勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第8章 魔人の島

第4話 強敵? 三武将ゴドー

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 リオンに道案内をしてもらいながら、オレたちはまた腐臭漂う八脚馬キャリオン・スレイプニルの馬車で移動する。
 目指す『再誕さいたん墓廟ぼびょう』は北の山を越えた奥にあるという。
 めったなことでは行かないらしいが、『再誕さいたん墓廟ぼびょう』は魔人族が守るべき場所でもあるので、一応それなりに道は作られていた。

 とはいえ、綺麗な街道のように整備されたものではなく、ちょっと通りやすい程度の野道だが。
 通常の馬車だと3日ほどかかる距離らしいが、腐臭漂う八脚馬キャリオン・スレイプニルの馬車なら、恐らく明日の昼には到着するだろう。

「凄い馬ですね……こんな馬を喚び出せるなんて、やはりリューク様は『深海の使徒』様の生まれ変わりではないのですか?」

「いや、絶対に違うよ……ははは」

 リオンが感動したような声を上げたので、オレは思わず苦笑いしながら否定した。
『深海の使徒』の正体はあの仮面の男だとは思うが、もし違ったら、また話がややこしくなりそうだな。

「それにしても、世界には白い肌の人間がいるという伝説はあったのですが、こうして出会ってみると本当に驚きました」

「それはオレたちも同じさ。まさか海を越えた場所に、君たちのような人間がいるなんて思いもしなかったよ」

 走りながらお互いの事情を話しているうちに、色々なことが分かってきた。
 この島には魔人族は10万人ほどいるらしく、海岸沿いの街以外にもあちこちに大小の集落を作っているが、ベムラーたち『墓守』の一族は1000人にも満たないとのこと。
 ただし、ヤツらはほかの魔人族より1ランク強い存在で、たった1000人でも手に負えないらしい。

 何故ベムラーたちが強いかというと、ヤツらは日々『再誕さいたん墓廟ぼびょう』で鍛錬――つまりモンスターを倒してレベル上げをしているからだ。
 特にベムラーは、たった1人で『再誕さいたん墓廟ぼびょう』を踏破する『英雄の試練』という儀式をクリアしていて、それを達成すると神の力を授かるという。
 それがあの『超越魔法オーバーマジック』のようだ。

 属性を超えたとんでもない魔法で、しかも無詠唱で発動できる。
 まさに神の力に相応しい。
 ベムラーのレベルが375まで成長してたのも、これらのことが理由だろう。

 それでも一応平和が保たれていたのは、本気で戦争になれば、お互いが共倒れになってしまうからだ。
 ベムラーたちがいくら強くても、結局多勢に無勢、被害は甚大になる。
 だから大人しくしていたんだろうが、『解封の神器』が輝き出したことでその均衡は崩れてしまった。
 秘宝さえ手に入れば、この世界を思いのままにできる……と。

『覇王の卵』と一緒で、人間の欲は本当に罪深いな。
 魔人族もオレたちと同じ人間ってことか。

 その秘宝だが、仮面の男の言う通りなら『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』というものだろう。
『覇王の卵』は存在しなかったが、『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』はきっとある。
 それを手に入れるのがここに来たオレの目的だ。

 会話をしているうちに馬車はいよいよ獣道に差しかかり、周囲にはモンスターの気配が溢れ出す。

「ロゥエル、モンスター退治を手伝ってもらっていいか? 神鳴りの聖獅子ストームライガーを喚び出してくれ」

「おおリューク、わらわになんでも頼んでくれなのじゃ! 神鳴りの聖獅子ストームライガーでよいのか? 神炎を纏う者アオノカグツチも喚べるぞ?」

「いや、広範囲を攻撃できる神鳴りの聖獅子ストームライガーのほうがいい。討ち漏らした敵はオレが対処する」

「了解じゃ! ほれ、獅子ども現れよ!」

 ロゥエルが喚び出すと4体の神鳴りの聖獅子ストームライガーが出現し、馬車に接近してくるモンスターに向かって飛んでいく。
 その身から発生させる凄まじい雷撃で攻撃するが、相手もなかなか手強く、簡単には死なない。
 ダメージを受けながらも強引に近付いてくるモンスターだが、それを『スマホ』の『MAP兵器』で片っ端から迎撃する。

