」
 
 タイの色には気づかなかった。同じ新入生なんだ。
 その流れで、ほとんど直線の通学路を一緒に歩いた。
 お互いに友達ができるか不安だったのかもしれない。
 学校までの道のりの間、前に住んでいた街の話で盛り上がった。

 そして

 校舎の玄関ホールに貼られていたクラス分けの表をみて驚いた。

 同じクラスだったのだ。

 偶然隣で、偶然同じ学校で、同じ学年で、同じクラスという「偶然」続きで

 「なんか安っぽいマンガみたいだな」

 と、青葉くんはボソっと言った。

 安っぽいマンガの主人公のように
 
 私たちは
 
 まだ気づいていなかった。
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