勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

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第8章 魔人の島

第5話 再誕の墓廟

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「みんな大丈夫か? 少し休憩をとろうか?」

 そろそろ空が明るくなってきた頃、オレは後ろに乗っているみんなに声をかける。
 馬車にただ大人しく乗るだけでも意外と疲れは溜まるもの。ましてや獣道を走るこの馬車の揺れは激しいうえ、一晩中休みなしで馬車を走らせ続けてるので、みんなの疲労もかなり溜まっているだろう。
 それで休憩を打診してみたんだが……

「アタシは大丈夫よ。乗ってるだけだしね」

「わたくしも大丈夫です。リューク様、わたくしたちのことは気にせずにお進みください」

 ジーナとグリムラーゼ王女が笑顔を作りながら答える。ほかのみんなも同意らしく、頷いている。
 きっと休憩したいだろうが、頑張って耐えているようだ。

 一応、揺れの激しい馬車の中ではあるが、みんなには仮眠をとってもらってる。
 この島に着いてからずっと行動しっぱなしだからな。
 ただ、御者であるオレは寝ることはできないが。

「リューク様、この調子で行けば早めに到着できそうです。多分あと4時間というところでしょう」

 リオンが到着までのおおよその時間を教えてくれる。
 このままベムラーに追いつければいいが、あいつは空を飛んで移動しているから多分無理だ。
再誕さいたん墓廟ぼびょう』に入る前にベムラーも準備を整えたとは思うが、それを考慮しても、オレたちが到着する頃にはとっくにベムラーたちは中に入っているだろう。
再誕さいたん墓廟ぼびょう』はあいつらの庭みたいなもんらしいし、果たして封印解除までに間に合うかどうか……

 そのまま馬車を走らせ続けると、リオンの推測通り、4時間ほどで『再誕さいたん墓廟ぼびょう』が見えてきた。
 ただし、余計な付きだが。

「なんと、ここまで来るヤツがいるとは……ゴドーのヤツめ、何をしていた!?」

 やはりベムラーの配下が待ち受けていた。
 ゴドーのような巨体ではなく、通常の魔人族より少し体は大きい程度。
 その腰の両側には2本の長剣を携えている。

「あれは三武将の1人、天才剣士ヤクシャスです! ベムラーの配下でも最強の男です!」

 なるほど……割と正統派の剣士みたいだな。『剣神』のようなギフトは持ってないけど、レベルが290だから基礎能力が化け物だ。
『経験値10倍』スキルで何十年もレベリングすれば、ここまで強くなれるってことか。

「リオン、そして『深海の使徒』、ベムラー様の襲撃からどうやって生き残ったのか知らぬが、お前たちの命もここまでだ。オレの剣でなます斬り……おおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~!?」

 ヤクシャスが両腰の剣を抜こうとしたところ、ゴドーと同じように『念動力』で遙か彼方に飛ばす。
 それを呆然と見つめるリオン。

「リューク、あれはちょっと可哀想なんじゃない? もう少し話を聞いてあげても……」

 ヤクシャスが問答無用で吹っ飛ばされたのを見て、ジーナが苦笑いしている。
 もしかしたらイイヤツで、話せば分かってくれるかもしれないからな。
 でもオレもちょっと寝不足で、やり取りが面倒くさくなっちゃって……
 死んだらごめんな、ヤクシャス。

「さて、じゃあ『再誕さいたん墓廟ぼびょう』に入ろう」

 オレとリオンを先頭に、オレたちは中へと入っていった。


 ☆


再誕さいたん墓廟ぼびょう』は要するにダンジョンの一種で、性質もダンジョンと同じだった。
 リオンが言うには、最下層は30階。敵もなかなか手強く、部族の選ばれた猛者たちが集団で攻略して、到達までに5日ほどかかるとのこと。
 オレがサクサク攻略すれば、先を行くベムラーに追いつけそうな感じはするが……

「こちらです」

 リオンがマップを見ながら、進むべき方向を指して道案内をしてくれる。
 先頭はオレとリオン、その後ろにはジーナたちがいて、最後尾をレムとロゥエルが守る隊列だ。
再誕さいたん墓廟ぼびょう』のマップについては、魔人族が1000年の間に何度か攻略しているので、すでに製作済みらしい。
 一応オレも『スマホ』で確認しながら進んでいる。

 ただ、ダンジョンでは『スマホ』の索敵範囲が狭くなるため、モンスターにはよりいっそう注意しなければならない。
 敵の探知が遅れるということは、『スマホ』の『MAP攻撃』もあまり有効ではなくなる。
 気付いたらかなり接近されてることも多いからだ。
 とはいえ、魔人族が攻略できる程度のダンジョンなら、オレが苦戦するようなモンスターはいないだろうけど。

 実際、遭遇するモンスターはそれなりに強いが、オレからすればまるで問題ないレベルだった。
 サクサクと瞬殺して、どんどん先に進むオレたち。

「あの……さっきから鳴らされているはなんですか?」

「ああこれね。ダンジョンの最短ルートを教えてくれるアイテムなんだ」

 所々でオレが『導きの白樹笛ディヴァインフルート』を鳴らしていたので、リオンが気になったらしく聞いてきた。
 魔人族が作ったマップはあるが、もしかしたら知られていない通路があるかもしれないので、念のため使っている。

 そうして進んでいたところ、地下3階にある十字路で『導きの白樹笛ディヴァインフルート』がマップのルートとは違う方向を示した。

「リオンさん、どうやら右ではなく、左に最短ルートがあるみたいだぞ!」

「えっ、そんなはずは……!?」

 魔人族でも知らないルートがあると聞いてリオンは驚く。
 だが、『導きの白樹笛ディヴァインフルート』は正確だ。音が示した方向に行けば、必ず近道が存在する。

「大丈夫、左に行ってみよう」

 オレに促され、半信半疑といった表情で付いてくるリオン。
 すると、行き止まりに着いてしまう。

「やはりこちらではないのでは……?」

 リオンが不安そうに呟く。
 これについて、オレは『赤き迷宮』で経験済みだ。
 すぐさま周囲を念入りに調べる。

「何を探してるのリューク? 言ってくれればアタシたちも手伝うわよ?」

 ジーナたちはオレが何をしているか分からないようだが……

「ほう……若いのに、リュークは『隠し通路』にも気付いたのか。やるのう」

 経験豊富な340歳の少女ロゥエルにはここに何があるのか分かったようで、オレの行動を感心した目で見つめる。
 しばしののちに、オレはギミックを発動するスイッチを見つけた。

「よし、じゃあここを開けるから驚くなよ……そら!」

 スイッチを押すと、行き止まりだった壁が沈んでいき、その先に通路が出現した。
 予想通りの短縮通路ショートカットだ。
 だがしかし……

「凄いですわリューク様! これならベムラーに追いつくどころか追い越せます!」

「いや、そういうわけにもいかないようだ。ここを見て。つい最近誰かが通った痕跡がある」

 喜ぶリオンに対し、オレは通路の一部を指さした。
 そこには、明らかに人間が通った跡が残っていた。しかもそれほど時間が経ってない。
 間違いなく、ベムラーたちが通った跡だろう。
『墓守』の一族はこの『再誕さいたん墓廟ぼびょう』を何度も攻略してるという話だし、この『隠し通路』に気付いても不思議はない。

 少々ぬか喜びになってしまったが、攻略を短縮できるのは素直にありがたいところだ。
 追いつけるかは分からないが、できる限りやってみるしかない。
 そう思いながら、オレたちは『隠し通路』を進んでいった。
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