19 / 26
第18章
私の夢はこの国を滅ぼすこと「ハモネーにとどめを」
しおりを挟む
ルチルと契約を結んでから、3日が経った。
準備は整ったわ。
私の長く苦しい戦いはもうすぐ終わる。
正直、もうくたくたよ。
一人で一国を滅ぼそうなんて、どれだけ大変なことなのか誰も分からないでしょうね。
それでも、これは私の夢だから最後まで諦めないの。
「ダチュラ、お家完成したよ!」
完成って何かしら。
出社前の忙しい私を、クリスドールが廃工場の裏に連れて行く。
そこに建っていたのは、見覚えのある小さな家。
昔、クリスとクリスドールと住んでいた我が家にとても似ている。
少し歪だけれど、間違いなく一軒家が建っていた。
「……何これ」
「オレが住みたい家」
私の住処の裏にこんな物を作っていたのね。
物を作る能力まで身につけていたいたなんて。
私は地下で作業に没頭していたから気づかなかったわ。
材料はどこから盗んで来たのかしら。
「これがあんたの住みたい家?」
「考えてみたら、これしか浮かばなかったよ」
そうね。
あんたが住んだことがある家なんて、これしか無いものね。
懐かしさと悲しさと悔しさと腹立たしさが詰まった、この家に。
「これでいい?」
「何が?」
「引っ越し先」
クリスドールが私を笑顔で見つめる。
こんな近くに引っ越す意味が分からない。
そもそも引っ越したいとは思っていない。
引っ越す必要性が無い。
もう、この国は滅ぶのだから。
そして私も。
「いいわよ」
「本当? やった!」
この家には戻らない、帰れない。
結局、クリスドールと私には未来なんて無い。
引っ越し先も昔と同じ家なんて笑える。
「私が帰るまでに、家の中を掃除しておいてね」
「分かった!」
クリスドールが駆け足で家に入って行った。
そこまで広くは無いけれど、2人と1体が快適に過ごせる一軒家。
クリスドールと家事を分担し、食事を作りながらクリスの帰りを待っていた日々を思い出す。
結局、家事は私よりクリスドールの方が上達してしまったけれどね。
クリスドールに感情というものがあれば、一緒に暮らしていた日々はどのように感じていたのかしら。
考えても無駄ね。
あの子に感情は無いもの。
少し家の様子を眺めた後、私は職場へ向かった。
この仕事場も今日が見納めね。
私はいつの時代でも円満退社ができないみたい。
机の向こうに見えるリアともさよならだわ。
そう思うと感慨深いわね。
リアは葬儀の翌日からいつものように出社していた。
多少落ち込んでいるように見えたけれど、しっかり仕事をこなしていた。
成長したわね。先輩として鼻が高いわ。
でも、今日でお仕舞なのよね。
ルチルは相変わらずだし、この私でさえ恐ろしいと感じる男だわ。
感情というものが無いのかしら。
戦闘課は文字通り葬式ムードらしいけれど、いつもどおり訓練に励んでいると聞く。
ジェイドには会いに行っていないから分からない。
リアも葬儀の後は、病院に顔を出せていないと言っていた。
「リアちゃん、受付にいきましょう」
「はい、先輩」
リアと共に最後の受付業務に向かった。
国家防衛管理局のフロアを見渡す。
私を採用してくれた面接官に感謝をしなければならないわね。
ダチュラの見た目は、この国にも通用して良かったわ。
もしサンドローザのように不細工な女を美しいと思うような国民だったら、私は別の手段を考えなければならなかったかもしれない。
この国に不法入国し、この国での生き方を学び、管理局へ入社した。
入社してすぐにこの国を壊滅させる方法を調べたけれど、平和ぼけしたこの国の防衛管理に危機感はあまり感じられなかった。
実験的にゴーレムを地方へ差し向けて、戦闘課のレベルを計ってみた。
能力値が高く力が強くても、危機感があまり無く訓練をさぼっていた彼らはなすすべが無かった。
私は、ほとんどの戦闘課を殺すことに成功した。
