新緑の候

みなも・もなみ

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10 新しい朝

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 目覚まし時計は6時半を告げるアラームを鳴らした。
 抜けるような青空の朝なのに、学校に行くのがおっくうに感じるのは、3時頃まで涙が止まらなかったから……
「寝不足なわけで。」
 自分にツッコミを入れながら制服に着替えた。
 眠気覚ましに半分以上がミルクの珈琲を飲んでいると、外が曇りだしていることに気づいた。
 7時半、出発しようと玄関から一歩出ると、5月なのに季節はずれの寒さで、わたしは部屋に戻ってスプリングコートをはおり、フラーを巻いた。だるくてリボン結びにする気力はなかった。
 冬の格好で玄関を出ると、門の前にはマフラーを巻いた椿くんが待っていた。
「よう!」
「おはよっ。ママ、行ってきまーす。」
 玄関から見送るママに手を振る。ママは手を上品に振りながら「いってらっしゃい。」と返しつつも、視線は椿くんを追っていた。
 昨夜、ママは男の子の子供が出来たようで嬉しいと言っていた。ママは優しい口調で
「椿くん、おはよう」
と挨拶をした。椿くんはハキハキと返事をした。
「おはようございます!行ってきます」
「いってらっしゃい♪」
 朝から薄化粧してたのはこういう事か……
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