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第一章・俺の価値
大浴場
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あの後、ゆっくりと俺から自身を引き抜いたロイクは、俺に数回キスをして丁寧に、今度は自分のブカブカの服を俺に着せた後
「よし、風呂だな」
そう言って、俺を風呂へ連れて行ってくれた。
ロイクは、俺を純血だと分からないのか、俺を隠そうともせず、普通に抱っこの状態で廊下を歩くもんだから、いつ誰に遭遇するかと冷や汗が止まらなかった。
脱衣所で、ある程度催淫も抜けて体が動くようになってきた俺は、先ほど着せられたロイクのブカブカの服を脱ぎ、風呂場の扉を開けた。
「うわ、すげぇ…!」
風呂場は大浴場のようになっており、ここからでは全てが見渡せないほど様々な風呂があるようだった。
「風呂、好き?」
俺の横で、服を脱いだロイクが俺の顔を覗き込みながら話しかけてくる。
…距離近いな。
賢者タイムで理性ガチガチの俺は
「…別に普通」
と、少しツンとした態度を取りながら、風呂の中に足を進めた。
ロイクと共に、どこで体を洗おうかと辺りを見渡していると
「おーい!ロイク!」
「二度目の風呂かよ!」
と風呂の中から声がした。
先程帰って行ったと思ったロイクの友達だ。
ザバ、と風呂から出た2人は、まっすぐこちらへ歩いてくる。
(こ、こいつらもちんぽデケェな…)
ドキドキしながら2人を見ると、明らかにロイクよりも筋肉がゴツく、
(あれ…貴族じゃないのか?)
と疑問に思う。
「この子は?さっきも連れてたよな」
先程扉の前で「誰!?」みたいなことを言っていた方の男だ。
青い髪の毛を後ろに撫で付けていたが、今はワックスを落としたのか、肩ほどの髪の毛が色っぽい。
眉毛は細長く整っていて、目元は優しそうに垂れていた。ルカ様が嫌いそうな“筋肉野郎”だけど、顔は好きな部類なんじゃないかな~なんて考える。
「腹薄!内臓ある?!」
もう1人、「飯奢るって言ってただろ!」的な事を言ってた男も、俺の顔を覗き込む。
金髪の髪はぴょんぴょんと跳ね、顔立ちは、眉毛は少し短めで、大きな目はネコのようだった。
「お前ら…なんでいる」
呆れたように頭をかきながら、俺を見せないようにか自分の後ろに来るよう合図したロイクに、
(まぁ、言うこと聞いてやるか…)
と大人しくロイクの後ろに回る。
「いや、だって飯奢るって言われてそのままだし、風呂で入って待ってようって、な!」
金髪の男が青髪に語りかける。
「…俺は別に、お前が飯だ飯だと五月蝿いから提案しただけだ」
面倒そうに長い髪を後ろに流す仕草をしながら、一緒にするな、という風に一歩金髪の男から距離を置く。
「はぁ…分かったよ、この子を洗ったらどこでも行ってやる」
ロイクが、こっちだ、と俺の手を引く。
2人…いや、正しくは金髪の男が「君も!待ってるからなー!」と、俺に声をかけ、風呂を後にしたのが見えた。
「ごめんな、俺が魔道騎士団に入ってから、貴族用の風呂場は出禁でさ…兄さ…ルカのせいで。
この時間なら誰もいねぇと思ったんだけど…」
俺に申し訳なさそうに、ロイクが大丈夫か?と俺に確認する。
「謝らなくていい,俺は別に…その、偏見とかないし…」
その言葉を聞いたロイクは、目を輝かせて
「そうだよな!全人類仲良くするべきだ!!」
と嬉しそうに歩いていった。
「そういえば、君の名前を聞いてないな」
俺の頭を洗いながら、ロイクがそう言う。
「俺…は、城内で良いよ」
「キウチ、了解!」
おお、発音いいな…耳がいいのか。
何度教えてもキーチ、キゥチと俺の名前を呼べなかった2人を思い出して、また気持ちが沈む。
「なぁ、ロイクはルカ様と仲良い?」
「は、なんで?」
嘲笑ったような口調で聞いてくるあたり、
めちゃくちゃルカ様を下に見てるんだな…
「えっと、ルカ様にお願いしてることがあるんだけどあんまり聞いてくれなくて…」
純血がバレたら面倒なので、
濁して質問する。
ああ、と心当たりがありすぎるのか、辟易した顔をして、ロイクが口を開く。
「あの人、自分に都合の悪いお願いは絶対聞かないだろ、
例えば『服が欲しいから選んで~』とか、『魔法の使い方を教えて~』とか、自分の好きなこと、得意なことなら、嫌そうな雰囲気出しつつ内心喜びながら言う事を聞く。」
(…きっとこれ、ロイクが言ってきた言葉なんだろうなあ)
微笑ましい兄弟エピソードにニコニコが止まらない。
頭を流した後、体も…と提案するロイクを断り、タオルで石鹸を泡立てて体を洗う。
(…ルカ様に都合がよくてあの家に戻るお願いか…)
めちゃくちゃ難しそうな課題に頭を悩ませていたその時、
バーーン!