そのまま都心に攻め込んで破壊できれば楽だったのだけれど、やはり戦闘センスが高い者達も数名はいた。
特にジェイドは新人にも関わらず、ゴーレムを破壊してしまったものね。
でも、今はジェイドは使い物にならない。
強いて言えばトリンの存在が気がかりだけれど、ルチルとの契約で全ての戦闘課はこの都市から出払う手筈になっている。
そうすれば、この都市を陥落させることは容易なはずだわ。
中心地を攻め落とせば、この国を滅ぼすのも容易になる。
そう、今まで地方ばかりにゴーレムが出現していたのは今日の日の為の布石。
ルチルが私に協力しなくても、戦闘課の危機感は地方へ向けられるようシナリオを作っておいたわけよ。
警報が鳴った。
フロアが慌ただしくなる。
リアが俯く。
いつもの光景。
でもいつもと違う。
武者震いを抑えなければ。
数分経った頃。
「リアさん、報告書にミスがあります。今すぐ再提出してください」
受付のもとにルチルが現れた。
受付業務中のリアに対し、今すぐ報告書を書き直せなんてルチルらしく無い指示だわ。
「あ、すみません。分かりました」
リアは私の方を一瞥し、そのまま戻って行ってしまった。
「ダチュラさん。全戦闘課を地方に出動させる準備ができました。他に僕にできることはありますか?」
その報告をするために、リアを撒いたのね。
まだそんなに時間が経っていないのに、仕事が早いこと。
「戦闘課が地方へ到着するのはどのくらいですか?」
「約1時間です」
「そう。あなたの仕事は終わりよ。この場所で全て終わるまで隠れていて」
私は地図を差し出した。
その場所は私の住処に近い地域。
ほとんど廃墟になっている場所であり、攻撃対象にはなっていない。
ルチルは地図を受け取った。
「ダチュラさんは?」
「私はここに残って最後まで見届けるわ。今までありがとうございました」
私は頭を下げた。
私が仕事をして来た中で、最良の上司だったと思う。私にとってはね。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
ルチルは去って行った。
最後まで事務的な挨拶しかできないのね。
でもきっと、彼は賢く生き延びるわ。
亡命した先の国で、幸せになってね。
トリンと一緒に駆け落ちさせてあげれば良かったかしら。
お互いに無いものを補い合える、実は相性が良い2人だったと思うのよね。
今更気づいても遅いわ。
トリンは今頃、ゴーレムを倒すために地方に向かっている。
彼女にとってはきっと、今回の敵は赤子の手をひねるように簡単に倒せてしまうわ。
地方に差し向けたゴーレムは、とても弱いガラクタ同然のものだもの。
でもその間に交通網を破壊すれば、彼らがこの都市に戻るのに時間がかかるはず。
それまでに、全て終わらせよう。
もうすぐ1時間経つ。
戦闘課は引き返せない。
そろそろフィナーレね。
さようなら、受付嬢ダチュラ。
国家防衛管理局のフロアが揺れる。
床がひび割れ、巨大なゴーレムが姿を現した。
まずはここを破壊しましょう。
思う存分暴れるのよ。
しかしその時、私のゴーレムが強い衝撃を受けて壁に叩きつけられた。
あまりの轟音に、無い鼓膜が破れそうになる。
室内の厳かな内装が破壊され、壁の破片が散らばった。
何が起きたのかしら。
衝撃を受けた場所に立っていたのはトリンだった。
女性らしい服装ではなく、トレーニングウェアでも無い。
戦闘課が身につける、戦闘服に身を包んでいる。
何故彼女がここにいるのかしら。
地方のゴーレム討伐に行ったはずよ。
「ルチルが言ったとおり、やっぱりお前が犯人だったのか」
トリンの脇に現れたのは、車椅子に座ったジェイドだった。
鬼のような形相で私を見ている。
その車椅子を押していたのはルチル。
おまけにその隣にはリアが立っている。
今まで見たことが無い、悲壮な面持ち。
そしてぞろぞろと戦闘課がフロアに集結した。
私、また男に裏切られたのね