「わらわとリュークの共同作業じゃ! まるで夫婦みたいじゃのう。そう思わんかリュークよ」

「いや、別にそんなことは……」

 浮かれまくるロゥエルとは対照的に、ジーナたちが不機嫌そうにしているのを見てオレは口籠もる。
 この感じ、余計なことは言わないほうがいいな。

「凄い……海の向こうの人は、こんなに強いんですね」

「違うわ、この2人が特別に強いだけよ」

 驚くリオンに、ジーナが訂正を入れる。
 魔人族のレベルが高いといっても、ギフトを授かってない以上、レベルから受ける印象よりも実際には弱い。
 仮にレベルが200でも、レベル185であるロゥエルのほうがずっと強いだろう。
 まああのベムラーは別格だが。

 しばらくロゥエルとのタッグでモンスターを迎撃してると、別の存在を探知した。

「ロゥエル、攻撃をやめさせてくれ! 誰か来る!」

「……ふむ、確かに人間らしき反応が近付いてきておるな」

 ベムラーなのか、またはたまたま近辺に来た誰かなのか分からないが、うっかり殺してしまうとまずい。
 何はともあれ、その正体をしっかり確認しないと。

 馬車を止め、しばらく様子を窺っていると、山道の奥から魔人の姿が現れた。
 でかい……ベムラーほどじゃないが、身長は250センチを超えてるぞ。横にも大きく、筋骨隆々とした巨漢だ。
 レベルは273で、そしてその片手に1つずつ握っている鎖の先には、棘のたくさん付いた巨大な鉄球がぶら下がっている。

「リオンさん、あいつは誰だ?」

「あ、あの男は、ベムラーの配下である三武将の1人、ゴドーです!」

 やっぱり敵か。まあ見た目が完全に悪者だしな。
 現れた目的は、オレたちを殺しに来たってところか?

「ぐぬっ、リオンは死んだはずではなかったのか? それに『深海の使徒』まで生きている? ベムラー様ともあろうお方がこんな失態を犯すとは……信じられんな」

 馬車の正面まで来たゴドーは、オレたちの姿を見て驚きの声を上げた。
 ベムラーは部下に、リオンやオレのことを始末したと報告したんだろう。
 だからゴドーは、ここに来たのがオレたちだと思わなかったわけだ。

「ベムラーが間抜けなのは否定しないが、リオンさんが生きているのはオレが強すぎるからだ。お前もすぐに逃げたほうがいいぜ。さあとっとと帰れ!」

 オレは『魔王の囁きデモンズワード』を発動して命令してみたが、ゴドーには効かなかった。
 なら仕方ない、オレはゆっくり御者席から降りると……

「リュ、リュークさん、まずいです! ゴドーの強さは1000人に匹敵するとも言われてます! とても勝てる相手では……」

 リオンが大慌てで叫んだ。

「ぐふっ、逃げようとしてももう遅い。オレの剛破球で貴様らをぶっ殺してやる」

 ゴドーはそう言いながら鎖をジャラリと鳴らし、手に持つ鉄球を凄まじい速さで回し始めた。
 鉄球の大きさは直径1メートルくらいあるが、紐に付いた水風船のように軽々回転させている。
 見た目通りの超怪力だな。あの勢いで当たればドラゴンでも死ぬだろう。

「喰らえおわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!?」

 攻撃しようとしたゴドーの体が宙に浮き、そのまま凄まじい勢いで遠ざかっていく。
 ジュダハイムからコピーした『念動力』をオレが発動し、最大パワーでゴドーを吹っ飛ばしたからだ。

 あいつを倒すのは簡単だが、そのあとどうするかが問題だ。
 気絶したままここに残しておいたら、モンスターに殺されちゃうしな。
 だから遥か彼方へ飛ばすことにした。
 頑丈そうだからあれくらいやっても平気だと思うが、死んだらすまん。

「…………………………………………え?」

 空の彼方に点となって消えていくゴドーを呆然と見つめるリオン。

「だから約束しただろ。君のことは絶対にオレが守るって」

 ゴドーが消えたのを見届けたあと、オレは馬車に戻った。

「リュークさん、強すぎませんか? ベムラーから私たちを守ってくださったときも凄かったですけど、まさかこれほど強いとは思ってませんでした」

「だからリュークは特別なのよ。世界で一番強いんだから」

 とジーナは言ってくれるが、仮面の男には負けちゃったんだよな。
回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』を手に入れないと、決着を付けるべき相手にも勝てないらしいし……。

「よし、先を急ごう」

 陰鬱になる気持ちを抑えながら、オレは馬車を走らせるのだった。
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