と、ものすごい勢いで風呂場の扉が開いた。
「よし、風呂だな」
そう言って、俺を風呂へ連れて行ってくれた。
ロイクは、俺を純血だと分からないのか、俺を隠そうともせず、普通に抱っこの状態で廊下を歩くもんだから、いつ誰に遭遇するかと冷や汗が止まらなかった。
脱衣所で、ある程度催淫も抜けて体が動くようになってきた俺は、先ほど着せられたロイクのブカブカの服を脱ぎ、風呂場の扉を開けた。
「うわ、すげぇ…!」
風呂場は大浴場のようになっており、ここからでは全てが見渡せないほど様々な風呂があるようだった。
「風呂、好き?」
俺の横で、服を脱いだロイクが俺の顔を覗き込みながら話しかけてくる。
…距離近いな。
賢者タイムで理性ガチガチの俺は
「…別に普通」
と、少しツンとした態度を取りながら、風呂の中に足を進めた。
ロイクと共に、どこで体を洗おうかと辺りを見渡していると
「おーい!ロイク!」
「二度目の風呂かよ!」
と風呂の中から声がした。
先程帰って行ったと思ったロイクの友達だ。
ザバ、と風呂から出た2人は、まっすぐこちらへ歩いてくる。
(こ、こいつらもちんぽデケェな…)
ドキドキしながら2人を見ると、明らかにロイクよりも筋肉がゴツく、
(あれ…貴族じゃないのか?)
と疑問に思う。
「この子は?さっきも連れてたよな」
先程扉の前で「誰!?」みたいなことを言っていた方の男だ。
青い髪の毛を後ろに撫で付けていたが、今はワックスを落としたのか、肩ほどの髪の毛が色っぽい。
眉毛は細長く整っていて、目元は優しそうに垂れていた。ルカ様が嫌いそうな“筋肉野郎”だけど、顔は好きな部類なんじゃないかな~なんて考える。
「腹薄!内臓ある?!」
もう1人、「飯奢るって言ってただろ!」的な事を言ってた男も、俺の顔を覗き込む。
金髪の髪はぴょんぴょんと跳ね、顔立ちは、眉毛は少し短めで、大きな目はネコのようだった。
「お前ら…なんでいる」
呆れたように頭をかきながら、俺を見せないようにか自分の後ろに来るよう合図したロイクに、
(まぁ、言うこと聞いてやるか…)
と大人しくロイクの後ろに回る。
「いや、だって飯奢るって言われてそのままだし、風呂で入って待ってようって、な!」
金髪の男が青髪に語りかける。
「…俺は別に、お前が飯だ飯だと五月蝿いから提案しただけだ」
面倒そうに長い髪を後ろに流す仕草をしながら、一緒にするな、という風に一歩金髪の男から距離を置く。
「はぁ…分かったよ、この子を洗ったらどこでも行ってやる」
ロイクが、こっちだ、と俺の手を引く。
2人…いや、正しくは金髪の男が「君も!待ってるからなー!」と、俺に声をかけ、風呂を後にしたのが見えた。
「ごめんな、俺が魔道騎士団に入ってから、貴族用の風呂場は出禁でさ…兄さ…ルカのせいで。
この時間なら誰もいねぇと思ったんだけど…」
俺に申し訳なさそうに、ロイクが大丈夫か?と俺に確認する。
「謝らなくていい,俺は別に…その、偏見とかないし…」
その言葉を聞いたロイクは、目を輝かせて
「そうだよな!全人類仲良くするべきだ!!」
と嬉しそうに歩いていった。
「そういえば、君の名前を聞いてないな」
俺の頭を洗いながら、ロイクがそう言う。
「俺…は、城内で良いよ」
「キウチ、了解!」
おお、発音いいな…耳がいいのか。
何度教えてもキーチ、キゥチと俺の名前を呼べなかった2人を思い出して、また気持ちが沈む。
「なぁ、ロイクはルカ様と仲良い?」
「は、なんで?」
嘲笑ったような口調で聞いてくるあたり、
めちゃくちゃルカ様を下に見てるんだな…
「えっと、ルカ様にお願いしてることがあるんだけどあんまり聞いてくれなくて…」
純血がバレたら面倒なので、
濁して質問する。
ああ、と心当たりがありすぎるのか、辟易した顔をして、ロイクが口を開く。
「あの人、自分に都合の悪いお願いは絶対聞かないだろ、
例えば『服が欲しいから選んで~』とか、『魔法の使い方を教えて~』とか、自分の好きなこと、得意なことなら、嫌そうな雰囲気出しつつ内心喜びながら言う事を聞く。」
(…きっとこれ、ロイクが言ってきた言葉なんだろうなあ)
微笑ましい兄弟エピソードにニコニコが止まらない。
頭を流した後、体も…と提案するロイクを断り、タオルで石鹸を泡立てて体を洗う。
(…ルカ様に都合がよくてあの家に戻るお願いか…)
めちゃくちゃ難しそうな課題に頭を悩ませていたその時、
バーーン!
と、ものすごい勢いで風呂場の扉が開いた。
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