マスク・ド・ファイヴの憂鬱

長崎優希

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マスク・ド・ファイヴ 仮結成!の巻

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何も言い返せず、ノボルは拳を握り締めた。
僕も下を向くしかなかった。
スタジオ内を重い沈黙が支配する。



その時だった。
健吾がテーブルに歩み寄ると、
マスクを手に取った。
そして目をつぶりながら、震える手でそれを被った。



鉄平も「やっぱ俺、音楽やりてーよ」と叫びながら
マスクを顔にはめる。
ノボルも涙を拭きながら、それに続く。




「リョータ、あんたはどうするの。
 別にうちの会社に残っても構わないけど」
マリエさんの視線が突き刺さる。



デビューさせてくれって頼んだけど
マスク姿のままなんて思わなかった。
それにブレイブ・カンパニーのリーダーとして
音楽性を突き詰め過ぎたのは僕の責任だった。
マスクを被ったって、僕自身が生まれ変わらなきゃ
また失敗を繰り返すのは目に見えている。




そして、このバンドまで駄目だったら
たぶん三十過ぎて、みんなを路頭に迷わすことになる。
マスクを被ったメンバーの顔を見た。
目に涙を浮かべながら、必死の覚悟が伝わってくる。



「やっぱ音楽続けてーよ。
 食っていけなくたって、続けてーよ」
「もう一回やり直そうぜ。
 俺は音楽辞めたくねーよ」
あの日の叫び声が心にリフレインする。



「お願いします。
 やっぱり音楽、もう一回やりたいです。
 夢、諦めたくないっす」
僕もマスクに手を伸ばした。




メジャーデビューしたけけど
全く売れなかった
ブレイブ・ファクトリー。
僕らは、こうして
謎の覆面バンドに生まれ変わったんだ。

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