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エピローグ
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5分ほど歩いたところの並木通り交差点前のオープンカフェが待ち合わせ場所で、テーブルを囲む弦華さんと、美宵ちゃんと藍澤くんが手を振る。わたしはママの真似をして上品に手を振って応えた。
手袋を外して、カフェのクラシカルなストーブに手をかざした。
上品が擬人化して制服を着ているような弦華さんが「朝食は?」と尋ねてきたので、わたしは家で済ませてきました。と言いかけた瞬間、品のない椿くんが「食ってきた。」と簡潔に答えた。「わたしも。」と、付け加えるように答えた。
海の幸が好きな美宵ちゃんは、先週からクラムチャウダーとクロワッサンのモーニングセットがマイブームらしい。
焼きたてのパンの香りは、おなかに隙間を空けてくるけれど、カフェモカで通学途中の珈琲時間を過ごすことにした。
わたしと椿くんは、ここだけの話と前置きをして、土日の出来事を手短に話した。
「ほっとした。」
美宵ちゃんが想像もしなかった反応をした。
藍澤くんが賛同する。
「俺もホッとしたよ。二人を見ているとね、なんていうか、早く気づけよって感じがしてね。」
「まるではじめから知ってたような口振りだな。」と、椿くんが軽く笑いながら言った。
「うん、不思議とね、知っていたような気がするんだ。だから兄妹だとハッキリしたことが自分のことのようにうれしいよ!」
美宵ちゃんはテーブルの上を片づけながら
「そうだね、こういうことは第三者の方が気づきやすいのかもね。」
と言ってトレイを返却口へ戻しに行った。
8時を告げる学校のチャイムが聞こえてきた。
弦華さんが横断歩道の方へ一歩進んで
「さぁ、行きましょう。雨か雪が降り出しそうな空になってきたわ。」と空を見上げて言った。
弦華さんの白い息がふわりと空へ消える。
そして小さな声で
「迷子になった子供を見つけてホッとした夫婦のようね。」
新緑の並木道に
ちらちらと
空から雪が舞い降りる
手袋を外して、カフェのクラシカルなストーブに手をかざした。
上品が擬人化して制服を着ているような弦華さんが「朝食は?」と尋ねてきたので、わたしは家で済ませてきました。と言いかけた瞬間、品のない椿くんが「食ってきた。」と簡潔に答えた。「わたしも。」と、付け加えるように答えた。
海の幸が好きな美宵ちゃんは、先週からクラムチャウダーとクロワッサンのモーニングセットがマイブームらしい。
焼きたてのパンの香りは、おなかに隙間を空けてくるけれど、カフェモカで通学途中の珈琲時間を過ごすことにした。
わたしと椿くんは、ここだけの話と前置きをして、土日の出来事を手短に話した。
「ほっとした。」
美宵ちゃんが想像もしなかった反応をした。
藍澤くんが賛同する。
「俺もホッとしたよ。二人を見ているとね、なんていうか、早く気づけよって感じがしてね。」
「まるではじめから知ってたような口振りだな。」と、椿くんが軽く笑いながら言った。
「うん、不思議とね、知っていたような気がするんだ。だから兄妹だとハッキリしたことが自分のことのようにうれしいよ!」
美宵ちゃんはテーブルの上を片づけながら
「そうだね、こういうことは第三者の方が気づきやすいのかもね。」
と言ってトレイを返却口へ戻しに行った。
8時を告げる学校のチャイムが聞こえてきた。
弦華さんが横断歩道の方へ一歩進んで
「さぁ、行きましょう。雨か雪が降り出しそうな空になってきたわ。」と空を見上げて言った。
弦華さんの白い息がふわりと空へ消える。
そして小さな声で
「迷子になった子供を見つけてホッとした夫婦のようね。」
新緑の並木道に
ちらちらと
空から雪が舞い降りる
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