準備は整ったわ。
私の長く苦しい戦いはもうすぐ終わる。
正直、もうくたくたよ。
一人で一国を滅ぼそうなんて、どれだけ大変なことなのか誰も分からないでしょうね。
それでも、これは私の夢だから最後まで諦めないの。
「ダチュラ、お家完成したよ!」
完成って何かしら。
出社前の忙しい私を、クリスドールが廃工場の裏に連れて行く。
そこに建っていたのは、見覚えのある小さな家。
昔、クリスとクリスドールと住んでいた我が家にとても似ている。
少し歪だけれど、間違いなく一軒家が建っていた。
「……何これ」
「オレが住みたい家」
私の住処の裏にこんな物を作っていたのね。
物を作る能力まで身につけていたいたなんて。
私は地下で作業に没頭していたから気づかなかったわ。
材料はどこから盗んで来たのかしら。
「これがあんたの住みたい家?」
「考えてみたら、これしか浮かばなかったよ」
そうね。
あんたが住んだことがある家なんて、これしか無いものね。
懐かしさと悲しさと悔しさと腹立たしさが詰まった、この家に。
「これでいい?」
「何が?」
「引っ越し先」
クリスドールが私を笑顔で見つめる。
こんな近くに引っ越す意味が分からない。
そもそも引っ越したいとは思っていない。
引っ越す必要性が無い。
もう、この国は滅ぶのだから。
そして私も。
「いいわよ」
「本当? やった!」
この家には戻らない、帰れない。
結局、クリスドールと私には未来なんて無い。
引っ越し先も昔と同じ家なんて笑える。
「私が帰るまでに、家の中を掃除しておいてね」
「分かった!」
クリスドールが駆け足で家に入って行った。
そこまで広くは無いけれど、2人と1体が快適に過ごせる一軒家。
クリスドールと家事を分担し、食事を作りながらクリスの帰りを待っていた日々を思い出す。
結局、家事は私よりクリスドールの方が上達してしまったけれどね。
クリスドールに感情というものがあれば、一緒に暮らしていた日々はどのように感じていたのかしら。
考えても無駄ね。
あの子に感情は無いもの。
少し家の様子を眺めた後、私は職場へ向かった。
この仕事場も今日が見納めね。
私はいつの時代でも円満退社ができないみたい。
机の向こうに見えるリアともさよならだわ。
そう思うと感慨深いわね。
リアは葬儀の翌日からいつものように出社していた。
多少落ち込んでいるように見えたけれど、しっかり仕事をこなしていた。
成長したわね。先輩として鼻が高いわ。
でも、今日でお仕舞なのよね。
ルチルは相変わらずだし、この私でさえ恐ろしいと感じる男だわ。
感情というものが無いのかしら。
戦闘課は文字通り葬式ムードらしいけれど、いつもどおり訓練に励んでいると聞く。
ジェイドには会いに行っていないから分からない。
リアも葬儀の後は、病院に顔を出せていないと言っていた。
「リアちゃん、受付にいきましょう」
「はい、先輩」
リアと共に最後の受付業務に向かった。
国家防衛管理局のフロアを見渡す。
私を採用してくれた面接官に感謝をしなければならないわね。
ダチュラの見た目は、この国にも通用して良かったわ。
もしサンドローザのように不細工な女を美しいと思うような国民だったら、私は別の手段を考えなければならなかったかもしれない。
この国に不法入国し、この国での生き方を学び、管理局へ入社した。
入社してすぐにこの国を壊滅させる方法を調べたけれど、平和ぼけしたこの国の防衛管理に危機感はあまり感じられなかった。
実験的にゴーレムを地方へ差し向けて、戦闘課のレベルを計ってみた。
能力値が高く力が強くても、危機感があまり無く訓練をさぼっていた彼らはなすすべが無かった。
私は、ほとんどの戦闘課を殺すことに成功した。
そのまま都心に攻め込んで破壊できれば楽だったのだけれど、やはり戦闘センスが高い者達も数名はいた。
特にジェイドは新人にも関わらず、ゴーレムを破壊してしまったものね。
