勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第8章 魔人の島

第1話 海を越えて

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「見てリューク、あそこにうっすら見えるのが陸地じゃないの!?」

 昼を少し過ぎた頃、ジーナが遥か前方を指さして叫ぶ。
『スマホ』でも確認したが、ジーナの言う通りそこは陸地だった。

 実はオレたちは今、巨大な船に乗って海を移動している。
 仮面の男に最北の地へ向かえと言われたオレだが、指示通りに行ってみると、なんと3日目には海岸に着いてしまった。
 それ以上陸地を進むことはできないが、もちろんそこが目的地ではないことは分かっていた。
 何故なら、仮面の男から船を渡されたからだ。

 そう、向かうべき場所は、海の向こうにある。

 仮面の男が消えた後、周囲を覆っていたモヤが消えて洞窟内に戻されたオレだったが、その目の前に巨大な船が置いてあった。
 あいつは、オレが北に行くための道具を用意したと言っていた。つまり、船を使って海を渡れということだろう。
 ただ、船の全長は30メートルもあり、これを持って移動するなんてどう考えても不可能だ。
 そもそも洞窟から出すことすらできない。

 だがアイテムボックスに収納すれば、問題なく持ち運びができる。
 あいつはオレがアイテムボックスを持っていることもお見通しということだ。

 船の性能も考えられないほど凄く、この世界の技術では到底作れないものだった。
 というか、船を利用するのは海辺で漁をするときくらいなので、遠距離航海を目的とした船はほぼ作られたことがない。
 何故なら、海には超危険なモンスターがいるからである。

 一応、海を渡ることにチャレンジした者もいるが、モンスターのせいで全員失敗している。
 もちろん、この船も襲われた。
 タコに似た体長50メートルを超えるような怪物や、全身を鋼鉄で覆われた超巨大甲冑魚などなど、普通の船なら一撃で破壊されそうなモンスターと遭遇したが、全部返り討ちにした。
 その数々の襲撃を乗り越えつつ、出発から7日目にしてようやく陸地が見えたのだった。

 高性能のこの船じゃなければ、恐らく1ヶ月はかかっていただろう。
 過酷な船旅に船体も耐えられなかったかもしれない。
 嵐の中、激しい荒波に揉まれたり、大渦に呑み込まれそうにもなったしな。
 仮面の男に感謝だ。

「いや~船に乗ったのは初めてだが、ただひたすら海を進むってのは思ったよりもつらかったぜ。早いとこ地面を歩きたいもんだ」

 厳しい任務には慣れっこなはずのサクヤも、船での生活は堪えたらしい。
 ほかのみんなも、徐々に近付く陸地を見て安堵の息を漏らしている。

「でもリューク、私たちも一緒に来てよかったの? 足手まといにしかならないのに……」

 待望の陸地に喜んでいたキスティーが、不安そうな表情になって発言する。

「もちろんだ。みんながいてくれるとオレも心強いよ。いつだってオレの心の支えになってるんだ、自信を持ってくれ」

 オレがそう言うと、全員パッと表情が明るくなる。
 もちろんオレの本心だが、みんなを勇気づけたい気持ちもあった。
 ここから先はどんな試練が待ち受けているか分からないからな。
 今までだって、彼女たちのおかげで何度もピンチを乗り越えられた。きっとここでもオレの力になってくれる。

「それはいいんだけど、まさかロエ婆ちゃんまで来るとはなあ」

 サクヤがそう言いながら、金髪の少女を見つめる。
 そう、あのSSランク冒険者ロゥエルがここにいるのだ。
 理由は、まあその、オレに惚れちゃった……らしい?
 一応、やんわりと同行は断ったんだが、強引に付いてこられてしまった。

「ふん、仕方なかろう。初めて恋をしたのじゃ。一緒にいたいと思うのは当然じゃろう」

 ロゥエルは少し顔を赤らめながら、ふんぞり返って発言した。

「あのなあ、リュークにはアニスっていう恋人がいるんだよ! 諦めたほうがいいって!」

 半ば呆れ顔でユフィオが説得しようとするが……

「『剣姫』なら知っとるわい。あんな小娘には負けんぞ。そもそもお前たちもリュークを諦めとらんじゃないか! 若いリュークには、わらわのような年配者こそ相応しいのじゃ。色々とリードしてやれるからのう。なあリューク?」

 年配者……? 見た目は完全に子供だけど。
 ちなみに、この船旅の最中にロゥエルとはすっかり打ち解けて、すでに呼び捨てするような仲になっている。
 まあそう呼んでくれとロゥエルに頼まれたからでもあるが。

 そんなやり取りをしているうちに、船は浜辺に到着した。


 ☆


「さぁて、着いたはいいが、どこに行けばいいんだ?」

 みんなが船から下りたあと、船をアイテムボックスに収納したオレは、前方の景色を確認する。
 浜辺の少し先には、見渡す限りの森が広がっていた。
『真紅の指輪』を見つければ、『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』というものがある場所にオレを導いてくれるらしいから、まずは『真紅の指輪』を探すべきなんだろうが……

 とりあえず、仮面の男に言われた通り北を目指すしかないな。
 オレたちは浜辺をあとにし、森へ入っていく。

「ふーん……意外だな」

 ボツリとそうオレが言葉を漏らしたのは、森にはモンスターがいなかったからだ。
『スマホ』で確認しても見当たらない。
 てっきり凶悪な怪物がうじゃうじゃいるかと思っていたので、なんとなく拍子抜けだ。

 海を越えた先は、まさかモンスターのいない楽園だった……なんて可能性はあるのか?
 だとしたら、少しは気が楽になるところ。

 そのまま数時間歩き続け、そろそろ日も暮れてきた頃、『スマホ』のマップで森の終わりが確認できた。
 目視ではまだ見えないが、もう少し歩けば森を出られるようだ。

「みんな頑張れ、森を抜けるまであと少しだ。今日はそこで野営しよう」

 オレの言葉を聞いて、みんなホッと安堵の息を漏らす。
 そしていよいよ森を抜けるというところで、『密かに見張る妖精ピーピング・シルフ』を喚び出して周囲を探っていたロゥエルがいきなり声を上げた。

「何か……いや、誰かおるぞ! それも大勢じゃ! 人間らしき者がいっせいに移動しておる!」

「なんだって!?」

 オレも『スマホ』で確認してみると、森を抜けた少し先の場所を何者かが大勢移動していた。
 確かに、モンスターではなく人間っぽい反応だ。
 だが、こんな場所に人間なんているのか?
 ここに来た人間はオレたちが最初だと思っていたが、まさかオレたちより前にこの海を渡ってきたヤツがいたってことか……

 人間のような存在たちは、何かを目指すように北に向かっている。
『遠視眼』スキルを発動してその方向を見てみると、遠方で煙のようなものが上がっていた。
 恐らく、何かが燃えている。あそこで戦闘が起こっているのかもしれない。

「……行ってみよう」

 危険だが、とにかく正体を確認しないことには始まらない。
 オレたちは警戒しながら、謎の存在たちを追った。
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