でも、今はジェイドは使い物にならない。
強いて言えばトリンの存在が気がかりだけれど、ルチルとの契約で全ての戦闘課はこの都市から出払う手筈になっている。
そうすれば、この都市を陥落させることは容易なはずだわ。
中心地を攻め落とせば、この国を滅ぼすのも容易になる。
そう、今まで地方ばかりにゴーレムが出現していたのは今日の日の為の布石。
ルチルが私に協力しなくても、戦闘課の危機感は地方へ向けられるようシナリオを作っておいたわけよ。
警報が鳴った。
フロアが慌ただしくなる。
リアが俯く。
いつもの光景。
でもいつもと違う。
武者震いを抑えなければ。
数分経った頃。
「リアさん、報告書にミスがあります。今すぐ再提出してください」
受付のもとにルチルが現れた。
受付業務中のリアに対し、今すぐ報告書を書き直せなんてルチルらしく無い指示だわ。
「あ、すみません。分かりました」
リアは私の方を一瞥し、そのまま戻って行ってしまった。
「ダチュラさん。全戦闘課を地方に出動させる準備ができました。他に僕にできることはありますか?」
その報告をするために、リアを撒いたのね。
まだそんなに時間が経っていないのに、仕事が早いこと。
「戦闘課が地方へ到着するのはどのくらいですか?」
「約1時間です」
「そう。あなたの仕事は終わりよ。この場所で全て終わるまで隠れていて」
私は地図を差し出した。
その場所は私の住処に近い地域。
ほとんど廃墟になっている場所であり、攻撃対象にはなっていない。
ルチルは地図を受け取った。
「ダチュラさんは?」
「私はここに残って最後まで見届けるわ。今までありがとうございました」
私は頭を下げた。
私が仕事をして来た中で、最良の上司だったと思う。私にとってはね。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
ルチルは去って行った。
最後まで事務的な挨拶しかできないのね。
でもきっと、彼は賢く生き延びるわ。
亡命した先の国で、幸せになってね。
トリンと一緒に駆け落ちさせてあげれば良かったかしら。
お互いに無いものを補い合える、実は相性が良い2人だったと思うのよね。
今更気づいても遅いわ。
トリンは今頃、ゴーレムを倒すために地方に向かっている。
彼女にとってはきっと、今回の敵は赤子の手をひねるように簡単に倒せてしまうわ。
地方に差し向けたゴーレムは、とても弱いガラクタ同然のものだもの。
でもその間に交通網を破壊すれば、彼らがこの都市に戻るのに時間がかかるはず。
それまでに、全て終わらせよう。
もうすぐ1時間経つ。
戦闘課は引き返せない。
そろそろフィナーレね。
さようなら、受付嬢ダチュラ。
国家防衛管理局のフロアが揺れる。
床がひび割れ、巨大なゴーレムが姿を現した。
まずはここを破壊しましょう。
思う存分暴れるのよ。
しかしその時、私のゴーレムが強い衝撃を受けて壁に叩きつけられた。
あまりの轟音に、無い鼓膜が破れそうになる。
室内の厳かな内装が破壊され、壁の破片が散らばった。
何が起きたのかしら。
衝撃を受けた場所に立っていたのはトリンだった。
女性らしい服装ではなく、トレーニングウェアでも無い。
戦闘課が身につける、戦闘服に身を包んでいる。
何故彼女がここにいるのかしら。
地方のゴーレム討伐に行ったはずよ。
「ルチルが言ったとおり、やっぱりお前が犯人だったのか」
トリンの脇に現れたのは、車椅子に座ったジェイドだった。
鬼のような形相で私を見ている。
その車椅子を押していたのはルチル。
おまけにその隣にはリアが立っている。
今まで見たことが無い、悲壮な面持ち。
そしてぞろぞろと戦闘課がフロアに集結した。
私、また男に裏切られたのね
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる